登場番組 | 『仮面ライダー(スカイライダー)』第34話・第35話 |
協力体制 | 完全分業型 |
両者の友好度 | ☆☆☆★★★★★★★ |
同時行動度 | ☆☆☆★★★★★★★ |
共闘度 | ☆★★★★★★★★★ |
改造人間紹介 悪の組織はある作戦を展開しても担当改造人間が仮面ライダーに倒されると何故か作戦そのものを完全中してしまう(笑)。
ところが、そんな悪の組織・ネオショッカー・魔神提督がある薬品には非常にこだわった。それは「人間を木にしてしまう薬」で、これを巡って4話に渡って悪巧みを展開した。もっとも、前半2話と後半2話では完全に独立した話になっているが。
そんな稀有な例に、例によって魔神提督は海外からの「武」を担当する改造人間と「智」を担当する改造人間を召喚した。「武」を担当したのは「アフリカの王者」と呼ばれたマントコングである。やってきたのはボルネオからだったが(笑)。
人間を植物化させるワクチン開発強要の為、科学者・南博士(明石勤)の一人娘・亜矢子(桜井浩子←フジ隊員とは別人)を誘拐せんとした。しかし、筑波洋のホームレンジと云える喫茶ブランカのすぐ近所で拉致行為に及ぼうとする所からしてこいつの頭は良くない。
まあ洋の目の前で拉致に成功したのは褒めていいと思うが。
完全な肉体派で、怪力を発揮した両腕や分厚い胸板は仮面ライダーV3のV3キック・V3チョップ・V3ダブルキックを立て続けに弾き返した。仮面ライダーの技を三殺陣で跳ね返した例などそうそう有るものではなく、これはライダー史上においてもかなりの大健闘として特筆に値する。
左拳はモーニングスター状になっていて、普段はだらしなくだらりとぶら下がっているが、その一撃を(誤爆で)受けたアリコマンドは爆発。がんがんじい(桂都丸)が振り回した丸太を一撃で叩き折った。
脚力にも優れ、四股を踏めば軽い地震を起こし、鈍重そうな見た目に反してジャンプ力も有り、高所からの襲撃を得意とした。
なかなかに起用でV3に空中4の字固めを掛けられた際には、体を裏返すというプロレスファン喝采物の返し技も見せた(笑)。
間抜けなシーンに見えるかもしれないが、マントコングの様にガタイの良い巨漢相手に足殺しを仕掛けるのは格闘技の定石である。『キン肉マン』でもジャイアント・バスターの異名を持つテリーマンはサンシャインや摩雲天やキング・ザ・100tといった巨漢相手にスピニング・トゥ・ホールドやテキサス・クローバー・ホールドで勝負を有利に進めようとしていたでしょ?(笑)
前述したように頭の方は苦手で、同じボルネオから来日したタコギャングの存在を疎ましく思って抗議した所を魔神提督に「力が強いばかりが能ではないぞ。」と窘められた。なのにその矢先に不貞腐れてタコギャングを拷問用の熱湯風呂に叩き込んで魔神提督に殴られていた様は丸で駄々っ子だった。
亜矢子の拉致に成功した際に「仕事は終わった。」と云って、余計な戦闘を回避して撤収する分別はあったから、頭が悪いというより子供っぽいのかも知れん。ジープで移動し、助けを求めに来た小沢アキ(江口子)一行に「俺とドライブがしたいのかな?」といってからかうお茶目な面も見せていたから。
