19.オニビビンバ&サタンドール…急造の哀しさに敗れる?

登場番組『仮面ライダースーパー1』第46話
協力体制急場共闘型
両者の友好度☆☆☆☆☆☆★★★★
同時行動度☆☆☆☆☆☆★★★★
共闘度☆☆☆☆☆☆☆★★★
改造人間紹介 数々の作戦を仮面ライダースーパー1に破られ続けたジンドグマの首領・悪魔元帥(加地健太郎)はアジト内で談笑する鬼火指令(河原崎洋夫)・幽霊博士(鈴木和夫)・魔女参謀(藤堂陽子)達の有り様に怒り心頭になって怒鳴りつけ、剣からショック光線を放った。
 だが彼等に自覚がなかった訳ではなく、光線に苦しみながら魔女参謀は既に妖怪王女(吉沢由起)が行動を起こしていることを告げ、鬼火指令は本来の姿で妖怪王女と共にスーパー1に打倒することを宣言した。
 そして自らの出陣を証明する如く変身した姿がジンドグマ超A級怪人・オニビビンバだった。

 変身したその姿は頭部が面長な骸骨で、胴は火炎放射器の燃料タンクで、必要に応じて左手を火炎放射器に変形させて攻撃。背中にはバズーカ砲を背負い、大鎌と馬術を得物としていた。
 更にはこの日の為に地下にて自らが鍛え上げた暗殺集団・「夜光虫」を率いていた。「夜光虫」は見た目こそ通常のジンファイターと変わらないが、鎌と松明を得物に集団攻撃を得意とする暗殺集団でもあった。実際、彼等は上司である鬼火指令同様に鬼火に変身するという特殊能力を有していた。

 「夜光虫」を呼び出したオニビビンバはその足で拳法訓練中の沖一也(高杉俊价)を襲撃した。一也に云わせるとその姿が見える前に恐ろしい程の殺気を感じさせていたとのことだった。
 襲撃当初は鬼火指令の姿のままで鬼火指令暗黒法の名を唱えながら大鎌で攻撃(笑)、「夜光虫」達の上手い牽制もあって最初は一也を防戦一方に追い込んでいたが、真剣白刃取りでかわされ、スーパー1への変身を許してしまったことで自らもオニビビンバに変身した。
 体術で一歩劣ったようだったが、バズーカでの砲撃と「夜光虫」の牽制を駆使し、大鎌でもってスーパー1を断ち樹に磔状態にすることに成功。火炎放射を顔面に浴びせたが、冷熱ハンドの冷凍ガスに怯んだところをパワーハンドに大鎌を抜かれて投げ付けられ、ダブルキックを喰らって、撤退した。しかし火炎放射はスーパー1を三日間は治らない失明状態(メンテナンスマシーンの診断による)に陥らせた。

 次の展開では妖怪王女がジュニアライダー隊の面々を呼び出した洋館にて執事に化け、彼等を歓待する振りをしてマネキンに擬態させた「夜光虫」とともに捕えた。目的は追って来るであろう沖一也の迎撃で、案の定、一也は目が見えない状態でもやって来た。
 夜光虫に苦戦する一也の前に人質を連行して出ると妖怪王女サタンドールに変身したのに続いてオニビビンバに変身。もっとも、縛っていた草波姉弟の体当たりを受けて階段から落下する際に元の姿に戻ったと云う相当情けないものではあったが(笑)

 そのまま姉弟に襲い掛かろうとしたが、さすがにこれは一也に阻止され、屋外にて最終決戦となった。スーパー1の眼が見えない(実際にはうっすらと見えていた)のと、2対1のハンディキャップマッチである2点を利して優位に戦闘を進めた。
 しかし、冷熱ハンドの冷凍ガスをかわし、バズーカ砲でスーパー1を海中に叩き込んだ直後にスーパー1の視力が回復(お約束)すると形勢は一気に逆転。エレキハンドのエレキ光線に怯んだところをスーパーライダー水平線キックを顔面に受け、鬼火指令の姿をダブらせながら「無念…」と呟いてサタンドールと供に戦死した。


 その最終決戦にて相方を勤めたのが、妖怪王女で、ジンドグマ超A級怪人・サタンドールに変身した。ジンドグマ四幹部の先陣を切って打倒スーパー1を果たす為、打ち捨てられたフランス人形に化けて、ジュニアライダー隊の草波ハルミ(田中由美子)と石川ミチル(中村和泉)に拾われるように仕向けて谷モーターショップに潜入した。

 その姿は等身大フランス人形その物で、ピンクのフリフリドレスに薔薇のアップリケを施した改造人間は後にも先にも存在しない。ある意味斬新である。
 妖怪王女を演じた吉沢由紀さんが演じており、バンパイアの様な二本の牙と、眦に施された赤いアイラインが怪奇色を僅かに見せていることを除けば、いい年した大人が御嬢ちゃまコスプレをしている様にしか見えない(笑)。もっとも、そんな存在が襲いかかって来るのは却って怖いものがあり、見応えは充分にある存在だった。

 得物は持たないが、人形への変身能力に加えて、ジンファイターをマネキンに擬態させることが可能で、ショートテレポートや念動力と云ったサイキックでスーパー1を苦しめた。  念動力は一種の催眠術とも取れ、これに掛るとサタンドールの腕の動きに引き摺られるように同じ動きを取る訳で、万歳状態で別の敵に攻撃されるのはスーパー1でも堪ったものではなかった。

