Page1.第1期仮面ライダーシリーズ

1.『仮面ライダー』
史郎演者本田じょう
役所喫茶アミーゴのバーテン
最終出演第15話
野原ひろみ演者島田陽子
役所喫茶アミーゴのウェイトレス→立花レーシングクラブ会員
最終出演第34話
マリ演者山本リンダ
役所立花レーシングクラブ会員
最終出演第38話
ミチ演者中島かつみ
役所立花レーシングクラブ会員
最終出演第25話
エミ演者高見エミリー
役所本郷猛助手→立花レーシングクラブ会員
最終出演第68話
ミカ演者杉林陽子
役所本郷猛助手→立花レーシングクラブ会員
最終出演第52話
トッコ演者中島真智子
役所立花レーシングクラブ会員
最終出演第69話
石倉五郎演者三浦康晴
役所立花レーシングクラブ会員
最終出演第65話
降板 同番組における降板が目立つのは、主にライダーガールズである。仮面ライダー1号・本郷猛(藤岡弘)、仮面ライダー2号・一文字隼人(佐々木剛)を師父としてサポートした立花藤兵衛(小林昭二)が当初経営していた喫茶アミーゴをたたみ、立花レーシングクラブ→少年ライダー隊を運営した。
 そうなると仮面ライダーを支えるメンバーも続々と新規加入し、最終的には少年ライダー隊隊長の滝和也(千葉治郎)、隊員のナオキ(矢崎知紀)・ミツル(山田芳一)、ライダー隊の事務員を務めるユリ(沖わか子)・ヨッコ(中田喜子)・チョコ(ミミー)で落ち着いた。
 最終メンバーの中では滝は第11話から、ユリは第14話から登場したが、他のメンバーは不定期に入れ替わった。

 まず第14話で立花レーシングクラブが開設されると(設定上)ヨーロッパに旅立った本郷を追って緑川ルリ子(真樹千恵子)が姿を消し、第16話から史郎が(何の説明もなく)登場しなくなった。
 以降、特に説明もなく上記にある話数を最後にライダーガールズ石倉五郎達が次々に登場しなくなった。

 彼及び彼女等が初登場した話は主人公が本郷から一文字に替わった第14話、藤岡氏が久々に登場した第40話、本郷猛が復帰した第53話、と重要な回が目立つ。逆に降板した回はストーリー上特に重要な話だった訳でもなかった。
 例外を挙げるとミカ最後の出番となった第52話は一文字隼人が主役を張った最後の回で、死神博士(天本英世)が南米支部へ左遷された回でもあるから、ミカは一文字の助手として南米について行ったと考えられなくもない。
 またエミ最後の出番となった第68話は死神博士が戦死した重要な回であった。となると、エミにとってスイスで本郷の助手をしていた時から相対してきた死神博士が死んだ訳で、「宿敵を失ったエミが戦う理由を失くして元の平和な生活に戻った。」との仮説が立てられなくもない。

 ただ、仮説は仮説でしかない。やはり納得のいく理由が欲しかったなぁ………。


背景 出演俳優に降板が相次いだ背景を『仮面ライダー』という番組に対して同情的に考えるなら、「シリーズ最初の作品」「のっけから主演が事故った」と云う2点が挙げられよう。

 どんな番組でも「最初」には手探りも多かったことだろう。登場させたキャラクターをストーリー的に活かせず(人件費の問題からも)涙呑んで降板させたケースもあるかも知れない。殊に主人公の本郷猛を演ずる藤岡弘氏が事故で全治6か月の重傷を負い、主役不在の番組を延命させ、「本郷猛を死んだことにして新たな主人公を立てる」という案さえ浮上した状況下では様々な犠牲が払われたことだろう(真樹千恵子さんの降板などは彼女にとっても「事故」と言えただろう)。
 今でこそ特撮界を代表する大シリーズとなった仮面ライダーシリーズだが、放映当初はまだ海のものとも山のものとも分からない全くの新シリーズ。不安要素がある様なら即座に打ち切られても全くおかしくなかった(実際、特撮番組が数多く林立した昭和47年〜48年にかけては短期に打ち切られた番組が少なくなかった)。
 正直、制作陣には様々な意味で余裕がなかったことだろう。ましてや経費の中で最も予算を食うのは人件費とも言われている。ストーリー上重要と見做されなかったキャラクター型の視聴率に貢献しそうなキャラクターに取って代わられても何の不思議もない。
 そういう意味では、俳優諸氏には登場した時期における運不運も大きかったことだろう。

