終わりに・・・戦い終えて朝が来た
平成8(1996)年8月27日、立花藤兵衛を演じた小林昭二氏は享年65歳で肺癌のためにこの世を去った。誕生日が9月26日なので後一ヶ月生きれば66歳になる所だった。
仮面ライダーシリーズの立花藤兵衛と『ウルトラマン』のムラマツキャップの訃報に特撮業界は驚愕し、二大特撮番組の共演者が駆け付けた告別式には、藤岡弘、、宮内洋、黒部進、桜井浩子、毒蝮三太夫、二瓶正也諸氏といった錚々たる大俳優達が顔を並べ、予想していた場面でありながら驚く他なかった(←当時道場主がTV報道の画面上で確認した方々です。見落としがある際は御容赦下さい)。
特に出棺の際に戦闘で棺を担いでいた宮内氏は報道陣のインタビューに、亡くなった直後の小林氏と対面した際に「さようなら」という言葉が嫌いなので、小林氏の両手を握って、「おやっさん!」と叫んだ、とコメントしていた。
生前、小林氏は自らが演じた立花藤兵衛に負けず劣らず後輩や年少者への面倒見がよく、多くの人々に慕われていたことを哀しい形で感じ入らされた一時だった。
そしてこの世を去って尚、小林氏の存在感は些かも衰えず、逝去翌年に上映された映画『ウルトラマンゼアス2超人対戦・光と影』では二瓶正也氏が小林氏の遺影を持っていた。更に翌年の『仮面ノリダー』でも回想シーンとアミーゴに飾られた遺影で小林氏が画面に登場し、『ウルトラマンメビウス』でもムラマツキャップの名前が偉大な先達として語られ、マスカーワールドにも、漫画誌面で、宮内氏の演技で、秘かな関連人物達や、インスパイアーされたキャラクターが登場し、「立花藤兵衛」が今尚多くの人々の心に実在していることが証明され続けている。
2015年で小林氏の逝去から20年が経過するが、現在(2014年7月30日)思うに、もし、現実に立花藤兵衛が存在していて、ショッカーからデルザーと戦い抜いていたとすれば、年齢的にもそれ以降の戦いには身を投じないで欲しい気もする。
漫画『新仮面ライダーSPIRITS』では村雨良を新たな教え子として歴代ライダー達と共にBADANと戦っている立花藤兵衛を見ることが出来るのは嬉しいのだが、改造人間でも宇宙鉄人でもスーパー戦隊でも光の国の巨人でも宇宙刑事でもない、生身で初老の人間が戦うには、悪の組織との戦いは陰惨過ぎる……とシルバータイタンは思うのだが、それでも何らかの形で立花藤兵衛がマスカーワールドに現れれば喜ぶと思うから勝手なものなのだが(苦笑)。
そしてそんな立花藤兵衛&小林昭二氏の安らぎを念じて、それでも何らかの形で帰って来て欲しい願いを込めて、この頁のサブタイトルを「戦い終えて朝が来た」とした。
勿論これは『仮面ライダー』の挿入歌・劇場版『5人ライダー対キングダーク』エンディングの「かえってくるライダー」の歌詞を流用したものである(流用歌詞の元の記述はオール平仮名)。
65歳で天寿を全うするまで、様々な役をこなし、立花藤兵衛以上に立花藤兵衛らしかった小林昭二氏……………その偉大さを静かに湛えたまま、その御姿を「今後生まれるであろう様々な立花藤兵衛」に託して、悪の組織との戦いのない世界で安らかに眠って欲しいものである。
その想いを籠めつつ、小林氏が演じた立花藤兵衛の、後々のマスカーワールドにおける残滓を列記して、敢えて余計なコメントをせずに本作を締めたい。
立花藤兵衛後の「おやっさん」(約一名正確には「おっちゃん」と呼ばれている)
番組 | キャラクター | 演者 | 経営対象 |
『仮面ライダー(スカイライダー)』 | 谷源次郎 | 塚本信夫 | 喫茶店 |
『仮面ライダースーパー1』 | 谷源次郎 | 塚本信夫 | モーターショップ |
『仮面ライダークウガ』 | 飾玉三郎 | きたろう | 喫茶店 |
『仮面ライダーアギト』 | 名前不明 | 中屋敷哲也 | バイク修理工 |
『仮面ライダーW』 | 鳴海荘吉 | 吉川晃司 | 私立探偵 |
『仮面ライダーウィザード』 | 輪島繁 | 小倉久寛 | 骨董品屋店主 |
シルバータイタンにとっての「おやっさん」
キャラクター | 演者 | 場所 |
立花藤兵衛 | 小林昭二 | 第一期『仮面ライダー』シリーズ |
船村一平警部補 | 大滝秀治 | 『特捜最前線』 |
モロボシ・ダン | 森次晃嗣 | 現実 |
※一部プライバシーが絡むので、詳細説明は控えさせて頂きます。
ありがとう、おやっさん、
安らかに、小林昭二さん
永遠なれ、立花藤兵衛&ムラマツキャップ!!
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平成二六(2014)年七月三〇日 最終更新