13.闇の翼ダークウイング………準主役のパートナー

登場『仮面ライダー龍騎』ほぼ全話
所属組織(?)ミラーワールド
人間体無し(仮面ライダーナイト・秋山蓮と契約)
死因
注目点長期登場による数々の能力発揮
概要 ミラーワールドに生息するミラーモンスターの一種である。

 少し話は逸れるが、本作のタイトルが「注目のコウモリ型改造人」である。だが、仮面ライダーシリーズに出て来る敵キャラはすべてが「改造人間」という訳ではない。殊に平成仮面ライダーシリーズでは(敵味方を問わず)「改造人間」自体が稀有な存在となっている。
 となると、前頁のズ・ゴオマ・グの所属するグロンギ怪人は魔石・ゲブロンを体内に埋め込むことで人類を遥かに凌駕する身体能力を発揮することからも、まだ「改造人間」の範疇に含められなくはないが、このダークウイング以降のキャラクターは、改造人間は元より、「怪人」とも云い難く、果たして本作の対象に含めていいものかどうか………ま、いいか(苦笑)。

 ともあれ、ミラーモンスターとは、『仮面ライダー龍騎』の世界にて神崎士郎(菊地謙三郎)によって作られた、鏡の世界=ミラーワールドに生息するモンスターである(←英単語、そのまんまやね)。
 平成ライダーシリーズの前2作(『仮面ライダークウガ』『仮面ライダーアギト』)にて警察関係者が頻繁に敵と干戈を交えていたのに対し、『仮面ライダー龍騎』では戦いの場は殆どがミラーワールド内の為、警察や一般人の関与は前2作よりはかなり限定的である。
 しかしながら、ミラーモンスターは他者の生命力を接触して生きる生態上、人間を捕食する存在でもあり、一般ピープルからすれば突如鏡の中から襲い掛かる恐るべき存在である。
 例外的に契約を結ぶことでアドベントカードを持つ者の力となり、アドベントカードを持つ者=仮面ライダーはミラーモンスターの食糧を提供する為に戦い続けることになる。勿論、契約と無縁のミラーモンスターも数多く存在(と云うか、大半は未契約)し、それらは危険な怪物でしかなかった(実際、物語の始まりは一般ピープルの連続失踪事件で、それはミラーモンスターによる食害の犠牲になったものだった)。

 そして主人公の城戸真司(須賀貴匡)が無双龍ドラグレッダーと契約して仮面ライダー龍騎となったのよりも先に、秋山蓮(松田悟志)と契約し、彼が仮面ライダーナイトとして活躍するのに助力したミラーモンスターが闇の翼ダークウイングである。
 蓮との馴れ初め(?)は、ダークウイングが蓮の恋人・小川恵理(つぶらまひる)を食らわんとしたものだった。
 それというのも、神崎がダークウイングを実験で現実世界に召喚し、恵理に超音波を浴びせたことによるもので、蓮は恵理を守る為に不本意ながら神崎から渡されたデッキをもってダークウイングと契約する破目になった。
 そんな経緯から、恵理の意識を取り戻すことを戦いの目的とした蓮は本来の正義感や優しさを封印し、ダークウイングダークウイングで蓮の力となりつつも、機会あらば恵理を食らわんとする意思を保持し続けたため、両者は契約を重んじつつも、互いに心許さない間柄だった。

 ただ、秋山蓮自身が、城戸真司との関係でもそうだったように、目的上冷たく振る舞っても本来は正義感の強い優しい人物だったため、ダークウイングとの間にもいつのまにか信頼関係が成立していたようで、名前を呼ばれただけで召喚に応じたこともあった。

 最終的にライダーバトルの覇者となったのは秋山蓮で、蓮は恵理の蘇生に成功したが、直後に力尽きて息を引き取った……と書き切るには語弊があるのだが、『仮面ライダー龍騎』のラストって断言しにくいんだよなぁ………。
 というのも、神崎が妹・優衣(杉山彩乃)の説得を容れ、ミラーワールド自体が消滅し、話自体が無かったことになったからで、となるとミラーワールド及びダークウイングを含むミラーモンスターのその後は動向を含め委細が不明となった。
 しかしそうなると、龍騎が登場した>『仮面ライダーディケイド』『仮面ライダージオウ』で出て来たミラーワールドはどうなっているんだろう?(苦笑)。



コウモリらしさ 名前の通り、闇色の翼を持つコウモリ型ミラーモンスターで、飛行能力に優れている。
 仮面ライダーナイトに協力する際も、その背中から合体し、ナイトに他のライダーの多くが持たない飛行能力を与える。

 超音波や飛行能力を駆使するのは現実のコウモリと同じだが、常に他者を襲って食らい続ける生態ゆえか、その能力はより攻撃的に駆使される。
 超音波攻撃には人間に致命傷を与え、翼は斬撃にも使われる。ナイトの成長に伴い、サバイブの力でパワーアップした疾風の翼ダークレイダーともなり、バイクモードとモンスターモードの二形態を取るが、ナイトとは合体しない。それゆえ、モンスターモードは進化したコウモリとしてナイトと共闘していると取れなくもない。



注目点 何と云っても、本来なら人類の敵である怪獣に等しい存在が、準主役のパートナーとなったことにある。
 前述した様に、仮面ライダーとの契約が無ければ、ミラーモンスターは人類にとって突如鏡の中から食い殺しに襲い掛かって来る危険極まりない存在でしかない。
 またミラーモンスターの多くは仮面ライダーと契約することもなく、障害として排除されたり、契約モンスターの食糧として狩られたりする対象で、惨めな存在と取れなくもない。

 実際、一回限りの登場で終わった者も多く、契約者が死亡した後に他の仮面ライダーと再契約した者もいれば、ボルキャンサーの様に、契約者を食ってしまった者もいて、ヒューマノイド型でもない怪獣然とした姿からもヒーローには程遠い存在でもある。
 しかしながら、そんな中にあってダークウイングは作品の準主役ともいえる仮面ライダーナイト・秋山蓮のパートナーとなったことで活躍するシーンも多く、頻繁に高速で飛行する姿の多さも人気を博することとなった。

 また、ミラーワールド自体が創られた世界で、ミラーモンスターはモデルとなった動物からいくら離れてもおかしくない存在ゆえ、長期登場はダークウイングに数々の魅力を与えた。
 実際、ダークウイングは只飛んだり、超音波を発したりするだけでなく、相手の特性を探知・分析する能力を備え、モンスターモードでは全身から光刃を放ち、ナイトサバイブを乗せながら飛行しての空中戦も行った。
 コウモリの両翼を見事に変化させたバイクモードは、13人も現れたことで雑多さが批判され易い同作品にあって、仮面ライダーナイトの「仮面ライダー」としての存在感を強めたといえる。

 勿論、ダークウイング以外でも、ドラグレッダー(龍騎と契約)、マグナギガ(ゾルダと契約)、ベノスネーカー(王蛇と契約)と云ったミラーモンスター達も数々の異能を発揮し、物語に花を添えた。そのことからしても長期間登場はキャラクターの魅力を発揮する上でも重要であることが改めて分かる。
 コウモリ型改造人間の長期登場ではゴルゴムのコウモリ怪人の方が先達だが、置かれた立場的にダークウイングは物凄く恵まれていたと云えよう。


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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新