亜矢子の誘拐に始まり、南博士の拉致にも成功。この時、洋と谷源次郎が博士の研究所を訪れていた訳で、機を見る目は有るのかも知れない。
撤収中に偶然遭遇して追跡して来たアキ一行も拉致。拉致担当としては有能だね、こいつ。あ、でも伊東ナオ子(鈴木美江)一人を現場に残していたから詰めは甘いな。
拉致に際して妨害しようとしたがんがんじいをエアプレーン・スピンで投げ飛ばしたが、これは自慢にならんな(笑)。
その後、前述のようにタコギャング来日に抗議した際に魔神提督に「悔しかったらライダーの一人でも倒して来い!」と怒鳴りつけられたためか、ナオ子を病院に運ぼうとする風見志郎を襲撃。だがV3との一騎打ちはこれはアリコマンドがナオ子を拉致したことで水入りとなる。本当に拉致に関しては有能である。
だが、ナオ子を伴ってアジトに帰還した際に、アリコマンドの報告からライダーを倒したと誤解し、大喜びしていた魔神提督には事実を告げられずに縮こまり、タコギャングの密告で倒していない事が分かって抜剣して眦を挙げて激昂する魔神提督の前ではみっともない程に狼狽していた。
直後、ナオ子を山中に置き去りに出た際には再遭遇したがんがんじいをからかい混じりにいたぶり殺さんとしたが、そこにスカイライダーと仮面ライダーV3が参上。Wライダーでは相手が悪いと思ったのか、即座に退却に掛った。やはり機を見る目は有る。
そしていよいよワクチンが完成した段になって、魔神提督は悪の組織らしく約束を反故にして(笑)人体実験を試みようとしたが、そこに洋が乱入して最終局面に入った。
直後こそタコギャングとともに洋と戦ったが、スカイライダーに変身するや魔神提督とタコギャングはアジトをマントコングもろとも自爆させて(笑)逃走。
辛うじてアジトを脱出し、スカイライダーとの一騎打ちを続行したが、スカイライダーはV3とバトンタッチ。鋼鉄より硬い胸板(自称)と相変わらずの馬鹿力でそれなりに善戦したが、エアプレーン・スピンで投げられたV3がその力を利して放ったV3ダブル回転キックを顔面に受ける戦死した。どうも頭部は中身だけじゃなく、耐久面でも弱かったようである(笑)。
一方の「智」を担当したのは「ボルネオ切っての知恵者」と呼ばれたタコギャングである。こいつを「ゆでダコ」と呼ぶマントコングとは呼んでいたが(笑)。
タコ型の改造人間だけあって、水中での戦いに優れ、湖岸にいた筑波洋を触手で湖中に引きずり込んだ際には、不意打ちと触手と水中適応で一方的に攻め立てる様をモニターで見ていた魔神提督が「丸でカメレオンの舌に捕まった蠅だ!」といって悦に入っていた程である。水中だけではなく、地中も先行して不意打ちが可能。
両腕は触腕になっていて、右手だけ掌があり、これ等を鞭・捕獲縄・ターザンロープとして利用。また旨の吸盤からは墨の粉を噴出し、「タコ忍法墨隠れ」なる技で煙幕を張っていた。
ネオショッカーへの協力を断る南博士を従わせる為、亜矢子を熱湯の上に宙吊りにすることで、不承不承協力を約束させた際に、魔神提督から「さすがは「ボルネオ切っての知恵者」と云われただけのことはある!」と褒められていたが、この程度で『知恵者』なのか魔神提督様よぉ?!?
