第11頁 クライシス皇帝……部下を激昂させた異例抜擢

勧誘者File.11
勧誘者クライシス皇帝(声:納谷悟朗)
交渉『仮面ライダーBLACK RX』第48話
勧誘対象南光太郎
勧誘材料最高司令官の地位授与


背景 『仮面ライダーBLACK RX』最終回での話である。はっきり云って、怪魔界及びクライシス帝国の滅亡は秒読み段階にあった。
 前話である第47話でクライシス帝国は最高司令官して最強の戦士ジャーク将軍を失っていた。それ以前に三人の大隊長を失い、地球攻略兵団を為していた四つの大隊も壊滅していたに等しかった。
 海外からは仮面ライダー1号からZXまでの10人ライダーも駆け付け、マリバロンも諦めモードに入っていた。

 そんな中、査察官ダスマダー(松井哲也)だけは何か策があるかのように振舞い、マリバロンに南光太郎をクライス要塞に招待するよう命じた。まあ、ネタ晴らしするとこいつがクライシス皇帝その人だったんだけどね。
 敬愛するジャーク将軍を失い、自身も顔に傷を負わされる屈辱を受け、意気消沈の抜け殻に等しいマリバロンはダスマダーに促されるままに光太郎招待の使者に発ち、無表情にただ「皇帝陛下がお前との会談を望んでいる。」というだけの正体に光太郎は応じた。

 霞のジョー達が「罠に決まっている。」と云って反対するのを、光太郎はいやしくも皇帝である者が卑怯な真似はするまい、として、何より皇帝が如何なる人物か興味があると云って、マリバロンに追随した。
 尚も止めんとするジョー達を制止したのは仮面ライダー1号。まあ、アマゾンライダーに尾行させ、その先導に全員が続いたんだけど(苦笑)。


勧誘交渉 クライス要塞に招かれた南光太郎は大階段の上に立っていたクライシス皇帝の歓迎を受けた。まあ、アジトにやって来た主人公を「よくぞここまで来た。」とまず褒めるのは特撮悪の首領及びファンタジーRPGのラスボスにおける黄金パターンやな(笑)。
 具体的にはクライシス皇帝は、光太郎を「地球に並ぶ者無き勇者」と称賛し、「サーの称号を与える。」と申し出た。サー(Sir)とは騎士号のことで、クライシス帝国では海兵隊長ボスガンが授与されていた。

 だが、光太郎は「おっと!俺はアンタからどんな位も貰う気はないね。」とした。これはある意味当然だろう。皇帝や国王から位を授与されると云う事は臣従を意味する。授与される位の高さによっては臣従を受け入れる者もいるかも知れないが、臣従そのものを拒絶する者にとっては位の高低は関係無い。
 現実世界でも日本人が外国の国王から称号を授与されるケースもあるが、まあ、これは名誉号の様なものである。ただ、クライシス皇帝は後述する様に光太郎を臣下にしようとしていたから、企業で云えば「重職を与えるからうちの社員になれ。」として、待遇の一つとして「サーの称号」を与えんとしたものだった。

 ともあれ、光太郎は会談を促した。果せるかな、クライシス皇帝の申し出は、光太郎を戦死したジャーク将軍の後釜として迎え、地球の支配を任せても良いとし、帝国内で最高待遇を与える事を好餌に臣下となることを求めたものだった。本作の中では第8頁に近いと云えよう。
 別の例えをするなら、中国の三国時代で敵勢力の有能な武人に提督や大将軍や都督の地位を条件に臣従を求める様なものであろう。


拒絶とその後 いちいち書くのも馬鹿馬鹿しいが、南光太郎が応じる訳なかった(苦笑)。
 光太郎クライシス皇帝が口にする、地球の支配者となることの魅惑にも耳を貸さず、クライシス皇帝が拒絶することで「名もなき一人の若者として死ぬことになる」と、好餌を拒むことに対する愚を説いても、ただただ平和を求めるだけだとした。これは光太郎の価値観が自分の身の上に関係なく、身分の上下に関係なく誰しもが平和を享受出来る世を求めたもので、前頁においてジャーク将軍からの申し出を断ったことと寸分も変わっていなかった。

 初めから決裂が見えていた会談だったが、光太郎の拒絶にクライシス皇帝が説得(?)している最中に中断された。
 それはマリバロンによるもので、それまで最大の敵であった南光太郎を仲間、それも自分達の上官として迎えることに断固とした異を唱えるものだった。会談途中まで抜け殻に等しかった彼女が眦を上げ憤怒の形相で………うーん、やっぱり高畑淳子さんは怒っても美しい………(うっとり)。

 個人的な陶酔感は置いておいて、マリバロンはクライシス皇帝の「勧誘」に猛反発。クライシス皇帝の返事も待たずに光太郎に攻撃を仕掛けた。攻防中、彼女の顔を覆っていたアイパッチが外れ、2話前にバイオブレードで斬り付けられた際に負わされた傷が露わとなった。
 マリバロンは面体の傷に賭けても光太郎を許さないとしたが、彼女が光太郎にどこまでも(主君の意向を無視してまで)敵対的だったのは、女性として顔に傷を付けられた私怨もあっただろうけれど、それ以上にクライシス皇帝以上に敬愛していたジャーク将軍の仇を仲間、それも上官として受け入れることは死んでも受け入れられないことだったのだろう。

 だが、この横槍をクライシス皇帝は許さなかった。
 マリバロンが光太郎に向けて投擲した金の羽根をクライシス皇帝は眼光を放ってこれを撃ち落とすと、マリバロンを勅命に反逆する者=処刑対象であると宣告し、槍状の光線を彼女の腹部に命中させ、その命を奪った。
 光太郎にしてみれば、幾度となく顔を合わし、憎むべき敵だったとはいえ、仲間の命を奪う事への理不尽さに対する怒りが勝ったものか、その後の拒絶は怒りを交えた、より強い拒絶となったのだった。


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令和八(2026)年七月八日 最終更新