第1頁 南光太郎………もう一人の有名キャラに似過ぎてない?

「太郎」File.1
名前南光太郎
演者倉田てつを
立場主人公
登場作品『仮面ライダーBLACK』、『仮面ライダーBLACK RX』
兄弟構成一人っ子
「太郎」の付く親族無し
名前を呼ばれる頻度ほぼ100%に近い


人物像 日食の日に生まれた運命の子。幼くして暗黒結社ゴルゴムに両親を殺されたため、ゴルゴムメンバーにして父の親友だった秋月総一郎(菅貫太郎)を父親代わりに、その息子である秋月信彦(堀内孝人)とは兄弟同然に育った。
 そして19歳の誕生日に、信彦共々ゴルゴムの次期創世王候補として、世紀王・ブラックサンとなるべく、拉致・改造されたが、脳改造直前に総一郎に助け出され、仮面ライダーBLACKとしてゴルゴムとの戦いの日々に身を投じ、生き別れとなった信彦を探し続けた。

 結局、信彦はもう一人の世紀王・シャドームーンとして改造され、ラスボスとして南光太郎(倉田てつを)の前に立ちはだかった。光太郎は兄弟同然の親友である信彦と戦うことを最後まで嫌がり、シャドームーン説得を試みたが、彼が正気をと記憶を取り戻すことはなく、光太郎は仮面ライダーBLACKとしてシャドームーンと創世王を倒し、ゴルゴムを壊滅させた。
 ゴルゴムとの戦いの中ですべてを失った光太郎は、後番組『仮面ライダーBLACK RX』にて叔父・佐原俊吉(赤塚真人)の誘いを受けて、彼の経営する佐原航空のヘリコプター・パイロットとなったが、時を同じくして崩壊の危機を逃れんとして地球攻略にやって来たクライシス帝国に捕らえられ、服従を拒んだことで宇宙空間に放り出され、生命の源であるキング・ストーンに太陽の光を浴びたことで太陽の子・仮面ライダーBLACK RXに生まれ変わった。

 以後、佐原一家、友達以上恋人未満の白鳥玲子(高野槇じゅん)、戦いを通じて知り合った弟分・霞のジョー(小山力也)、水の妖精・的場響子(上野めぐみ)等と力を合わせてクライシス帝国と戦い、悲しみの王子・ロボライダー、怒りの王子・バイオライダーに多段変身する能力を身に着け、最後には海外から駆け付けた10人ライダーの助力も得て、クライシス帝国の侵攻から地球を守り切ったのだった。

 基本、明るく闊達で、女性や子供に優しい好青年。その一方で想いが強過ぎる故に悪に屈服しそうになる大人や、仲間の死を前にして滂沱に暮れる者達に厳しい叱責を浴びせることも。そんな彼自身、情の深い性格故に仲間を失った時の落ち込み様は半端なかった。
 『仮面ライダーBLACK』の終盤にてすべての仲間を(死に別れではないが)失ったことの反動があってか、後番組である『仮面ライダーBLACK RX』においては反動的なまでに陽気で、皆の兄貴分としてのカラーが強かった。


名前と作風の関連 「南光太郎」の名前には作品世界との強い因縁がある。
 そもそも彼は作品の始まる19年前の日食の日に生まれたことで、同じ日に生まれた秋月信彦共々、暗黒結社ゴルゴムから、次期創世王候補である世紀王になるべき人物と、(一方的に)目された。勿論、自身にそんなことを知る由はなかった。

 暗黒結社ゴルゴムの首領である創世王は自らを、全宇宙を統べる絶対者と自認し、強大な王権を振るう者だが、決して不死身の存在ではなく、その寿命は約5万年程だった。当然、寿命が尽きる前に後継者を選定する訳だが、その選定はかなり一方的且つ、いい加減だった(正確にはかなり行き当たりばったり)。
 実際、光太郎と信彦が生まれる3万年前の日食の日に、もう一人の世紀王候補である剣聖ビルゲニア(吉田淳)が生まれていたが、彼は早く生まれ過ぎたことで創世王の証であるキング・ストーンを与えられず、後に反逆者とされて棺に閉じ込められると云う理不尽な目に遭っていた。
 そしてタイミング良く生まれた光太郎と信彦は19歳の誕生日にゴルゴムに拉致され、世紀王となるための改造手術を施された。ゴルゴムの当初の予定では、2人にキング・ストーンを与え、光太郎をブラックサン(黒き太陽)に、信彦をシャドームーン(影の月)として生まれ変わらせ、両者を相争わせ、勝った方を次期創世王にするとしていた。
 信彦の姓が「秋」であったことも、シャドームーンとの関連付けだろう。

