12.磁石団長&ヨロイ騎士…デルザー最後のコンビ砦

登場番組『仮面ライダーストロンガー』第36〜39話
協力体制役割分担型
両者の友好度☆☆☆☆☆☆☆☆☆★
同時行動度☆☆☆☆☆☆☆★★★
共闘度☆☆☆☆☆☆☆★★★
改造人間紹介 エジプトより来日したマシーン大元帥は圧倒的な膂力を持ってそれまで暫定的な議長的立場にあったジェネラル・シャドゥからデルザー軍団の指揮権を奪い、ヒエラルキーの存在しない軍団の総指揮を執ったが、その両腕となったのが磁石団長(声:沢りつ夫)とヨロイ騎士(声:池水通洋)である。

 デルザー軍団は当初第一陣がリーダーの地位を巡って、仮面ライダーストロンガーの首を狙っていたが、互いの足の引っ張り合いや、ストロンガーの超電子ダイナモ獲得もあって、軍団目標達成がままならず、終盤に入ると海外にいた改造魔人達が日本に駆け付け、それを追って世界各国に散っていた仮面ライダー達も帰国した。
 その先陣にマシーン大元帥がエジプトから来日し、仮面ライダーV3がこれを追って帰国した訳だが、磁石団長はアマゾンから来日した。こいつを誰が追いかけて来たかをこの時点で教えていたも同然だったな(笑)
 見事なまでになは体を現しており、頭部から磁石を生やし、得物は両端がSとNの字型の杖を用い、腕から「吸引マグネット」と称する磁力波を出して車両やストロンガーを吸い寄せ、「ミニ磁石」なる名前の通りの物を大量に飛ばしていたが、これは磁力によって半分機械であるストロンガーのメカニズムを狂わさんともした。

 マシーン大元帥の指揮下にあって、当初こそ仮面ライダーストロンガー抹殺に挑んだが、それに失敗した後はもっぱら磁力を増幅させる装置を用いての破壊活動に従事。
 磁力を活かした能力や装置自体は優秀なのだが、それを妨害せんとする主人公・ストロンガーとの交戦が戦闘の大半を占めた為、連戦連敗を重ねる結果となった(途中仮面ライダーV3の生け捕りに成功してはいるが、殆ど機械のおかげ)。
 だがシリーズ最終盤を飾った改造魔人に相応しく、身体は頑健だったようで、ストロンガーの超電ジェット投げや超電逆落としを喰らっても死には至らなかった(さすがに撤収や気絶を余儀なくされてはいたが)。

 その性格は粗暴で、激情家で、マシーン大元帥には媚び(会話はタメ口だったが)、シャドゥにはかなり見下した態度を取り、配下には鬼上司の如く接していた。
 最終回まで生き残り、ストロンガーに生け捕りにされるも、デルザー軍団大首領に助けられ、最終決戦では再生怪人軍団(サメ奇械人奇械人アリジゴク奇械人メカゴリラカニ奇械人 (?)・奇械人ブブンガー (?)・荒ワシ師団長)の戦闘に立って6人ライダーに挑みかかった。
 主に仮面ライダー1号と交戦するも、再生怪人軍団ともども原因不明瞭の戦死を遂げた。


 その相方のヨロイ騎士は一言で云うなら迎撃役である。設定によると古代バイキングの血を引く改造魔人とのことで、主に欧州で暗躍し、その際にはライダーマン・結城丈二(山口暁)、仮面ライダーX・神敬介(速水亮)との交戦もあったようである。
 来日当初こそ三重県四日市市で石油コンビナートを爆破して、同市を火の海にせんとしたが、仮面ライダーX仮面ライダーアマゾンの妨害を受けてからは破壊工作のメインは磁石団長となり、ヨロイ騎士自身は妨害に来る仮面ライダーの迎撃を担った。
 だが、本来なら迎撃役として仮面ライダーストロンガーと交戦する所を、他の仮面ライダーが駆け付けたため、客演ライダーとの戦いがメインとなり、結果、仮面ライダー2号を除く全ライダーとの戦いを経験した。

 その能力は剣術を得意とし、右手にはフェンシング・フォイル状の長剣を、左手には小剣を、の二刀流でライダー達と交戦。両刀を交差させる「高速熱戦」はXライダーとの戦闘の最中にもコンビナート周辺に設置した爆薬の一部を誘爆してそれなりの被害を与えていた。
 「ジェネラル・シャドゥと互角以上」とされる剣技の冴えはXライダーアマゾンライダーのタッグとも2度に渡って堂々と応戦(さすがに連敗したが)。対ライダーマン戦では一騎打ちにて危な気なく生け捕りに成功した。全ライダーの筆頭にして歴戦の勇士である仮面ライダー1号との一騎打ちではさすがにライダーキックを喰らって気絶したが、決して恥じる戦歴ではなかろう。またライダーキックに耐えたように、超電ジェット投げで投げ飛ばされた磁石団長と鉢合わせにされた衝撃にも生き残ったように、痩身の割にはかなり頑丈である。磁石団長同様、さすがにシリーズ最終盤を飾った者の貫録と云えようか。

