第5頁 ゼネラル・モンスター……地球再生は本気か似非か?
勧誘者File.5
勧誘者 ゼネラル・モンスター(演:堀田眞三) 交渉 『仮面ライダー(スカイライダー)』第2話 勧誘対象 筑波洋 勧誘材料 理想論
背景 『仮面ライダーストロンガー』の終了より3年6ヵ月振りに放映の始まった第二期シリーズ。その名も『仮面ライダー』で、初代と全く同じタイトルである(さすがに多くの場合『仮面ライダー(新)』、『仮面ライダー(スカイライダー)』と表記されるが)。
当然、そのストーリー、背景、設定は原点回帰を意識したもので、敵である悪の組織は「新しいショッカー」を意味する「ネオショッカー」で、初代幹部であるゼネラル・モンスター(堀田眞三)の隻眼とコスチュームはショッカーのゾル大佐を踏襲したものとしか思えない(「全然関係ないよ!」と本気で云う方は病院に行くことをお勧めする)。
だが、勿論全く同じではない(それなら新進気鋭俳優によるリメイクを行えば良い)。科学の力を用いた世界征服を目論んでいたのはこれまでの悪の組織とも共通するが、過去の組織はその過程で現住する地球人を皆殺し、または総奴隷化せんとしていた(場面場面で云っていることが微妙に異なるので完全な断言は避けたいが)。
そんなネオショッカーの目的が主人公・筑波洋(村上弘明)に対して直に語られたのがこの第2話だった。
勧誘交渉 ネオショッカーの求める人材・高森真一(石井茂樹)を巡り、彼を拉致せんとするクモンジンと、それを奪還したスカイライダー・筑波洋のせめぎ合いの中、クモンジンの奇襲で網に絡め捕られた洋の前に現れたゼネラル・モンスター。
上手く変身前の洋を拘束したことでそのまま行けばマンションの屋上から墜落死させることも可能という、結構なチャンス(まあ、後々の展開を見ればどの道セイリング・ジャンプで逃げられただろうけれど(苦笑))にゼネラル・モンスターが待ったを掛けたのは、洋にネオショッカーなりの大義を説き、あわよくばネオショッカーに改造された身である彼を仲間にせんとの意図があってのことだった。
洋を自分に任せろ、としてクモンジンに高森再捕獲を命じてその場を去らせたゼネラル・モンスターは、洋を「筑波君」と呼び、「心を入れ替えてネオショッカーの仲間にならないか?」と投げ掛けた。
洋が「影の組織などまっぴらだ!」としたのに対し、その「影の組織」に入ることで生き延びることが可能、と説いた。
ここで洋はネオショッカーの目的を問うた訳だが、それに対するゼネラル・モンスターの回答は、人口爆発による地球全滅を回避するため、地球人口の内、優れた1/3が生き残り、残る2/3は抹殺すると云う、ある種の選民思想だった。
つまりは、ネオショッカーはネオショッカーなりに地球の行く末を憂い、(事の是非はどうあれ)その為に優れた者が生き延びるべしとし、その一員に洋も加えんとの勧誘だった。
拒絶とその後 正直、このゼネラル・モンスターによる勧誘は高圧的且つ一方的で、交渉としてもかなり乱暴で、余程意志の弱い者でないと応じそうにない御粗末なものだった。ただ、興味深いのは、の筑波洋への「好意」である。
特撮の世界において、後の時代程敵味方を越えた敬意が存在するのは珍しい話ではない。そもそも『仮面ライダー』第1話からして本郷猛をショッカーに加えんとして始まっている。
この『仮面ライダー(スカイライダー)』の第1話でも、自分を守って重体に陥った洋を延命させる為の改造手術を志度敬太郎博士(田畑孝)が求めた際、ガメレオジンが「俺の一存では決められん。」と答えたのに「許可しよう。」としたのはゼネラル・モンスターだった。
実際、この時の勧誘が当然の様に洋に拒絶された際も、「儂の好意を無にするとは。」として残念がり、せめて自分の手で抹殺することをある種の情けの様に匂わせていた。
少々意味合いは異なるが、第17話で洋を拘束した際にも、「もうお前は俺のものだ!」と取り様によっては些かアブナい台詞(苦笑)を口にしていた。
このことから、人材としての筑波洋にかなりの興味・好意を抱き、本気でネオショッカーに加えたいと思っていたのではないかと思われる。
さて、勧誘そのものはにべもなく断られた。すべての人々の生きる権利を大事と考える洋、しかも前話でハングライダー部の仲間を殺され、後々には両親も殺されていた彼がネオショッカーの仲間入りなどあり得ない話だった。
ただ、興味深いのは、この第2話からしばしの間、洋はネオショッカーを拒絶しつつも、「自分たちなりの大義を持つ組織」としての側面をある程度認めていた感がある、とシルバータイタンは見ている。
一貫してネオショッカーを不倶戴天の敵として戦い続けた洋だったが、第5話では女子供に容赦しないネオショッカーに対して、「ネオショッカーの名が泣くな。」と呼び掛け、第17話で約束を反故にして汚い手を使ったゼネラル・モンスターに対して、「貴様、恥ずかしくはないのか?!」との痛罵も浴びせていた。敵ではあっても、相手が誇りを持っていること自体は尊重しようと云う意図があったと見える。
そして、そのある種の敬意はゼネラル・モンスターの戦死とともに雲散霧消したらしい。ゼネラル・モンスター以上に残忍で、卑怯な手を全く厭わない魔神提督(中庸助)率いるネオショッカーに対しては、「貴様等、人間の敵だ!」と痛罵する様になり、対峙した魔神提督に対して「貴様こそ、今この場で息の根を止めてやる!」と殺意まで露わにしていた。
「共産主義は性に合わないが、信念の有る奴は好きだぜ。」とは、『天下無双江田島平八伝』における江田島平八の台詞である。不倶戴天の敵で、例え殺し合うことが避けられない相手でも、心からの理想を持つことに対する敬意は人として失いたくいないことを、筑波洋とゼネラル・モンスターの僅かなやり取りの中にも確かに伺えることを改めて述べておきたい。そしてそれが失われた時こそが対人関係の本当の終わりであることも。
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令和八(2026)年六月一五日 最終更新