第2頁 死霊召喚?降霊再生怪人軍団

再生怪人軍団File.2
登場作品『仮面ライダー』第66話
構成メンバーザンジオー、ジャガーマン、サイギャング、毒トカゲ男、ハリネズラス
指揮官カミキリキッド
再生手段シャーマニズム
手強さ


作中行動 同じ『仮面ライダー』の第13話に登場した再生怪人軍団及び、その後ちょこちょこ登場した再生怪人と、この第66話に登場した再生怪人軍団は背景と再生手段が大きく異なった。

 従来の再生怪人が、仮面ライダーに敗れた………敢えて別の嫌な云い方をすれば仮面ライダーに壊された故障品を修理した存在であるのに対し、この第66話に登場した再生怪人軍団は呪術によって甦った、一種のアンデッドだった。
 人間一人を生贄にし、地獄大使(潮健児)がカミキリキッド、戦闘員達とともに「悪魔祀り」と称するシャーマニズム的な儀式をすることで5体の改造人間が甦った。
 地獄大使の狙いは、カミキリキッドと再生改造人間に立花レーシングクラブを襲撃させ、拉致してきた面々を生贄に捧げ、宿敵一味を倒すとともに、更に多くの改造人間を再生させると云うものだった。

 確かにすべてが上手く行けば一石二鳥となり、万々歳だった訳だが、立花レーシングクラブの面々を襲うという事は仮面ライダーが迎撃してくることを意味する……………………………取り敢えずライダーに関係ない人々を大量に拉致して先に手駒を揃える発想は無かったのだろうか?(苦笑)

 ともあれ、カミキリキッドが生贄にされた男性に化けて本郷猛に助けを求める風を装って滝和也(千葉治郎)に接触。その滝をハリネズラス毒トカゲ男が襲撃することで案の定仮面ライダーが迎撃してきた訳だが、勿論これは陽動。
 2体の再生怪人を迎え討ちつつ、滝に立花レーシングクラブに逃げるよう促すライダーだったが、そのレーシングクラブ自体が再生怪人軍団の襲撃を受け、ライダーが駆け付けるも助けを求めてきた人物がカミキリキッドの正体を現したため、カミキリキッド&ジャガーマンザンジオーサイギャングの襲撃を受けた。

 辛くもその総攻撃をしのぎ、レーシングクラブに駆け付けたライダーだったが、滝や藤兵衛達は攫われた後。そこまでは良かったが、程なくライダーは戦闘員を絞め上げる等してショッカー墓場の場所を突き止め、生贄&復活の儀式に掛けられた仲間は助けるべく乱入してきた。

 これに対してカミキリキッドと再生怪人軍団が迎え撃ったが、まず再生改造人間が次々に撃破され、カミキリキッドも敗れたことでショッカーの計画はまたも頓挫したのだった。



生前比較 科学的に手を加えた再生でないのであれば、単純に死者の魂がこの世に呼び戻されて再生したもので、何か特別な術を施したのでなければ、この第66話における再生怪人軍団は良くも悪くも生前と変わらない能力と推測される。

 それ故か、今回再生された6体は炎を吐いたり、棘を飛ばしたり、と云った生前駆使した能力を再利用していた。ただ、それでもイメージ的に彼等は生前よりも弱くなっていたように感じる人の方が多いのではなかろうか?

 可哀想だが、これは「元が弱かった。」と云わざるを得ない。それを端的に表したのが復活直後の模擬戦闘だろう。
 この模擬戦闘でサイギャングはカミキリキッドにライダーキックを食らわせたが、カミキリキッドはこれを受けても、「そんなものか?」と云って平然としていた。これに対してサイギャング「本物のライダーキックはこの10倍は凄いんだ!」と云っていたのに失笑した視聴者も多いと思われるが、もしサイギャング達が生前と変わらぬ能力を保持していたのなら、元々弱く、何度戦ってもライダーに勝てないのも無理なかったことになる。
 そりゃあ、個人には得意技という者がある。いくら腕力に優れていてもハルク・ホーガンがアブドーラ・ザ・ブッチャーと同じように地獄突きを放つことは出来ないだろうし、ブッチャーがホーガンと同じ威力のアックスボンバーを放つのも難しいだろう。だが、元の特技問題であろうと、復活技術の練度問題であろうと、「10倍」は酷い(苦笑)。

