Ein. 『仮面ライダーX』に登場した「博士」達(前期編)
1.神啓太郎教授
主人公・神敬介の父親で、頑固ながら心温かい硬骨漢を絵に描いた様な人物。
名前 神啓太郎 演じた俳優 田崎潤 登場話 第1話、第2話(声のみ) 職業 城北大学教授、科学者 専門分野 海洋科学、人間工学 末路 GOD機関により暗殺。
神啓太郎教授は、優れた科学者であるだけでなく、体を鍛えることにも余念がなく、回想シーンでも幼い自分の敬介に格闘技の訓練を課していた。
早くから悪と戦う意思が強かった様で、そんな父に育てられた敬介(この時点ではまだ改造されていない)は、帰京直後にGOD戦闘工作員が銃をもって襲い掛かるのに臆した風もなく立ち向かわんとしていた。
そして帰宅直後の敬介を不意打ちしたり、防弾チョッキを貸与したり、と臨戦態勢を整えつつもあった。
だが、その頑固一徹な性格が災いしたのか、学界では変人扱いされて孤立。息子の敬介とも、「本当は仲の良い親子」(水城涼子談)の筈なのに、似た者同士が素直になれずに会えば口論・取っ組み合いばかりで、更には助手にして唯一の理解者である筈の水城涼子(美山尚子)にも裏切られた(この裏切りには更なる裏があったが、涼子の意志はともかく、神啓太郎殺害後しばらく、涼子は神親子に味方する行動を取れなかった)。
GODからはその頭脳を求められ、味方になることを強要されたが、断固としてこれを拒否。
実際に拒否したシーンは作中に描かれていないが、GODが最初は敬介を人質に陣営に引き込もうとしたことや、GOD総司令(声:阪脩)がお笑い芸人トリオネプチューンに「云うことを聞かないなら殺してしまえ!」と命じたことからも、神教授が断固とした拒否をしたであろうことは想像に難くない。
結局、襲撃に来たネプチューンに棒切れ一本で挑むも敵わず、父の身を案じて駆け付けた敬介も、神教授の目の前で数発の銃弾を浴びて瀕死の重傷を負った。
神教授は息子の命を救いたい一念で、彼を人間ならざる体にしてしまう罪悪感と重傷に苦しみながらも、深海開発用改造人間カイゾーグとして蘇生させた。
意識を取り戻した敬介は、神教授が生前自らの全人格と全知識をインプットしておいた神ステーションに誘われ、自らが改造された経緯、父の死を聞かされた。
そして「最期の願い」として敬介にCスイッチを入れることを要請。スイッチを押すと神教授の遺体を収めた短艇(棺桶?)は海中に射出され、爆発することで神教授は水葬された。
かくして神教授は生きている人間としての自らに終止符を打ち、意志だけの存在となり、敬介をサポートせんとしたが、第2話にて人間でなくなった我が身を嘆きにやって来た敬介の依存心を断ち切るために、自らの存在を不要として神ステーションを爆破させ、完全な死を遂げた。
OPにて「父の叫びは波の音」、EDにて「父の作ったカイゾーグ」と歌われている様に、神教授の神敬介に対する影響はすこぶる強い。
第6話ではバス事故で両親を亡くした少女を励ます際に立花藤兵衛(小林昭二)は敬介も父を亡くしたばかりであることを告げ、第7話で、藤兵衛に叱責された敬介は父に怒られたときのことを思い出し、最終回では呪博士が神教授の親友であったこと、敬介が父からその存在を知らされていたことが描かれていた。
一方で神教授の妻、つまり敬介の母に関しては様々な書籍で「敬介を産んで間もなく他界した。」と触れられるぐらいなので、父親の影響が大きいのも、子が親の影響を多少なりとも受けるのも当たり前だが、親の存在が殆ど作中に表れない歴代ライダーの中にあって、ここまで父親の影響がはっきり描かれる人物も珍しい。
一方で、出番が少なかったこともあるのだろうけれど、謎の多い人物でもある。
覚醒直後の敬介に聞かせた声からも、いつか自分がGOD機関によって殺されることを予期し、神ステーションに自分の意志と思考をインプットし、様々な準備を整えていたのは前述した通りで、カイゾーグへの改造技術、カイゾーグにセットアップするためのレッドアイザーにパーフェクター、武器としてのライドル、搭乗して戦う為の専用マシーン・クルーザーが生前用意されていた訳だが、いくらGODと戦う為のとはいえ、法的に怪しい行動背景も見られる。
拳銃を所持しているわ、人体改造技術を確立しているわ、武器等製造法や道交法に抵触しそうな武器やマシーンを開発しているわ、で、学界で「気●い扱い」(水城涼子談)されている神教授が、当局や公的機関を通して合法的な許可を取り付けているとは考え難い。
勿論、息子・敬介を改造したのは彼の一命を取り留める為の、謂わば「緊急避難」処置で、「人間でなくなったことに誇りを持て!」と叱咤して神ステーションを破壊する一方で、「お前の命を救うにはこれしかなかった…許してくれ…。」という自責の念を滲ませていることから、心底息子を愛し、正義のために戦わんとした人物であることは確かなので、上記の触法的行為も、GOD機関と云う秘密結社と戦う為に、敢えて無許可で(正式な許可を申請すればGODに漏れた可能性がある。何せGODの背後には東西の超大国がついていたのだから)秘密裏に行った可能性はある。
そして最大の謎は「仮面ライダーX」の名である。
命名は神ステーションのコンピュータ、つまりは生前の神教授がカイゾーグに名付けることを想定した訳だが、彼は「仮面ライダー」の名を何処で知ったのか?また、「X」の意味は?
