1.『仮面ライダー』での地獄大使

所属組織ショッカー
演者潮健児
改造体ガラガランダ
共闘者死神博士
登場第53話にて日本支部幹部に就任
降板第79話にて仮面ライダー1号との戦いにおいて戦死。
対戦ライダー仮面ライダー1号、2号
配下ジャガーマン、海蛇男、ゴキブリ男、ギリーラ、ドクモンド、毒トカゲ男、ミミズ男、フクロウ男、ハリネズラス、セミミンガ、カブトロング、カミキリキッド、ギリザメス、ギラーコオロギ、エレキボタル、アブゴメス、モスキラス、シオマネキング、シラキュラス、バラランガ、シードラゴン、イモリゲス、ウニドグマ
立場 ショッカーにあって、死神博士と並び称された大幹部で、その死神博士が日本支部担当として仮面ライダー2号の妨害を前に数々の作戦に失敗したことで南米支部に飛ばされたために日本支部に三代目幹部として赴任。
 日本支部着任前は東南アジア支部にて基地建設や大規模テロに従事し、数々の戦功を挙げていた(つまりはそれ等の功績を認められ、それが日本にて活きることを期待された訳である)。

 配下の改造人間達からはそれなりに恐れられていたが、南米支部から死神博士が連れて来たナマズギラーは地獄大使に対してタメ口を叩いていたので、直属でない改造人間達まで最敬礼を払っていた訳ではないところにショッカーの特徴が見て取れて興味深い。



特徴 この様なサイトを見て下さる方々には説明不要な内容になっちまうな(苦笑)。
 容姿は明らかに前任の二人(ゾル大佐&死神博士)よりも派手で、常時手にした鞭とアイアンクローは即時戦闘向き(実際にそれ等を振るって秒殺で滝和也(千葉治郎)を捕らえたこともある)。
 古代エジプトのファラオ(恐らくはツタンカーメン)の被り物を模ったマスクを被り、顔面はかなり毒々しく彩られている(メイクか、素顔か、隈取か、手術痕かは不明)。マスクから膝下に至るまで白と金の横縞ストライプで彩られ、死神博士同様黒マントを纏っている(但し裏地は緑で、肩は覆っていない分シンプル)。

 『仮面ライダーV3』の第26話、第27話にて他のショッカー、ゲルショッカー、デストロン幹部と並んでも目立つ容姿だったが、性格は際立って目立っていた(笑)。
 冒頭でも触れたが、直情的で、感情を露わにし易く、口数も多く、行動的(前線でも指揮も多い)で、死神博士とは良くも悪くも好対照。その一方で組織や作戦に対する誇り高さや、残忍性や、仮面ライダーに対するライバル意識等で両者が共通する面も少なくない。
 また、前任者達がかなり現実主義的で科学と軍事に勤しんだのに対し、地獄大使はシャーマニズムにも手を出し、第66話では怪しい儀式でもってショッカー怪人達を甦らせてもいた。まあ、それで甦ったサイギャングは仮面ライダー1号の10分の1以下のライダーキックしか放てなかったから、取り戻せる能力はかなり低かった様だが(苦笑)。

 別の見方をすれば、悪の大幹部にしてはかなり人間臭い。
 良い云い方をすれば気さくで、部下に対しても愛想が良く、本気でショッカーに引き入れたい科学者には腰を低くもした(まあ、従わないと見たらすぐに冷たくなったが(苦笑))。
 悪い云い方をすれば余り威厳や神秘性はない。つまるところ、その点が地獄大使をして、「フィクションの存在であっても現実にいそうな存在」たらしめていると云えよう。
 地獄大使を好きになるか?彼よりも他の幹部の方がもっと好きになるか?はこの点がターニングポイントになるだろう。



設定上の経歴 元はアメリカはサンフランシスコのバークランド街に生まれ、スラムで育ったダモンと云う人物。従兄弟のガモン(後の暗闇大使)ともに、彼を影武者として利用することで数々の犯罪に手を染めた。
 一時は逮捕されてアルカトラズ刑務所(かつてマンハッタン沖の孤島に建てられていた脱出至難で有名な刑務所)に送り込まれたが、2人で脱出に成功した。
 その後、ガラガラヘビの研究家として、北アメリカ西部の砂漠地帯で研究を続けていた(後年、ガラガラヘビの改造人間となったのもこの縁によるものだろう)。

 やがてガモンとともに新興国家のゲリラ軍の大佐に任命されて革命を指揮。だが仲間の裏切りによって銃撃を浴びせられたことで一度は死亡した。だが、その人格と能力をショッカーに買われ、改造手術によって改造人間として復活し、ガモンとは袂をわかった。
 仲間は疎か、身内にすら裏切られ、何も信じられない人生を送った故か、そこから蘇生とそれまでの経験が大っぴろげに活かせる場を与えてくれたことがショッカー首領に対する絶対の忠誠が生まれたと見えよう。