 性格は相方を勤めた磁石団長とは好対照である。概ね冷静沈着で、磁石団長シャドゥを見下していたのに対して、ヨロイ騎士シャドゥ戦死直後、超電子エネルギーを使い果たして動けない城茂を締め上げて、「ジェネラル・シャドゥの仇を取ってやる。」と仲間を想う気持ちを滲ませていた。
 この時既に仮面ライダーV3ライダーマンが生け捕られていたので、Xライダーアマゾンライダーを捕えたらすべての仮面ライダーの生け捕りが達成するとはしゃぐ磁石団長に対しても、「待て、仮面ライダーには1号2号と云うのもいたそうだぞ。」と注意を促していた。この建言はマシーン大元帥「そんなのはただの伝説だ!」というライダー史上屈指の大ボケで役立てられなかった(笑)が、ヨロイ騎士の建言が正しかったのは周知のとおりである(笑)。
 更に仮面ライダー1号によって生け捕られ、人質としてひっ立てられた際にも、当初こそ「俺達を見殺しにしないでくれ!」と叫んでいたが、同じく助命を請う磁石団長に対して「もう諦めよう…。」と幾ばくかの潔さを見せていた。
 まあ、マシーン大元帥が人質交換を申し出た際には、助かった安堵感でそれまでの冷静さがすっ飛んだのか、「やい、ストロンガー!早く縄をほどけ!」と興奮する磁石団長に続いて、「愚図愚図するな!」と喚いてはいたが。

 最終決戦では磁石団長同様、再生怪人軍団の戦闘に立って6人ライダーと交戦。主にV3と交戦するも、これまた磁石団長同様、再生怪人と共に原因不明瞭の爆発を起こして戦死した。


両者の邂逅 二人の改造魔人がブラウン管の中に一緒に登場した最初は第36話終盤で、磁力増幅装置でもって、磁石団長の吸引マグネットの能力を増幅してジャンボジェット機を東京のど真ん中に墜落させ、東京を火の海にしようとする作戦の実験でのことだった。
 だが恐らく両者はかなり以前から旧知で、仲も良かったと思われる。ついでを云えばマシーン大元帥の指揮下に入っていたのも新しい話ではなかろう。来日直後、既に四日市襲撃は計画済みで、ヨロイ騎士が向かっていることをシャドゥに告げたのは磁石団長だった。
 実験成功にがっちり握手を交わし、その後もストロンガー生け捕り後の破壊活動で少し担当地域が異なったことを除けば、両者は行動も場所も供にしていた(実践役と迎撃役で多少の相違はあったが)。
 詳細は後述するが、両者のコンビネーションは決して悪いものではなく、僅かながらの成功すら収めている。デルザー軍団の改造魔人同士が遠い「魔の国」にいたときから互いに周知だった可能性は高い。だが全員がデルザー軍団リーダー就任の野望を抱き、他者を牽制したため、一時的な共闘も殆ど実を為していなかった。
だが、磁石団長ヨロイ騎士のそれを見ると、一朝一夕に生まれたコンビネーションでないことは容易に想像出来る。来日直前はそれぞれアマゾンと欧州にそれなりの時間いた訳だから、両者の邂逅はもっと以前なのだろう。もっとも、素体からして人間ではないデルザー軍団改造魔人の時間的尺度を人間基準で見てはいけないとは思うのだが。


コンビネーション考察 前述したように磁石団長ヨロイ騎士のコンビネーションは悪くない。否、それどころかライダー史上にあって屈指と云っていかも知れない。
 第36話〜最終話までの4話・一ヶ月の間行動を共にしたのは恐らく最長だろうし、歴代ライダーの妨害を喰らいながらも四日市コンビナートの一部と富士ダムの破壊成功という実績も挙げている。敗北が多く、機械やジェネラル・シャドゥの力によるところが大きいとはいえ、一時は仮面ライダーV3ライダーマン仮面ライダーストロンガーを生け捕りにした。
 これだけの内容持ちながら両名の名前があまりぱっとしないのは、次々帰還した歴代ライダーや長く活躍したジェネラル・シャドゥや最後の指揮を執ったマシーン大元帥の存在の前に両者の存在が霞むからだろう。

 両者が目立たないようで、それなりの実力を発揮している要因は完全な役割分担(実践と迎撃)とマシーン大元帥の指揮にある。それは両者の性格がまるで正反対でありながら、順調なコンビネーションを発揮した所にも見られる。
 「1+1」を「2」に留めず、5にも10にも出来るコンビネーションを組むのは容易ではない。似た者同士を組ませれば息は合って分裂する心配は薄いが、質的な向上が図り難い。逆に正反対の者同士を組ませた場合、互いが互いの欠点を補い、長所を任せることが出来れば理想のコンビネーションが形成されるが、そこまでの息の合い様を構築するのが至難であることが多い。
 磁石団長ヨロイ騎士の場合、意見や価値観をぶつかり合わせることもなく、互いが互いの仕事に勤しんでいたのでこれに成功している。恐らくはマシーン大元帥の指揮に完全服従し、そこに疑問や意見を挟まなかったのだろう。
 惜しむらくは磁石団長が多少なりとも大幹部に相応しい威厳を見せ、対ストロンガー戦績においてもっと善戦していれば、このタッグはライダー史上でもかなり注目されるタッグになっていたのではないかと思われる。
 上司やライバルのおかげで良いコンビネーションが発揮できながら、上司やライバルの為に影が薄かったのは大いなる皮肉と云えようか。


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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新