放映当時のTV雑誌に「過去に緑川博士と親交があった」とするものがあったそうだが、緑川博士は一度も「仮面ライダー」の名を口にしていない。
『仮面ライダー』では、仮面ライダーが子供達のヒーローとして認識されていた話もあったが、もし神教授が過去にそれを見て、自分が開発したカイゾーグに「仮面ライダー」の名を冠することを考えていたのだとすると、結構ミーハーである(笑)。
2.小暮誠一郎博士αガスと呼ばれるガスを開発・製造に成功し、その製造方法をGODに狙われていたが、そのαガスは人を狂い死にさせる恐ろしい毒を持つ物だった。
名前 小暮誠一郎 演じた俳優 守田比呂也 登場話 第4話 職業 理学博士 専門分野 毒ガス研究? 末路 自宅兼研究所を爆破された
私的な自宅兼研究所で仕事していたことを考えると公的機関の人物とは思えず、個人でαガスを開発していたと云うことは…………うん、「天才とキチピーは紙一重」の典型だな(苦笑)。
小暮博士自身の出番は少なく、自宅兼研究所に作られた秘密部屋に監禁されていたところから出番が始まり、GOD怪人メドゥサ監禁した小暮博士とその娘・冴子(斉藤浩子)を救出に来たXライダーを誘き寄せたところで研究所ごと爆殺せんとしていたので、GODの目的は既に完成されたαガスとその製造法のみで、小暮博士自身には用は無かった様である。
しかも、後半は猿ぐつわを填められていたので、台詞もなかった(苦笑)。
まあGODは冴子を人質にする為誘拐せんとする一方で、既に小暮博士の研究所を襲い、秘かに占領した状態にあったから、もしかしたらGODは小暮博士を組織に協力させようと考えていたのかも知れない。
となると、小暮博士は悪に屈しない剛直な人物であることが推測される。既に研究所を支配下に置きながら、わざわざ娘を誘拐したのも、単なる脅迫では服従させられないと見たからだろう(実際、製造方法はまだGODの手に渡っていなかった)。
ただ、そうなると(製造方法を入手していないのに)その後あっさり小暮博士を殺そうとしたのが少々解せない。
最後にツッコミを3点ほど。
1つは部屋の壁に無造作に架けられていたレイピア(洋風細剣)で、メドゥサは冴子に催眠術を掛けて神敬介を殺させんとしたが、その際に冴子はレイピアを用いた。そんな危ない物、子供の手の届くところに置いとくな小暮博士、銃刀法は大丈夫か?!
もう1つはメドゥサの石化能力である。
ギリシャ神話でも有名なモンスターであるメドゥサの石化能力って、単純に人を狂い死にさせる毒ガスより凄くないか?
