Act2.第23話 怪人ムササビ兄弟と2人のライダー




注目登場人物:伊藤次郎(北村総一郎)



客演ライダー:仮面ライダーV3(声:宮内洋、但しクレジットには未登場)



ストーリー概要:両面作戦の片方にスカイライダーを引き付けて横浜を壊滅させる二面作戦


役割:ネオショッカーX作戦の探索・壊滅とそれに伴なうライダーとの連絡


注目点:谷源次郎(塚本信夫)の親友・伊藤次郎は谷同様に妻子をネオショッカーの為に殺されており、その復讐の為には落石を起こしてアリコマンドを襲う(これが初登場)事も辞さない行動派でありながら極めて用心深い性格である事を注目すべきだろう。

 ネオショッカーを徹底的に叩き潰す為に暗号文の撮影に成功した作戦を敢えて実行させる為に伊藤はどこまでも事故を装い、その迎撃の為に往年の親友・谷源次郎に助力を仰ぐ際も横浜の中華街に呼び出し、谷への応対に出させたウェイターにも敢えて伊藤への来意を無視させ、中華料理を食べに来た客に接する様にして伊藤の元へ案内させる用心振りである。
 そして魔神提督の狙いが、わざとX作戦で新宿への爆弾テロを迎撃させた上で横浜への爆弾テロを狙ったY作戦とのXY作戦であったにもかかわらず、カナダで仮面ライダーV3と知遇を得ていて、事の真相に気付き、二人のライダーに両作戦の壊滅を成功させたのだから恐れ入るなんてもんじゃない

 伊藤次郎を演じたのは北村総一郎氏。数え切れないほど多くのドラマで名脇役をこなす北村氏は今でこそ「少々気弱だが気のいい人物」を好演しているが、若き日はボクサーやヤクザ、この「仮面ライダー(スカイライダー)」第23話の伊藤次郎等のようにかなり行動的な役所をこなしている。
 否、そんな若き日の活躍に裏打ちされてこそ現在の一見気弱そうに見えてどこか人間の善性を捨てない強さを持つ北村氏演じるキャラクターが確立されているのかも知れない。

 とにかくのこの伊藤次郎は冒頭でアリコマンドを襲った以外には改造人間(ムササベーダ兄弟)や爆弾人間達と干戈を交えたわけではなかったが、例え直接戦わずともこういう人物がネオショッカーと戦っている、と思うだけでかなり頼もしく思わせる物があった。谷に会うまであんなに用心深かった伊藤が谷の連れてきた筑波洋に手放しで歓迎の意を示していた点もなかなかの好演だった。
 惜しむらくは最後の最後でスカイライダーとライダーV3の共演に注目が集められ、縁の下の力持ちとしてあれだけネオショッカーのXY作戦壊滅に貢献した伊藤が谷達と別れを惜しんだり、作戦の壊滅を喜ぶシーンが描かれなかった事と云えようか。
 シルバータイタン的にはこの第23話はネオショッカー被害者遺族に世界を又にかけてその壊滅に奔走する人物が見事に描かれた回として永く記憶に留めたいものである。


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令和三(2012)年五月一二日 最終更新