サーベル暴君十人十色

 「サーベル暴君?何だそりゃ?」と仰る特撮マニアはいないと思う(多分………余程、ウルトラマンシリーズ以外に特化したマニアでなければ)。
 云うまでもなく、マグマ星人の肩書である。

 今でこそ何度も何度も地球に来襲する星人は珍しくないが、その中でもマグマ星人は登場時から異彩を放っていた。
 何せ、「主人公の生まれ故郷を滅ぼした宿敵」と云う、ウルトラシリーズに例の無い設定を持つ唯一無二の存在(令和2(2020)年12月現在)なのだから。
 わざわざ解説するまでもないのだが、『ウルトラマンレオ』第1話に登場した時点で主人公ウルトラマンレオの故郷であるL77星を滅亡させていた。そして返す刀で地球侵略を目論んで双子怪獣ブラックギラス・レッドギラスを伴い、地球にやって来たことで同作品は始まった。
 この設定により、マグマ星人は下記の独特な足跡・存在感を残した。

『ウルトラマンA』にレギュラー出演した異次元人ヤプールが持つ「宿敵」以上の「仇敵」という立ち位置を得た。
『ウルトラマンレオ』第1話でウルトラセブンを変身不能に追い込む、と云うウルトラシリーズ史上稀有な戦果を残した。
・作中における怨敵度が半端無い。

 前述した様に、ウルトラシリーズに繰り返し登場する怪獣・宇宙人は数多い。だがそれは21世紀に入ってからで、『ウルトラマン80』までなら「繰り返し何度も登場した宇宙人。」と云えば宇宙忍者バルタン星人の専売特許だった。
 「2作品登場した。」と云うのも、悪質宇宙人メフィラス星人、幻覚宇宙人メトロン星人、ヤプール、どくろ怪獣レッドキング、宇宙怪獣エレキング、巨大魚怪獣ムルチ、宇宙大怪獣ベムスター、ミサイル超獣ベロクロン、さぼてん超獣サボテンダーに限定されていた。
 そんな中、マグマ星人は当初から「何度も出てきそう」、「強い因縁が何度も描かれそう」とのイメージが強かった。

 残念ながら、『ウルトラマンレオ』だけで云えば、この独特なステータスは活かし切れなかった。出番は3話(実質回数で云えば2回)のみで、第30話で倒された後も「仇敵討滅」の言及も無かった(故内山まもる氏の漫画版ではレギュラー登場していた)。
 後年多くの作品に登場した際にもレオ兄弟と殆ど絡んでいない。だが、逆の視点に立てばウルトラマンベリアルの様に古代ウルトラ史(?)が描かれ、L77星の過去がクローズアップされればマグマ星人は嫌でも登場するだろう(実際、漫画『ウルトラマンSTORY0』ではそれが顕著)。

 そしてマグマ星人は口元が露出していることで表情が現れ易く、台詞を出すキャラも登場させ易い。長いウルトラシリーズの歴史の中、何度も登場する他の宇宙人と比べても個性豊かなキャラクターが登場している。
 それゆえ、直近にて仮面ライダーシリーズのコウモリ型改造人間に注目したように、今回はサーベル暴君マグマ星人に注目してみた。
Page1.マグマ星人解剖
Page2.機を見るに敏な侵略者………マグマ星人(初代)
Page3.侵略者からストーカーへのスケールダウン(苦笑)………マグマ星人(2代目)
Page4.名を上げんとして返り討ち………マグマ星人BB&BR
Page5.イメージを覆した名武人振り………マグマ星人総統
Page6.マグママスター・マグナ
Page7.何と!地球で就職?!………マグマ星人
Page8.その他のマグマ星人
Page9.マグマ星人考察に学ぶこと


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令和三(2021)年二月一〇日 最終更新