最後はずばり「小暮誠一郎」のフルネームである。
『仮面ライダー』に出て来たアンチ・ショッカー同盟の小暮精一郎(上野山功一)と同姓同名やんけ (漢字は違うが)、チョットは考えて名前付けろよな(笑)。
3.大道寺博士大道寺博士の研究は「天才人間研究」と名付けられたものだった。
名前 大道寺 演じた俳優 小笠原弘 登場話 第7話 職業 城北大学教授、科学者 専門分野 生物化学 末路 長女を失い、研究を断念。
その研究内容は「並の人間の10倍の頭脳と体力、そして正義の心を持った少年少女を育成する」と云う効果を持つ物で、立花藤兵衛が10年も前からあった研究であることを知り、神敬介も父・神啓太郎教授から聞いたことがあったと云うから相当有名だったのだろう。まあ神教授も大道寺博士も同じ城北大学に勤めていた訳だが。
だが、「頭脳と体力」はまだいいとして、「正義の心」は何を「正義」とするかの定義が世間の同意を得られない限り(そしてそれは実質不可能なのだが)、「洗脳」になってしまうのは否めない。
やはりこいつも危ないか?
GODは大道寺博士の研究でGODに敵対する「正義の心」を持った常人の10倍の能力を持つ人間が次々生まれることを懸念し、同時に大道寺博士をGODの仲間にしようと画策した。そしてそれが為にとんでもない悲劇が続発したのだったが………。
大道寺博士を精神的に追い詰めることで仲間に引きずり込もうとしたGODは天才人間研究に協力した被験者の少年少女に次々と催眠術を掛け、催眠術に掛った少年少女は「自分は空を飛べる…。」と思い込み、次々と高所から身を投げて死に至らしめられた………。
犠牲者の中には大道寺博士の長女・あや子(蓮見里美)もいた。
娘を含め、被験者となってくれた少年少女が次々亡くなる事態を悲しむ大道寺博士は、彼等の死因が自らが開発した薬の副作用かも知れないと考え、あや子同様に薬を飲んでいた次女・冬子(遠藤薫)もいつまで生きられるかと苦悩し…………って、おいっ!それって「人体実験」じゃないか!!しかも犠牲者は24人!!!
結果として少年少女の自殺は服用した薬(一応、本人の了解を得た上での服用であったが)の副作用ではなく、GODの仕業だったから薬そのものには罪はないが、「薬を飲んだ者」が狙われたのだから、きついことを云うが、GODが一番悪いのは当たり前にしても、大道寺博士の行為は間接的に少年少女達を殺していると云える……………というか、一人目の犠牲者が出た段階で「副作用」を疑って実験を中止せんかい!!! 大道寺博士!!!!
まあ、現実の世界にも種痘(天然痘の予防接種)を発明したエドワード・ジェンナーが、牛痘接種法を試みる以前に、人痘接種法(←牛痘接種法に比べて天然痘を発症してしまうリスクがとても高い)を我が子に試みた例もあるが、それにしてもなぁ……………(茫然)。
勿論こう云う展開を辿った以上、XライダーによってGODの作戦は潰され、催眠術を掛けた鳥人イカルスも倒され、冬子は救われ、大道寺博士が悪かった訳じゃないのもはっきりした。
また、「正義の心」を意識し、原因不明段階でも罪悪感に苛まれていた大道寺博士は決して人として悪い人ではなく、むしろいい人だった。GOD総司令も大道寺博士を仲間に引き込むのは早期に断念し、イカルスに殺害を命じていた。
最後には、動機はどうあろうと人間を人為的に変えてしまうことを「非」として、天才人間研究の中止を決意した。その決意に対し、敬介も「そうして下さい……改造人間は、俺で最後にしたいものだ。」と告げてその決断を称えた。
このことは改造人間となったことに多かれ少なかれ苦悩を抱える昭和ライダーの気持ちを端的に表した名台詞として印象に残っている方々も多いだろう。まあ、この後も善悪を問わず、改造人間が大量に生まれ続けた事実を持ち出せば身も蓋もなくなるのだが……。
最後に余談だが、大道寺博士を演じた小笠原弘氏が、後年、『仮面ライダーストロンガー』にてストロンガーを改造超電子人間に改造した元ブラックサタンの正木洋一郎博士を演じたことを知る人も多いと思うが、小笠原氏はどこか愁いを含んだ役柄が似合っているのかも知れない。
4.中条教授黒峰山の資源調査員が次々と惨殺される事件(←GOD怪人鉄腕アトラスの仕業)が起き、その調査団長を務めた大学教授である。
名前 中条 演じた俳優 北原義郎 登場話 第8話 職業 資源調査団団長 専門分野 地質学? 末路 不明
