Page1.マグマ星人解剖

 まずは、マグマ星人の基本データを見てみたい。


マグマ星人基本データ
肩書サーベル暴君
 剣術を得意とし、多種類のギラスを率いて侵略・殺戮を繰り返すことからこの異名が設定されたと思われる。尚、ウルトラシリーズにおける敵役の肩書は『ウルトラマンメビウス』におけるCRUE GUYSの過去データであるドキュメント・アーカイブでは「レジストコード」と呼ばれる。
 同作品にマグマ星人兄弟が登場するも、地球上には現れなかったので、GUYSの目には止まらず、レジストコードが言及されることも無かったが、設定によるとドキュメントMACには記録がある模様。恐らく「サーベル暴君」とコードされていることだろう。


身長巨大化時・57m、等身大時・190cm
 多くの宇宙人が40〜60mであることを鑑みれば取り立てて長身でも短躯でもない。まあ、それでは面白味も無いので、対戦したウルトラセブン(身長40m)、ウルトラマンレオ(身長52m)を基に、セブンのスペックを35歳の地球人の平均である170cmに置き換えると、

 ウルトラセブン  40m → 170 cm
 ウルトラマンレオ 54m → 221cm
 マグマ星人    57m → 242.25cm

 となる。
 レオの221cmも地球人視点で見ると相当な高身長だが、マグマ星人の242.25cmともなると巨人サイズである。
 まあ、ウルトラ兄弟が40〜50m台前半に収まる中、60mクラスの宇宙人が珍しくないから、この高身長も改めて地球人視点に換算しなければ驚くこともないし、地球人視点で見ても有り得ない程の高身長と云う訳でもない。

 問題は次の「体重」とのバランスである。


体重巨大化時・2万2000t、等身大時・75kg
 これまた数多くのウルトラ怪獣・宇宙人の中にあって、極端に重くも軽くも無い。
 前述の「身長」同様に、ウルトラセブンの体重3万5000tを35歳男性の平均65sに相当するとして、レオとマグマ星人を同様に換算すると、

ウルトラセブン  3万5000t → 65kg
ウルトラマンレオ 4万8000t → 89kg
マグマ星人    2万2000t → 40.85kg‥‥‥‥‥‥‥‥‥……2.4mの大男が40kg台?????………はっきり云って、ガリガリどころか瀕死の重病人レベルと比べても軽過ぎる・‥……。

 まあ、真面目にウルトラ兄弟の身長と体重を考察すれば密度的に金よりも遥かに重いし、『空想科学読本』シリーズでもウルトラ兄弟を基準にすると殆どの怪獣・宇宙人(多くが身長でウルトラ兄弟を上回り、体重で下回る)はとんでもない軽さになることが指摘されていたので、ここは適当に笑い飛ばして終ろう(笑)。
 ちなみに等身大時で見ても、190cmの身長で75kgは相当に軽いことを付け加えておこう。


頭髪金髪or銀髪
 初代は茶髪に近い金髪で、蓬髪。多くの者が同様の髪型だが、複数対登場する際には銀髪の者も出て来た。ラッシュハンターシリーズに登場した個体は赤・青・緑の髪の者も存在したが、地毛か染めたものかは不明。
『ウルトラマンSTORY0』に登場したマグマ星人総統はロン毛で、ストレートヘアーだったので、地球人同様千差万別ながら、地位によっては特別の髪型をする者がいると推測される。


出身マグマ星
 存在位置・外観・質量・環境・その他一切合切言及されたり、描写されたりしたことがないため、不明。公式設定において言及された例も無し。
 『ウルトラマンSTORY0』に登場したマグマ星人 (副官・総統の兄)の美を好む性格や、星に対して建造物や戦闘・着陸による損傷を「醜い」、「星の価値が下がる」とぼやいていたことを鑑みると、純粋な自然に対する美にこだわっているようで、そこから推測するに、マグマ星は自然の残らない状態か、逆にL77星・地球と似ているか、のどちらかと思われるが、勿論想像の域は出ない。


武器マグマサーベル、鉤爪フック、その他
 「サーベル暴君」の肩書に示されるようにマグマサーベルと呼ばれる刀身25mサーベルを愛用。形状はインドの伝統武器であるパタ状で、手甲と刀身が一体型となったもの(着脱は可能で、レオに蹴られた際に外れたこともある)。
 斬撃・刺突の両方に使用し、光弾を放つことも可能(この光弾はウルトラセブンから変身能力を奪ったとされる)。

