Part2.仮面ライダーシリーズ(平成)………アイデンティティの発露

 平成12(2000)年に始まった『仮面ライダークウガ』以来、令和3(2021)年6月16日現在、放映中の『仮面ライダーセイバー』を含めると作品数22に及び、第2作の『仮面ライダーアギト』以降は複数のライダーが登場するのが当たり前になり、ライダーの性格も千変万化である。
 加えて多段変身も常識化しているので、同じ仮面ライダーがファイトスタイルによっては異なる性格となることするある。

 そんな中、初期2作品は作中に「仮面ライダー」の単語が発せられることなく、「名乗り」は極端に少なかったが、膨大な数の仮面ライダーが登場する中、目立ちたがりな者、主義主張へのこだわりが強い者、敵に強いメッセージを発する者も現れ、「啖呵切り」を行う者も散見されるようになった。
1.仮面ライダー電王ソードフォーム
 俺!参上!
概略 仮面ライダー電王版天上天下唯我独尊である。
仮面ライダー電王のフォームの一つで、イマジンモモタロス(声:関俊彦)が野上良太郎(佐藤健)に憑依して前面に出て来たソードフォームが変身・登場する際の啖呵切りで、仮面ライダー電王の代表的名乗りとも云える台詞である。
 要は、着陣宣言な訳だが、平成ライダーにあって、随一とも云える直情男にして尊大男であるモモタロスの性格を端的に表している。

 啖呵切りと云うよりは名乗りに近く、自身同様良太郎に憑依するイマジン達を弟分として見下し(と云うと語弊があるが……)、好戦的性格からも先陣を切るスタイルが色濃く表れている。

 そんな想いが端的に表れたのが劇場版『オーズ・電王・オールライダーレッツゴー仮面ライダー』で、一度ショッカーに囚われの身となったのが相当悔しかったのか、アンク(三浦涼介)に憑依して戒めを破った際には、「俺!再び、参上!」と宣っていた(笑)。


2.仮面ライダー電王ロッドフォーム
 僕に釣られてみる?
概略 仮面ライダー電王のフォームの一つで、イマジンウラタロス(声:遊佐浩二)が野上良太郎の全面に出て来たロッドフォームが変身・登場する際の啖呵切りだが、挑発としての意味合いの方が強い。

 対戦相手にとって、仮面ライダー電王ロッドフォームに「釣られ」るとは、その杖撃に打ちのめされることを意味し、謂わば、「戦うの?やられたくなければ早目に逃げなよ。」と云う警告とも取れる。
 良太郎と共闘するイマジンにあって、ウラタロスは少々軽薄なので、四人の中では影の薄い方だが、それでも一エッセンスをしっかり担えていたのだから、『仮面ライダー電王』が平成ライダーにおける名作の一つにカウントされるのも頷けると云うものである。


3.仮面ライダー電王アックスフォーム
 俺の強さにお前が泣いた
概略 仮面ライダー電王のフォームの一つで、イマジンキンタロス(声:てらそままさき)が野上良太郎に憑依して前面に出て来たアックスフォームが変身・登場する際の啖呵切り。
イマジン達が多少なりとも良太郎の影響を受けた様に、良太郎の前に憑依していた空手家・本条勝(内野謙太)の性格を受け継いでか、個人的武勇へのこだわりから、「泣ける強さ」を追求し続けていた。

 それゆえ、自らの強さに対して「泣けるでぇ〜」と自称し、そこから派生して登場時に「俺の強さにお前が泣いた!」と啖呵切るようになった。
 ただ、啖呵切りにしてはかなり自己満足感が強い。他のイマジンにも云えることだが、キンタロスもまた相手のことなどお構いなしに、必殺技を決めてから「ダイナミックチョップ!」と技名を宣するという意味不明なことをしていた(苦笑)。

 本作の趣旨とは少々ずれるが、キンタロスの声をてらそままさき氏が当てているのにも注目したい。てらそま氏と云えば『仮面ライダーBLACK』にて悪のライダー・シャドームーンのCVだったことに触れない訳にはいかない。同作OPにてクレジットされていなかったとは云え、歴代作においてもシャドームーンの存在感が余りにも大きいので、このようなサイトを閲覧される方々には常識と云って良いが、そんなてらそま氏がキャラの丸で異なるキンタロスの声を当てたことに驚かれたライダーファンは多いと思う。
 勿論、声であれ、アクションであれ、丸で異なる役所を演じられるのは俳優の力量であることは云うまでもないのだが。


