第1頁 最初の再生怪人軍団・ドカゲロンと愉快な仲間達?

再生怪人軍団File.1
登場作品『仮面ライダー』第13話
構成メンバー蜘蛛男、コウモリ男、さそり男、サラセニアン、カマキリ男、ハチ女、死神カメレオン、コブラ男、ゲバコンドル、ヤモゲラス
指揮官ショッカー首領→トカゲロン
再生手段負傷・故障個所修繕
手強さ


作中行動 『仮面ライダー』第13話にて、ショッカーの首領(声:納谷悟朗)は原子力研究所の破壊を目論み、同所に何の脈絡もなく甦ったコウモリ男さそり男を派遣した。だが、両名とも研究所を守るバーリアを突破出来ず、すごすごと逃げ帰り、弱音混じりに事の顛末を首領に報告した。

 報告を受けた首領は科学陣にバーリア破壊ボールを駆使するよう命じた。しかし科学者陣はこの兵器が能力を発揮するには20mの距離から投げ込む必要があり、5kgの重量があるこのボールを20m飛ばせる改造人間は、その時点のショッカーに存在しなかった。
 そこでショッカーが目を付けたのが、傍若無人な性格ながら強力なキック力を持つプロサッカー選手・野本健(堀田真三)。この野本を改造人間にすることでバーリア破壊ボールの駆使を可能にせんとして、死神カメレオン蜘蛛男が派遣され、死神カメレオンが野本のキックを受けて怯むも、蜘蛛男の発した網が野本を生け捕ることに成功し、新たな改造人間トカゲロンが誕生した。

 誕生経緯としては新参者となるトカゲロンだったが、改造人間としての性能故か、それとも作戦遂行の都合か、元々の野本の性格か、忽ち再生改造人間軍団の長となり、これまでに登場し、仮面ライダーに敗れた者全員が再改造されたのを率いた。
 トカゲロンはそのキック力で単独でも仮面ライダーを圧倒する力を見せ、満を持して再生怪人軍団を率いて原子力発電所を襲撃せんとするも、そこに特訓を終えてパワーアップした仮面ライダーがリベンジに現れた。

 倒した筈の改造人間達全員が眼前に現れたことに驚く仮面ライダーに、自分一人にも勝てない者が11人相手に勝てるものかと余裕綽々のトカゲロンだったが、ライダーはサイクロン号を駆使して機動力で再生怪人達を翻弄し、次々とこれらをダウンさせていった。
 業を煮やしたトカゲロンが本来バーリアを破壊する為の筈のバーリア破壊ボールに殺人シュートを撃ち込んでライダーを倒さんとするも、ライダーは特訓でマスターした電光ライダーキックでこれを蹴り返し、ボールはトカゲロンの元に蹴り返されるとトカゲロン及び再生怪人軍団を木端微塵に打ち砕いたのだった。



生前比較 倒した筈の改造人間が再び眼前に立ちはだかったことに驚く仮面ライダーに対して、蜘蛛男は「改造人間は不死身。」と豪語し、コウモリ男が「壊された箇所さえ直せば」と付け加えた。
 両名の言によると、改造人間の悲劇が持つ心傷を抉るようでやや憚られる表現だが、再生怪人とは、「修理品」という事になる。ただ修理品には、「壊れた箇所を直して再稼働を可能にしたもの」と「欠点を克服してヴァージョンアップしたもの」とに大別される訳で、両者の差は大きい。 だが、このトカゲロンに率いられた再生怪人軍団を見る限り、再生怪人達には可哀想だが、前者と見做さざるを得ない。

 再生怪人軍団が一般に「戦闘員並みの弱さ。」と見做される要因の一つに、「生前の特殊能力を滅多に発揮しない。」という点がある。勿論皆無とは云わない。少なくとこの第13話では、上述した様に、蜘蛛男は本郷猛(藤岡弘)を捕らえたときと同様に網を吐いて野本健を捕らえた。打ち合いに打破れたとはいえ、死神カメレオンもカメレオン独特の保護色を駆使して選手控室への潜入を果たしている。
 ただ、後はコウモリ男が飛行能力を一瞬垣間見せたことを除けば、他の7体は生前の特殊能力を見せることは無かった。漫画『新仮面ライダーSPIRITS』において本郷がこの第13話における再生怪人軍団との戦いを思い返していた時にはさそり男の使い魔である蠍が毒液を吐くシーンがあり、ライダーもさそり男の元の名前である早瀬五郎の名前を口にしていたが、本作ではそこまで触れられておらず、さそり男は投げ飛ばされて地中に半身を埋められる体たらくだった。

 ただ、実際のところ、再生怪人軍団が生前より強かったのか、弱かったのかは完全な断言は出来ないのが正直なところである。確かに戦果やライダーとの対戦だけを見れば彼等の活躍は生前を大きく下回っている。
 とはいえ、彼等を指揮していたトカゲロンは一度ライダーに敗れた彼等を「負け犬」として完全に見下し、彼等に何かを任せたり、何かを期待したりしている様子は全くなかった。となると再生怪人軍団の中には単にライダー迎撃しか出番の無かった者が大半だった。
 そしてそのライダーとの戦いも、10対1でかかりながら丸で優位に立てず、次々と圧倒されていたから余計に弱く見えるが、ライダーが戦いを重ねる度に身体能力・戦闘能力を向上させていることを忘れてはならない。

 最終的にこれはシルバータイタンの推測だが、首領は一度敗れた改造人間を修繕的に再改造はしたものの、今日か改造までは行わなかったのだろう。そして数を頼りにして個々の能力や戦略戦術を考えなかったのが、まずかったと思われる次第である。



対ライダー戦 はっきり云えることは、再生怪人軍団の面々は1対1では丸で仮面ライダーの敵ではなかったという事である。

 さそり男はあっさり投げ飛ばされ、ハチ女は一撃を食らっただけで戦意喪失状態に陥り、ライダーキックを放った訳でもない格闘でほぼ全員が気絶状態に追いやられていた。
 第1話から第10話までに登場した改造人間達の長所を集めて作られた筈のエース怪人・ゲバコンドルですら碌なアクションなしに気絶に追いやられていたのだから、これを見て「再生怪人軍団強えええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」と叫ぶ人がいたら、医者に掛かることをお勧めする(苦笑)。
 殊に再生ゲバコンドルの体たらくを見れば、再生怪人と云う存在に強さも脅威も感じられないだろう。ただ、再生によって生前を上回るパワーアップを為さないのであれば、再生怪人がライダーに抗し得ないのは当然であろう。

 第3話にて、仮面ライダーの身体能力を測定した際に立花藤兵衛(小林昭二)は、鍛えることでライダーの身体能力は更にアップすると断言した。加えてそこに実戦と勝利を重ねれば戦闘の力もアップする。
 数々の実戦を重ね、身体能力と戦闘能力をアップさせたところに、一度戦って勝った相手がその時と変わらぬ能力で対峙したとすれば……………余程油断しない限り1対1で脅威を感じることはないだろう。

 首領及びトカゲロンが本気で再生怪人軍団を駆使してライダーを倒そうと考えるなら、生前の能力を上回る再改造を施すか、10人という人数を活かした人海戦術を授けるべきだったと云えよう。


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令和六(2024)年四月八日 最終更新