 マグマサーベル以外にも、フックの付いた鉤爪、手から飛ばすニードル攻撃、煙幕等を利用し、多芸多才。そして最後の手段として胸に装備したマグマ勲章があり、これは溶岩と接触することで惑星のマグマ層を破壊し、コアを爆破して惑星を消滅に追い込む超強力な自爆装置である。

 この手段を有することが、マグマ星人と呼ばれる所以となっている。


従属怪獣ブラックギラス、レッドギラス、イエローギラス、グリーンギラス、デスギラス、その他
 鈍重そうな体格に似合わない素早い動きと、一度暴れ出すと破壊対象が無くなるまで暴れ続ける凶暴性を持つ恐竜タイプの独角怪獣を率いている。
 「○○(色の名前)+ギラス」と云うネーミングで、性質・能力は概ね共通するが、外観は背中を追おう突起物の形状などが微妙に異なる。

 完全な兵器利用対象で、一際大きな体格を持ち、マグマ星人総統の騎馬として重宝されていたデスギラスでさえ、「恐怖を感じぬように」という理由で両眼を潰されるという仕打ちを受けていた。
 勿論軍艦からの光子砲で敵を打つ際に、ギラスが巻き込まれても意に介さなかった。


科学力
 これまた推測になるが、「サーベル暴君」の名を関するほど刀剣にこだわるだけの金属加工技術を持っていると思われる。特にマグマチックチェーンと呼ばれる鎖はウルトラマンレオの弟・アストラの脚を拘束して以来、ウルトラ一族伝説の超人・ウルトラマンキングの能力をもってしても外せない業物である。

 宇宙戦艦は光子砲・艦首刀を搭載しており、ウルトラシリーズに登場した宇宙船の多くが弾丸を放つだけだったことに比較するとかなりのハイテクを有すると思われる。
 もっとも、現実世界において地球人の宇宙工学のレベルが隣の惑星すら有人到達出来ていないことと比較すれば、地球侵略に臨んでいる時点でウルトラシリーズに登場する宇宙人の科学力は地球人のそれを大きく凌駕しているのだが………。


 何を持って「基本データ」とするかは個々人の主観に委ねられることになるから、上記は数々の作品に登場したマグマ星人の目立つ点を列記したものである。
 色々書いておいて何だが、上記の事柄は画面上に現れた一面、二面に過ぎない。
 マグマ星人を地球人に置き換えるとすぐ分かるが、人間十人十色で、各々に個性があり、単純な枠でひとくくりにするのは困難だし、適切でもない。

 そもそも、宇宙人の多くは地球に対する「侵略者」で、侵略の過程で「殺戮者」にも「破壊者」にもなるから、敵意と云うファインダーを通して見られることになる。
 地球人同士の戦史を見れば一目瞭然だが、個人として家族思いで優しい人間でも、武器を持って他国に攻め入れば、その国の人々にとっては悪魔に等しい存在となり、謀略を用いれば、忽ち「狡猾」・「卑怯者」とのレッテルを貼る。

 まして30分番組に1度登場しただけの宇宙人となると、その性格が語られないことの方が遥かに多い(特に初期の『ウルトラマンレオ』には目的不明の、「通り魔」としか云いようのない宇宙人も多かった)。

 だが、幸いにして(?)、マグマ星人はウルトラシリーズの歴史で見れば、登場回数も多く、L77星を滅ぼしたり、セブンやレオとの浅からぬ因縁があり、様々な目的を持って登場したため、観察対象が多く、考察を行うには格好の対象と云える。
 以上の考察を踏まえ、十人十色、様々なマグマ星人を考察してみたい。尚、個々の考察に入る前に、すべてのマグマ星人を考察出来た訳ではないことを白状しておきたい。マグマ星人が登場するのはTV作品のみに留まらず、劇場版、アトラクションショー、漫画、ゲーム、ショートムービーと多岐媒体に渡り、その中にはマグマ星人が登場はしたものの有象無象に埋没したり、シルバータイタンの力量不足で充分な情報収集・考察が出来なかったりした例も有る。

 すべてを網羅出来なかったことを承知の上で、それも宇宙人にも個性があり、様々なケースやキャラクターを楽しめることをこの作品が示すことが出来れば幸いである。


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令和三(2021)年六月一一日 最終更新