第1頁 鬼火司令………夜光虫を育てた忍耐を、もっと!

ジンドグマ幹部File1.鬼火司令
性格短気、直情型、猪武者
幹部気質急進派
演者河原崎洋夫
正体ジンドグマ超A級怪人オニビビンバ
特技特殊部隊養成
配下ジシャクゲン、マッハローラー、ハサミンブラッド、コマサンダー、フランケンライター、ショオカキング
基本性格 前述した様に、ジンドグマの幹部同士は概して仲が良くない。一応、立場的には4人とも対等で、悪魔元帥に逆らうことは決してないので、他の幹部を悪魔元帥に讒言したり、作戦遂行を妨害したりすることは無いので組織として深刻な悪影響は無い(勿論チームワーク等の良い影響も皆無だが(苦笑))。
 シルバータイタンが推測するに、彼等の仲が良くないのは性格の違いが大きいと思われる。中でも鬼火司令は直情的で、とにかく怒りっぽい。
 何せ、脅迫電話を拒絶されたことに腹を立て、利用していた公衆電話に対して「この電話ボックスも気に食わん!!」と云って八つ当たりで破壊する始末(笑)だから、管理職として相応しくない面も色濃い。
 勿論普段の言動も粗暴で、他の幹部の作戦に対して(いちゃもんを着けること自体は4人とも共通だが)「手ぬるい!」と声を荒げることも多い。

 そんな鬼火司令に対して他の3人が声を荒げ返すことはまずない。3人は鬼火司令の短気な猪武者振りを内心嘲笑っているからムキになる必要が無く、同じ様に声を荒げるのは同じレベルに立つことになるのを悟っているのだろう。

 そんな性格だから直接的な肉弾戦に訴えるのは躊躇しないどころか望むところで、四幹部の中では最も早く仮面ライダースーパー1と戦っている。これは単純に順番の問題ではなく、他の三幹部が自身の最終決戦までスーパー1と戦っていないのに対して、鬼火司令だけが早々に白兵戦を演じたのだから完全に性格と云えよう。
 単純に組織の大幹部として考えるなら感情を制御出来ず性急なのは決して好ましいことではないのだが、番組的には分かり易い展開を為してくれていると云える(笑)。



主な作戦傾向 直情的な性格ゆえに作戦内容も直接的な破壊に根差したものが多い。
 ジシャクゲンには磁力を利用して航空機を墜落させるという、もし実現していたなら大惨事になっていたであろうテロを行わんとし(第25話)、マッハローラーにはローラースケートを駆使した素早さでの戦闘を(第30話)、ハサミブラッドには無数の刃物を飛ばした襲撃を行わせた(第36話)。単調な破壊工作だが、全国各地の電線を断たれればライフラインは大混乱を起こし、相当な被害が出ていたと思われる。
 コマサンダーの戦闘能力は仮面ライダースーパー1に匹敵し、緒戦ではスーパー1を敗退せしめた(第37話)。
 更にフランケンライターにはその炎を操る能力で東京を火の海にせんとする、誠に鬼火司令らしい破壊活動が図られた(第39話)。目的こそは単純な放火テロだが、計画では鬼火司令は3体のフランケンライターに都内3ヶ所で一斉砲火を行わせることで作戦成功率を高めていたところは注目に値する。
 そして自身が出陣する直前(第45話)にはジンドグマ怪人の中でも最強と思われるショオカキング(←何せ視聴者から公募した怪人だから、弱かったら投石ものだろう(苦笑))にスーパー1打倒を命じた訳だが、これに関しては改めて詳細を後述したい。

 こうして見ると鬼火司令の作戦は彼の性格を反映したかのように単純で破壊的な物が多い。だが、よくよく検証してみると随所で彼なりに頭を使っている。同時に鬼火司令の配下故か、コマサンダーやショオカキングの様にジンドグマ怪人の中でも猛者に入る者達も見受けられる。
 つまるところ、決して破壊一辺倒ではない点と、膂力に優れる配下の力とが上手くブレンドされれば、スーパー1を倒すこと自体は番組の宿命上不可能でも、かなりの善戦を展開し、番組をより面白いものにしていたのではないかと思われる。

 些か勿体ない話である。



注目すべき点 とかく直情的で、短気で、悪くいえば猪武者的な性格が目立つ鬼火司令だが、それはあくまで「基本性格」で、彼自身は目的や任務の為には長期的な戦略眼も持ち、忍耐することも知っていた。その証左が、彼の直属の部下である「夜光虫」である。

 第46話にて悪魔元帥の怒りに触れ、自らジンドグマ超A級怪人オニビビンバに変身して仮面ライダースーパー1の打倒を誓った鬼火司令は白馬に跨って作戦遂行の為に自分が密かに育てていた夜光虫達を迎えに行ったが、この時の鬼火司令にはかなりの「本気」を感じる。

 まず、この時のスーパー1打倒に際しては、日頃他の幹部達と仲が悪いにもかかわらず、妖怪王女と合力していた。まあ、組織的にも、幹部という立場的にもかなり追い込まれていれば日頃の対人関係など云ってはいられなかったことという見方もある。
 ただ、妖怪王女との協力体制だけなら、切羽詰まっての行動に過ぎないかも知れないが、鬼火司令はこの日の為に地下に潜らせて、長い修行の日々を送らせた夜光虫を駆使し、自らもオニビビンバに変身して戦うことでスーパー1を火炎放射で失明状態に陥れたのだから、普段の猪武者振り、短気・直情振りを払拭する尽力だったと云えよう。

 惜しむらくは打たれ弱さと急造ペアの悲しさに尽きる(妖怪王女にも同じことが云える)。
 普段仲が良かった訳ではないので、コンビネーションにちぐはぐさや誤爆があったのはまあ致し方ないとして、チェックマシンの治癒能力をもってしても三日間は視力が回復しない状態に追い込んだスーパー1を2人掛かりでいたぶるオニビビンバサタンドールだったが、良いところまで追い込みながらスーパーライダー水平線旋風キックの前に倒れた。
 この一撃はすんでのところで視力を回復したスーパー1が一瞬の隙を突いてはなったもので、特別なアクションで威力を高めたとはいえ、各々が片足による蹴りを受けたのだから、鬼火司令は半分の力に耐え切れず落命したことになる。
 幹部ならもう少し打たれ強くあって欲しかったものである。ましてや四人の中で一番武人らしい幹部だったのだから。


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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新