20.サタンスネーク&マジョリンガ…各個撃破されるなよ…

登場番組『仮面ライダースーパー1』第48話
協力体制形勢不利加勢型
両者の友好度☆☆☆☆☆☆☆☆☆★
同時行動度☆☆★★★★★★★★
共闘度☆★★★★★★★★★
改造人間紹介 アメリカ合衆国アリゾナの国際宇宙開発局にて惑星開発用改造人間・コードネーム『スーパー1』の改造を始めたことで『仮面ライダースーパー1』は始まった。しかし第1話でドグマ怪人ファイヤーコングの襲撃を受けて壊滅させられたことで部隊は日本に移った訳だが、国際宇宙開発局もまた拠点を秘かに日本に移して再建されていた。

 富士の樹海に極秘再建されていた国際宇宙開発局を襲撃したのがジンドグマ超A級怪人・サタンスネークで、正体はジンドグマの首領・悪魔元帥その人(?)であった。
 その姿は上半身にギリシャ神話の怪蛇・ヒドラを推戴したヒューマノイドで、両腕の先端が大蛇になっているのに加えて6体の大蛇が鎌首をもたげていた。腰に巻いたベルトと口に咥えて使った守り刀・稲妻電光剣(岩をも溶かす光線照射可能)が僅かに悪魔元帥の面影を残していた。
 複数の首を利した攻撃を行い、宇宙開発局の職員を次々と噛み殺しただけでなく、目からは怪光線を放っていた(威力不明)。

 第47話にて魔女参謀から国際宇宙開発局が宇宙船・ジュピタースーパー1を完成させたとの報告を受けた悪魔元帥は第48話(最終回)冒頭でいきなり同局を襲撃した。

 異変を聞いて駆け付けた沖一也を魔女参謀と供に迎え、目的(ジュピタースーパー1を乗っ取ってのミサイル攻撃)と正体(サタンスネークの姿とB26暗黒星雲から来たという出自)を明かした。
 直後、姿を消したと見せかけ、追っかけて来た仮面ライダースーパー1を罠に嵌めんとしてこれを迎撃したマジョリンガに稲妻電光剣を寄こした。
 だが、この助力は仇となった。

 マジョリンガを倒したスーパー1が自分を追いかけて来たのところをある一室に閉じ込め、部屋の空気を抜くことで死に到らしめた…………とはならなかったのはいうまでも無く(笑)、スーパー1は死んだ振りをした。スーパー1が惑星開発用改造人間である事を知っていれば真空状態に適応出来る能力があることぐらい容易に想像出来そうなもんだったが…………この展開は悪魔元帥の知能がどうというより、些か視聴者を侮ってはいなかっただろうか?当時の制作者達よぉ。

 その後、スーパー1の死体(と思い込んでいるもの)をジンドグマに逆らった報復として大気圏外に放擲して未来永劫に漂う宇宙のゴミにしようとした。結局宇宙船に乗せようとしてジンファイターを遺体回収に向かわせたことでスーパー1の脱出を許すこととなった。

 生きていたスーパー1が勝負を挑んでくると「望むところだ。」と云ってこれに応じた(←罠に嵌めておいてよく云う)。稲妻電光剣を手に一騎打ちを展開するもこれを奪われ、サタンスネークに変身。最初の方こそ複数の首を利してスーパー1に絡みつき、苦しめたかに見えたが、戦いの場が屋外に移るとスネークビームも効果を上げれず、自分の稲妻電光剣で次々と大蛇の首を刎ねられ、胴にも刺突を受けたのが致命傷となった。
 自らの死を悟り、スーパー1を道連れにせんとして斬撃を浴びたところで大爆発を起こして戦死したが、悪の首領の道連れ自爆が成功しないのは勿論お約束である(笑)。
 かくしてジンドグマは滅亡した。


 そのサタンスネークをサポートしたのがジンドグマ超A級怪人マジョリンガで、その正体は最後まで悪魔元帥の元に残っていた幹部・魔女参謀である。
 巨大な蝶に変身する能力と念動力を持ち、鱗粉や「超能力岩石飛ばし」でスーパー1を攻撃。顔は恐らく蛾か蝶を模したものと思われるが、白い紐状の結晶の様なもので覆われ、何とも形容し難い。後頭部には妙な被り物を広げていたが、これまた形容し難いものだった。
 そして首から下は赤いボディースーツとピンクの手袋に赤いブーツと履き、それ以外は網タイツに覆われていた。余り話題に上らないのだが、このマジョリンガも、正体である魔女参謀も、同じ女性幹部の妖怪王女も纏っていた衣装はハイレグカットである。もっと頻繁にウェスト下辺りをアップで映して………ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ!……いやいやそれはさておき、いずれにしても奇抜な頭部とシンプルな胴下が対照的だった。

 第47話終盤でゴールドゴースト(=幽霊博士)を倒した直後に谷源次郎から宇宙開発局に異常事態が起きたとの知らせを受け、即座に局に向かった一也を富士の樹海で上空から襲撃したのがマジョリンガとしての初登場で、金色のマスクを付けた特別なジンファイター(←能力は変わらん)と率いて一也と戦ったが、すぐに撤退した(襲撃意図不明)。

