2.ガニコウモル………新組織の恐ろしさを具現化

登場『仮面ライダー』第78話〜第80話
所属組織ゲルショッカー
人間体無し
死因体当たり
注目点ショッカー末期よりの暗躍。幾多の強力ショッカー怪人を破ったライダーきりもみシュートも通じず。
概要 ショッカーの首領がショッカーを見限り、密かにアフリカのゲルダム団と組んで再編成した組織・ゲルショッカーの改造人間第1号で、名前の通り、カニとコウモリの合成改造人間である。
 何故「カニ」が濁ったり、「コウモル」と文字ったりするかは不明(苦笑)。

 その正体がはっきりしたのはゲルショッカーが登場した第80話でのこと。初登場の第78話では地獄大使(潮健児)もその正体を知らない謎の存在で、第79話ラストでもショッカーに続く新組織の一員であることが仄めかされた程度だった。

 第78話にて、地獄大使はウニドグマによるとある漁村の占領計画を仮面ライダー1号が邪魔せんとしているのを察知した。仮面ライダーをどうすべきかと思案していたところ、首領は「仮面ライダーは来ん。」として、構わず作戦を続行するよう命じた。
 実際、仮面ライダー1号はガニコウモルの迎撃を受け、これによってライダーが倒されるか、撤退するかしていれば、地獄大使に告げた様に「仮面ライダーは来ん。」が現実となり、地獄大使とウニドグマの計画は成功していたと思われるが、ガニコウモルは前哨戦程度で途中にて飛び去り、ウニドグマは駆け付けた仮面ライダー1号によって倒され、作戦は瓦解した。

 直後、首領が「来ない」と明言した筈の仮面ライダー1号が来て作戦が瓦解したことに納得いかない地獄大使はその旨を首領に問おうとしたが、首領は逆ギレ(苦笑)。質問に答えるどころか、モニターに映っている怪人(=ガニコウモル)を知っているのか?と詰問した。
 知っているも、知らないも、ガニコウモルは密かに結成されたゲルショッカーの怪人だったので、当然その存在を知らない地獄大使はショッカーの最高幹部である自分の知らない怪人が動いていることに愕然とした。

 そして続く第79話冒頭にて、ショッカー怪人ガラガランダによって貯水池に猛毒が放り込まれる筈だった作戦が駆け付けた仮面ライダー1号によって阻止された。作戦機密を仮面ライダー1号に伝えたのは地獄大使で、地獄大使は首領が自分を信じていないことに怒りを覚え、ショッカーを裏切ることを決意し、それが為に彼は処刑されることになった。

 裏切り者地獄大使の死刑執行に対し、何故か地獄大使は本郷猛の立ち合いを求め、首領もそれを了承した。一方、立ち合いを求められた本郷は怪しさ満載のこの招待に応じた。というのも、ガラガランダの作戦を伝えて来たのは地獄大使ではないか?と見ており、もしそうなら地獄大使を死なせるわけにはいかず、今後の対ショッカー戦の為にも地獄大使を助けて協力させるべきと考えたからである。

 かくして本郷猛と滝和也(千葉治郎)はショッカーの指定した晴海埠頭に赴き、死刑執行寸前の地獄大使を救出した。勿論首領は逃げた本郷と地獄大使の捕縛を命じ、本郷が戦闘員達を迎撃する中、滝が地獄大使を連れて逃げた。
 勿論、戦闘員如きがライダー1号に抗し得る筈が無く、全員を蹴散らしたライダー1号が引き揚げにかかったところを急襲して来たのはまたもガニコウモルだった。だが、今度もまた決着をつけることなく、中途にてガニコウモルは飛び去った。

 その後、ライダー隊本部に保護された地獄大使は、自分の知らない改造人間が暗躍していることから、世界征服という大目標に供に向かっている筈の首領が自分を信頼していないことに失望した故、ショッカーを裏切ったことを吐露。
 この証言でガニコウモルの正体は依然不明であることが判明した。そこでライダー隊本部は次の標的をガラガランダに切り替え、地獄大使はガラガランダの生態について語り………………って、この時の地獄大使のショッカー裏切りが茶番で、ガラガランダこそが地獄大使だったのは、この様なサイトを見て下さる方々には説明不要なので、話をガニコウモルに絞りますね(笑)。