4.仮面ライダー電王フォーム
 お前、倒すよ。答えは聞いてないけど。
概略 仮面ライダー電王のフォームの一つで、イマジンリュウタロス(声:鈴村健一)が野上良太郎に憑依して前面に出て来たガンフォームが変身・登場する際の啖呵切りで、モモタロスキンタロスを上回る自己満足啖呵切りである。
 自らの戦意と自信を一方的にアピールし、そこに嫌味ったらしく「答えは聞いてないけど。」と(それこそ聞かれもしないことを)付け加えるのだから、敵の立場に立てばこれほどウザい啖呵切りもそうは無い。

 ある意味、イマジン達は(意志は強いが)御人好しを絵にかいたような少年野上良太郎とギャップのあるキャラクターである。それゆえ人格(?)的には現実に居たら決して近づけたくない様な奴等なのだが(笑)、それでもどこか良太郎に感化され、自らの性格に正直なところが憎めない奴等でもある。
 リュウタロスの、ウラタロスと並んで飄々としながらもマイペース過ぎる程マイペースな性格はある意味現代人の羨ましがるところを感じさせる啖呵切りかも知れない。


5.仮面ライダーゼロノス
 最初に言っておく、俺はかーなーり、強い!
概略 『仮面ライダー電王』に登場する、平成作品では常識化した客演レギュラーライダーである仮面ライダーゼロノスイマジンデネブ(声:大塚芳忠)と合体し、ライダーとして現れた際に発する啖呵切りで、宣戦布告にして、俺様最強宣言でもある。

 元々ゼロノスに変身する桜井侑斗(中村優一)は良太郎の姉・野上愛理(松本若菜)の婚約者で、愛理を守る為に戦っていることもあって、クールで落ち着いた人物なのだが、長い激闘や過去と未来を巡る中で精神をすり減らしたためか、信頼するデネブの前では本音を曝け出すかのように子供っぽく振る舞い、そんな感情の爆発が緒戦の啖呵切りに現れているようである。
 言葉だけを捕らえれば、「あっそ。勝手に云うとれや。」と返すしかない尊大啖呵切りだが、侑斗の置かれた立場や感情が戦闘にぶつけられていることを考えると興味深い。

余談 常に低姿勢で侑斗に甲斐甲斐しいデネブも侑斗に感化されたものか、たまに彼も啖呵切りを行う。ただその際、ゼロノス同様、「最初に云っておく!」と告げるのだが、明らかに勢いの為、続く台詞が「特に云う事はない!」と云う、視聴者的には吉本ズッコケしたくなる様なものだったりする(笑)。


6.仮面ライダーディケイド
 通りすがりの仮面ライダーだ、覚えておけ!
概略 特撮及びヤンキー漫画によくある、「何だテメーは?」誰何に対する仮面ライダーディケイド門矢士(井上正大)の名乗り的啖呵切りである。変身前に行うことの方が多いのが特徴的である。
 『仮面ライダーディケイド』では、それまでの平成ライダーの世界(後には昭和ライダーの世界やシンケンジャーの世界も加わる)はパラレルワールドでありながら、いずれはそれらの世界がぶつかり合ってすべての世界が滅びるという運命を背負っており、はそれを防ぐ為に各ライダーワールドを渡り歩き、平成ライダー達やその世界の悪の組織と対峙した。

 それゆえ、様々な世界やライダーや敵との邂逅を別世界からふらっとやって来た「通りすがり」の者と自称していた。
 その様々な世界や立場を渡り歩く行動ゆえか、後発作品(主に劇場版)にもよく登場し、(最終的には和解・協力するのだが)他のライダー達と一時的に敵対関係になることも珍しくない。それを自覚したものか、の他者に対する態度は御世辞にも礼儀正しいとは云えない。
 劇場版『平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦feat.スーパー戦隊』で、昭和ライダーに対抗する為に平成ライダーを招集すると宣言したは、平成ライダー達を「生意気な奴等が多い。」としてその召集が厄介であることを仄めかしていたが、即座に阪東清治郎(弓削智久)に「お前が一番生意気だと思うけどな。」とツッコまれていた。