 程なく、基地の中に入って来た一也を悪魔元帥と供に迎え、目的(ジュピタースーパー1を乗っ取ってのミサイル攻撃)と正体(マジョリンガの姿とB26暗黒星雲から来たという出自)を明かした。
 直後、姿を消し、追っかけて来たスーパー1を罠に嵌めて鉄球の下敷きにしたが、スーパー1はパワーハンドで難を逃れ、岩石飛ばしで攻撃するも、岩を返され、怯んだ。
 そこに悪魔元帥から稲妻電光剣を送られ、剣の持つ、宇宙プラズマを照射する力でスーパー1を追いこんだかに見えたが、スーパー1は宇宙プラズマをエネルギーとして吸収しており、ダメージを与えるどころか、回復させる形になってしまった。
 最期は真剣白刃取りで稲妻電光剣を奪われ、肩口を刺されたのが致命傷となり、魔女参謀の姿に戻ると「ジンドグマに栄光あれ!」と叫んで戦死した。


両者の邂逅 両者がジンドグマ超A級怪人の姿で共に画面上に現れたのは、異変の報を聞いて国際宇宙開発局内に沖一也が駆け付けた時だった。
 ゴールドゴーストの宇宙カビから悪魔元帥達を地球外生命体であることを既に察知してた一也がそのことを指摘した際に悪魔元帥が自分達の出自をカミングアウトしながらサタンスネークマジョリンガの姿を共に見せたのが最初である。

 勿論、邂逅も何も両者の立場はジンドグマの首領とその幹部である。いわば最初から主従で、第23話のジンドグマ初登場時に共に姿を現している。当然遥か以前から両者は主従として遇していたと見るべきだろう。


コンビネーション考察 実はこの両名、最終行動の場こそ共にしたが、行動自体は全くの別行動である。国際宇宙開発局という場を考えてみても、局襲撃はサタンスネークの単独で、駆け付けた沖一也迎撃はマジョリンガの単独行動である。

 また悪魔元帥仮面ライダースーパー1に対しても直接戦うよりも、罠にかけて殺すことを図っていた。まあ勿論これは失敗し、遺体確認に向かったマジョリンガに稲妻電光剣を授けたのが最初で最後の助力となった。勿論共闘は無く、悪いことにこの稲妻電光剣がマジョリンガと自身の命を奪う道具として使われることになった。

 結局行動面だけで見ると両者にコンビネーションは皆無である。ただだからといって両者の仲が悪かった訳ではない。というのも悪魔元帥と云う人間(?)が、悪の組織の首領にしては部下思いな面が窺えるからだ。
 設定によると悪魔元帥は人間不信で、人間より機械を信じる余り、全身の殆どを機械化している、とあるが、シルバータイタンはこれに異を唱えたい。全身を機械化しているのは改造人間皆に共通することで、悪魔元帥は余り部下を叱責したり、処罰したりしない(全くしない訳じゃないが稀である)。
 そもそもジンドグマと云う組織からして、同じB26暗黒星雲を出自とするネオショッカードグマと比べても人を殺すよりは利用しようと云うカラーが強い。先代と先々代に当る二組織は有能且つ自分達に忠実な人間だけを残し、後は殺してしまおうという考えだが、悪魔元帥は、スーパー1が地球の人々が心安く生きたがっていることを訴えた際に、「心安く生きたければ大人しく我がジンドグマの支配下に入ることだ。」と云って、高飛車で脅迫的ながらも、逆らわない者は保護することを滲ませている。
 またジンドグマは科学者や権力者を自らの支配下に置こうとする時の要求こそ高圧的だが、仮装パーティーでの四幹部の接待振りを見ると、仲間になったものには慇懃だ(笑)。
 人間にとっての悪の組織であり、地球人にとっての侵略者であることに間違いは無く、手段を選ばない残虐さもあったが、意外と人情味は有る組織だったのかも知れない。

 そして、ある意味そのことが両者のコンビネーションに有効活用の要素を生めないようにしてしまったのだろう。ストーリーを通じて悪魔元帥は殆どアジトを離れることは無かった。一方で魔女参謀は他の三幹部と比べても結構自ら前線で動いていた。その両者が同時行動を起こしたのも、既に他の三幹部を失い、組織としてかなり追い込まれていたからに他ならない。鬼火指令と妖怪王女の様な同格ならともかく、余程好戦的な主君と一緒でない限り、主従で共闘することは想定しない(「主」が動くようでは組織として末期で、実際ジンドグマはそうだった)。

 そしてこれはシルバータイタンの推測なのだが、悪魔元帥は格闘ではスーパー1に勝てない、と踏んでいたのではないかと考えている。
 既に3体のジンドグマ超A級怪人が敗れていたが、特殊能力でもって苦戦させたものの、ガチでの格闘となると殆どスーパー1に抗戦出来ていなかった。勿論スーパー1自身数々の修業を積み、初期とは比べ物にならないぐらい強くなっていたが、いずれにしても戦史的にスーパー1を苦戦させたジンドグマ怪人はショオカキングぐらいしか思い浮かばない。
 だから悪魔元帥は罠を駆使していたし、最後の最後まで格闘は避けていたように思われるのである。結果、マジョリンガサタンスネークは共闘することなく、対して前線も出来ないまま各個撃破された。鬼火指令の様に好戦的な首領か幹部がもう一人いればいいコンビネーションが見られたかも知れなかったのが惜しまれる。


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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新