 話の終盤、仮面ライダー1号・本郷猛とガラガランダ・地獄大使によるショッカーの改造人間同士による最後の戦いは仮面ライダー1号に軍配が上がり、地獄大使は捨て台詞と軍団礼賛を叫んで最期を遂げた。
 直後、ショッカー首領の声がその場に響き、ショッカーは新たな組織として再編成されることが告げられた。その声に一抹の不安の抱えながら一行が砂丘を後にするのを密かに見送っていたガニコウモルは遂に自分達の時代が来たことに仮面ライダー1号への戦意を燃やすのだった。

 そして第80話。ついにガニコウモルは表立って活動し始めた。その主な任務は、

●前組織であるショッカーの残滓抹消(戦闘員の1人に至るまで)。
●ゲルダム・ショッカー新結成の宣言(敵味方に対して)。
●大幹部ブラック将軍の護衛と仮面ライダー1号の抹殺。

 であった。
 ただでさえ、改造人間の戦死と共に作戦そのものを中止するほど悪の組織は過去を振り返らない(笑)。前組織であるショッカーの痕跡は一切残さないとばかりに、ショッカーの戦闘員をガニコウモル自ら皆殺しにしただけでなく、新組織の手掛かりを求めて立花藤兵衛(小林昭二)が持ち去った戦闘員の死体すら消す始末だった(余談だが、続く第81話でもゲルショッカーはショッカーの科学者陣を皆殺しにせんとした)が、これはアジトを掴まんとする本郷の罠で、猿島にて行われたゲルショッカー結成式は早くも仮面ライダー1号の乱入を許した(苦笑)。

 乱入自体は立花藤兵衛に化けたブラック将軍(丹羽又三郎)を人質に見せかけた作戦が功を奏して本郷と滝を牢獄に閉じ込めることに成功したが、当然と云おうか、必然と云おうか、牢は破られ、ガニコウモルは仮面ライダー1号と対峙した。
 そしてこの第80話は、新組織としてのゲルショッカーの恐ろしさを印象付ける目的もあってか、背景からしてゲルショッカー優遇傾向があった。
戦闘員からして滝に「強い!ショッカーの戦闘員なんか比べ物にならない!」と云わしめる程(勿論この「強い」は短期間で消滅(笑))で、ガニコウモル自身、仮面ライダー1号と互角に渡り合った。

 圧巻は、カミキリキッド、ギリザメス、イカデビルといった名立たる怪人を倒し、後々にはクラゲウルフやエイドクガーと云ったゲルショッカー怪人を倒す力を充分に持っていたライダーきりもみシュートが通じなかったことだろう。
 ライダーきりもみシュートは死神博士(天本英世)の正体で、ライダーキックをも破ったイカデビルをも倒した、ライダーの必殺技の中でも強力な存在で、これに倒されなかったのは特筆に値する。

 結局、仮面ライダー1号は捨身の体当たりを敢行し、ガニコウモルはこの激突を受けて火の玉となって猿島沖に没した。
 これを見ていた滝は「仮面ライダーがやられた!」と叫び、続く第81話の前半において、少年ライダー隊本部は仮面ライダー1号が死んだものと思い込んでいた。
 勿論生きていたのだが(笑)、生還が確認された際の証言からも、本郷が病院での治療とその間の潜伏を余儀なくされていたのだから、ガニコウモルのライダー打倒は成らじとはいえ、善戦した上、第1号怪人として「新組織の手強さを印象付ける」という番組上の役割は充分に果たしたと云えよう。



コウモリらしさ 何と云っても飛行能力である。直接的な攻撃は左手の蟹バサミを駆使し、超音波発信や吸血攻撃と云ったコウモリ特有の能力は見せず、活動時間が昼間ばかりというのもあまりコウモリらしさを感じさせなかったが、飛行能力は文句のつけようがなかった。

 前述した様にガニコウモルライダーきりもみシュートをもってしても仕留めること能わなかったが、それもぶん投げられた直後に宙返りを行ことで地面への激突を回避した故である。

