登場番組 | |
協力体制 | 個別作戦並行型(だった筈) |
両者の友好度 | ☆★★★★★★★★★ |
同時行動度 | ☆☆☆☆☆☆☆★★★ |
共闘度 | ☆☆☆★★★★★★★ |
改造人間紹介 数々の作戦をスカイライダーに打ち破られたネオショッカーの魔神提督(中庸治)が考えたのが、両面作戦で、彼は第20話以降も度々2体の怪人を一度に投入して、『仮面ライダー(スカイライダー)』に数々のコンビネーションを生み出した。
その先駆けがサイダンプ&クラゲロンである。
南米支部での実績を買われて日本支部に着任した魔神提督は海外で活躍した怪人を召喚した例が極めて多かった。否、日本原産の方が明らかに少なかった。サイダンプはインド・ガンジス支部からやって来た。
東南アジアから来日した仮面ライダーストロンガーをして「ダム破壊のスペシャリスト」と云わしめ、実際にインドにおいてダム破壊により何百万人もの人々を溺死させた実績を持っていた。
その膂力を自慢して、「象も逃げだすサイダンプ様」と称していたが、尊大な自称は伊達ではなく、頑丈な肉体に物を云わせた突進はスカイライダーを散々苦しめ、これまた頑丈な皮膚と三段スライド式尻尾でもって、スカイキックを正面から弾き返した。
スカイキックを破った例にはゴキブリジンという先例がいたが、このスカイキック破りはマントと云う装備によるもので、相方のクラゲロンも軟体性でもって受け流していたが、純粋に身体能力と装備でもって弾き返したのはサイダンプが最初である。
頑丈なだけではなく、怪力も誇り、ダンプの突進を受け止め、押し返し、その力を「暴力だけ」と云って揶揄していたクラゲロンもパワーそのものは認めていた。また、サイの改造人間らしく足も速かった。ただドラえもん状に丸く固定された拳でパンチ攻撃を得意として多面はサイらしくなかったが、怪力を活かした有効な作りと云えた。
そして典型的な「猪突猛進」ならぬ「犀突猛進」タイプで、来日後いきなり無関係なダンプとの衝突を起こしてスカイライダーの介入を招き、追跡途中で幼稚園に乱入して、園児の列に突進し、これを庇った安原先生(原あけみ)をハリケーンミキサー体当たりで撥ね飛ばして負傷させるなど、余計な行動も目立った。
二面作戦において、実績通りにオオヤマダムの破壊に挑んだ。複数のダイナマイトを仕掛けて発破で脆くした所を自らの体当たりで大破・決壊させて、下流の人々を溺死させんとした(←真っ先に自分が流されて溺死しないか?)。
だがダイナマイトは職務熱心な警備員・金山(相馬剛三)の手で外され、これを殺害せんとした所でスカイライダーの妨害に遭い、そのまま最終決戦となり、スカイキック、習得直後の大回転スカイキックに耐え切ったが、ストロンガーの助言で更に回転数を上げた大回転スカイキックには耐え切れず、クラゲロンに仇討ちを乞うて爆死した。
その相方を勤めたクラゲロンはサイダンプ同様魔神提督の召喚を受けて香港は九龍島より来日した。歴代悪の組織にてクラゲ型改造人間が電撃を武器とする例が多かったのに対し、このクラゲロンは現実宜しく毒を武器とした。
体内にて養う毒子クラゲは素謡掛かりで人間の顔に貼り付くや、瞬時にこれを溶かすという恐るべきもので、三日あれば東京都民1000万人を殺害するのに必要な数に増殖するという繁殖力も脅威だった。
また身体能力も侮れず、軟体動物特有の柔軟性でスカイキックを受け流す。そして海中のクラゲが肉眼で見え辛いのを反映したものか、透明化能力も持っていた。右手はかなり長く伸びる触手となっていて、スカイライダーを絡め取って苦戦させた。
一方で、その性格は不遜で、一応、上司である魔神提督に態度では礼儀正しく接していたが、日本支部到着時に透明化したまま基地内に入り、魔神提督に「お前が来ているのを知らない儂ではない!」と暗に無礼を咎められ、自分と共にサイダンプも召喚されていることを知るや「奴、暴力だけが自慢、頭空っぽよ。」と中傷し、魔神提督に殴られていた。
魔神提督が部下を殴る例は珍しくないが、自分への悪口でもないのにサイダンプへのそれに対して即座に殴り、「お前は儂の命令だけを聞いていればいいのだ!」と怒鳴りつけていたことから、クラゲロンの不遜さは普段から問題だったのだろう。
また、事ある毎に頭の良さを自慢していたクラゲロンだが、第20話の終盤に登場したストロンガーのことをサイダンプに「何者だ?」と聞かれた際には「俺が知るか!」と云っていたのに、第21話の冒頭で「ストロンガーめ、いつの間にこの日本…。」と云っていたので、記憶力の方は相当問題がありそうである。