最期 当然と云おう、必然と云おうか、地獄大使にも最期の時が訪れる。そして地獄大使の最期はショッカーの最期をも意味した。

 当初、ショッカーにとって仮面ライダーとは、素体こそ随一の優秀さを持つとは云え脱走者の一人に過ぎなかった。個体として強くても、組織力、次々と発展を遂げる科学力をもってすれば然程手ごわい相手でもないと踏んでいたのだろう。
 それゆえ日本支部には仮面ライダーが生まれて尚、常駐の幹部は置かれなかった。

 だが、累積した技術を集結した新怪人を改造しても(ゲバコンドル)、敗れた怪人を修理して総攻撃させても(トカゲロンと再生怪人軍団)、他国で大きな功績を持つ幹部怪人を招聘しても(サボテグロン)、仮面ライダーに打ち破られた。
 ならばとばかりに進歩した科学力で新たな仮面ライダーを改造して繰り出しても仮面ライダー2号となって1号側につき、新たな敵を増やす始末だった。
 かくして、ゾル大佐、死神博士、そして地獄大使という最高クラスの幹部達が日本に常駐して指揮を執ることとなったが、それでも日本制服作戦は覚束ず、欧州・南米での作戦・計画・支部も次々と潰される始末だった。

 恐らく、これ等の経過を見てショッカー首領ショッカーを見限ったのだろう。地獄大使の死と前後して、首領は密かにゲルダム団と結んで新組織結成を段取りし、結成後にはショッカーの痕跡を残さないため、戦闘員から科学者に至るまで皆殺しにした(約一名助かった科学者がいて、大幹部や改造人間の細胞を密かに保管してはいたが)。

 かくして首領はこの状況を利用して地獄大使ショッカーへの裏切りを演じさせた上で仮面ライダー1号・本郷猛を罠に嵌めんとした。  第78話で仮面ライダー1号はウニドグマの一村制服計画を阻止した。1号ライダーが村に向かっていることを察知した地獄大使はこれを阻止せんとしたが、それに対して首領は「ライダーは来ない。」と云って心配無用であることを告げた。ところがこれは真っ赤な大嘘で、1号ライダーは来村してウニドグマは倒された。
 首領の言が全く事実でないことに納得のいかない地獄大使はどういうことなのかを首領を詰問せんとしたが、首領は逆ギレ。投げ捨てる様に浴びせられた首領の言に促されてモニターを見るとそこには地獄大使の知らない怪人(ゲルショッカー怪人ガニコウモル)が映っていて、地獄大使はその姿に愕然とした。

 続く第79話にて、首領に不信を抱いた(振りをした)地獄大使ガラガランダの計画を少年ライダー隊本部に密告し、それが為に「裏切者」として拘束され、死刑を宣告された(と見せかけた)。
 死刑を宣告された地獄大使は、死刑執行に本郷猛が立ち会うことを希望し、首領はその旨を少年ライダー隊本部に伝えた。

 普通に考えれば不可解な話。地獄大使ショッカー首領によって処刑される理由も見えなければ、執行の立ち合いを本郷に求める理由はもっと見えなかった。だが、本郷と滝はガラガランダの計画を通報して来たのが地獄大使ではないか?それゆえに処刑されることになったのでは?と推測し、思うところあって地獄大使救出を決意して立ち合いを受諾した。

 かくして、本郷は地獄大使の(狂言)処刑に立ち会うと見せ、執行直前(←過去作でも触れたが、被り物が邪魔でギロチンの枷がはまり切っていなかったシーンは爆笑物だった)に地獄大使を救出した。
 勿論一連の流れはショッカーの内紛を装った狂言で、地獄大使は本郷と滝にガラガランダが毒補給のために浜名湖畔の砂漠に身を潜めているとの偽情報で出動させ、二人が出掛けた直後に立花藤兵衛(小林昭二)とライダーガールズ(中田喜子・沖わか子、ミミー萩原)を拉致した。

 だが、歴代ショッカー大幹部達の正体が改造人間だった例から本郷達は地獄大使ガラガランダが同一人物(?)であることをある程度予測しており、地獄大使が死を賭して仕掛けた大罠も不発。しかし、バレて尚、地獄大使ショッカーに裏切者などいるものか!」と大喝し、ここにショッカーの改造人間同士による最後の一騎打ちが展開された。

 惜しむらくは、ガラガランダとしての地獄大使の戦闘能力は1号ライダーを苦戦させるほどのものではなく、ライダーキックをも破ったイカデビルよりも一段劣っていた。ライダー返しには耐え得たが、特に優勢に立ったり、大きなダメージを与えたりすることもなく、ライダーキックを食らい、これが致命傷となった(正直、ショッカー最後の大幹部だったのだから、もう少し打たれ強いか、高い戦闘能力を見せて欲しかった)。
 前任の二人の大幹部はライダーの必殺技を食らうと改造人間としての姿のまま断末魔を挙げて爆死したが、ガラガランダ地獄大使の姿に戻り、冒頭の捨て台詞と軍団賛美を残して爆発・炎上した。

 だが、皮肉なことに地獄大使ショッカーに対する裏切りは狂言でも、首領地獄大使ショッカーを見限っていたのは真実だった………。


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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新