調査には助手と見られる男性・倉田(清水幹生)、水城霧子(美山尚子)、立花藤兵衛、そして一人息子の中条健吾(岩本幸雄)が加わっていたが、既に何人もの犠牲者が出た魔境と云える地に年端もいかない息子を連れて来る中条教授神経は大いに疑う。しかも霧子が殺された後の第二次調査に同行させていたのはもはや正気じゃない……。
親が親なら、息子も息子で、移動中にカブトムシを見ただけで飛びついたり、神敬介にミーハー的に話しかけたりしていた。挙句の果てにゃ炭焼きの老人(打越正八)に(藤兵衛が怪しむのを意に介さず)無警戒に近付いてアトラスの人質になったりしてたしな………(ちなみにこのとき健吾を庇って水城涼子は殉職した)。
警戒心無さ過ぎるぞ、この親子………。
二度目の調査で、健吾が吹き矢で襲撃された際に、敬介が涼子を追うのを躊躇うのを、中条教授は「昔の恋人だったとはいえ、君は殺人犯を庇うのか?!」と詰っていたが、おっさんの不注意も大いに弾劾されるべき、とシルバータイタンは思う。まあ息子を殺されかけたのだから怒り心頭になるのは分からなくはないのだが……。
さて、この中条教授だが、最終的にはどの大学の、どの分野における教授家は分からずじまいだった。たがそれも致し方なかろう。この第8話は、水城姉妹が殉職し、翌週から登場するアポロガイストの顔見せ的な区切りの話で、如何に往年の名バイプレイヤー・北原義郎氏といえども、そう重要な役は降って貰えなかっただろう。
ただ、話の冒頭が、霧子が中条教授の調査に敬介の協力を求めに立花コーヒーショップを訪れたところから始まったから、国際秘密警察の秘密調査員である霧子と中条教授が既知であったこと(霧子の死にショックを受けた中条教授は調査を一時中断したほどだった)や、「団長」・「所長」と様々な肩書で呼ばれていたことや、次々と人が殺される危険地帯に軽装で立ち入っていたことから、もしかしたら政府や警察とも繋がりのある、地位のある人物かも知れない。
結局、涼子の殉職を最後に中条親子の出番は終わった。ちなみにこのとき、心臓を射抜かれ、倒れようとした涼子を支えるXライダーの手がもろに涼子の胸に覆いかぶさっていたのだが、こんなことしていいのだろうか………?
まあ、速水亮氏と美山尚子氏は後に夫婦になったから問題は………否、待てよ、放映中はまだ付き合っていなかったし、そもそもXライダーの中身は速水氏ではなくスーツアクターだった訳だから…………えっ?何?何だかんだ云って胸を触っている様に見えるシーンをシルバータイタンが羨ましがっているって?ハハハ……そんなこと有る訳有るじゃないか、ハハハ………。
5.河村博士超能力………う〜ん、コメントし辛いなぁ………シルバータイタンは自分が超能力を持っていないだけではなく、いまだ「この人は本物の超能力者だ!」と確信出来る人間に出逢ったことが無いので、「超能力研究」と云われてもピンとこないのだ……。
名前 河村 演じた俳優 綾川香 登場話 第12話 職業 超心理学者 専門分野 超心理学としての超能力 末路 Xライダーと立花藤兵衛により妻子ともども救出
ただ、日本では学界で一笑に付される存在の超能力だが、海外では国が予算を出して真剣に研究されている。超心理学者・河村博士は身近な存在である娘・恵子(吉本由美子)がスプーン曲げや透視能力(語られてはいなかったが読心術・テレパシーも)が出来ることから研究に没頭することになったのだろう。
GOD総司令は河村博士を、その道でも「世界的な学者」と見ていて、獣人キマイラに恵子を誘拐させ、彼女を人質に河村博士をGODに協力させようとした(「超能力を開発させる」と云っていたので、超能力者を数多く育てようとしていたのだろう)。
日本で殆ど研究されていない分野で世界的に高名とは、大した才である(日本で殆ど演奏されない他国の楽器演奏で世界的に有名だったら凄いでしょ?)。
シルバータイタンは個人的に、この河村博士を研究者としてだけではなく、個人として、父親として『仮面ライダーX』に登場した博士の中では一目置いている。
その証拠として、GOD秘密警察第一室長・アポロガイストが直接交渉(勿論内容は脅迫)していたことが挙げられる。
アポロガイストの役目は基本、神話怪人達の監視と、Xライダーの迎撃なので、それ以外のことに彼が直接動くと云うことはなかなかに稀有である(普通に考えるなら、恵子誘拐同様、服従強要もキマイラの仕事となる筈である)。
