18.オカッパ法師&ウニデーモン…単独過ぎてコンビの意味無し!

登場番組『仮面ライダー(スカイライダー)』第39話・第40話
協力体制役割分担型
両者の友好度☆☆★★★★★★★★
同時行動度☆★★★★★★★★★
共闘度☆★★★★★★★★★
改造人間紹介 この第39話・第40話は何か器が小さかった。作戦規模も、狙いも、そこに秘めたる幹部や改造人間の想いも。
 この2話におけるネオショッカーの狙いは「日本中の母親という母親達を鬼に変える。」というもの。実際に日本中の女性達を想いの性格や行動に陥らせることが実現出来るなら物凄いことなのだが、「鬼にする」という目的がどうも子供っぽい(苦笑)。その鬼の元締めを担ったのがウニデーモンである。

 マニラの海底支部から来日したとのことで、ウニの改造人間であることを強調しているんだろうけれど、ウニと鬼を引っ掛けているのが小学生レベルの駄洒落である。ウニの様に上半身から遂げ我を生やしていることを除けば、牙を生やし、ギョロ目で睥睨し、巨大な金棒を振り回して虎皮模様のタイツを履いた姿は正しく「鬼」で、性格(というより行動形式)はもっと「鬼」だった。
 鬼の如く怪力でもって金棒を振り回して暴れるのも得意(金棒は振り回すことで更に長大化出来たが、バランスは思い切り悪そうだった)だが、本職は催眠術師にして毒使いである。人間の苦しむ顔が好きというサドっ気と、魔神提督も呆れる女好きであるウニデーモンにこの能力はおあつらえ向きで、上半身に生えた棘は麻痺毒を持ち、喫茶ブランカのバーテン・沼二郎(高瀬仁)に毒をもって殺そうともした。そして額にポリネシアン・ダンサー、ミス・キレーダ(松香ふたみ)の持つ宝石を額に嵌めて放つ怪光線で女性達をネオショッカーに服従する鬼女に変えた。ちなみに麻痺毒は鬼女の牙にも仕込まれ、改造人間をも麻痺させた。
 鬼女にされた女性達も通常は極普通の女性と変わらないが、刺激(主に打擲)を受け、怒りが堪ると爪を生やし、口裂●女状態となり、牙を生やし、最終的には長い白髪に変貌して、安達が●の鬼婆状態にまで変わっていた。

 来日直後、出迎えに来たアリコマンドの前で金棒をもって岸部を叩いたぐらいで「見たか、俺様の物凄い力を!」と喚く様からして「こらあかん。」と思わせてくれたウニデーモンは即座にキレーダの宝石強奪に取り組んだ。
 キレーダを拉致して来たアリコマンドが一文字隼人に追われるとこれを迎撃して拉致を成功させた。

 キレーダの宝石を額に移植する手術を終えると早速増幅した光線でもって女性を鬼に変えるのに成功。魔神提督と二人して幸せな家庭を壊さんとほくそ笑んでいたのだから、両者の不幸な幼児体験を想像しそうになる

 その後も女性を拉致したり、洗脳した女性を筑波洋達の泊まるホテルの仲居に化けさせて茶で毒殺しようとしたりし、基地の中では「ネオショッカーの節分だ!」して、洗脳した女性達と「鬼は内〜!人は外〜!」と小生意気盛りのガキのような台詞で豆まきをしていた。

 その後、アジトを探索して来た筑波洋を、鬼女を率いて迎撃。だがい些細か不利だったようで「第2作戦だ」といってあっさり撤退。追ってきた洋を洗脳したキレーダに噛みつかせて麻痺させた。
 このようにして洋を捕えたのは大したものだったが、これによって魔神提督から「将軍にしてやる」と云われていたところを見ると、こいつ小物だな(笑)。
 直後、ドSである魔神提督に洋を苦しめ抜いて殺すことを命じられ、同じくドSであるウニデーモンは洋を海中に立てた柱に縛り、これを満ち潮で溺死させると宣言。海に浸けながら「もっともこの暑さでは先に干物になるかな。」とほざいていたからやはりコイツは馬鹿だ。水中に在るのがどうやって干物になるのやら(笑)