 これに加えてこの第66話の再生改造人間軍団を弱く見せているのは最終決戦における五連敗だろう。詳細は後述の「対ライダー戦」に譲るが、再生怪人達は各個撃破的とはいえ、次々にライダーに敗れ、倒された。
 そりゃあ、ヨーロッパから日本に戻るのに前後して強化再改造を受け、何十回と云う実戦で鍛えられたライダーにショッカー怪人達が抗し得ないのはある意味仕方ないと云えなくもない。しかし、さすがに五連戦もすればライダーにだって疲労が蓄積するだろうし、エネルギーで動いている以上消耗もする。だが、ライダーは時間こそかかったものの個々の戦いに苦戦した様子はなく、最後の最後に再生改造人間軍団より強いと見えるカミキリキッドと戦った際にも、それまでの戦いでダメージや疲労が蓄積した様子はなかった。

 他作品に登場する再生改造人間の中には生前の特殊能力を丸で発揮しなかったり、1対1で生身の滝和也に抵抗されていたりした者も存在することを思えば、まだこの回の再生怪人軍団はまだましな方だったかも知れない。まとめて倒されることが多いことを思えば、ここに敗れたのであれば屈辱もまだ少ない方だろう。
 ただ、構成メンバーの大半が地獄大使指揮下のメンバーで、最初にライダーと戦ったときから然程時間が経っていないことを思えば、「元々ライダーの敵ではなかった。」との推論に辿り着いてしまうのがいと哀れである。



対ライダー戦 再生怪人軍団は尺の都合で倒される時にはまとめて倒されることが珍しくない。逆にこの66話は5体という少なさとはいえ、ここにライダーと拳を交えて倒された。これが幸か不幸かは個々人の価値観や物の味方によって異なるが、まずは稀有である。

 ただ、この稀有な展開が生まれた背景には一つの重大事件が潜んでいた。そう、藤岡弘氏の失踪である。失踪事件についてはその是非を含めここでは語らないが、結果的に第66話とその次の第67話に本郷猛は登場せず、ライダーの声もショッカーライダー2号市川治氏があてた。
 それ故藤岡氏不在の作品を盛り上げる為、制作陣はストーリーとアクションにこだわった。第66話で劇場版のボスキャラ・カミキリキッドを登用し、第67話では本来死神博士の正体を担う筈であったギリザメスにショッカー首領を絡めるスケールの大きなストーリーを展開した。

 当然藤岡氏が登場しない分、変身体であるライダーはいつも以上に派手に殺陣を展開する必要があり、それ故にライダーは最終決戦で6体の改造人間すべてをマン・ツー・マンで撃破した。
 最初にジャガーマンをフロント・スープレックス気味に投げて海岸に叩きつけて倒し、次いで火炎を吐いて抵抗するサイギャングをライダーパンチで撃破。更には毒トカゲ男をライダー返しでKOした。
 最後に炎を吐くザンジオーと針爆弾を放つハリネズラスの波状攻撃に対して、ハリネズラスを空中に投げ飛ばしたところにライダー返しで投げるザンジオーを叩きつけて両者をまとめて打ち倒したのだった。

 ライダーパンチ一発に倒されたサイギャングが些か惨めに映るが、「まとめて爆死」が避けられた分、彼等はまだ幸運な方だったのかもしれない。まあ、シルバータイタンが彼等の立場なら、大して強化もされずに蘇らされ、連戦を重ねてパワーアップした過去の勝者と戦わされるぐらいなら、「このまま安らかに眠らせてくれ。」と云いそうだが(苦笑)。


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令和六(2024)年四月八日 最終更新