 ただ、少しに同情的に見ると、「世界の滅亡を防ぐ」と云う至上目的に徹するため、時として様々な世界の在り様やその世界に住するライダー達と敵対しなければならず、内部崩壊を目指して元凶である大ショッカーに首領として潜入することもあり、そんなの立場に立てば、馴れ合いや情に引き摺られることは厳に戒めなければならなかったことだろう。
 のどこかぶっきらぼうな態度は、任務の為には仲間といえどもある程度の距離を取らなければならない状況に裏打ちされている様に思われる。
 それでいて、時には様々なライダーやその仲間達とも共闘しなければならなかったのだから、自らを「通りすがり」という一過的な交流希薄な存在としながらも、「覚えておけ」と要請する云う、一見矛盾した啖呵切りを行っていたと思われる。


7.仮面ライダーW
 さぁ、お前の罪を数えろ!
概略 風都の私立探偵左翔太郎(桐山漣)と謎の少年フィリップ(菅田将暉)が二人で一人の仮面ライダーである仮面ライダーWに変身した直後に為された啖呵切り。

 自称・ハードボイルド探偵である翔太郎(←周囲は「ハーフボイルド」と呼んでいたが)が、尊敬する師で、フィリップを庇って命を落とした恩人・鳴海荘吉(吉川晃司)から受け継いだ台詞で、対峙した悪党に捧げた言葉でもある。

 そしてこの啖呵切りは最終回のラストシーンでも為され、同番組を締める決め台詞をも担った。

 任務に忠実過ぎる程忠実過ぎた鳴海宗吉は、愛娘・亜樹子(山本ひかる)とも距離を置き、「依頼人なんて皆訳あり。」としてそのプライバシーに触れずに依頼を遂行し(←誰でも彼でも無条件に引き受けたとは思わんがね)、弟子の翔太郎から不注意で依頼人に怪我を負わせたときには、翔太郎が「滅茶苦茶怖かったけど、カッコ良かった」と思わせる制裁を加えた。
 そんな師匠の生き様・ハードボイルド振りを尊敬し、生まれ育った風都を愛し、探偵業を引き継いだ左翔太郎は殆ど風都から出ることなく、そこに住む住人の苦しみ・悲しみと向き合い、「街(風都)を泣かせる奴」を断固として許さない姿勢で生きている。

 相方のフィリップは、自分を文字通り命懸けで救ってくれた宗吉への感謝を持ちつつも、それ自体は前面には出さず、それでも翔太郎が地震を弱いとして意気消沈していた折には、「鳴海宗吉の遺志を受け継ぐ仮面ライダーは只の戦闘マシーンであってはいけない。」と告げて、「鳴海宗吉の一番弟子」である翔太郎と自分があってこその仮面ライダーWとして、弱音からの絶交を断固として拒否し、翔太郎を立ち直らせたことがあった。

 そんな思いから、仮面ライダーWは対峙したドーパント−その多くは欲望や心の弱さをつけ込まれてミュージアム(や他の組織)からガイアメモリを渡された被害者的な側面も持っていたのだが−に対して、一種の麻薬とも云えるガイアメモリに手を出してしまったことや、その暴走によってもたらしてしまった罪過への自覚を促す様に、「お前の罪を数えろ」と投げ掛け続けた。

 勿論、心の弱さにつけ込まれた面もあったとはいえ、ガイアメモリに手を出した者は落ち度や非がありまくりである(この点、現実社会の薬物に手を出してしまった者達に似ている)。
 ましてガイアメモリにて負の感情を増幅されており、他者の忠言や諫言を耳にする状況にあるとは思えない。ただ、それでも仮面ライダーWは風都と風都に住まう人々を愛する故、倒したドーパントも「メモリブレイク」と云う形でガイアメモリを体外に排出して常人に戻すという決着が多い(ついでを云うと、番組後半ではそれらの者達は逮捕されて風都署に連行されることが多かった)。

