X-Worldは博士がいっぱい

マスカーワールドの「博士」達について
 仮面ライダーシリーズに限らず、特撮番組には「博士」「教授」と云う存在が頻繁に登場する。
 彼等は、時に兵器(薬物・機械装置を含む)開発者であり、時に悪の組織による拉致被害者であり、時に悪の組織に強要された協力者であり、時に主人公をバックアップする切り札的存在であり、稀に自ら進んで悪に加担するマッド・サイエンティストだったりする。

 彼等の多くは善良な研究者で、悪に加担する意志を持たない者が大半である(勿論例外もいる)。その一方でよく分からない存在も多い。特にウルトラマンシリーズにレギュラー出演する正義のチームの博士は「専攻」が分からない(笑)。どんな分野でも凄い知識披露するからなぁ、あいつら………(苦笑)。

 ともあれ、特撮作品にはレギュラー・イレギュラー問わず、様々な「博士」が登場し、チョイ役もいれば、シリーズに大きな変化をもたらしたキーパーソンもいた。
 特に仮面ライダーシリーズは『仮面ライダー』の第1話に登場した緑川博士(野々村潔)に始まり、数え切れないほどの「博士」が登場した。

 だが、それも少し考えれば分かる話である。
 ショッカーを初めとする歴代悪の秘密結社は、表の世界を遥かに凌駕する科学力を戦力のベースとして保持し、その為に頻繁に世界的に高名な科学者を拉致し、組織に協力させていた。主人公の本郷猛(藤岡弘)にしても城北大学の生化学研究室に身を置く研究生でもあり、シリーズ発端からして「博士」が関わり、活躍する余地が思い切り存在していた。

 勿論、作品によっては「博士」の置かれた位置や、登場するタイプンも大きく異なった。

 『仮面ライダーアマゾン』の前半・ゲドン編では、仮面ライダーアマゾンやゲドンを巡る背景から、考古学博士が多く登場した。
 また、ギギの腕輪を含む古代インカ超科学が、物凄い技術としての位置付けがあった為、正悪を問わず、同作品では生化学者が出て来なかった。

 『仮面ライダースーパー1』では、ドグマやジンドグマには地球人であっても、優秀且つ組織に忠誠を誓う者は優遇する意志があったので、性格的に様々な博士が登場し、相手次第では組織の幹部もかなり異なる対応をした。
 例を挙げれば、ヘンリー博士(大月ウルフ)を乱暴に拉致して来たファイアーコングを、メガール将軍(三木俊彦)は殴りつけて博士に丁寧に頭を下げて謝罪していたし、ジンドグマの仮装パーティーに参加していた協力者対する四大幹部の対応は非常に慇懃だった。


 細かく見ていけばきりがないのだが、千差万別な博士が登場する中、基本は「生物化学」にある、とシルバータイタンは考える。
 それはマスカーワールドにおいて主人公も、それと直接肉弾戦を繰り広げる存在も、共に「改造人間」であったことにある。人間を初めとする生物の体を化学的に強化するコンセプトが強かったからで、その証拠に(と云うといささか乱暴だが)仮面ライダーが「改造人間」でなくなった平成仮面ライダーシリーズには「博士」と云う存在が昭和仮面ライダーシリーズ程には登場しない。

 ただ、そんな「博士」と云う存在を考察する中でシルバータイタンが最も注目するのが『仮面ライダーX』と云う作品である。

 仮面ライダーX・神敬介(速水亮)を改造した神啓太郎教授(田崎潤)に始まり、アポロガイスト(打田康比古)を再改造した2人の博士に独特さが見られ、シリーズ終盤は極分子復元装置 (通称・RS装置)の設計図を巡って、それを発明した南原光一博士(伊藤久哉)をメインに様々な「博士」が登場した。

 それ故、同作品には「博士」と云う存在を考察する材料が、登場人物にも組織にも背景にも見られる。
 同時にそのことは、現実の世界における「博士」がどうあるかを投げ掛けてくれている気もするのである。
Ein.『仮面ライダーX』に登場した「博士」達(前期)
Zwei.『仮面ライダーX』に登場した「博士」達(後期)
Drei.「博士」達に対するGODの態度
Vier.「人類発展の貢献者」と「マッド・サイエンティスト」の分かれ目
※本作では便宜上、「教授」、「先生」と呼ばれる者も「博士」に含んでいることがあります。
※章を示すナンバリングがドイツ語なのは、ウケを狙っただけで、他意はありません(笑)。


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平成二七(2015)年八月一日 最終更新