登場番組 | 『仮面ライダー』第89話 |
協力体制 | 形勢不利加勢型・作戦継承型 |
両者の友好度 | ☆☆★★★★★★★★ |
同時行動度 | ☆☆☆★★★★★★★ |
共闘度 | ☆☆★★★★★★★★ |
改造人間紹介 ゲルショッカー怪人カナリコブラとネズコンドルはゲルショッカーならではの改造人間である。この組織の改造人間は2種類の動植物の能力を併せ持つ合成改造人間で、それゆえに「カナリア」や「ハツカネズミ」と云った通常では全く怖くない存在が牙をむいて来たのが印象的で、両者は「ペット作戦」でもって人間社会に襲いかかって来た。
名前からも丸分かりだが、カナリコブラはカナリアとコブラの合成改造人間で、小さな愛らしいカナリアが現れたと思って可愛がっていたらコブラに咬まれるのだから、考えてみればかなり怖い。日本の野外でいきなりカナリアに遭遇しても怖がる人はまずいないと思うが、いきなりコブラと遭遇したら大半の人は驚愕するのではないだろうか?蛇が大好きなシルバータイタンだが、野外でタイマンになったらコブラは勿論、ハブでも怖い(医療機関の充実から死ぬ確率がかなり低いものだとしても)。
そんなカナリコブラはカナリアの姿でハイカーの前に現れ、手を出して来たところを殺人音波で苦しめた上に右手のコブラハンドで持って襲い掛かり、4人を蛇毒でもって殺害した。
殺人音波を出す嘴、右手のコブラ、本郷と滝に机や椅子をぶつけられてもひるまなかった全身の鱗を武器として、ハイカーを殺害したのと同様の手段でもって少年ライダー隊員の殺害を図るが、これは仮面ライダー1号に阻止され、コブラハンドを折られた。
再改造を受け、メカコブラハンドを装着して再度仮面ライダー1号に挑むも、敵わず、ライダー月面キックに敗れた。
そのカナリコブラがピンチに陥ったのを加勢すべく、第89話の終盤に現れたのがネズコンドルである。これまた名前で丸分かりだが、ハツカネズミとコンドルの合成改造人間で、設定によるとメキシコ・アンヘル島の出身ある。
カナリコブラに加勢せんとするも、肝心のカナリコブラが加勢を拒絶し、敵方からは滝和也が挑んできたため、これと格闘。エアプレンスピンで滝を強く投げ飛ばしたが、滝はライダー1号に受け止められ、既にカナリコブラが倒されていたこともあって、逃走した。
いくら強くても普通の人間である滝を投げ飛ばしたぐらいでは然程強そうに見えないネズコンドルだが、その能力・恐ろしさと、作戦展開はカナリコブラとかなり酷似している。
カナリコブラがカナリアに化け、コブラ毒(リシン)で人を毒殺するように、ネズコンドルはハツカネズミに化け、ペスト菌で病死に追いやろうとする。それも感染者は長い牙を生やしたペスト人間となって、周囲の人間を襲うことで広まるのである。
ゾンビやヴァンパイアに見られる黄金パターンだが、単純に病気としてのペストに限って見てみただけでも、中世ヨーロッパ時代ほどの脅威ではないにしても、ペストは1998年まで法定伝染病に指定されていて、日本では流行したことが少ないだけに、日本人の免疫力は無きに等しく、耐性菌だったり、肺ペストで治療が遅れたりしたら大勢の人間が死に到ることは充分あり得るのだ!ペット作戦はその可愛らしいネーミングに反してかなり恐ろしい作戦と云える。
それを狙って、ネズコンドルはハツカネズミに化けて、ペットとして少年仮面ライダー隊本部に潜入するのだが…………前週、カナリアを飼って、カナリコブラに襲われたのをもう忘れたんかい!?少年仮面ライダー隊員達よ!!??
少年仮面ライダー隊を思えば、強化必要ありと判断した際にはカナリコブラに続いてネズコンドルにも再改造を行った分ゲルショッカーの方が学習能力はあるかも知れない。
出番の前半がペスト菌を媒介するハツカネズミの能力がネズコンドルのメインだったのに対し、後半は嘴と羽根が強化されてコンドルとしての能力がメインになった。そしてこの強化は明らかにライダー1号を苦しめ、嘴攻撃はライダー1号を一時的な失明状態にまで陥らせた。
しかしライダー1号の決死の反撃の前に形勢不利となり、最後はカナリコブラ同様、ライダー月面キックの前に敗れ去った。
両者の邂逅 両者がともに姿を見せたのはほんの僅かな時間だった。前述したように第89話の終盤で、仮面ライダー1号の前に苦戦するカナリコブラを加勢せんとして、ネズコンドルが戦いの場に合われたのが最初で最後である。
というのも、(これも前述したが) カナリコブラは「俺1人で充分だ!」と云って加勢を拒絶し、直後に「もう1人は俺に任せろ!」と云って滝和也が掛って来たからである。
程なくカナリコブラは戦死したため、両者が同じ場にいたのは僅かな時間でしかなかった。
さて、ここからは全く個人的な推測なのだが、シルバータイタンはカナリコブラとネズコンドルは事前に面識があった、それどころかペット作戦遂行の為に、旧知の者同士で同時に改造されたのではないか?と見ている。
根拠は両者に見られる数多くの共通点である。
@合成する素材の1種が愛玩動物。
A猛毒・疫病の違いはあれど、人類に有害な毒素をもって攻撃。
B同じ作戦に従事。
C失敗者に死をもって償わすことも多い悪の組織においてブラック将軍が再改造を命じている。
D両者ともライダー月面キックの前に戦死している。
5項目の内、Dは関係無いとしても、@〜Cは、ブラック将軍が如何にペット作戦に本腰を入れていたかの証左ではないか、とシルバータイタンは見ている。かなり以前、拙作『悪の組織の大幹部に学ぶリーダーシップ』において、ゲルショッカーは怪人自体がしょぼい奴等が多いのを、ブラック将軍の指揮の見事さで人間社会に大きな脅威と実害を与えた、と見る旨を記したが、このペット作戦も例外ではないと見ている。
となると、作戦上の連携からも元から気心知れているか、互いを熟知している者同士を改造人間の素体に選ぶことはあり得る話で、それゆえにカナリコブラとネズコンドルは改造前から旧知だったのでは?と見る訳だが、当サイトを閲覧されている方々の意見を如何だろうか?