 つまり、相手を殺さないゆえ、その戦いは反省を促す懲罰的な側面が強い。仮面ライダー1号が原作にてコウモリ男を倒した際に、コウモリ男を「この男もショッカーの犠牲者」としながら、かかる犠牲者を増やさない為に「ショッカーを根絶やしにしなければならない。」というジレンマ溢れる決意をしたことに比べれば、仮面ライダーWの在り様は「ハードボイルド」が「ハーフボイルド」にされてしまうのも納得の甘さである。
 だが、それが仮面ライダーW最大の魅力であることに間違いはなく、ガイアメモリをブレイクしてドーパントは倒しても、それを脱した風都民に反省を促すべく、それを始めさせるべく、2人にして1人の仮面ライダーは今日も「さぁ、お前の罪を数えろ!」と投げ掛けるのである。

 自己満足に過ぎないが、この啖呵切りへの想いが、シルバータイタンをして、『特撮房全話解説』の第一作に『仮面ライダーW』を選ばしめることとなった。


8.仮面ライダーアクセル
 絶望がお前のゴールだ。
概略 『仮面ライダーW』の準主役仮面ライダーである仮面ライダーアクセル照井竜(木ノ本嶺浩)が敵を前にした際の啖呵切りで、主に変身前に発していた。

 風都署の超常現象課に課長として赴任して来たことで同番組にレギュラー化した照井竜は当初、極めてとっつきにくいキャラクターであった。
 勿論番組のお約束でかなり軟化するのだが、それでも登場キャラクターの中で彼だけが左翔太郎を「」と姓で呼び、鳴海亜樹子に対しては妻になった後も「所長」と呼び続けている。当初の口癖は「俺に質問するな!」で、これも後々には鳴りを潜めたが、都合の悪い時や困惑時、取るに足らない悪党からのクレームに対してはこの台詞を吐き続けたから、元々人付き合いは得意ではないのだろう。

 同時に、初登場時、照井竜は生まれ故郷である風都を「嫌い」、「嫌な風が吹く」としており、彼の部下達に対しても心開かず、単独行動が多かった。
 だが、作品を通して見るとその理由はすぐ分かる。照井竜は警察官学校時代に両親と妹をウェザー・ドーパント・井坂深紅郎(檀臣幸)に惨殺されており、「Wのメモリーを持つドーパント」に対する復讐の鬼と化していた。
 謂わば、平成版風見志郎だった訳だが、それでも本来の照井竜は人付き合いが苦手でも温厚な家族想いで、正義感の強い、他者への思いやりも充分にある人物で、復讐に燃える自身を決して「是」とはしていなかった故に、周囲に不愛想極まりない態度を取っていたのだろう。

 そんな経緯もあってか、照井竜の悪に対する怒りは翔太郎以上に強く、シュラウド・園崎文音(声:幸田直子)から得た能力が名前の通り速度に特化したものであったことも相まって、照井竜は対戦相手に対して、「絶望がお前のゴールだ!」と啖呵切るようになった。
 ただ、ここで云う「絶望」は「死」ではなく、「好き勝手出来る希望の断たれた場」を意味し、つまりは「監獄」のことで、それを「ゴール」としていた。つまりガイアメモリに振り回され続ける悪党にとっては「絶望」で「ゴール」なのだが、そこから真人間に戻り、社会復帰に臨む者としては「希望」であり「スタート」である。

 これらのことを考察すると、一時の復讐心に我を失っていても、そこから周囲を遠ざける言動を取っていても、仮面ライダーアクセル照井竜がまごうと事なき仮面ライダーWの仲間であることが断言出来るのである。
 今後もアクセルと対峙する悪党には是非とも「絶望」という名の「ゴール」に叩き込まれるとともに、その罪過が軽く構成が見込まれる者はそれを通して生まれる「希望」と「スタート」を重んじて欲しいものである。


9.仮面ライダーフォーゼ
 宇宙キター!仮面ライダーフォーゼ、タイマン張らせてもらうぜ!
概略 「俺はすべての○○と友達になる男!」と称する高校生・如月弦太朗(福士蒼汰)が変身する仮面ライダーフォーゼが変身直後に行う啖呵切りである。
 二昔前の漫画によく出て来たバンカラ学生・心優しき不良学生(←現実の不良学生はそうじゃないんだよなぁ………)を絵に描いた様な男で、ブレザーが制服の天野川高校でも変形学ラン・リーゼントで通す弦太朗(勝負に敗れて一時的に校則通りの格好をしたことはあったが)は何処までも自分なりの生き方を貫き、暑苦しいぐらいの熱血漢だったが、最初はウザがっていた周囲も気が付けば彼と心を通わせていた。

