Page2.機を見るに敏な侵略者………マグマ星人(初代)
登場 『ウルトラマンレオ』第1話・第2話 行動目的 地球侵略(または破壊) 戦闘手段 マグマサーベル、鉤爪フック、煙幕、双子怪獣 力量 弱い(詳細後述) 性格 慎重&狡猾 決着 逃亡
作中行動 『ウルトラマンレオ』第1話の一ヶ月前にウルトラマンレオの故郷・L77星を滅ぼしており、次なるターゲットを「宇宙のエメラルド」と呼ばれる地球に定め、双子怪獣ブラックギラス・レッドギラスを伴って襲来。
黒潮島近辺に双子怪獣を上陸させ、暴れさせることで島々を沈め、その魔手を東京、日本列島へと伸ばし続けた。とは云うものの、直接行動はほぼ双子怪獣に委ね、彼等がウルトラセブン・ウルトラマンレオに対して優位に立ったのを見極めてから出現して戦地に立った。所謂、「美味しい所取り」であった。
同時に、三度に渡ってレオと戦ったいずれにおいても戦局不利を見るや即座に撤収した。
最初の登場ではブラックギラスがセブンの脚を折ったのを好機としてとどめを刺すべく参戦したが、レオの乱入もあってセブン打倒に失敗し、逃走(但し、その際に放った光線がセブンの変身能力を奪ったとされている)。
二度目もやはり双子怪獣がギラススピンでレオに対して優位になったところを見計らって参戦するも、モロボシ・ダン(森次晃嗣)がウルトラ念力を発動したことで双子怪獣共々動きを封じられ、形勢逆転により撤退。
三戦目に双子怪獣がレオのきりもみキックで断頭されて敗北すると地球侵略から一時撤退した。
性格・技量 前述した様に双子怪獣の優位を見てから参戦し、不利に陥ると即座に撤退した。良く云えば戦局重視主義、悪く云えば姑息な臆病者である。
後々に何度も同族が登場し続けているマグマ星人だが、『ウルトラマンレオ』においては全く喋っていないので、その詳細な性格は掴みづらい。地球侵略にしたところで、黒潮島を沈め、日本列島も沈没させんとしていたと見られるので、破壊性が強いのは間違いないが、L77星同様に壊滅させた地球に何を求めていたかは不明。
そして不利な勝負を徹底して避けていた理由とも思われるが、その戦闘的技量はお世辞にも高いとは云い難い。
多くの書籍やサイトでも触れられているが、故郷L77星が健在なりし頃、レオは戦士として卓越した素質を持ちつつも、平和の内に暮らす中で実戦を経験することもなく、『ウルトラマンレオ』初期のレオが多くの宇宙人や怪獣に初戦で敗れたのは今更云うまでもないことである。そしてそんな未熟なレオを相手にマグマ星人は明らかに劣っていた。
勿論セブンを救わんとし、故郷の仇敵を前にしたレオの戦意は凄まじいものがあっただろうけれど、それだけで技量が伴う訳ではない。また初期のレオが初戦に敗れても特訓後の再戦ではほぼ危なげなく勝利を収めていた実績を見れば、素養でも完全にレオがマグマ星人を上回っていたことだろう。
結局、マグマ星人のサーベル攻撃は殆どレオの体を打つことはなく、長大なサーベルを持ちながらダブル・アーム・スープレックスで投げられる有様だったから、マグマ星人を強敵としている書籍は皆無に近い。
ただ、そんな中にあって、様々な意味でマグマ星人の回避力は優れているとシルバータイタンは見ている。初戦において不意打ちに等しいレオのレオキックをかろうじて躱し、その後の格闘においても致命的な一撃は勿論、行動を著しく落とすようなダメージを受けることも無かった。
モロボシ・ダンのウルトラ念力で立ったまま眠った状態に陥った際も、逸早く意識を取り戻したことから抵抗力も高いのだろう。そして前述した不利を悟ると同時に逃げ出す姿勢も、決定的な敗北を避ける意味では極めて有効で、戦局の有利不利を見極める確かな戦術眼自体は大変優れた能力である。
惜しむらくは「サーベル暴君」の肩書に相応しい剣技の冴えを見せ、宿敵・仇敵としての倒し甲斐ある強さを見せて欲しかったものである。サーベルの刺突・斬撃にどれほどの破壊力があるかいまだ不詳なのも些か物足りないと云えよう。
存在感 ウルトラマンレオの故郷を滅ぼした実績と、ウルトラセブンを変身不能に陥れた戦果で、存在感は充分と云えるだろう。
直接セブンの脚を折ったのはブラックギラスだが、変身不能の陥れたのはマグマサーベルから発せられた光弾の効果とされており、後々ダンがセブンに変身出来ないことでレオに苦闘を強いる状況を悔いる際に、ナレーションは負傷した戦いを「マグマ星人との戦い」としていた。
ただでさえ、第1話に登場した対戦相手の存在感は強い。まして上述した過去と戦果を挙げているのである。直接的な描写は無いが、地球侵略を目論む多くの宇宙人達にとっても、大きな障害となるウルトラセブンが現れないようにしたマグマ星人の戦果には一目置いたであろうし、感謝せずとも「助かったぜ。」と思ったものは多い事だろう。
となると、作中の宇宙人間でその存在力が大きいであろうことが想像される。
加えて、倒されることなく逃走したことで再登場の可能性は濃厚となり、レオVSマグマ星人の決着は多くの視聴者が待ち望む展開となった。つまり、登場せずとも意識される存在になった訳だ。
視聴率低迷による梃入れからも難しかったと思われるが、やはり『ウルトラマンレオ』において、マグマ星人にはもう2、3話は登場して、他の作品では決して描き得なかった因縁対決をもう少し展開して欲しかったものである。
そうなれば、只でさえ強いアイデンティティを持つマグマ星人が更なる屈指の存在感を持ち得たであろうことが惜しまれる。
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令和三(2021)年六月一一日 最終更新