相方のマントコングは頻繁に基地の外に出ていたのに対し、タコギャングは殆ど魔神提督の側を離れなかったが、洋がマントコングの乗っていたジープの轍を追って、アジトのある湖岸部に現れた際は、不意を突いて触腕で湖中に引きずり込み、一方的にいたぶって生け捕りに成功した。しかし死んだ振りというベタな擬態に騙されて取り逃がしたこいつの知恵もたかが知れていた。
その後はアジト爆破まで魔神提督の側を離れず、完全な太鼓持ちと化し、V3に逃げられたマントコングを告げ愚痴っぽくからかい、アジトから脱出する際に「粉々に吹っ飛んでしまえ!」という魔神提督に続けて「しまえ!」と云い放ったりしていた。 アジト爆破後、尚も追い縋るスカイライダーを迎撃し、タコ忍法駆使して逃げたと見せかけたり、闇を利した襲撃を行ったりした。しかしスカイライダーはDアイ・赤外線スコープを駆使して闇を克服。左腕を切断され、スカイキック4連発を受けたタコギャングは悔しがりながら戦死した。
尚、第34話で客演した風見志郎・仮面ライダーV3はタコギャングを追っての帰国だったが、2話を通じてタコギャングとV3は全く顔を合せなかった。
両者の邂逅 画面上で両者が一緒にいるのが確認出来た最初のシーンは南博士の娘・亜矢子を拷問して、博士に協力を約束させた直後のことである。タコギャングの知恵者振り(?)を褒める魔神提督の前にマントコングが抗議に現れたのがそれである。
はっきり語られてはいないが、両者が前々から面識があったことは間違いなかろう。ともにボルネオからやって来ているし、その反目振りからも昨日今日知り合ったとは思えない。ただもしかすると同一作戦に従事したのはこの回が初めてだったかも知れない。
というのも、ボルネオからタコギャングを追って帰国した風見志郎は、同じボルネオにいたマントコングの名を口にしておらず、一騎打ちに際してその腕力や頑丈振りに驚いて意とことからも、その時が風見とマントコングの初顔合わせっぽかった。
もし、風見がマントコングをそれなりに知っていれば、仮面ライダーV3はもっと早めに関節技を仕掛けていただろう(笑)。
以上から、マントコングとタコギャングはボルネオにいたときから知り合いだったが、行動は全く供にしていなかったようである。ボルネオ支部大幹部の人員手配は賢明だったと云えよう(笑)。
コンビネーション考察 さすがの魔神提督もこの両者を共闘させることは考えていなかったようだ(笑)。だが、自らが召喚しただけあって、この両者の優れた所は優れた所で認めていたのだろう。有能好きらしく。
前述したようにマントコングには「力が強いばかりが能ではないぞ。」と云っていたが、マントコングが膂力に優れているのは認めていると云える。
また、タコギャングの水中戦闘能力を褒めていたことや、アジト脱出の際もマントコングは置き去りにしたが、タコギャングはスカイライダーに追いつかれた時まで同行している。自身、悪だくみが好きで馬が合うのか、魔神提督は腕力派よりも頭脳派を優遇する傾向があり、この両者との接し方見ていてもそれは明らかである。
だから魔神提督は両者を完全に分業して使っていた。マントコングには要人拉致とライダー迎撃を、タコギャングには拷問と基地と自身の護衛を担当させた。
では、ここまで為されながら、何故にネオショッカーの計画は失敗に終わったのだろうか?思うに、それは両者の『せこさ』に在ったのではないか、とシルバータイタンは考える。この両名、人間(?)としての器の小ささという意味において、似た者同士なのである。
何度も触れたようにマントコングとタコギャングの仲はお世辞にも良いとは云えない。魔神提督に窘められたそばからマントコングは癇癪を起してタコギャングを熱湯風呂に叩き込んでいたが、感情的にやってしまったのならまだ分かる。しかしマントコングは熱湯に熱がるタコギャングを見て笑っていたのである。
いったそばからこんな事されたのでは魔神提督でなくても殴りつけたことだろう。
一方の被害者であるタコギャングもせこさでは負けていない。恐らく、タコギャングは力ではマントコングに敵わないと見ていたのだろう。「ゆでダコ」と罵られたのに、「危うくゆでダコになる所だった…。」と呟いているのである。これは情けない。
ジャイアンに「のび太のくせに生意気だぞ。」と云われた野比のび太が自分で「のび太のくせに」と云っているようなものだ。その癖、V3に逃げられて恐縮するマントコングを前に、魔神提督にその事を密告して笑っているのである。卑怯者を絵に書いた様なトリカブトロンでさえ、あからさまな侮辱には黄金ジャガー相手に突っかかっていたというのに……。
一事が万事、こんなせこい考えで汲々としていたためか、マントコングは人質確保時にナオ子だけを現場に残してV3とスカイライダーの介入を招き、タコギャングはせっかく捕えた筑波洋を、死んだ振りなんかに騙されて逃げられていた(それでマントコングがV3に逃げられたのを嘲笑っていたのだから呆れたものである)。
魔神提督は単に戦闘に強いだけじゃなく、もう少し用心深い奴を召喚すべきだった、例を挙げるならアブンガーの様な。
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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新