8.コウモリ奇っ械人………タイタン様とシャドゥ様の狭間で

登場『仮面ライダーストロンガー』第17話
所属組織ブラックサタン
人間体無し
死因ストロンガー電キック
注目点初の2大幹部板挟み
概要 ブラックサタンの雇われ幹部ジェネラル・シャドゥ(声:柴田秀勝)に率いられた4番目の奇っ械人だが、途中で百目タイタン(浜田晃)の傘下に入った(具体的描写があった訳ではないけどね)。
 夜の郊外で肝試しに参加していた人々に交じっていたコウモリ奇っ械人はそれ等の人々を次々に殺害。辛うじてその場を逃れた男性(小島三児)からそのことを知った城茂(荒木茂)と戦闘に入り、そこにジェネラル・シャドゥも加勢した。
 小手調べ程度の戦闘展開後、コウモリ奇っ械人はエレクトロファイアを食らった程度にもかかわらず撤収。だがこの戦闘はいわば陽動で、現場に残されたシャドゥのトランプを追った茂はとある教会に安置されたタイタンの遺体と対面した。

 一連の流れはタイタンを復活させるための罠で、茂が棺桶の中の花を手に取ると突如花は茂の手を傷付け、そこから滴り落ちた血は百目タイタン蘇生のエネルギー源となってしまった。
 驚く茂と岬ユリ子(岡田京子)を襲撃するコウモリ奇っ械人だったが、仮面ライダーストロンガーとコウモリ奇っ械人の戦闘が屋外にもつれ込む間にユリ子が百目タイタンに、立花藤兵衛がシャドゥに捕らえられ、二人は目隠し状態で地雷原をジープで走らされる、という一風変わった処刑に掛けられた。

 勿論済んでのところでストロンガーが救出に現れ、コウモリ奇っ械人との最終決戦に突入。鋭利な羽根でそこそこストロンガーを苦戦させたものの、電チョップで羽根を破壊されると後は為す術なく、ストロンガー電キックの前に散った。



コウモリらしさ 素体としてのコウモリの特徴は遺憾なく活かされたが、実在のコウモリ的な動きをしていないという興味深い存在がコウモリ奇っ械人であった。
 コウモリ奇っ械人の武器は口と二枚の羽根で、前者は何故か対仮面ライダーストロンガー戦では使用されなかったが、赤い溶解液を吐いて一般人を瞬殺した。そして後者は縁の部分が鋭利な刃物となっており、ストロンガーをして、「あれさえ何とか出来れば……。」と云わしめ、実際に電チョップで砕かれたことで勝負は決したと云って良かった。

 つまりコウモリが実際に使用する口と羽根が活かされている訳だが、実在のコウモリは噛み付いた際に保菌していた細菌やウィルスを相手に罹患させることはあっても、意図的に口腔内から毒物を噴出する訳ではない(コブラの中には意図的に毒液を飛ばす物もいる)。また、飛翔能力はコウモリの重要な能力だが、羽根そのものは純粋に飛翔に使われ、攻撃に用いられる訳ではない(鷹の一種であるハチクマは翼でスズメバチを叩き落として食べたりする)。

 つまり、コウモリっぽく見えて、コウモリらしからぬ能力を駆使するのがコウモリ奇っ械人なのである。もっとも、改造人間は何も素体に忠実でなければならないなんて法律はない。組織が望む成果を挙げる能力を持てればそれでいいのである。そういう意味では奇っ械人の名の様に、コウモリ奇っ械人は生体能力を機械化しているといえる。
 特にその羽根は縁が鋭く研ぎ澄まされる一方で、それ以外はメッシュ状になっており、もしその形態が素早い動きで羽根による斬撃能力を増すように設計されたものだとすれば、上手く作られたと云える。

 コウモリらしいというより、奇っ械人らしいと云えるのがコウモリ奇っ械人だったと云えよう。



注目点 正直、ストーリー的にはコイツ自身の影は薄い。が、それも止むを得ない。ストーリーの核はタイタン復活にあり、百目タイタンとして復活した「直属」と大首領に見込まれた「雇われ者」との対峙が始まったところにある。
 当然、復活したばかりの百目タイタンとジェネラル・シャドゥの方が目立ちまくり、見せ場の殆んどを二人の幹部に奪われたコウモリ奇っ械人はストーリーとの絡み的には不遇な存在と云えなくもない。

 この第17話以降、ブラックサタンの奇っ械人達は「直属」と「雇われ者の」の狭間で四苦八苦することが度々出て来たのだが、当然のことながら、「どちら?」となると「直属」に靡く者が多かった(中にはシャドゥが庇ってくれた奇っ械人ケムンガの様なレアなケースもあったが)。
 そんな中、復活前後の状況の変化があるとはいえ、コウモリ奇っ械人はタイタンとシャドゥの両方に「様」をつけて呼んだ稀有な存在だった。城茂との初対峙時には「シャドゥ様が貴様ごとき雑魚と直々に戦うか!」と啖呵を切っているが、ブラックサタンの奇っ械人達はシャドゥに対して「ジェネラル」という肩書をもって敬称に変えるものばかりで、「様」をつけて呼ぶことは殆どいなかった(戦闘員は怒り心頭のシャドゥに対して「ジェネラル・シャドゥ様」と呼んでいた)。

 もっとも、百目タイタン復活前はシャドゥに従い、復活後は殆どタイタンに従っていたから、コウモリ奇っ械人自身はタイタンとシャドゥの間にあって、サメ奇っ械人や奇っ械人ハサミガニほどにはひどい目には遭っていなかったりする。


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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新