最終的に、魔神提督の指示でストロンガーが三日後の開始と見た毒子クラゲ作戦を前倒しで実践し、東京都民に少なからぬ犠牲者を出したが、途中でストロンガーの妨害を受け、サイダンプ戦死直後に自らもストロンガーの超電子ドリルキックを受けて戦死した(えっ?チャージアップしていないのに超電子ドリルキックを放っているって?………………チャージアップ?聞き慣れない言葉だなぁ……………)。
両者の邂逅 両者が供に画面に現れるのはサイダンプの日本支部到着時。いきなりクラゲロンは到着が遅いと詰り、サイダンプの反論開始。すぐに魔神提督の一喝で止めはしたが、舌の根も乾かない内に互いの作戦紹介時の殺害人数を巡って揶揄し合い、さすがに呆れられていた。
クラゲロンがサイダンプのことを知っていたのは前述の魔神提督とのやり取りから明らかだが、口論を止めた際の両者が「ふーん!」と云って互いに顔を背けるという子供の喧嘩みたいな痴態からも、前々から互いに知り合いだったとても不思議はないし、仲も悪かったのだろう。
それを見て「どうもお前たちは相性が悪い…。」とぼやく魔神提督の認識振りも問題が、この後も魔神提督のタッグ人選には同じような傾向が続くのであった(笑)。魔神提督
本作はこのタッグと魔神提督があって生まれたと云っても過言ではなく、面白いネタを提供してくれた提督様には深く感謝したい(笑)。
コンビネーション考察 両者の相性が最低に近いのは前述の魔神提督のボヤキからも明らかである。「何故こんな組み合わせを選んだの、提督様?」と云いたくなる人選(笑)だが、全く理がない訳ではない。
まず魔神提督が一番重視したのは数の問題でスカイライダーが一度に2つの作戦を阻止出来ないと睨んでのことで、両者が個々に作戦を実行するのならチームワークはさほど重要でもない。むしろ仲の悪さを利用して、下手に同じ場所に置かず、完全分離で個々の作戦に従事させるべきだったと云える。
次に注目したいのは、両者の立案した作戦が残忍な魔神提督好みだったことが挙げられる。ダム決壊による百万人溺死も、毒子クラゲによる東京都民全滅も、概算による被害だけでも核兵器の惨禍を上回るのだ………。どちらかが阻止されてもどちらかが成功すれば日本社会は間違いなく甚大な被害を受ける。両者の仲が悪いからこそ、互いのテロ成果を競わせんとしたのかも知れない。実際被害者数の資産を巡って両者口論していたのだから(口論自体は子供の口喧嘩だったが)。
そしてこれは憶測だが、魔神提督は魔神提督で両者の仲の悪さは計算の内だったのかも知れない(勿論計算以上に仲が悪かったのだが)。クラゲロンが少しサイダンプの悪口を云っただけで殴っていたのも、自らの命令に黙って従えと命じていたのも、クラゲロンの不遜さを知りつつ、逆にそれを抑えて両者が作戦に邁進すれば充分勝算ありと見ていたのかも知れない。
Wライダーを前にしょーもない口論を始めた二人に遠隔で怒鳴りつけて止めさせてもいたので、両者が足を引っ張り合うことに対する危惧も多少はあったのだろう。
実際、クラゲロンもサイダンプも魔神提督の指示そのものに逆らうことはなかった。
では活かし様によってはスカイライダーを討ち取ったり、二面作戦の片割れを達成したりする可能性が充分にあったこのコンビネーションが活かせなかった要因は何だったのだろうか。
両者の仲の悪さや、仮面ライダーストロンガーの加勢や、職務熱心な警備員の存在や、大回転スカイキックの開発も要因の一つには間違いないが、これらは魔神提督の計算の内に全く入って無かった訳ではないので決定的要因ではなかろう。
シルバータイタンは「供に水源地という、余りに近い場で行動し過ぎた」のが決定的要因と見ている。魔神提督が最初に云っていた「作戦は2つ、体は1つ」を考えるなら、両者はもっと距離を取るべきだった(要は同じ水源地狙いでも別の地域を選べば良かったのだ)。
最終的にサイダンプはスカイライダーに、クラゲロンはストロンガーに各個撃破されたが、サイダンプの方にはスカイライダーと交戦中にダムに体当たりしたり、一度目の大回転スカイキックに耐えたり、とまだ余裕があった。
だが、共に同じダム前を戦場とした為、スカイライダーはストロンガーの助言を得て、特訓の成果を発揮したため、サイダンプは討ち死にし、同時にクラゲロンの勝ち目も雲散霧消した。
狡賢い魔神提督に、両者の仲が悪いなら悪いでそれを逆手に取る今一歩の狡猾さが有れば、この作戦は成功していたかも知れない。
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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新