プロフェッショナル・レスリングという格闘技がある。様々な試合形式がある中で特に人気のあるものにレスラーが2対2で戦うタッグマッチという物がある。 精神論で云えば「男(「漢」や「侠」と記してもいいが)の華は一騎打ち・タイマン」ということになるのだろうけれど、組む者同士のチームワークやコンビネーションによって「1+1」が5にも10にもなるという面白みがタッグマッチの醍醐味となっているし、1人では成し得ない技・攻撃・展開が為し得るのも面白い所である。
特撮、特に仮面ライダーが好きな方々には『ダブルライダー』という言葉を持ち出せば、その言葉だけで前述した面白さを正義の味方が具現化していることを察知して頂けることと思う。
「仮面ライダー1号&2号」のは云うに及ばず、「V3&ライダーマン」、「X&アマゾン」、「ストロンガー&スカイライダー」も興味深いコンビネーションを展開した。殊に平成ライダーとなってからは1つの番組に複数の仮面ライダーが登場するのが半ば常識となっている為、ライダー同士のコンビネーションは枚挙に暇がない。
だが、シルバータイタンが注目したいのはタイトルにあるように、『悪のコンビネーション』である。
そもそも、ショッカーを初めとする悪の組織が、一つの作戦に一体の改造人間しか投入しないケースが圧倒的であることに特撮ファンならずとも一度は疑問を覚えたことがあるだろう。
勿論一作戦に一体しか投入してはいけないという法律がある訳ではない(そもそも悪の組織は既存の法律に反逆する団体である)。二体以上の改造人間や幹部が同時に活動する例もそれなりに散見されるのだが、はっきり云って、悪の組織はコンビネーションの利点をぶち壊しているとしか思えない。そしてそれが面白い!とシルバータイタンは見ている(笑)。
まあ別の云い方をすれば、組織力があり、複数の改造人間を生み出せる悪の組織がコンビネーションやチームワークを完備していれば仮面ライダーに勝機は無かっただろうし、コンビネーションやチームワークを為し得ない程の我欲や我儘に裏打ちされてこその悪の組織なのだが。
実際、2体の怪人が同時に挑んでくることの多い『仮面ライダー(スカイライダー)』における魔神提督(中康治)の人選は狂っているとしか思えない物が多かった(笑)が、中にはちゃんとしたコンビネーションも見られた(例ドラゴンキング&キギンガー)。
そこで本作では、通常、1作戦1改造人間でライダーに各個撃破されていた悪の組織が、1作戦2改造人間で挑んだ例と、そこに見せた『悪のコンビネーション』を検証、考察し、時に感心し、時に笑い飛ばしたい。
1. 死神博士&地獄大使……初の大幹部邂逅
2. カナリコブラ&ネズコンドル……両者は旧知か?
3. ショッカーライダー1号&ハエトリバチ……自称・無敵コンビ
4. ショッカーライダー2号&エイドクガー……1号ライダーを圧倒した実力は本物か?
5. テレビバエ&イカファイア……最後に共闘したばかりに…
6. ナイフアルマジロ&ノコギリトカゲ……何の為の監視役?
7. レンズアリ&カミソリヒトデ……世にも稀な顔立て振り
8. スプレーネズミ&クサリガマテントウ……バレバレ過ぎた茶番
9. ギロチンザウルス&ドクバリグモ……2回も組んだ稀有な例
10.岩石男爵&オオカミ長官……利用相手は賢からず、馬鹿からず
11.ジェネラル・シャドゥ&ヘビ女……悪に珍しい思いやりのコンビ
12.磁石団長&ヨロイ騎士……デルザー最後のコンビ砦
13.サイダンプ&クラゲロン……ネオショッカーちぐはぐコンビネーションの元祖?
14.ムササベーダー(兄)&ムササベーダー(弟)……V3さえいなければ……
15.黄金ジャガー&トリカブトロン……余りにも正反対な者コンビ
16.タコギャング&マントコング……図体のくせに云うことせこいのう…
17.キギンガー&ドラゴンキング……珍しき名コンビの役割分担
18.オカッパ法師&ウニデーモン……単独過ぎてコンビの意味無し!
19.オニビビンバ&サタンドール……急造の哀しさに敗れる?
20.サタンスネーク&マジョリンガ……各個撃破されるなよ…
21.ガテゾーン&ゲドリアン……純粋ならざる者同士が共闘したが…
最終頁 コンビネーションにおける「素質」と「運用」
令和三(2021)年六月一〇日 最終更新