 勿論、この「じわじわ苦しめてから殺す。」というのは悪の組織必敗パターン(笑)で、おまけにスケベなウニデーモンはキレーダの顔見たさに持ち場を離れたのだからぶっ飛んでいる(笑)。一応アリコマンドを見張りに残していただけマシだったが、この間に洋に逃げられたのは云うまでもない。

 そしてキレーダの元に来たら彼女は隼人に連れられた後で、追跡したウニデーモンオカッパ法師と共に2人を断崖絶壁に追いやったが、断崖から海や滝壺に落ちる奴に死んだ試しがない特撮界のお約束はここでも例に漏れなかった(笑)。
 まあすぐに追跡しただけエラいが、結局この仮面ライダー2号との一騎打ちで金棒をライダーキックで折られ、額にライダーチョップを喰らって宝石を割られてパワーダウンし、同じ箇所にライダーキックを喰らって戦死した。


 その相方を務めたのがオカッパ法師で、任務はウニデーモンのサポートとライダー迎撃だが、任務そのものにはちゃんと取り組んでいてもおちゃらけ感が抜けない。というのもその河童に忠実な風体並びに性格や行動はウニデーモン以上にコミカルだからだ。
 河童は元々水神で、地方によっては今でも胡瓜を供えて信仰しているところがある様な存在だ。そんな地方の方々がこのオカッパ法師を見たら怒りやしないか些か心配である(苦笑)。
 ちなみにヒルビランガマギラーに続く、魔神提督の日本着任以来3体目となる日本支部付きの改造人間である。

 本物の河童宜しく、頭部の更に水を蓄えると力が出て、無くなると衰える。ただ持続時間は短いらしく、頻繁に近侍する白いアリコマンド2人にバケツに入れた水と長柄付きのスポンジを持たせ、水分補給をさせていた姿が間抜けだった(笑)。また皿は敵に投げ付けると金ダライ程の大きさになり、標的を載せて空中を彷徨わすことが出来る器用な物でもあった。
 水分補給した直後は「カッパエネルギー100万倍!」と自称していたが、全く強くなったようには見えなかった。そもそも100万倍とは、1000円が10億円に、1gが1tに、1mmが1km、1平方センチが10平方メートルになる倍率である。多少強くなったとしても「100万倍」は云い過ぎだ(笑)。

 となると、元の力が目茶苦茶弱かったのか?と考えたくなるところだが、そうでもない。コミカルな外見ながらもカッパ特有の身体能力と名前にちなんだ技は2号ライダーをかなり苦しめた。
 腕は相撲好きの河童らしく剛腕で、張り手でスカイライダーを苦しめ、あらゆる物を腐らせる「オカッパ毒」を噴射。頑丈な甲羅はライダーキックも跳ね返し、髪の毛を抜いて吹くと黒い布に変じて標的の全身に巻き付いて締め殺す「カッパ巻き」は駄洒落にしては恐ろしい技で、2号ライダーをあわやというところまで追い詰めた。
 おまけに「屁の河童」といって放った放屁は相当な悪臭らしく、がんがんじいを悶絶・戦意喪失させていた。この技に関してはギャグ漫画の名作・『ついでにとんちんかん』の主人公・間抜作先生のある話での台詞を引用したい。「文法上、『河童の屁』が正しい!」と。

 魔神提督によってウニデーモンに引き合わされるや即座に若い女性の拉致に取り組んだ。  また子供を襲おうとしたがんがんじいを皿円盤で投げ飛ばし、仲居を追って来た一文字隼人も襲撃した。
 固い甲羅とカッパ巻きで2号ライダーを追いこんだが、ライダー反転スクリュー返しで逃げられ、ライダーキックを胸板に喰らって水中に叩き込まれた(さすがに甲羅でないと弾き返せなさそう)。

