10.カセットゴウモル………丸でデストロン怪人?

登場『仮面ライダースーパー1』第19話
所属組織ドグマ王国
人間体無し
死因スーパーライダー月面キック
注目点チョロに翻弄される。
概要 闇の王国ドグマの優秀な臣民候補を集め、洗脳を含む教育を施すのがカセットゴウモルの役目だった。
 そもそも、ネオショッカーに始まるB26暗黒星雲出身の悪の組織は、ショッカー〜デルザーまでの先代組織に比べると、「例え地球人でも優秀な人間には生きる権利がある。」と考える傾向が強い。
 それゆえ、この第19話ではドクマをもじった「DGM学習塾」なる塾を開校し、優秀な小学生を招集し、塾教育の態で洗脳教育を施さんとした。

 仮面ライダースーパー1・沖和也(高杉俊介)の仲間である草波良(早川勝也)は入塾テスト(ヘッドフォンで強力音波にて知識や価値観を強引に植え付けるもの)に耐え切れず、不合格となったが、合格した同級生・松原ミツル(大栗清史)は小学生にして積分を解き、英会話までマスターしていた。
 つまりドグマにとって、純粋無垢な少年少女に優秀な学力とドグマ王国への忠誠を持つ人材として育て上げる一石二鳥な作戦だったが、学力が上がるだけならまだしも、ドグマカラーに染まることで徐々に感情も表情も消え、友人に話しかけられても黙殺するようになる変貌を遂げては、怪しまれない筈がなかった。

 ミツルの異常を察知した周囲は彼を入院させたのだが、ミツルはカセットゴウモルの呼び掛けに応じて病室を抜け出し、DGM学習塾に向かった。
 そのミツルの見張りを依頼されていたチョロ(佐藤輝昭)は必死に止めんとしたが、ミツルはこれをガン無視してDGM学習塾に向かったため、チョロはなし崩し的にDGM学習塾に潜入し、これによりストーリーはかなりコミカルな展開を見せた(笑)。

 勿論、チョロは小学生の振りをしたのだが、露骨にカセットゴウモルに怪しまれた(笑)。
 「随分老けてるな…。」と訝しがるカセットゴウモルに「いえ、12歳です!」と答えたチョロの作中設定年齢は不明だが、喫煙しているシーンもあったことから20歳は越えており、放映当時の佐藤輝昭氏の実年齢は26歳だった(笑)。
 その一言で、あっさり詰問を止めたカセットゴウモルカセットゴウモルだが(苦笑)、洗脳教育がその場にいた候補性を襲う中、チョロは戸惑いながらも都合よく所持していたアイテムの数々(耳栓や『決定版!日本の盆踊り』のカセットテープ)で期せずしてカセットゴウモルやドグマファイター達を翻弄した(洗脳カセットを盆踊りのカセットとすり替えたことで教室が盆踊りの場と化したのシーンは、阿呆らしくも、微笑ましかった(笑))。

 結局、より強力な洗脳音波の前に耳栓が外れたことでチョロもそれ以上の音波に耐え切れずに気絶。全員が教育不適格者として処分されることになったが、一連の活躍(?)は充分な時間稼ぎになり、カセットゴウモルは駆け付けたスーパー1との戦闘になるも、多少の抵抗を展開しただけで然して優位にも立てず、スーパーライダー月面キックの前に絶命した。



コウモリらしさ 正直云って、余り無い。改造人間としての能力はラジカセによる洗脳能力の方が明らかに重んじられていた(任務的にも、ストーリー的にも)。
 仮面ライダースーパー1との戦闘においても破壊音波を発信するという攻撃手段を用いており、エレキハンドによってそれを逆手に取られ、敗色濃厚となった際に翼を飛ばしたのが、その翼も正面から見た際に、片からほんの少し出ている程度の大きさで、スーパー1に簡単に投げ返された。

 まあ、拡大解釈するなら、コウモリの持つ超音波能力を拡大して、様々な効果を駆使したのがコウモリらしさと云えなくもない。勿論、実在のコウモリが持つ超音波はここまで多彩ではないのだが。



注目点 何ともドグマ怪人らしくない奴で、同組織のツタデンマと並んで丸でデストロン怪人みたいな奴である。
 また、カセットゴウモルには悪いが、ストーリーとしての見所は完全にチョロに持っていかれたと云えよう。殊に洗脳カセットをチョロに盆踊りのカセットにすり替えられてドグマファイターとともに盆踊りを踊っていたシーンは、ストーリーとしては面白かったが、ドグマ怪人としては恥ずべき間抜けなシーンだったことだろう。

 『仮面ライダースーパー1』という作品は、概して前半のドグマ編がシリアス、後半のジンドグマ編がコミカルな傾向が強く、(ドグマ編が好評だった故に)両者のギャップによりジンドグマ編のコミカル傾向が酷評されがちだが、ドグマ編にもコミカル・エッセンスがあったことを無視してはならないと思う(勿論、ジンドグマ編にもシリアル・エッセンスは少なくなかった)。

 う〜ん………色々書いたが、コウモリ怪人としてのカセットゴウモルは然して重要性を見せていないな(苦笑)。



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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新