Part.1仮面ライダーシリーズ(昭和)………口上は悪への怒り?

 当初、仮面ライダーは戦場にて名乗りを挙げることは稀だった。「何者か?」と問われればその名のみを名乗る程度に留まり、当然戦い続ければ名を知られることにより名乗りの必要は益々なくなっていった。
 だが、滅ぼしても滅ぼしても連綿と現れる悪の組織とその犠牲への怒りが増幅したものか、或いは数を増やした仮面ライダー間におけるアイデンティティの確立を狙ったものか、啖呵切りが見え隠れし出した。
1.仮面ライダーストロンガー
 天が呼ぶ!地が呼ぶ!人が呼ぶ!悪を倒せと俺を呼ぶ!俺は正義の戦士・仮面ライダーストロンガー!
概略 仮面ライダーストロンガーが変身直後に行った啖呵切りである。
 悪の組織の改造人間を前に仮面ライダーが名乗りを挙げるのは何度もあったが、特定の啖呵切りを行ったのは仮面ライダーストロンガーが最初である。
 歴代主人公に比して、べらんめぇ口調の強い城茂(荒木しげる)には啖呵切りが良く似合い、天・地・人から悪の退治を求められたと云わんばかりの戦意を示すものである。
 荒木氏は時代劇への客演も多く、それが似合う個性があったものか、初期のは変身前にもブラックサタン戦闘員に対して、「姓は、名は。」と名乗ることがあった(ついでに岬ユリ子(岡田京子)も)。

 派生パターンとして、「俺は正義の戦士」の前に「聞け!悪人ども!」の台詞が入ることも度々あり、啖呵を切りながら「呼ぶ!」と供に戦闘員を殴り飛ばすこともしばしばだった。
 ちなみにこの啖呵切り、第28話の荒ワシ師団長戦を最後に行われなくなった。強力過ぎるデルザー軍団との戦いの中、余裕がなくなって来た故だろうか?


余談 漫画『パタリロ!』にて2回ほど、主人公のパタリロが「何者?」と問われた際にこのストロンガーの啖呵切りを行った。
 早い話、一人ボケ一人ツッコみで、すぐに自身で否定。同作で特撮ネタが出ることは稀なのだが、二度も出たことを振り返れば作者の魔夜峰央氏はストロンガー好きなのかもしれないが、実際のところ不詳である。


2.筑波洋
 貴様等人間の敵だ!
概略 筑波洋(村上弘明)がネオショッカーの非道・卑劣・残忍さを前にして変身前に行っていた啖呵切り。第34話から第36話までの短期間しか行われなかったが、の憎々し気な表情や、歴代ライダーの客演が集中した時期の勢いとも相俟って、の代表的な台詞として確かな存在感を残している。

 第2話にてゼネラル・モンスター(堀田真三)が世界征服の目的は地球を救うためであることをに語って懐柔せんとしたことがあり、ネオショッカーにはネオショッカーなりの大義名分があることが語られた。
 勿論ネオショッカーに味方することを端から拒絶したが、ネオショッカーなりの大義の存在を少しは認めていたのか、子供を人質に取ろうとするアリコマンドに「ネオショッカーの名が泣くなぁ。」と呼び掛けたり、卑劣な騙し討ちを行ったゼネラル・モンスターに「貴様、恥ずかしくはないのか?」と詰ったり、していた。
 だがそんな呼び掛けは初期だけで、卑劣な手段を取り続けるネオショッカーに対して一分の大義も認めなくなったものか、人類にとって害としか見做さなくなって「貴様等、人間の敵だ!」との啖呵切りが生れたとシルバータイタンは考えているのだが、過言だろうか?

余談 短期間しか用いられなかった台詞だが、視聴者の印象は深かったようで、漫画『新仮面ライダーSPIRITS』でも筑波洋はジンドグマ地獄谷五人衆のストロングベアに対して「人間の敵」を投げ掛けていた。
 面と向かって投げ掛けたのはストロングベア一人だが、気持ちとしてはジンドグマ及び、それを背後で糸引くBADANに投げ掛けていたものであろうことは想像に難くない。


3.仮面ライダーBLACK RX
 俺は太陽の子!仮面ライダーBLACK RX!!
概要 南光太郎(倉田てつを)が仮面ライダーBLACKRX に変身した直後に発していた。
 前作『仮面ライダーBLACK』においても変身直後に「仮面ライダーBLACK!」と名乗っており、啖呵切りというよりは同様の名乗りに等しい。ただ、同作第1話にてクライシス帝国によって大気圏外に放擲され、絶体絶命の危機を迎えたところを、キングストーンに太陽光を受けて仮面ライダーBLACKRX に転生した経緯を重んじてか、「俺は太陽の子!」という接頭語が着くようになった。

 また、名乗りの直後にクライシス怪人(怪魔獣人、怪魔妖族、怪魔ロボット、怪魔異生獣)の悪行に対する怒りを吐露することも多いため、啖呵切りとして加えました。


4.RXロボライダー
 俺は悲しみの王子!RXロボライダー!
概略 仮面ライダーBLACKRX が胸も張り裂けんばかりの悲しみを受け、それを契機に多段変身したのが RXロボライダーで、以後、ロボライダー変身直後にこの啖呵切りを行うようになった。
 初めてロボライダーになったきっかけは、クライシス皇帝の皇女ガロニア姫(井村翔子)の替玉として怪魔界に拉致された佐原ひとみ(井村翔子)が目の前で殺された(と思い込んだ)RXが凄まじい悲しみの絶叫を挙げ、それにキングストーンが反応したことにある。

 耐久力と膂力に優れるロボライダーは、以後、主に怪魔ロボットとの戦いにて多段変身することが多かった。その多段変身は完全にRXの自由意思で行われ、最初の様な激情は必要としなかったが、「悲しみの王子」との名乗りは続いた。
 結果としてひとみは生きて佐原家への帰還を果たしたが、ロボライダーへの多段変身を生んだ契機を忘れまいとの意が名乗りに引き継がれていると云ったところだろうか?

余談 ロボライダーは「悲しみの王子」の他に、「炎の王子」と名乗ったこともある。かつて道場主の妹(再放送当時12歳)はロボライダーが「俺は炎の王子!」と名乗った際に、「ホモの王子!?」と聞き間違えて、一人興奮していたことがある(苦笑)。


5.RXバイオライダー
俺は怒りの王子!RXバイオライダー!
概略 ロボライダーが悲しみを契機として覚醒したのと対称的に、クライシス帝国の悪辣さへの怒りを契機として覚醒した姿がRXバイオライダーで、これまたバイオライダーへの多段変身直後にこの啖呵切りを行うようになった。

 啖呵切りの意味合いや、用い方はロボライダーと同じで、つまるところ南光太郎は改造人間となった自分が更なる力を得ることとなった契機(及びそれを生んだ悪)への思い入れが強いと思われる。
 但し、ロボライダーの「悲しみの王子!」に比べるとややインパクトは弱い。二番手が一番手のインパクトに敵わないのは世の常だが、多段変身への契機となったRXの感情発露も、クライシスへの怒りよりひとみを失った(と思い込んだ)際の悲しみの方が遥かに大きかったゆえだろう。


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令和三(2021)年五月二五日 最終更新