 その後、アジトに潜入した隼人がキレーダを救いだすのをあえて黙認した上で追跡に掛り、2人を断崖絶壁から海中に追い込んだ。勿論「逃げられた」と同義語なんだが(笑)。
 その後洋を襲撃し、自らの皿を巨大化させた円盤に乗り、スカイターボで追って来るスカイライダーに皿爆弾を投げて応戦。しかしスカイターボアタックで円盤から撃墜され、甲羅の固さで善戦したものの、スカイバックドロップ(プロレスのバックドロップに似ず、『魁!男塾』で大豪院邪鬼が披露した大豪院流驚天回旌杭に近かった)で皿を割られ、同じ箇所にスカイキックを喰らって戦死した。


両者の邂逅 日本の家庭を目茶苦茶にすることにほくそ笑むサドっ気全開の魔神提督に、Wライダーが邪魔することを懸念したウニデーモンに対して、「心配は無い。そのために呼んでおいた頼もしい奴がおる。」といって、呼ばれたオカッパ法師が基地内の温泉の様な所から現れたのが両者の邂逅である。

 ウニデーモンへの協力を命じられたオカッパ法師は「こんな変な奴の力を借りずとも私一人で仮面ライダーを倒して見せましょう。」と憎まれ口を叩く。「協力せよ。」の意味が分かっているのか?オカッパ法師。いきなり喧嘩売ってどうする?
 それに対してウニデーモンが反論するシーンは無かったが、もしシルバータイタンがウニデーモンの立場なら、「『こんな変な奴』?お前に云われたないわい!」と思ったことだろう(笑)。

 こんな調子だから、両者は部署が違えど前々から顔見知りだった可能性はあるともに日本妖怪系だし。或いはオカッパ法師ウニデーモンを一方的に知っていたかだろう。
 いずれにせよ、この第39話・第40話の前でドラゴンキングキギンガー魔神提督の人選にしては珍しく良いコンビだっただけにその対比もあって、「こらあかんわ。」と思わせる両者の邂逅だった。


コンビネーション考察 両者のコンビネーションを語るのは困難である。何せこいつら殆ど絡まないのだから(苦笑)。役割を分担したと云えば聞こえはいいが、どうも互いが互いを歯牙にも掛けてなかったようである。

 両者が共に同じ場所にいたのは魔神提督によって紹介されたときと、キレーダを救出に来た一文字隼人を追跡したときだけである。また初顔合わせ時の憎まれ口を除けば、互いが互いに何かを云ったシーンすらない。作戦進行役と迎撃役が分けられていたとはいえ、両者ともに女性の拉致には勤しんでいたので、仲の良し悪し以前にこの絡まなさは尋常ではない。

 恐らく、ウニデーモンウニデーモンで女しか興味がなく、オカッパ法師オカッパ法師で独断専行しか考えていなかったのだろう。ギャグとしか思えない言動や、頭部に力の源と急所をもち、妖怪をベースにした似た者同士のは、似た者同士ゆえに互いが絡むとロクなことにならないのを分かっていたのかも知れない。両者とも頭は強くなくても、全くの馬鹿でもなかったところも似ている。
 似た者同士は、物凄くコンビネーションが良いか、物凄く足を引っ張り合うかの両極端に陥り易いから、もし両者が互いを「似た者同士」と認識していたのなら、敬意を抱き合っていないことからも絡まなかったのは正解である。

 結論、この2話における作戦が失敗したのは、ウニデーモンの女癖の悪さによる杜撰行動と、協力を命じられながらその杜撰さに注意を払わなかったオカッパ法師の双方に原因があるが、本来はそこのコントロールこそが大幹部の仕事ではなかっただろうか?魔神提督様?


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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新