 拾われた直後は静かに機を窺っていたが、一也がオニビビンバとの戦闘で休養状態に入ったのを見計らって人形の姿のまま念動力でバイクや自転車を動かして谷源次郎や小塚のチョロ(佐藤輝明)やジュニアライダー隊の面々を負傷させた(軽傷だったが)。
 直後、ラジオ放送で紛失したフランス人形を探し求める御嬢様の話を流し、ジュニアライダー隊達を郊外の怪しい洋館に誘き寄せた(←ラジオのスイッチを入れた途端にそんなニュースが流れたことを怪しめよな)。

 洋館では鬼火指令と、マネキンに擬態したその配下「夜光虫」とともに彼等を捕えた。沖一也ともども処刑する事を宣言し、ハルミに「一也さんがお前達なんかに負けるもんですか!」と反論されると「お黙り!」と云ってハルミにビンタ3発を喰らわせていた。う〜ん悪女キャラやなあ〜(笑)。
 やがて一也が追って来るとサタンドールに変身して目の見えない一也と一騎打ちを演じた。

 程なく、死闘はオニビビンバもまじえた2対1のハンディキャップマッチとなり、念動力でスーパー1の動きを封じたところをオニビビンバに攻撃させたり、ただでさえ目の見えないところにショートテレポートを駆使して声を掛けて撹乱したり、でスーパー1を苦しめた。
 だが海中に落ちた直後に視力を回復したスーパー1のエレキ光線に怯んだところをオニビビンバと共にスーパーライダー水平線キックを顔面に受け、妖怪王女の姿をダブらせながら「悪魔元帥…この恨みを晴らして…」と呟いてオニビビンバと共に戦死した。
 ちなみに女性の素顔に蹴りを入れるのは安全面でも倫理面でも問題があるのか、水平線キックが決まる瞬間の映像は「吉沢由紀さんが演じるサタンドール」ではなく、「サタンドールの服を着た人形」が代用されているのだが、DVDデッキの一時停止機能を使って見たこの人形の顔はかなり不気味だった(苦笑)。


両者の邂逅 超A級怪人の姿でオニビビンバサタンドールが共に姿を現すのはジュニアライダー隊や仮面ライダースーパー1をおびき出した洋館での1コマが最初だが、両者の正体はジンドグマ幹部の鬼火指令妖怪王女だから元々面識はある。第23話の初登場時に既に他のに幹部共々悪魔元帥の側に侍っていたのだから。

 という訳で、邂逅に関しては以上(苦笑)。


コンビネーション考察 概して悪の組織の幹部同士は仲が良くない傾向にある。悪人の集まりゆえに野心家や腹黒い奴や利己主義的者も多いから無理は無い。そしてジンドグマの四幹部も仲が良いと云い難かった。
 かと云ってそんなに悪い訳でもなかった。四幹部は互いにライバル意識を持っていて、ある幹部の作戦紹介にケチをつけたり、作戦失敗を嘲笑ったりしていたとはいえ、悪魔元帥ジンドグマに忠誠を誓って、その指示に逆らったり、越権行為をしたり、邪魔したりすることも無かった。結局は好む路線の違いから来る出世競争だろう。

 ジンドグマ四幹部の中で鬼火指令はタカ派で、粗野な言動が多く、指揮する作戦にも直接的な破壊をもたらさんとするものが多かったが、その性格を反映して仮面ライダースーパー1との戦いでも大鎌やバズーカ砲を駆使しての直接攻撃を担当した。
 一方で妖怪王女幽霊博士と並んでハト派で、「武」よりも「知」を重んじた。同じ「知」でも幽霊博士が科学的だったのに対して、妖怪王女は精神面重視という相違は有ったが。それゆえサタンドールは直接殴り合うのではなく、念動力やショートテレポートによる撹乱に徹していた。
 つまり、この両者、互いが互いの長所を活かし合えばかなり良いコンビで、結末こそ呆気無かったゆえに強そうに見えなかったが、一瞬の隙を突く形を取らなければスーパー1も勝利は覚束なかったのではなかろうか?
 妖怪王女はハルミに前述のビンタを喰らわせた際に、「私と鬼火指令が組めば一也ごときに負けやせぬ!」と云っていたが、シルバータイタンはヒステリーから発した出まかせばかりとは思っておらず、自信も持っていたのではないか?と見ている

 もっとも、これは「最善を尽くせていれば。」との条件付きで、オニビビンバスーパー1に振り解かれてサタンドールと衝突した際には、敵を前にして醜い罵り合いを展開していたのだから、コンビネーションに問題が無かった訳ではない。まあすぐに共闘体制に戻ってはいたが。

 結局、そこそこいい線行きながらこのコンビがスーパー1に敗れた3つある。
 1つは打たれ弱さ。ファイブハンドやスーパーライダーキックの直撃に耐える怪人も少しはいた中、オニビビンバサタンドールは超A級怪人にしては打たれ弱かった。
 2つ目は間合いの問題である。両者とも敵に直接触れずとも攻撃できる手段を持っていた訳で、戦闘方法も見事に役割分担していたのだから双方が距離を保って個々にスーパー1を攻撃していれば、衝突も、同時戦死も無かった筈である。
 最後は急造ペアであったことだろう。元々は性格も路線も正反対な者同士がコンビを組んだ訳で、決して悪いコンビではなかったが、前々から綿密なコンビネーションを組む為の段取りをしていたのならともかく、数々の作戦失敗の焦りから急に組んだ感が否めない。せっかく2人で行動しているのだから、片方がスーパー1と戦い、片方が人質を確保しているだけでも全然戦いを有利に進めることが出来た筈である。
 鬼火指令妖怪王女の戦死直後、幽霊博士は両者の死を悼み、復讐を誓っていたし、悪魔元帥に報告もせずに即座の報復攻撃に出ていた。充分な仲間意識と、個々に優れた能力を持っていた彼等が充分な時間を掛けたタッグを組んでいれば、スーパー1の苦戦は相当とな物になっていたと思われる。


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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新