 そんな男だから当然、フォーゼゾディアーツとの戦闘にも自らの信念を通した。仮面ライダー部の仲間や、後にもう一人の仮面ライダーとして仲間になった仮面ライダーメテオ・朔田流星(吉沢亮)と共闘しても、ゾディアーツとの戦闘はタイマン=一騎打ちで、変身するとほぼ毎回上述の啖呵切りをしては猪突猛進的に突撃を敢行していた。

 まあ、フォーゼが自らの美学に従ってタイマンにこだわっても相手がそれに応じる保障も義務もない。
 そもそも悪の組織は(一個人が信念やプライドを持っていたとしても)目的の為に手段を択ばないし、平成シリーズの敵キャラは前々作のドーパントや、前作のヤミーや、本作のゾディアーツの様に普通の人間が(主に負の感情に発する)弱き心につけ込まれて特定アイテム(ガイアメモリ・コアメダル・スイッチ)を利用しているつもりで振り回されている者が多かった(それゆえ、倒された後に死ぬことなく真人間に戻った者も多かった)からフォーゼの主義主張等お構いなしにやりたい放題やるだけだった。
 一方で、フォーゼも相手がどう出るかなどお構いなしで(笑)、それゆえ啖呵切りは信念主張に近く、相手が複数の時でも「タイマン張らせてもらうぜ!」と叫び、野座間友子(志保)に「タイマンじゃない………。」とツッコまれていたこともあった(笑)。

 仮面ライダーフォーゼにとって、この啖呵切りとは謂わば、宇宙ロケットモチーフにした事故のアイデンティティ発露にして、昭和の番長的に喧嘩を通じて友情を始める儀式への先生に近かったと云えよう。
 現実には、フォーゼ=弦太朗の様に学校に属するすべての者と友達になるのは不可能に近いが、それを羨ましく思う人々も多いだろうし、疑いなくその信念に邁進する弦太朗への憧れが同作品を名作たらしめ、その後の福士蒼汰氏の活躍への土壌となっていると云って良いだろう。


10.それ以降の平成ライダー
 下記参照
概略 『仮面ライダーフォーゼ』以降も平成・令和と仮面ライダーシリーズは続いている。そして作品ごとに様々な仮面ライダー達がモチーフを持ち、そこからアイデンティティや想いに即した啖呵切りが生まれた。

 名前の通り魔法使いである仮面ライダーウィザードは自分のマジックが人々の希望となることを信念に戦っていた故、自分の能力を「見せる者」とした側面が強かったので、「さぁ、ショータイムだ!」と啖呵切っていた。

 眼魔との戦いで一度命を落とし、復活を巡って戦った仮面ライダーゴーストは、生き返りの手段を求めつつ幼馴染の復活を優先するほど「命」と云うものを殊の外重視しており、生きるにしても死ぬにしてもその瞬間瞬間を大事にする気持ちに溢れていた。
それ故、ゴーストは戦いの度に「命、燃やすぜ!」と云う決意表明的な啖呵切りを行っていた。

 勿論他の平成ライダー達も自分のモチーフ・身体能力・生き様・信念にこだわりを持ち、そこから派生した想いを変身直後に吐露することが多かった。この頁で採り上げたライダーの中にも、見る人によっては「啖呵切り」とするには首を傾げられるものもあるとは思うが、一作品に複数の仮面ライダーが登場するのが常識化し、数多い作品の中でオリジナリティを強く発揮しないと埋もれてしまいかねない状況にあって、彼等のアイデンティティと信念の発露は極めて重要で、それが啖呵切りに現れているのを示した分かり易い例をシルバータイタンなりにピックアップしたことを御理解頂ければ幸いである。


次頁へ
前頁へ戻る
冒頭へ戻る
特撮房へ戻る

令和三(2021)年六月二四日 最終更新