普段、怪人達に高圧的なアポロガイストも、このとき河村博士に対して、丁寧な言葉遣いを欠かさなかった(くどいが、内容は脅迫)。そしてGODが独自のチャンネルを持つ恐ろしい組織であることを示しつつ、妻子が人質に取られていることを見せつけられた河村博士だったが、妻子の身を案じる様子を見せつつも、露骨な動揺や、助命嘆願を見せることは無く、不利な交渉において堂々と相対していた方だった。
その後、迎えに来たキマイラにも(僅かに恐怖心があった様だが)、取り乱す封もなく対応し、常に妻子の安全を要求し続けた。
GOD基地内にて、GODに忠誠を誓う物の掟としてサイボーグ手術を妻子ともども施されかけたが、これは間一髪Xライダーによって救われた。
そして、基地からの逃走途上、GOD戦闘工作員の追撃を受けたが、ジープで駆け付けた立花藤兵衛の助力を得て、これを撃退。藤兵衛の指示に従ってジープを走らせ、藤兵衛を乗せて工作員達を振り切った。
追撃も急なら、藤兵衛の救援も急で、それでも見事に危機を逃れたのだから、大した即応力であった(というかこのときの戦闘工作員弱過ぎ(笑))。
然程口数も多くなく、科学者と云うよりは父親としての姿の方が目立った河村博士だったが、丹念にその言動を追うと、なかなかの人物であることが伺えた。
超能力ついでに余談を1つ。
実は、シルバータイタンは今までの人生に二度だけ予知能力を発揮したことがある。
物凄く明確に未来が見えたのだが、それは僅か3秒前を予知したもので、意図的に仕えたものじゃないし、メカニズムも分からないし、「証拠を出せ!」と云われても出せないので、「話作っているだけだろう?」と云われてもそれを覆す術はないので、信じて貰うしかない(だから、信用されなくても怒りません)。勿論、何かの役に立った訳でもなかった(苦笑)。
一度は、有る職場に勤めていたときのことで、上司が喋る内容が、その直前に丸でビデオの画面を見ているかのように見えた。その内容は当時、道場主が惚れている相手と誤解されていた女性(確かに綺麗で、胸のでかい人だったが…)が退職したと云うもので、道場主は上司が口を開く前に「辞めたんですか?」と口走った。
もう一つは『ウルトラマンメビウス』の第45話を見ているときで、策謀宇宙人デスレムの火球攻撃をウルトラV字バリアで次々阻止するウルトラマンジャックを見上げるきくち電器商会の社長(きくち英一)、が「ウルトマンが………」云った次の瞬間、「帰ってきた」と喋る次のシーンが脳裏に鮮明に浮かび、1、2秒後にはその通りになった。
前述した様に、何かの役に立った訳ではなかったし、「じゃあ今から何かを予知しろ!」と云われても、「明日、日本は沈没しません。」ぐらいしか云えないのだが(苦笑)、超能力はいつの日か科学的に解明される日が来るような気はしている、個人的に。
6.植松教授第12話の河村博士とは打って変わって、極めて現実的な路線を主張する教授である。
名前 植松 演じた俳優 守屋俊志 登場話 第13話 職業 東和大学教授専門分野 地球物理学 末路 辛うじて妻子ともどもの処刑を免れる
街中に突如現れ、「怪しい」を絵に描いた様な格好で、「東京は全滅する!」と力説する預言者・ゴッドラダムス(江見俊太郎)に真っ向から反論したのが植松教授である。
植松教授は半ば喧嘩腰にゴッドラダムスを批判し、聴衆にも自分の肩書を告げて、学問的にも科学的にも東京が全滅するなど有り得ない、と宣言した。
しかし、まあこのゴッドラダムスのパフォーマンスは意味不明だ(笑)。
御丁寧にも、東京が全滅する時間を「本日午後三時」とし、「逃げよ!」と云っていたから、本物の預言者ならかなり良心的である。
一応、「東京から人を空っぽにして制圧したい一方で、後々の労働力(または奴隷)にする為に都民を余り殺したくないから、都民に逃げるように促す。」と云う意図なら考えられなくもないが、それにしては云っている内容も、風体も都民に真実味を伝えるには怪し過ぎる(笑)し、「ゴッドラダムス」と云うネーミングは神敬介に「GODが関係しています。」と告知しているに等しい (笑)。
植松教授に根拠を求められた際も、「預言に根拠など無い!」といって奇妙なマークを示しただけだった(笑)。人を動かしたいなら、もっと真実味あるもの云いをGODは学ぶべきである(笑)。
更に植松教授の預言否定が気に食わなかったのか、ゴッドラダムスはよせばいいのに、植松教授の死を予言した。うん、視聴者的には「予言を実現しようとして、植松教授を襲うのでXライダーが介入します」という「予言」なんだな(笑)。