 一方で、些か邪推的だが、当時の芸能界が子役を軽んじ、男尊女卑が根強かったのが挙げられるようにも思われる。
 五郎役の三浦氏は中学校入学に際し、学業を優先する為に降板を余儀なくされた。ま、それ自体が仕方ないにしても理由付けが無かったのだから、子役を重視していないと見られても仕方あるまい(実際、当時のチョイ役的な子役の演技はかなり稚拙だった)。
 また、女性キャラクターの存続に関しては御世辞にも重要視していたとは言い難い。何せキャスティングを担当した故阿部征司プロデューサーが「いついなくなってもいいように個性を持たせなかった。」と述懐していたのだから恐れ入る。
 ライダーガールズの中では沖わか子さん演じるユリが最も長命だったが、それに対する故阿部プロデューサーのコメントも「特に降板させる理由がなかった。」というものだったから、当時の制作陣の方々に甚だ失礼とは存ずるが、「女優を軽視していたのじゃないのか?」との想いは拭えない。


後日譚 ロングヒットとなれば、過去作に派生した新作も出てくる。特に昭和時代から仮面ライダーファンを遣っている人々を喜ばせてくれているのが村枝賢一氏の『仮面ライダーSPIRITS』『新仮面ライダーSPIRITS』である。
 平成30(2018)年1月7日の時点で『仮面ライダー』から『仮面ライダースーパー1』に至るまでレギュラー出演したキャラクターは(死亡した者を除いて)ほぼ全員が登場している。

 中でも石倉五郎ライダーガールズは『石倉育英会』なる悪の組織のテロ活動による被害から子供達を守る会を組織している。作中、五郎は本郷猛が仮面ライダー1号であることを今も知らないので、立花レーシングクラブを離れた後、本郷や藤兵衛達と接触を持つことなく、それでもクラブ時代に耳目にしてきた悪の組織による悲惨さから人々を守る活動を続けてきた設定になるのだから、相変わらず村枝氏の構成は古くからのファンを喜ばせてくれる。

 ただ、そんな中にあっても本郷の過去の回想シーンにしか顔を出さない史郎は一際可哀想な存在ということになってしまうのだが……。



2.『仮面ライダーV3』
佐久間ケン演者川島健
役所インターポールのデストロンハンター
最終出演第36話
降板 『仮面ライダーV3』の第29話で登場した国際刑事機構・インターポールのデストロンハンター。1号からで6号までの6人が登場し、ドクトルG(仙波丈太郎)の機密を探り出し、改造人間工場の破壊に成功するも、機密探索過程で6号が殺され、工場爆破直後にドクトルGの襲撃を受けて1号から4号までが斬殺され、5号である佐久間ケンだけが生き残った。

 以後、ケンは日本に留まり、風見志郎(宮内洋)を「先輩」と呼び、風見もまたケンを下の名前で呼ぶなど、親しい間柄をもって両者はデストロン相手に共闘した。だが、ドクトルGの末期からツバサ軍団の登場までの1ヶ月半の激動期にあって、「Wライダーの帰還」という重大時にケンは姿を見せず、第36話を最後に理由を告げられることもなく降板したのだった………。


