Act5.第31話 走れXライダー!筑波洋よ死ぬな!!〜第32話 ありがとう神敬介!とどめは俺にまかせろ!!




注目登場人物:村長(松本朝生)



客演ライダー:仮面ライダーX:神敬介(速水亮)



ストーリー概要:仮面ライダーの妨害の前に世界征服計画が遅々として進まない事に魔神提督は大首領(声:納谷悟朗)の怒りを鎮める為に大神殿を建立するべく、過疎の一村を密かに支配する。
 その村が神敬介(速水亮)の知人が村長を務めていた事や、その息子を訪ねて筑波洋の仲間の弟が家出したのを洋が連れ戻しに行ったりすることから迎撃に出た勇将・黄金ジャガー&卑劣漢・トリカブトロンにX&スカイの二人のライダーが挑む。


役割:一村の責任者である村長はネオショッカーの圧政下で大神殿建立の為の強制労働に駆り出される村民並びに人質兼生贄候補にされている女子供の保護に務め、自らも強制労働に従事する。
 そしてネオショッカーの一村支配計画にXライダーとスカイライダーが挑んだ時、そのぶつかり合いの際にも村長は村人を救う先頭に立った。


注目点:身体頑健で強制労働にも気丈に耐える村長と云えども初老の人間では改造人間達に腕っ節で抗し得る筈はない。この村長の魅力は口に出さずとも誰もがいざと云う時に頼りになる人物として信頼している点だ。
 ストーリーの舞台となった村に神敬介は学生時代に三ヶ月ほど厄介になったことがあった。その村長宅に何度便りを出しても返事が一向に来ないことからスペインorエジプトにいたと思われる神敬介が来村する運びとなった。

 学生時代の接点と、幾度にも渡る書簡の往来を考えると敬介と村長一家は敬介がカイゾーグになる前からの付き合いの様だが、敬介が親子ほど年の離れた村長を「とっつぁん」と呼ぶのに対し、村長が敬介を「神さん」と呼んでいた間柄から敬介は渓谷の魚類等の研究で居候した様である。
 村人達をネオショッカーから救わんとして工事現場に潜入した敬介は即座に村長のもとに行き、ネオショッカーの監視に気取られぬ様に再会を果たすと村長にいざと云う時の脱出口について尋ね、村長は「一つだけある。」とだけ返答した。
 これだけの打ち合わせで村長は二人の子が大首領に食われる直前になっても取り乱さず、Xライダーとスカイライダーが助けに現れるや即座に村人達を秘密の脱出口に誘導し、村人達も即座に従った。
 恐るべき信頼関係並びに統率力である村長村長で敬介が助けにくる事を微塵も疑わず、時が来るやすぐにリーダーシップを発揮し、敬介は敬介で村長がいざと云う時の用心を怠っていない事を当然のように想定し、ネオショッカーとの乱戦からの避難を言葉さえ必要とせずに村長に一任して心置きなく戦いに挑んだのだから。

 「長」と名の付く存在は代表者であり、リーダーであり、頭であり、柱である事もある。権力と供にそれに見合う義務を背負い込んでこその「長」なわけだが、普段権力に胡座を掻くだけの「長」なら有事の際には決してこの村長の様には動けないだろう。
 ネオショッカー怪人の中でも卑怯を嫌う分、戦士としてグランバザーミーやドラゴンキング並に屈強な黄金ジャガー、目的の為には如何なる卑怯も厭わないトリカブトロンとの2対2の戦いがラストでシチュエーションとの間に極めてナチュラルに進んだのも救出劇を裏方から迅速に遂行させるこの村長の活躍があればこそである事に注目する時、「仮面ライダー(スカイライダー)」第32話はまた新たな楽しみで視聴出来ると云えるのではないだろうか?


余談:シルバータイタンは村長だけではなく、黄金ジャガー、生贄にされそうになった子供達にもかなり注目している。
 大首領に生贄にされそうになった子供達を助けるため、「優勝した者の命は助ける」という石運びレースに監視役のアリコマンドに変装して潜入した洋はこっそりと子供達に「一緒にゴールしろ」と耳打ちするが、様子がおかしいと疑ったトリカブトロンに子供達を殴る事を命じられた時、二人の子供達は無言で洋の意を察して自分達を殴る事を促し、洋も心を鬼にして子供達を打擲した。丸で『勧進帳』を彷彿とさせる涙と無言の思い遣りである。
 そしてそのレースの最中、足を踏み外して崖に落ちそうになった少年は黄金ジャガーによって助けれたのだが、丸で弱い者は死ぬのが当然とばかりに黄金ジャガーを非難するトリカブトロンに黄金ジャガーは「生贄の数を減らすわけにはいかん!」と逆ギレしていたが、それまでの黄金ジャガーの言動や、助けた子供に「怪我はなかったか?」の台詞や、デキレースが明かでありながら5人同時にゴールインした子供達を「五人を助けてはいかがか?」と魔神提督に進言してた事からもトリカブトロンへの反論が本意ではない事は明らか且つ清々しい。ネオショッカー怪人の中で一番人気なのも頷ける。
 この時、崖から落ちそうになった子供を助けようとして、黄金ジャガーに邪魔だとばかりに跳ね除けられた洋(勿論アリコマンドに変装している)が結局は黄金ジャガーとともに子供を引き上げるのを手伝っていたのもワンシーンもシルバータイタンは大好きである。
 そしてこういうシーンの一つ一つに素顔での客演第1号の神敬介=速水亮の好演が巧妙に相俟って、この二部作は今尚ファンを魅了し続けている事を改めて認識したいものである。

 

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令和三(2021)年五月一二日 最終更新