 寿命の迫っていた創世王は光太郎と信彦のいずれかが次期創世王となることに相当執着しており、当初は洗脳手術を経て完全にゴルゴムの一員となっていたシャドームーンがブラックサンを倒して次期創世王になることを期待していたが、シャドームーンが敗れるや、仮面ライダーBLACKに次期創世王となることを強要した。
 勿論、BLACKが応じる訳なかったが、拒絶されると自分の足元に大穴を開け、どうしても拒むなら最後の力を振り絞って地球の中心部に向かい、地球を木端微塵にすると云って、脅しをかける程だった。
 結局、それを阻止せんとしたBLACKの攻撃を障壁で次々と弾き返した創世王だったが、自分の武器から身を守る術は持っておらず、BLACKの投げたサタンサーバルを受けて絶命。南光太郎は黒き太陽ではなく、本来の陽光を守ったのだった。

 上記のストーリー以外にも、光太郎は太陽とは切っても切れない関係を随所に見せていた。
 上述した様に、信彦がシャドームーンとして生まれ変わった直後、光太郎は何としても信彦と戦う、それによって親友を手に掛けることを避けようとした。それに対してシャドームーンは東京上空を曇天で覆わせ、自分との戦いを承諾しないと二度と東京に陽光は差さないとした。

 結局、BLACKはシャドームーンを討ち果たしたのだが、それに対してシャドームーンは、「勝ったなどと思うな!」として、親友を手に掛けた罪悪感を一生背負って生きて行け、との捨て台詞を残した。
 直後、地上は10日間の大雨に見舞われた。ナレーションはその雨をすべての罪を洗い流すかの如きものと表現し、その果てに眩しいばかりの陽光は帰ってきたのだった。

 そしてこれも上述したが、後番組が始まると光太郎はクライシス帝国に捕らえられ、その先兵となることを強要された。クライシスは服従すれば仮面ライダーBLACKのパワーを2倍にするとの好餌もちらつかせたが、勿論光太郎は拒絶。これにより光太郎は変身メカニズムを破壊され、大気圏外に放り出されたのだが、直後に訪れた日の出から太陽光をキングストーに受けて「太陽の子・仮面ライダーBLACK RX」として生まれ変わった。
 そして終盤でも査察官ダスマダー(松井哲也)の奇襲を受け、腹部のサンバスクを破壊された際も、キング・ストーンに注がれた陽光が急速な復活を為した。まさに、「」と共に戦ってきた「太郎 (男)」だった。
 サブタイトルも、第1話が「太陽の子だ!RX」、第2話が「光を浴びて!RX」で、最終回が「輝ける明日!」である。もしサブタイトル命名者が、万が一にも、「RXは太陽や光なんかとは全くの無関係です。」などと抜かせば、死後に引き抜かれる舌が何枚あっても足りないことだろう(笑)。


名前への個人的所感 『仮面ライダースーパー1』以来、約6年振りに始まる仮面ライダー新シリーズ・主人公の名が「南光太郎」と知ったとき、道場主は顎を落とした。「仮面ライダーと並ぶ日本の代表的ヒーローであるウルトラ兄弟の中にウルトラマンタロウ・東光太郎がいるのに、それで良いのか!?」と。

 まさか、仮面ライダー新番組制作陣にウルトラシリーズをパクろうなどと云う意図があったとは思えなかったが、制作陣関係者が仮面ライダー一筋の人間達だったとしても、ウルトラマンタロウ・東光太郎の存在・名前を知らなかったとも思えなかった。
 例えて云うなら、今後ウルトラマンシリーズの新作が作られる際に、「十文字隼人」や、「仏敬介」や、「右翔太郎」という主人公が生まれるかどうかを想像してみて欲しい(苦笑)。
 だが、結果として「南光太郎」は生まれた。偏に太陽とともにあったことのこだわりが、もう一つの名シリーズとの酷似すら辞さなかった故と云えよう。


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令和七(2025)年四月三日 最終更新