Act8.第36話 急げ一文字隼人!樹にされる人々を救え!!〜第37話 百鬼村の怪!洋も樹にされるのか?




注目登場人物:上条清子先生(麻生淳子)



客演ライダー:仮面ライダー2号・一文字隼人(佐々木剛)



ストーリー概要:世界征服の第一歩としてネオショッカーは人間を樹に変えるワクチンを悪用して百鬼村の大人を樹に変え、一村を支配下に置くとそれを前線基地とすべくガラパゴス島からドラゴンキングと闇の戦士団を召還し、武力と謀でもって支配体制を強化する。
巧みに一村丸ごと支配をほぼ完成した虎口にスカイライダー・2号ライダーの二人のライダーが潜入する。


役割:小学校教諭を務める上条清子先生は何にもまして子供達の安全を優先する。大人達の多くを樹に変えられた子供達の最後の心の拠り所である彼女は時に洋を欺き、時に怪人に土下座し、時に身代わりを申し出る姿は悲痛ですらある。


注目点:どこか陰のある女教師・上条清子先生を演じる麻生淳子女史が登場した時、教室でオルガンを弾きながら児童達と歌唱に興じる上条先生が洋に話しかけられるや張りついたような表情で取り付く島がなくなってしまった様子は、彼女の弟・タケシ君の依頼で来村した洋には面食らうものが有ったが全てが子供達を守る為、という一点にあった事が後々納得させられる。

 一にも二にも子供達の安全を優先する上条先生は子供達にも徹底した無抵抗を諭し、足の早い事を利して救援に走らんとしたケンタ以下3人の少年達も激しく止め、結局捕まった子供達が地獄の騎馬戦で処刑されそうになった時は身を呈して庇おうともした。

 上条先生はどこまで行っても先生だった。両親を樹に変えられてしまって、悲しみに打ちひしがれ、辛うじて意識を残す両親達に必死に呼びかける児童達をどこまでも思い遣り、慰めの為の学芸会を開催しようとの意見を採り上げたりもしていたように子供達を単に庇うだけでなく、心底にある両親を思う気持ちにはどこまでも尊重する意志と度量もあった。

 それを端的に示しつつ、圧巻だったのはドラゴンキングの戦死直後のワンシーンである。

 勝負を優勢に進めながらも一瞬の隙を突くかのごとき、2号ライダーとスカイライダーのダブルライダーキックを食らったドラゴンキングは相棒のキギンガーに「村人達を全員樹に変えてしまえー!!」と絶叫して爆死した。
 キギンガーはジープで熱帯樹の種で村人達を樹にし、言葉巧みに百鬼村小学校にも潜入(あっさり騙されるユミ達もユミ達だが−苦笑)し、植物の嫌がる音波で機にされた大人達を操り、スカイライダー抹殺の尖兵にしようとした。

 スカイライダーが教室に駆け付けるとキギンガーは「ライダーの骨をバラバラにして窒息させてしまえ!!」という些か意味不明な命令を出し、村人達はスカイライダーを包囲するが、ケンタ達が大挙して駆け付けると自分達は樹にされてもいいから悪に加担しないで欲しいと懇願した。
 苦痛に涙しながらも樹にされる屈辱より、悪に加担させられる屈辱の方が大きいとみたか、子供達の確かな意志を尊んだか、大人達は動きを止めた。
 キギンガーは躍起になって「子供達が樹にされてもいいのか!?」と恫喝するも決して悪に屈しまいとする意志の勢揃いの前にはキギンガーに為すすべはなく、親子・師弟が一体となって強い意志で毅然と対峙する姿は人間の強さにあって何が大事かを教えてくれるものがある。「仮面ライダー(スカイライダー)」における道場主が最も好きなシーンの一つである。
 そしてその時には最早上条先生も安直に子供達の安全ばかりを求めず、子供達と意志をともにし、毅然としてキギンガーに対峙した。
 端から子供達の為には自らの保身など省みない人なのである、上条先生は。

 勿論キギンガーは弱みを排除されたスカイライダーの躊躇いなき攻撃を受けて戦死し、百鬼村に平和が取り戻され、上条先生の弟のタケシ君も人間に戻った事は云うまでもない。
 どこまでも子供達の安全確保に邁進しつつも、子供達が本当に大切と考えるものの為に自らも供に命をかける上条先生がこの2話に為す貢献は計り知れないものがある。
 決して戦闘に強いことばかりが強さではないのだ。




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令和三(2021)年五月一二日 最終更新