一応、作戦を邪魔するであろうXライダーの封じ込めを総司令から命じられていたので、Xライダーの目を向けんとの意図もあったのだろうけれど、Xライダー誘き寄せはアポロガイストが引き受ける、と云っていたから益々意味不明だ(笑)。余計なことをしてXライダーの介入を招いただけでしかない(笑)。
さて、その後の植松教授だが、案の定、自宅兼研究所にゴッドラダムス=ユリシーズが現れた。最初は娘の前に表れて父の死を告げたのだが、怖がる娘に宥め口調ながら「幻を見たんだよ。」と云って取り合わない。
尚も怖がる娘に云った台詞が、「お前は科学者であるお父さんの娘だ。予言なんか信じちゃいけないよ。」であったから恐れ入る(笑顔は優しいのだが……)。ここまで来るとコテコテの科学至上主義者だ。
恐らく本物の幽霊を見ても、超能力を見ても、「トリックに決まっている。」と云いそうだ(笑)。
そしてユリシーズは予言を本物にする為に植松教授を襲ったが、これはXライダーが迎撃した。だが、両者格闘の隙に逃走せんとした植松教授は妻子共々アポロガイストに捕えられた。
三人の銃殺刑を告げるユリシーズに、植松教授は「予言されたのは私だけの筈、私だけを殺してくれ!」と弱々しくも、ためらいの無い声で懇願。うん、さすがは父親である。だがそれに対するユリシーズの答えは「もう遅い。事情が変わった。」だから、堪ったものじゃ無かった。まあ、これとてXライダーに救出された訳だが。
結局、この話におけるGODの作戦は、不必要な予言を行い、それにこだわったGODが植松教授の反論を招き、それを神敬介が見ていたために組織の動きを察知され、Xライダーに阻止されることとなった。
植松教授は、通行人誰一人信用していない怪しい奴にわざわざ食ってかかって自らと家族を危機に陥らせた要らんことしいであるとともに、 Xライダーに重大なヒントをもたらした東京の救世主でもあった。
7.青田博士悪の組織の典型パターン的に、自分が生みだした殺人兵器の実験台にさせられてしまい、狂い虫によって発狂させられた。しかも話の冒頭で。
名前 青田 演じた俳優 奥野匡 登場話 第14話 職業 専門分野 生物学 末路 実験台として利用された揚句、口封じに殺害。
つまり、青田博士の役割は、「狂い虫」と呼ばれる、人間を発狂させる毒を持った虫を化石から復活させることにあり、それに成功した時点で、「用済み」とされ、実験台にされたのである。
狂い虫は、古代ギリシャで兵士が恐怖から逃れるために狂い虫に刺されて戦場に赴いたと伝説を持つ虫で、GODは青田博士をして、その虫を化石から再生することに成功せしめたのだった。
しかし、中盤のアポロガイストの台詞から、狂い虫の解毒剤は未開発で、終盤でXライダーによって狂い虫を全滅させられた際にアポロガイストは結構悔しがっていたから、化石からの蘇生法はマニュアル化されていなかったと見える。
かなり中途半端な成功段階で「用済み」認定された物である、青田博士は。
いずれにせよ、狂い虫に咬まれて発狂した青田は、古代ギリシャの無敵の戦士になったとの暗示の下、うすら笑いとも高笑いともつかぬ笑いを浮かべ、アジトを飛び出すと、タクシーの運転手を絞殺し、タクシーを奪って暴走した。
暴走中、偶然それを目撃した神敬介のあて身を喰らい、駆け付けた救急車によって搬送されたが、お約束通り救急隊員は口封じに駆け付けたGOD戦闘工作員が化けたもの。
それを見抜いて救急車に乗り込んだ敬介は何とか青田を奪還・保護し、発狂の謎を解明せんとしたが、アポロガイストの襲撃を受け、格闘となった。
そして格闘中の一瞬の隙を突いたアポロショットで青田は救急車ごと炎上させられ、殺害された。
青田の出番は以上で終了。ちなみに、青田博士は処刑寸前に表れたアポロガイストに助命を請う際に、タメ口を聞いていた。恐らくは自らの意志でGODに加わり、自分の研究がGODの役に立つことで自らにそれなりの地位があると思っていたようである(そうでなければ狂い虫なんて蘇生させないよなあ………)。
8.宮本博士(灰地順)
人体改造や、改造人間同士の戦闘にも眉一つ動かさない、明らかに自分の意志でGODに協力し、GODから援助を受けていた博士の登場である。城北大学教授と云う表の顔と、GOD日本特務員という裏の顔を持っていた(コードナンバーは606)。
