第4頁 一つ目タイタン……利益と和睦と少しの我欲

勧誘者File.4
勧誘者一つ目タイタン(演:浜田晃)
交渉『仮面ライダーストロンガー』第13話
勧誘対象城茂
勧誘材料金銭・僅かな境遇一致


背景 第13話冒頭でブラックサタンの襲撃を受け、これを撃退した城茂(荒木しげる)は戦闘員の一人から、「タックルのお兄さんからの手紙」を預かっていると告げられた。
 仮面ライダーストロンガー・城茂のパートナー、電波人間タックル・岬ユリ子(岡田京子)には兄がいて、彼も妹同様ブラックサタンに囚われていた(というか、他にユリ子の過去は一切不明である)。

 単身、悪魔山に乗り込んだは、後から手紙を見て駆け付けたユリ子と共に奇っ械人エレキイカの襲撃を辛くも躱しながらとある洞窟内で倒れ込んでいたユリ子の兄・岬守(倉石功)と邂逅した。
 その後もブラックサタンによる追撃は執拗に続き、ようやくの想いで海岸に出るとそこにはブラックサタンへの大幹部・タイタン(浜田晃)が待ち受けていた。だが、タイタンの口から出たのは、「話がある。」という意外なものだった。


勧誘交渉 タイタンから、城茂及び岬ユリ子に対する「話」とは実にやんわりしたものだった。アイキャッチを挟んで、Bパートに入った時にが「断る!お前なんかと手が握れるか!」と拒絶していたので、詳細は不明だが、恐らくは和解を仄めかしたブラックサタンへの復帰養成と思われる。
 興味深いのは、悪の組織にありがちな服従を強いるものではなく、最終的には「ブラックサタンへの攻撃を中止して欲しい。」まで譲歩した休戦提案に等しかった。

 激昂するに対してタイタンは「そうムキになることはない。君もユリ子も守も、身が立つように大首領に取りなしてやろうと云ってるんだ。」とかなりやんわりと出た。
 続けて、「まあ突然のことで驚くだろうが、しかしそれほど突起なことではない。元々君もユリ子も改造人間だし、岬守だってしばらくはここにいたんだ。ブラックサタンの攻撃を止めてもらいたい。」とし、「金ならいくらでも出す。」とこれまたありがちながら、それだけにあり得そうな提案をした。

 勿論、親友沼田五郎の敵を討つ為に人間の体すら捨てた (←「悪と戦う為に改造人間になった。」としていた)が金で応じる筈なかった(←「馬鹿にするな!」と返していた)。が、この時のタイタンの話術は何処か人間臭くて、幾ばくかの説得力があった。

 まず、タイタンは上述の、「話がある。」とした直後に、「大変君にも有利な話だ。勿論私にも。」と続けていた。
 この「私にも」は味噌である。通常現実社会でも美味過ぎる話は信用されない。しかもそれが悪の組織から投げ掛けられたものとあっては。それ故、悪の組織が「互いの利益になる。」と投げ掛ければ下手な全面降伏よりは真実味を帯びる。

 そしてブラックサタンへの攻撃中止を要請したタイタンの説得はかなり本音を滲ませていた(勿論滲ませていただけでストロンガーへの殺意満々だったのだが(苦笑))。
 「金ならいくらでも出す。」が通じなかったタイタンは、「まあ、そう云うな。実は俺も大変困っている。」と切り出した。
というのも、ブラックサタン大首領からストロンガーを殺すように命じられたと告げ、これを「難しい話」として、その理由に「俺も命が惜しい。」と宣っていた。保身を滲ませるのは如何にも悪者らしく、ここにも幾ばくかの説得力があった。「仲間になれ。」なら反発もするが、「休戦」なら少しは勝手が異なる。
 岬守(偽物だったが)を保護したばかりだし、タックルの戦闘能力は明らかに奇っ械人に劣っている。一時的な休戦にが応じたとしてもおかしくないし、実際にデルザー軍団期には一部の改造魔人との一時休戦に応じたこともある(勿論ほんの一時だったが)。

 ともあれ、意外な弱音を見せるタイタンに対しは複雑な表情を見せた。
 金も、「改造人間」や「ブラックサタン」という僅かながら互いの共通項も、正直、達に対して然程旨い話とも思えないし、ブラックサタンへの敵意を放棄するのに決して充分な材料が投げ掛けられた訳でもない。だが、常に高圧的なタイタンが彼らしからぬ本音・弱きを滲ませた姿は、「話だけなら聞いてみようか。」と思わせた段階でストーリーに一種にスパイスをもたらしたと云えるだろう。


拒絶とその後 恐らく、タイタンは本気で城茂達が和睦や休戦に応じるとは思っていなかっただろうし、それが本音でもなかった。
 タイタンの目的はあくまでも仮面ライダーストロンガー抹殺にあり、岬守が既に故人で、彼が奇っ械人エレキイカの化けたものであるのに気付いていない内に同様や油断が誘えれば儲けものだったのだろう。

 結局、タイタンからの提案をフル却下。
 タイタンも早々に攻撃を再開し、エレキイカの正体もあっさりバレ、彼の身を犠牲にした砲撃も功を奏さなかった。結果的にタイタンの揺さぶりが何程の効果をもたらしたでもなかったが、開き直ったタイタンが「騙す奴が利口で、騙される奴が馬鹿なのだ!」という悪役としての理想的な台詞との対比からもストーリーを味のあるものにしたと云えよう。
 かかる悪役振りを見せたタイタンが終盤海中に投擲されただけで戦死した呆気なさはあり得たものでなく、百目タイタンとしての後の復活は必然だったと云えよう。




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令和八(2026)年五月一三日 最終更新