 単純に見えるが、これは凄い事である。

 そもそもライダーきりもみシュートはライダーが空中で体勢を反転させた改造人間に錐揉み回転を加え、地面に激突させることで倒す技なのだが、錐揉み回転は標的の体周りに真空状態を作り出すという強烈な回転で、この強烈さと、真空状態によって相手は受け身が取れず、脳天から強烈に地面に叩き付けられることで致命傷を負うのである。
 それを考えると、ガニコウモルは錐揉み回転から生まれる真空状態に抗し得る耐久力を持つか、錐揉み回転を加えられて尚、即座に正常飛行に戻るだけの飛行能力を備えているか、ということになる。
 ライダーが苦戦したのもむべなるかなである。



注目点 ゲルショッカー第1号怪人として蜘蛛男に並ぶ知名度を持つガニコウモル
 その能力や行動については上述した通りである。そこで敢えて注目したいのは、再生怪人としてのガニコウモルである。

 一般に、仮面ライダーシリーズの再生怪人の評価は高くない。相当名の有る改造人間でも再登場時には有象無象になり下がることは少なくなく、「雑魚」や「戦闘員並み」との酷評が囁かれることも多い。
 ガニコウモルも例外ではなく、第97話にてヒルカメレオンによって甦らされた折には仮面ライダー1号によってロープウェイから叩き落され、生前(?)抜群の冴えを見せた飛行能力すら発揮出来ず墜死した
 滝にも、「あっさりやられた。」と述べられていたが、よくよく見ると、ガニコウモルは生前と似た動きを密かに見せている。

 箇条書きにすると、
●再生怪人としても第1号である。
●ブラック将軍に変装しており、ブラック将軍絡みで本郷・滝を嵌めようとした。
●戦闘そのものは秒殺されたに等しかったが、この時の戦闘データが終盤本郷猛を変身不能に陥れた(変身途中の0.5秒間が全くの無力であることが判明)。

 こうしてみると、戦闘能力こそは弱化していたが、様々な意味で嫌な存在であってはくれた。
 その後、平成に入ってから劇場版にてショッカー・ゲルショッカーの一員として登場していたが、圧巻は何と云っても劇場版『仮面ライダー1号』であろう。

 同作品において、ショッカーは著しく弱体化していた。正確には旧体然としていたショッカーに見切りをつけた者達が別途に経済力・政治力を重視した新組織ノヴァショッカーを立ち上げ、構成員の多くがそちらに移籍していた。
 ショッカーに残ったのは毒トカゲ男・シオマネキングそしてガニコウモルの3体のみで、地獄大使(大杉漣)復活を唯一つの頼りとしていたのが憐れさを誘っていたが、作品終盤まで何故3体の内1体がガニコウモルだったのかシルバータイタンには不可解だった。
 毒トカゲ男も、シオマネキングも元々地獄大使の直属だったが、ガニコウモルは地獄大使の部下どころか、敵に等しい存在である(地獄大使戦死後の、ショッカー残党達=地獄大使の旧臣達は上述した様にガニコウモルの手にかかっている)。

 まあ、ショッカー・ゲルショッカーの首領が同一人物(?)であることを考えれば、ゲルショッカー怪人がショッカー大幹部の下にいても然程不思議ではないが、それでもカミキリキッドやアブゴメスの方がまだしっくりくると思っていた。
 だが、土壇場で大いに納得した(注:『仮面ライダー1号』未見の方はここから先を読まないで下さい(笑))。

 詰まる所、ガニコウモルはショッカーを見限り、ノヴァショッカーに通じ、最後の最後に地獄大使に反旗を翻したのである。
 細かいこと云えば、生前(?)のガニコウモルは元々ゲルショッカーの一員で、地獄大使に仕えたことはないから、裏切りを繰り返した訳ではないが、ショッカーの最期に関わろうとしたという意味では、「歴史を繰り返し」たと云える

 童話の世界で、都合に応じて動物についたり、鳥についたりし、どっちつかずの代名詞となったコウモリ。或る意味、ショッカー・ゲルショッカー間で妙な関わり方をしたのがガニコウモルのコウモリたる所以と云えようか?


次頁へ
前頁へ戻る
冒頭へ戻る
特撮房へ戻る

令和三(2021)年六月一〇日 最終更新