名前 宮本大悟 演じた俳優 灰地順 登場話 第15話、第16話、第21話 職業 城北大学電子物理学教授専門分野 電子工学 末路 再改造手術のからくり白状後、「用済み」としてアポロガイストによって射殺。
GOD秘密警察第一室長アポロガイストの再生手術の為に、後述の川上博士とともにアポロン宮殿に招聘された。その際にアポロン宮殿の場所を秘密にする為、迎えの車の中で目隠しすることを命じられていたので、GODの中枢まで入り込んでいたのではなさそうである(アポロガイストの名前は知っていた)。
また案内役の死神クロノス(沼田耀一)の接待態度は良いとも悪いとも云えないものだった(笑)。
肝心の再生手術では宮本博士は「アポロガイストのメカニックチェンジ」を担当。具体例として、アポロマグナム装着を執刀していた。また総司令の台詞から、その技術は相当信頼されていたようである。
手術後、総司令から執刀した両博士に礼を述べるよう促されたアポロガイストは「GODは莫大な研究費をこの博士達に使っている。やって当然でしょう。」と云い放ち、宮本と川上は憮然としていたが、このアポロガイストの台詞は宮本と川上のGODにおける立場を端的に表していて興味深い。
一先ずこれで宮本博士の出番は終わったように思われたが、一ヶ月後に意外な形で再登場した。アポロガイストの指先に不調が生じたためである。
部下の手前、自らを「不死身」と云い放ち、GOD総司令に甦らせて貰った謝意からも体調変化に納得のいかないアポロガイストは宮本博士を訪ねた。
このとき、両者は、穏やかに話し合う分には互いに「君」と云う二人称を用いていたが、体調変化の謎を語る宮本の説明は、アポロガイストの立場に立てばシルバータイタンだって「貴様ぁっ!」と激昂したくなるものだった。
宮本曰く、「再生手術による君の生命は丁度一ヵ月間だけだ。」という「今更」なもの。しかも宮本はこうなることを知っていて話していなかった。
更には「まず指が痺れ出し、次に足の自由が利かなくなり、そして脳波が止まって死ぬ。」という説明を淡々と行う宮本。そこまで分かっていながら今になって、聞かれてからそんなことを云う宮本を前にアポロガイストはまだ感情を抑えていた方だと思う(笑)。
とどめは、「その最後はいつだ?!」との問いに帰って来た、「三日前に指が痺れたのだったら、早くて今日いっぱい、遅くとも明日…。」という、いきなり且つあんまりな宣告 (笑)。
最終的にアポロガイストが宮本を射殺した気持は(正しいとは云わないが)良く分かる。
アポロガイストは再度の再生手術を強要したが、宮本は不可能であると断言。というのも、再生手術を共に行った川上博士(第21話では何故か「早田博士」と呼ばれていた)をXライダーに逃げられた咎でアポロガイストが殺してしまっていたからである。
「俺のメカニック部分だけでも手術するのだ!」と強要されても、「私には無理だ…。」とはっきり告げ、代案として、Xライダーのパーフェクターを心臓部に埋め込めば助かる、と回答した。
何とも不可解且つ強引な答えだ(笑)。もっとも、宮本博士は神啓太郎教授と同じ城北大学に勤めていたし、GODは神教授を殺害した際に研究資料を奪っているので、そこから宮本はある程度パーフェクターのことを知っていたのかもしれない。
ともあれ、ようやくアポロガイストは納得。但し、それはアポロガイストに「用の無くなった奴は死ね!」と判断させることになった(一応礼は云っていたが)。
最後にその遺体は神敬介に最終決戦を挑むためのメッセンジャーとして利用されて宮本博士の出番は完全に終わった。
しかし考えの良く分からない博士である。
アポロガイストの残余寿命をGODに報告していなかったのも不可解だが、「一ヶ月しか持たない」のを失態として総司令に咎められるのを恐れて隠したと考えればまだ分からなくは無い。
だが、原因や「最期の時」を問われて正直に答えたのはもっと不可解だ。保身に徹するにしても、再度の再生手術に応じた振りをして、そこで初めて異常に気付いた振りをした方が、「それじゃあやむを得ない。」と思わせることも出来るだろうし、パーフェクター移植による再延命方法を知っていたのなら手術直後にでも告げておくべきだった(アポロガイストにしてみればXライダーを殺す気は満々だったのだから)。
無理矢理考えるなら、GODの資金で己の研究を続けていた宮本博士は総司令に忠誠は近いながらも、殺人やテロを行う秘密警察や怪人や戦闘工作員達とは距離を置きたいと考えていたのではなかろうか?
