『仮面ライダーBlackRX』の主題歌「仮面ライダーBlackRX」に、「光と闇の果てしないバトル」という歌詞がある。
この歌詞に示されるように特撮番組とは「光」の側に立つヒーロー・治安組織と、「闇」の側に立つ悪の組織・侵略宇宙人・怪獣・超獣の戦いの歴史とも云える。勿論人間並の知能を持たない怪獣や、止むに止まれぬ事情から攻撃的になっている組織もあるから、現実の世界同様、一概に光と闇を断じるのは難しいのだが…。
さて、戦いの歴史である以上、相手を打ち負かすための手段が必要となる。それは武器であったり、科学技術であったり、作戦であったり、人材だったりするわけで、現実の戦史を見ても史上最初に鉄器を用いたヒッタイト族は周辺国家の脅威で、日本でも鎌倉時代は元軍のてつはう・毒矢・銅鑼を用いた集団戦法に苦戦し、戦国時代は鉄砲の活用が戦の勝敗を決し、第一次世界大戦では戦車・飛行機・潜水艦・毒ガスと云った新兵器の投入が競われ、太平洋戦争では日本軍・零戦の、冷戦中はソ連空軍・ミグ戦闘機の機密詮索に躍起になった。
それだけ未知の兵器とは相手にとって脅威で、新兵器の開発とはホイホイ出来るほど手軽な物ではないからこそ、機密保持には躍起になるのだろう。
ところが、特撮の世界では機密保持はともかく、新開発に対する重要性が丸で現実と反対なのである。
仮面ライダーシリーズの悪の組織等は世界中から優れた科学者を拉致して表の世界よりも進んだ科学力を保持するとの設定だから、現実の世界よりは新技術・新兵器の開発が容易と考えているのかも知れない。
だがそれにしても丸で「一度使ったものは2度は効かない。」という『聖闘士星矢』の世界観と同じ、と云いたい気な程、特撮の世界の新兵器・特殊兵器とは一回切りの者が多い。
だが、現実の世界では風・雨・速射性に難があることを早期に突かれた弩・火縄銃も、国際的に非難の強かった毒ガスも、レーダーや対空砲が開発された戦闘機もそれでお払い箱とはならず、性能向上・運用面において試行錯誤が重ねられ、使用が続けられた。
そこでこの項ではせっかくそこそこの成果を挙げたことや、性能の良さが実証されながら一回こっきりで振り向かれなかった兵器・作戦・アイテム・技術について紹介・考察を行いたい。
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特撮房へ戻る令和三(2021)年六月一一日 最終更新