背景 一言で言うなら「第二の滝和也になり得なかった。」ということだろう。
 「インターポールのデストロンハンター」という「FBIの特命捜査官」以上に対悪の組織カラーの濃い肩書を引っ提げて登場した佐久間ケンは破壊工作に従事し、格闘も頻繁に行ったが、如何せん滝ほどには活躍出来ず、数人の戦闘員相手でも劣勢に陥っていた。
 この弱さが祟ったのか、Wライダーの再登場や短期間で変遷する結託部族と上手く絡めなかったためか、これまた推測の域を出られないのが何とも悔しい。


後日譚 佐久間ケンを演じた川島健氏が俳優としての活動が余り無い(現在ではモデル事務所の経営者に転身した模様)ためか、特撮雑誌や特番に登場している様子も見られないが、このキャラクターもまた『仮面ライダーSPIRITS』『新仮面ライダーSPIRITS』にて再登場が為されている。それもインターポールにて「本部長」の肩書を持ち、アンリエッタ・バーキンやグレゴリオ・バレージ等の捜査官、滝和也を隊長とする特殊部隊・SPIRITSを指揮している。
 アンリの紹介に出て来た過去の回想図で風見とともにデストロン戦闘員と相対していたケンは本編同様に動揺を隠せない表情だったが、同作品に登場するケンはそんな同様とは無縁の常に余裕ある態度を崩さない冷静な指揮官振りである。川島氏には失礼だが、「第二の滝和也」になり損ねた分まで活躍させたいというファンの願いが反映されているかのような村枝氏の仕事振りと云えよう。



3.『仮面ライダーストロンガー』
デッドライオン演者声:辻村真人
役所ブラックサタン最高幹部
最終出演第26話
降板 「ブラックサタン最高幹部」という、大首領に次ぐ存在でありながらデッドライオンが登場したのはブラックサタン編も殆ど終ろうとしていた第24話だった。しかも第24話はアジトに着任したシーンだけで台詞もなく、結局は第25話・第26話のみの出演だった。

 一応、台本では仮面ライダーストロンガーの電キックに敗れて戦死することになっていたらしいが、ブラックサタン滅亡→最強集団デルザー軍団登場というストーリーの流れの中でその地位に見合った活躍は詰め込まれず、ストロンガーとの戦いの渦中に重傷を負った風を描かれたのを最後に生死不明のまま姿を消し、直後に大首領も倒れ、ブラックサタンは滅亡。以後、後継番組においても、映画作品においても(回想を含め)デッドライオンが登場したことはない(平成30(2018)年1月7日現在)。


背景 前述のブラックサタン滅亡→最強集団デルザー軍団登場というストーリーの流れに  上手く絡ませられなかったということだろうか。
 本来デッドライオンは最高幹部の地位にあり、大首領と会うための重要アイテムを所持していたことから、タイタン(浜田晃)以上の地位と大首領の信任を得ていたのだが、タイタンVSジェネラル・シャドゥ(声:柴田秀勝)の「仁義なき対立」のインパクトが大き過ぎて(笑)、それ以上のインパクトを持たせてはブラックサタン滅亡を充分に描き切れない危険性があったと思われる。


後日譚 出番の短さも祟って、時には書籍上のおいても幹部の一人にカウントされないことすらあったデッドライオン。当然、紹介された際にも「生死不明」・「行方不明」とされていた(と云うか、そう書くしかなかったのだろう)。

 そんな有耶無耶に対するファンの想いにやはり『仮面ライダーSPIRITS』は応えてくれている(笑)。ブラックサタン滅亡後、富士山麓の樹海にて何者とも関わらず、隠者の如く生き永らえていたのを、BADANによって甦ったブラックサタン軍団に合流。
 同作品はBADAN以前の9人ライダーと戦ったすべての悪の組織の大幹部が登場し、その殆どが平成30(2018)年1月7日の段階で戦死しているが、デッドライオンは敗走を重ねながらも生きている。恐らくは同作品が最終回を迎えてもデッドライオンだけは生き延びるとシルバータイタンは考えている。だって、如何にもデッドライオンらしいから(笑)。


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平成三〇(2018)年一月九日 最終更新