もしシルバータイタンの推測通りなら、両者(というかカナリコブラ)はブラック将軍の思惑をぶち壊したことになるが、その辺りは下記にて考察したい。
コンビネーション考察 はっきり云って、カナリコブラとネズコンドルとのコンビネーションは無きに等しい、否、無かった。何度も前述したように、カナリコブラが加勢を拒否しており、どう贔屓目に見ても両者のコンビネーションは画面上、微塵も現れていない。
それゆえ、本来ならこのコンビは本作にて取り上げる対象とならない筈だった(実際、同じ話に出て来ても片方が死んでからもう片方が出たマシンガンスネーク&ハンマークラゲは本作の対象としていない)。
だが、『ペット作戦』と云う稀有な作戦を観点としたとき、存在しなかった両者のコンビネーションが「実に興味深い(←フィリップ(菅田将暉)風ね)。」ので採り上げた。
というのも、悪の組織の作戦は担当の改造人間が戦死すれば作戦そのものを放棄するという不可解なことを行うのが通例だが、このゲルショッカーのペット作戦は例外で、カナリコブラとネズコンドルのいくつかの共通点からも、ブラック将軍は両者の手による作戦遂行を考えていたのでは?とシルバータイタンは推測しているのは前述通り。
となると、チョット不可解なのが、何故両面作戦に出なかったのか?と云うことである。
シルバータイタンがブラック将軍なら、カナリコブラの放つ毒が、日本にいる筈の無いコブラの毒であることが判明して、医療機関を含む騒動になった頃合いを見計らって、ネズコンドルにペスト菌による襲撃作戦を実行させていただろう。恐らく医療機関は毒・伝染病両方の対処に迫られ、カナリア・ハツカネズミ以外の愛玩動物にも疑惑の視線が広がり、日本中が想像を絶するパニックに陥れることが出来たのではないかと見ている。
これは現実のテロリズムを見てもフィクション上の話として一笑に付してはいけないと思っている。実際、オウム真理教は凶悪なサリンだけに留まらず、青酸ガス・VXガス・ホスゲン・ボツリヌス菌・炭素菌の開発にまで着手し、幾つかは実際に使われた。多くのケースで死者が出なかったのは偏に現場安全管理者の尽力とオウムの科学技術の未熟さによるもので、万が一、事がオウムの思惑通りに運んでいたら何万人の死者が出たかと思うと背筋が冷たくなるのを禁じ得ない。
ともあれ、カナリコブラとネズコンドルは全く行動をともにせず、ブラック将軍が期待した(と推測する)コンビネーションは微塵も発揮されなかった。
これはブラック将軍が改造の素体に選んだ二人の人間が旧知なだけではなく、『似た者同士』を選んだからではないか?と見ている。
本郷猛とサソリ男・早瀬五郎、風見志郎(宮内洋)とガルマジロン・高木裕介(三井恒)、南光太郎(倉田てつを)とシャドームーン・秋月信彦(堀内孝人)の例に見られるように、最大の親友は最大のライバルとなり得るゆえに、妥協が出来ず、かつての友を敵として葬らなければならなかった悲劇と同じ要素がカナリコブラとネズコンドルにはあったのではないか?と見ている。
つまりはそのライバル意識ゆえにカナリコブラはネズコンドルの加勢を断ったのでは?との推測である。ましてこの時、カナリコブラは再改造を施されていて、ネズコンドルはまだ再改造をされていなかった。改造時系列の比較からも、最新改造を受けた自分が旧改造体の加勢を受けることでネズコンドルの下風に立つことは恥ずべき、とカナリコブラは考えたのではあるまいか?
となると、ブラック将軍の人選はコンビネーションを考える上では最良を選んだつもりで、実は最悪を選んでいたことになる。
ま、この項の記述事項がシルバータイタンの推測が正しくて、という仮定に立っての考察でしかないのだがね。
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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新