6.コウモリフランケン………「最強」の割には………

登場劇場版『五人ライダー対キングダーク』
所属組織 GOD悪人軍団
人間体無し
死因Xライダースーパーファイブキック
注目点 Xライダーの全データを詳細に調べ上げた上での改造人間。
概要 劇場版『五人ライダー対キングダーク』にてGOD悪人軍団の一人として、再生怪人軍団(時期上、構成員の大半は神話怪人)のリーダー的存在として仮面ライダーXを初めとする5人ライダーと戦った。

 一応、作中にてGODは東京の水という水を枯らしてしまう「東京カラカラ作戦」なる作戦を立案していたが、そちらはほとんど顧みられず、再生怪人達の行動も、Xライダーを上回る改造人間=コウモリフランケン製造に即したもの(データ・原材料収集)になっていた。

 ジンギスカンコンドルとガマゴエモンとの戦闘データに加え、雷のエネルギーを得て、すべての能力でXライダーを上回る(筈)の改造人間としてコウモリフランケンは誕生した。
 その過程において、ニューヨーク、パリ、モスクワ、タヒチから仮面ライダー1号、2号、V3、ライダーマンが次々と日本に帰国してGODの活動を妨害し、改造を完了したコウモリフランケンは再生怪人軍団を率いて五人ライダーと対峙したが、「戦闘員並み」とまで揶揄される再生怪人軍団は見事に五人ライダーの敵ではなく(苦笑)、生前(?)Xライダーを苦戦させたアトラスやクロノス、ケルベロスすらライダーマン(←しかもアタッチメント不使用)にすら抗し得ず、次々とダウン状態でその体を一か所に積み上げられていった。

 結局、Xライダーどころか、いきなり五人ライダーと対峙することになったコウモリフランケンは能力を発揮する以前に半ば戦意を喪失しており、Xキックの前に逃走にかからんとするも四人ライダーの挟み撃ちに遭い、1号のライダーキック、2号のライダー2号キックの連打に羽根をもがれ、五人ライダーによるXライダースーパーファイブキックの前に敗れ去り、事前に山積みにされていた再生佳人軍団の中に倒れ込むと、まとめて爆死した。

 尚、ラスボスクラスの存在を除けば、コウモリフランケンはファイブプラトンという最も数の多いライダーによる集合技で倒された存在になる(これ以外では原始タイガーのスリープラトン=ライダートリプルパワーが最多で、ヒルビランは8人ライダーの攻撃を受けたが、波状攻撃で、グランザイラスは10人ライダーによる一斉パンチ攻撃を弾き返した)



コウモリらしさ GOD悪人軍団は、史上数多くの人々の血を流した侵略者・圧政者・極悪人・殺戮者の子孫に動物の能力を移植改造した改造人間集団である。
 それゆえ、改造人間達は、モチーフとなった悪人らしさと、移植された動物の特徴の二つを持つのだが、そのどちらに重点が置かれるかは個々によって異なった。

 そしてコウモリフランケンの場合、概ねフランケンシュタインのカラーの方が強かったとシルバータイタンは見ている。そんな中、コウモリフランケンの「コウモリらしさ」は飛行能力に尽きる。
 逆の云い方をすれば、劇場版でありながら、30分に満たない時間の中、五人ライダーの活躍、GODの作戦行動、再生怪人、主人公のXライダーに関する動きまで詰め込まなくてはならない中、コウモリフランケン自体、改造過程と軍団長としての立ち居振る舞い以外に特筆すべき場面を貰えなかったと云える。

 「コウモリらしさ」は結局空を飛ぶ能力だけでしかなかった。ただ、このことはコウモリフランケンにとって重要なファクターだったとシルバータイタンは見ている。後述するが、コウモリフランケンの空中からの攻撃能力は従来のコウモリ型改造人間にもなかなか見られなかった有効手段で、Wライダーのキックで羽根をもがれた後のコウモリフランケンは完全に精彩さと戦意を欠いていた。
 偏に与えられた時間が短過ぎたと云えよう。



注目点 コウモリらしさとは若干離れるが、飛行能力に飛び道具による攻撃を加えた現実重視の戦闘能力が挙げられる。
 太平洋戦争時に、当時世界最強を謳われた巨艦・大和が米空軍による空中爆撃の前にその巨体を沈められた様に、敵の手が届かない空中にからの飛び道具による攻撃は空中戦の常識であるが、空飛ぶ改造人間は意外にこれをやっておらず、コウモリフランケンはそれをしている。

 GODという悪の組織は以前の悪の組織に比べて戦闘工作員も怪人も飛び道具を多用している。その例に漏れずと云う程でもないが、コウモリフランケンは背中に大砲を搭載しており、然したるダメージを与えずとはいえ、空中からXライダーを砲撃していた姿は理に適っており、Xライダーが唯一の空中攻撃手段であるクルーザーに乗っていたにもかかわらず、ほぼ逃げ惑うだけで、空中への攻撃を敢行しなかったのも、空中戦での不利が否めないと考えたからであろう。

 逆の見方をすれば、コウモリ特有の飛行能力を活かす場が与えられなかったからこそ、コウモリフランケンの戦闘は終始精彩を欠いたといえる。戦闘自体、早目からXキック、ライダーキック、ライダー2号キックを食らっており、一方的にXライダースーパーファイブキックでとどめを刺された訳だが、これとて、「タフネスの証左」と見れなくもない。

 偏に、たった30分しかない「特番」の為に、鳴り物入りと実働のギャップがあり過ぎたと云えようか。


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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新