悪への勧誘
ショッカーを初めとする、悪の組織は(すべてがそうではないが)世界征服を目的とし、その障害となるものはすべて抹殺せんとした。勿論その目論見は仮面ライダーズとその仲間達に阻止された。
だが、もし悪の組織が世界征服に成功していれば、存命する者はその支配下にあることを応諾した者達で、組織には彼等を保護する義務が生じる。詰まる所、守護してくれる上層部と、守護される被支配民がいて組織及び社会は成り立つ。
となると、どんなに優秀な者がトップに立っても、一人ですべてを統べるのは無理である。それ以前に世界を征服する為には障害となる組織(ヒーローとのその仲間達、国家権力、警察組織、etc)を排除する必要があり、優秀な配下を必要とする。
実際、悪の組織は優秀な人員の確保に余念がなかった。仮面ライダー1号・本郷猛(藤岡弘)がショッカーに拉致され、改造人間手術を施されたのも、優れた能力を持つ彼をショッカーの手先とする為だったのは今更云うまでもないことである(←でも云っている)。
そのショッカーが世界的にも高名な科学者を拉致し、組織への協力を強要していたのは基本路線と云って良かったが、望む人材を確保するのは容易ではない。現実の一般企業に在ってさえ、頼りとする優秀な人材を退職・不慮の事故・失踪等で失い、組織のトップが臍を噛んだ例は枚挙に暇がない。
まして、「悪の秘密結社」となると、悪事への加担を拒む者も多い。それ故に悪の組織は望む人材に対し、その本人や家族の命に対する脅迫で服従を強要するということを頻繁に行った。だが、決して暴力的な手段だけではなかった。
悪の組織にも悪の組織なりの理想が(一応は)存在し、純粋にその理想に共鳴した者もいれば、組織によるバックアップを望んだ者もいた。単純に絶対服従を強いるだけなら脳改造をすればいいのだが、恐らくそれでは優秀な脳力も大きく損なわれると思われるので、悪の組織にしてみれば、洗脳であれ、契約であれ、共感であれ、優秀な人材が自らの意思で組織に協力してくれれば大いに歓迎するところだろう。
それゆえ、悪の組織は様々な手練手管を駆使して優秀な人材を組織に引き込まんとした。そしてその勧誘対象は時として、最大の敵である筈の仮面ライダーをも含んだ。
身も蓋もない云い方をすれば、当然の様にライダー及びその仲間達はそれを拒んだ。応じればストーリーが終わるから当然なのだが(笑)、例え失敗に終わると分かっていても、最大の敵を最強の仲間として迎えんとした発想、及びその為の好餌はなかなかに興味深い。
そこで本作は、決して応じて貰えない筈の、悪の組織によるヒーローへの勧誘と、その手段・交渉・材料を考察し、同時に現実世界においても諫言・好餌をもって悪の道に誘う輩への対処を為せれば、と念じる次第である。
第1頁 高木裕介……旧友に説く理想社会
第2頁 デストロン首領……和睦への仲介
第3頁 GOD総司令……マッド・サイエンティストへの道
第4頁 一つ目タイタン……利益と和睦と少しの我欲
第5頁 ゼネラル・モンスター……地球再生は本気か似非か?
第6頁 ドロリンゴ……せこい行動に似合わぬ大胆勧誘
第7頁 メガール将軍……丁重に接するのはどこまで?
第8頁 テラーマクロ……世にも珍しい養子縁組
第9頁 シャドームーン……旧知の誼に揺れかけた心
第10頁 ジャーク将軍……好餌と孤独
第11頁 クライシス皇帝……部下を激昂させた異例抜擢
第12頁 決して応じてはならない誘いと後悔
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令和八(2026)年七月八日 最終更新