宮本とアポロガイストの会話から両者の立場は対等である。神話怪人もアポロガイストとタメ口を聞いているので、このことから「秘密警察」と「怪人」と「博士」は組織の縦ライン上に無く、横ラインに併存していることが伺える。
だとすれば、組織に忠誠を誓いつつも、上司でもないアポロガイスト、しかも再生手術に対して感謝もしない手合いに問われもしないことをいちいち喋りたくない、と云う想いがあったのかも知れない。
多くの博士が単発の出番でしかない中、比較的出番の多かった(と云っても3話だけだが)宮本博士は、GODと云う組織、並びに悪の組織に(自らの意志で)加担する博士を考察するのに格好の存在であると云えよう。
9.川上(早田)博士前述の宮本博士同様、人体改造や、改造人間同士の戦闘にも眉一つ動かさない、GODの協力者で、GODから援助を受けていた医師で、GOD秘密警察第一室長アポロガイストの再生手術の為に宮本博士と共にアポロン宮殿に招聘された。
名前 川上(早田) 演じた俳優 三島耕 登場話 第15話、第16話 職業 開業外科医専門分野 細胞学 末路 Xライダーに逃げられた咎でアポロガイストにより射殺。
その際にアポロン宮殿の場所を秘密にする為、迎えの車の中で目隠しすることを命じられていたので、GODの中枢まで入り込んでいたのではなさそうである(アポロガイストの名前は知っていた)。
また案内役の死神クロノス(沼田耀一)の接待態度は良いとも悪いとも云えないものだった(笑)。そんな案内の中で、先の眼隠しに際して宮本博士(実は神敬介の変装)は抗議しようとしたが、その際に川上博士は「従った方がよさそうですね。」とあっさり諦めていたのが興味深い。
川上博士はアポロン宮殿の内容充実度に驚嘆しつつも、恐れの色を見せてはいなかったことからも、GODとの関係は自らの意志によるところの大きさが伺える。
肝心の再生手術では川上は「アポロガイストの肉体組織を強力な細胞に替える」ことを担当。細胞担当の筈なのに、何故かガイストダブルカッターの装着を執刀していた(笑)。また総司令の台詞から、その技術は相当信頼されていたようである。
手術後、総司令から執刀した両博士に礼を述べるよう促されたアポロガイストは「GODは莫大な研究費をこの博士達に使っている。やって当然でしょう。」と云い放ち、川上と宮本は憮然としていたが、このアポロガイストの台詞は川上と宮本のGODにおける立場を端的に表していて興味深い。
だが、直後に、甦ったアポロガイストに(負傷していて)捕えられた神敬介の傷の治療をアポロガイストから命じられた。だが敬介の傷は治っており、牢に入ったところを絞めあげられ、敬介逃亡を許すことになってしまった。
当然、これはアポロガイストの逆鱗に触れることとなり、牢番の戦闘工作員ともどもアポロマグナムに刺されて、刺された遺体は何故か爆発した(笑)。
その際に、「待て!お前の再生させたんだぞ!」と恩義による免罪を訴えたが、再生手術執刀を「当然のこと」と捉えていたアポロガイストには通じなかった。
もっとも、一ヶ月後にアポロガイストは川上を殺したことを悔やむことになったのだが。
アポロガイストに対しては常に呼び捨てで、(切羽詰まった状況下ではあったが)「お前」と云う二人称を使っていたので、改造人間に匹敵する地位は持っていたかも知れない。
出番は少なかったが、GODと云う組織と、それに協力する博士という存在を考察するに川上博士は非常に興味深い存在だった。
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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新