登場番組 | 『仮面ライダー(スカイライダー)』第23話 |
協力体制 | 本命陽動並行実践型 |
両者の友好度 | ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ |
同時行動度 | ☆☆☆☆☆★★★★★ |
共闘度 | ☆☆☆☆☆☆☆★★★ |
改造人間紹介 海外から力ある改造人間を召喚する魔神提督の悪巧みは続く。この回で召喚されたのはムササベーダー兄弟で、両者ともにカナダからやって来た。
名前からも容姿からも丸分かりなようにムササビの改造人間である。便宜上、兄をムササベーダーα、弟をムササベーダーβと別けて称されるが、性格や能力は殆ど変わらず、細部のカラーリングの相違で見分けが可能。
劇中ではα・βの呼び分けはなく、台詞からはどちらが兄で、どちらが弟かは窺えない。互いにタメ口を叩いていたことからも、恐らくは双子なのだろう。
兄のムササベーダーαは体毛・ベルト・ブーツが白く、右利きである。ムササビの改造人間らしく、皮膜を使っての滑空が可能で、両足は建物の側面や天井に立つことが出来、空中戦にはかなり優れている。
口から直線状に吐く炎と、手にした短刀を得物に、血縁ゆえか弟との連携攻撃も得意。一騎打ちに滅茶苦茶優れている訳ではなかったが、身体能力は多彩で、見た目的にも使い勝手のよさそうな改造人間だった。
谷源次郎(塚本信夫)の親友で、ネオショッカーを妻と娘の仇と狙う伊東次郎(北村総一郎)が潜伏する中華料理店の店長に憑依し、伊東がアリコマンドを襲って撮影したX作戦のフィルムを「現像しましょう」と云って騙し取るが、影がムササベーダーαのままというベタなばれ方をした。
フィルムを持って逃走し、すぐに追いつかれたが、弟・ムササベーダーβの加勢を得て、筑波洋(村上弘明)を挟撃せんとした。直後、変身したスカイライダーを見て、「何だ、貴様は?」はと問い、スカイライダーが名乗ると、弟が「日本にも仮面ライダーがいたのか…。」と呟いていたが、カナダで仮面ライダーV3の名を聞いたことがあった筈なのに見て分からなかったのか?この馬鹿兄弟わ。
しかし結局フィルムを奪い返され、兄弟揃って逃走し、魔神提督に謝罪したが、これは魔神提督の計画の内だった。
つまりフィルムに写されたX作戦をスカイライダーに知らしめ、妨害させる内に、別のY作戦を成功させる、という両面作戦−XY作戦が魔神提督の立案だった。
両作戦は爆弾人間(体内に爆薬を蓄えた簡易改造人間。自らの意志で腰のスイッチを押すか、衝撃を受けると自爆する)を率いて町を破壊するもので、X作戦は新宿の高層ビル群を、Y作戦は横浜を標的としていた。
ムササベーダーαはY作戦の敢行に掛った。陽動は成功したのだが、カナダから駆け付けた仮面ライダーV3がこれを妨害。爆弾人間の指揮を執ってV3と戦うも、すべての爆弾人間を壊された。
直後に横浜から飛んで来たムササベーダーβと供にV3と戦い、2対1では勝負をそれなりに有利に進めたが、新宿の爆弾人間を片づけたスカイライダーが駆け付けるとタッグマッチに手そこそこ善戦したが形勢は徐々に逆転。
スカイライダーのスカイキックとV3のV3キックが同時に放たれたWライダーキックを受けて戦死。
弟のムササベーダーβは褐色の体毛を持ち、ベルトとブーツが黒く、左利きである所が兄と異なるが、その他の能力は兄と同じ。前述したように兄とスカイライダーのフィルム取り合いに加勢したシーンが初登場。
フィルムを奪取された後はX作戦を指揮して、爆弾人間と供に新宿でスカイライダーと戦った。しかし途中で爆弾人間に任せっ切りにして新宿を離れて横浜へ。2対1でV3をそこそこ追い詰めたが、爆弾人間を片づけたスカイライダーが駆け付けると善戦空しく兄のムササベーダーαが戦死。覚悟が決まったのか、自らが率いていた爆弾人間同様、体内に蓄えていた爆弾でもってWライダーを道連れにせんとしたが、二人が掛りで取り押さえられ、Wジャンプで空中に放擲された所をスカイライダーのスカイキックの前に戦死した。
