4.バーナーコウモリ………人間体の方が不気味(笑)

登場『仮面ライダーV3』第15話
所属組織デストロン
人間体怪しい男(中田博久)。ガランダー帝国のゼロ大帝にそっくり(笑)。
死因 V3逆ダブルタイフーン
注目点人間体の怪演
概要 新任のデストロン日本支部大幹部ドクトルG(仙波丈太郎)に率いられた改造人間の第2号である。
 名前の通り、コウモリとバーナーの機械合成改造人間で、その任務は仮面ライダーV3の追撃・抹殺である。
 バーナーコウモリが登場する前の週に、仮面ライダーV3はガマボイラーの噴出液を浴び、脱力状態に陥らされていた(ガマボイラー自身はその能力を使ったことで体力が尽きて死亡)。その状態でドクトルGと邂逅したV3はいい様にいたぶられた果てに滝つぼに転落した。

 バーナーコウモリはその追撃を命じられていた。また派生的な任務として、デストロンを脱走した岡島博士(有馬昌彦)の抹殺と、V3死の弱点の探索もあったが、これらは基本、弱り切ったV3を抹殺出来れば枝葉末節に過ぎないことだった。

 V3が滝つぼに転落し、逃れた場所は山林の中で、そこには前述の岡島博士と一人娘の岡島珠美(泉陽子)が暮らしていた。
 気絶していた風見志郎(宮内洋)は珠美に発見され、父娘の住まう山小屋に保護されたが、そこにバーナーコウモリと戦闘員達の探索の手が迫っていた。
 標的のV3を見つけるまでは出くわす人に怪しまれてはならないと思ったものか、バーナーコウモリは人間体でV3の行方を追い、山中で唯一人であった珠美を露骨に怪しんだ。その怪しむ姿と、にじり寄るような姿勢、某ガランダー帝国の王者にそっくりな人相(笑)は見るからに怪しく、男は男が珠美を怪しむ以上に珠美に怪しまれた(笑)。
 何せ様々な書籍やサイトにおける同番組第15話のキャスト紹介でもバーナーコウモリの人間体は「怪しい男(バーナーコウモリ) 中田博久」と紹介されている(笑)程だ。
 もっとも、(ライダーファンに云うまでもないとは思うのだが)これは中田氏の怪演技量の高さで、数々のドラマで悪役を演じる中田氏だが、善玉役をさせたときには威厳ある真摯な役どころも決して少なくなく、ライダーシリーズにしてから『仮面ライダー』にて一文字隼人の親友・小池博士役、『仮面ライダー(スカイライダー)』にて筑波洋の空手の師匠・三好良一を演じた好例を忘れられないファンも多いことだろう。

 ともあれ、やがてバーナーコウモリは風見が山小屋に保護されており、そこにデストロンの脱走者まで潜んでいることを突き止め、V3との一騎打ちとなった。
 だが、バーナーコウモリは劣勢を強いられた。どうもバーナーコウモリは戦闘よりも探索の方が得意な様で、V3抹殺に際してもV3がガマボイラーの粘液で弱っていることを期待していた節が見られ、粘液の効果がもはや持続していないことを知ると撤収した。

 だが、任務は任務。悪役特有の人質作戦を試みんとして、風見に頼まれて彼の行方を探す立花藤兵衛・珠茂(川口英樹)に繋ぎを付けんとして山小屋を出た珠美を襲おうとしたが、岡島の猟銃による銃撃を受けて再度撤収した。
 悪の改造人間たる者が猟銃ごときの銃撃に撤収したことでバーナーコウモリを激弱と見る向きもあるが、これにはちゃんと裏付けがある(詳細後述)。ともあれ、最終的にバーナーコウモリは岡島の案内を受けて秘密の隠された洞窟に風見と岡島が入り込んだところに洞窟を崩して2人を生き埋めにせんとしたが、風見はこれを逃れた。

 最後はV3が一か八かの賭けとして発動したV3逆ダブルタイフーンに巻き込まれ、岡島を埋めていた岩石の瓦礫を逆に返され、その中に埋め込まれ、爆死して果てた。



コウモリらしさ バーナーコウモリの持つコウモリらしさは逆さ吊りとなる行動パターンにあった。
 コウモリの持つ吸血や超音波発信を行うべき口はバーナーとなって火炎を吐くのが主任務となっており、それゆえコウモリらしさは羽根を駆使しての飛翔力が担った訳だが、対仮面ライダーV3の追跡・決戦の場となったのは木々が乱立する山中だった故に、バーナーコウモリは度々人間体でも怪人体でも木の枝にぶら下がって珠美の前に立ちはだかった。

 ただ、この身体能力をはっきり云って悪い面に作用こそすれ、上手く活かされはしなかった。本来なら木々の乱立する山中にて、戦うにしても逃げるにしても早さの殺される悪条件の中、木々の間を飛び回り、先回りして枝からぶら下がることで威圧効果もある長所として生きる筈だったのだろうけれど、逆さ吊りという体勢は猟銃で撃たれたことで完全に裏目に出た。
 要するに、ただでさえ頭に血の上る体勢は、猟銃で受けた腕の傷を悪化させ、ぶら下がり続けることすら苦痛にしてしまった。



注目点 結果として然して強くなく、妙な弱点まで露呈したバーナーコウモリだったが、迫りくる追跡者としての不気味さ、林間を次々飛び移る執拗さという意味では任務と素体を忠実に示しており、デストロン怪人の中でも存在感は強い方だろう。

 只の、仮面ライダーV3抹殺命令なら正直、バーナーコウモリはここまで光らなかっただろう。大幹部ドクトルG初登場に絡むストーリー展開(日本上陸から3話も話が続いていた)、改造人間以上の不気味さを見事に具現化する演者(←勿論中田氏のことだ)、重症からの逃走と追跡といういつもと異なった流れ………戦闘に強くなく、バーナーが有効に活きずとも、バーナーコウモリが置かれたポジションは有象無象の悪役改造人間の中ではかなり恵まれたもので、単体として然して有能でなくても、ストーリーがしっかりしていれば充分存在感を示せるという好例をバーナーコウモリとこの第15話が示してくれている、と云うのは過言だろうか?


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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新