両者の邂逅 画面上で両者が揃って登場するのは横浜中華街付近の木立の中で、スカイライダーとムササベーダーαがX作戦を撮影したフィルムの奪い合いにムササベーダーβが加勢したのが最初である。だがこの時彼等は自分達が兄弟であることを告げており、ともにカナダからやって来たことや、容姿・能力・行動パターンからも両者が前々からコンビを組んでいたことは言を待たないだろう。
コンビネーション考察 世界各地から優れた改造人間を召喚する魔神提督の人選は、改造人間同士が犬猿の仲であることが多いのだが、さすがに兄弟だけあってこのムササベーダーα&ムササベーダーβは例外である。
フィルムの争奪や、XY作戦の実行、タッグマッチ等のすべてにおいて息の合った連携を見せ、足の引っ張り合いは全くなかった。
さすがにスカイライダーと仮面ライダーV3のタッグでは相手が悪かったのか、特筆する程の強さを見せた訳ではないが、よくよく見るとそれなりに強い。横浜でV3と戦った際には二人掛かりだとそれなりにV3を追い込んでいた。「2対1」はそんなに威張れた話ではないだろうけれど、魔神提督が組ませたタッグは「2対1」を形成することが稀(笑)だから、タッグの基本が出来、「1+1」を2以上にしているムササベーダーα&ムササベーダーβのコンビネーションはかなり優秀に見える(笑)。
両者のコンビネーションとして注目したいのは、悪の組織らしからぬ兄弟愛である。決して口に出してはいなかったが、弟であるムササベーダーβは兄の危機にすぐ駆けつける傾向があった。兄弟が二人してライダーと相対する時は兄が対峙している所に弟が駆け付けていた。
だがこれは長所であり、短所だった。
前述したように兄弟によるコンビ攻撃はV3に対して優位に立っていた。このときも横浜にてV3の妨害を受けた兄・ムササベーダーαを救わんとして、新宿から弟・ムササベーダーβが駆け付けたのだが、ムササベーダーβはスカイライダーの妨害を受けている爆弾人間達の指揮をすっぽかして駆け付けているのである。
これは兄弟間にあっては美しいが、悪の組織としては明らかにマイナス点である。「スカイライダーを新宿にくぎ付けにする。」という任務を放り出しているのだから。
ただ、全くの不可解という訳でもない。V3が横浜に迎撃に来た時点でXY作戦は本来の長所を失っている。ならば2対1の長所を活かす為に片方の地に両者が合流したことにも一定の理解余地がない訳ではない。スカイライダーが爆弾人間の対処に時間を食っている間に二人掛かりでV3を倒せていたら、ムササベーダーβの判断は機に臨んで変に応じた物として褒められたものだっただろう。
また、X作戦とY作戦では新宿をターゲットにしたX作戦が陽動だった訳だから、本来の破壊対象である横浜に作中で語られなかった重要ターゲットがあるのだとしたら、ムササベーダーβが新宿をほっぽり出して横浜に駆け付けたこともうなずけなくはない。ムササベーダーβは兄が倒されるや、Wライダーに勝つことを殆ど諦めていた。恐らく彼は1対1では仮面ライダーに勝てないと踏んでいたのだろう。ましてやこの時点ではこっちが二人掛かりの不利を強いられていた訳だから。 いずれにしても、戦闘でも作戦でも2対1の有利を活かす事の出来るコンビだったからカナダでも顔を合わさなかったV3が日本にまで駆けつけて来たことはムササベーダーα&ムササベーダーβにとってさぞかし無念だっただろう。
魔神提督よ、この時の人選自体は悪くなかったが、カナダから二人を呼んだのなら、カナダにいた仮面ライダーV3が駆け付けることぐらい予測しておかなきゃね♪
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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新