4.ショッカーライダー2号&エイドクガー…1号ライダーを圧倒した実力は本物か?

登場番組『仮面ライダー』第93話・第94話
協力体制作戦援護型
両者の友好度☆☆☆☆☆★★★★★
同時行動度☆☆☆☆☆☆★★★★
共闘度☆☆☆☆☆★★★★★
改造人間紹介 前頁で取り上げたショッカーライダー1号ハエトリバチに続く、ショッカーライダーゲルショッカー合成改造人間のコンビである。

 ショッカーライダー2号は登場前にショッカーライダー1号仮面ライダー2号に云い捨てた台詞でその存在が判明した。マフラーの色の違いから偽物であることがバれゲルショッカー首領の正体データが収められたコンピューター・テープの奪取にも失敗したショッカーライダー1号が悔し紛れに「今頃は少年仮面ライダー隊本部はショッカーライダー2号に襲われている!」と云い放ち、2号ライダーは「ショッカーライダーにも2号がいるのか?!」と驚愕した。

 ショッカーライダー1号の言葉は事実で、折しも少年仮面ライダー隊本部ではライダー1号に成り済ました白いマフラーのショッカーライダー2号が「私からのお年玉だ。」と云って催眠ガス入りの箱をミツル(山田芳一)とナオキ(矢崎知紀)に空けさせて昏倒させた。ガスは間違いなく、エイドクガーが口から吐くのと同じ物だろう。
 ライダーが自分達に危害を加えるのを信じられない気持でいるミツルとナオキにショッカーライダー2号は本郷猛の声からの本来の声(市川治)に戻すことで正体を暴露し、直後に姿を現したエイドクガーと供にライダーガールズともども全員を拉致しようとした。
 そこへ本郷猛が帰還し、妨害に出るも、ハエトリバチとともに断崖から落下した際に負傷していたことが幸いして、ショッカーライダー2号エイドクガーライダー1号の圧倒と、少年仮面ライダー隊面々の拉致に成功する。

 ここまで来るとショッカーライダーには本物の評判を貶める役割よりは、本物と同等の能力と6体いる数の上での有利さを活かした仮面ライダー1号2号の抹殺が主要任務となる。その中にあってショッカーライダー2号ショッカーライダー1号を差し置いてチームの陣頭指揮を執り、指ミサイルによる一斉射撃の号令を下したりしていた。
 だが、大人数になったことがストーリー上災いしたのか、その性能は設定上の物に留まり、ショッカーライダー1号のようにライダーキックを放ったり、サイクロン号を駆動させたりすることも無く、「体から毒煙を発する」という独自の特殊能力も発揮しないまま、ライダー車輪の前に他のショッカーライダー達と供に衝突・爆死した。

 その相方を一時務めたエイドクガーはエイと毒蛾の合成改造人間で、設定によるとアフリカ・タンザニア出身で、口から吐いて三日三晩人間を眠らせる毒ガスを吐くが、危険時には自らを自己催眠で眠らせることも出来る。優れたジャンプ力と、エイの尻尾型をした鋭利な右手で相手を攻撃する。
 初登場は第93話の冒頭で、ショッカーライダー1号ゲルショッカー首領の正体を記したアンチショッカー同盟のコンピューター・テープを海中に投棄して始末せんとした時に、そのテープを掴んで海中から現れたのが最初である。
 訝しがるショッカーライダー1号に作戦変更を伝え、殺人音波の入った偽テープでアンチショッカー同盟を全滅させることを託すと、自らは本物のテープを持ってアジトに帰還した。が、持ちかえったテープこそ偽物であることを知り、エイドクガーショッカーライダー2号と供に少年仮面ライダー隊のアジトに向かい、ライダー1号の妨害に対しても今日としてこれを退け、隊員達の拉致に成功した。

 拉致した隊員達は一文字隼人が南米から持って来た本物のテープと交換する為の人質として利用したが、勿論ゲルショッカーに人質を返す意図は無かった。この時エイドクガーはヘリコプターに搭乗して、畿内からぶら下げたロープにテープを入れたアタッシュケースを架けさせ、これを持ち帰らんとしたが、図られたことに激昂した滝和也がロープを伝ってヘリに乗り込んできて、これと格闘になった。  加えて、アンチショッカー同盟の小暮誠一郎(上野山功一)がガス弾を放った状況を利用してショッカーライダー達と戦っていた仮面ライダー1号2号までジャンプしてヘリに乗り込んできたため、逆に自身が人質となってしまった。

 だがエイドクガーは自らを自己催眠で眠らせ、アジトの場所を吐かせようとする滝の訊問を回避し、秘かに目覚めた後にアジトに向けて電波を発信し、ナメクジキノコが侵入した頃合いを見計らって見張りの同盟員3名を毒ガスで殺害し、戦闘員に憑依させ、後々の罠とした。だが、自身は翌朝、アジト(と云っても仕掛けられた罠だったのだが)に向かおうとした本郷・一文字・滝・藤兵衛・同盟員達を阻止しようとしてWライダーとの戦いに入るも、今度は自ら2対1の苦戦に陥り、最後は2号ライダーのライダーきりもみシュートの前に爆死した。尚、エイドクガーは最終回に再生してゲルショッカー首領最後の盾としてWライダーに挑んだが、この時も2号ライダーの(ライダーパンチの連打の)前に戦死した。雪辱ならず、と云ったところか。


両者の邂逅 初登場時にショッカーライダー1号エイドクガーの名前を知っていた所からしておそらくはショッカーライダー2号とも旧知だったのだろう。独力では対ライダー戦にて余りいい所の無かったエイドクガーだが、ゲルショッカー内にてはそれなりの立場にあったのかもしれない。
 詳しくは後述するが、ショッカーライダー1号&にハエトリバチ比べれば、ショッカーライダー2号エイドクガーは元々共闘型ではなく、同一作戦従事型と見られている。勿論いつ仮面ライダー1号の妨害を受けるか分からないのだから最低限のタッグ攻撃訓練は受けていただろう。
 アンチショッカー同盟抹殺を巡る一連のシリーズでは、通算でゲルショッカーは9体の改造人間を投入している。そして戦闘としてはともかく、作戦に挑む際には単独と云うことは殆どなかった。中にはナメクジキノコのように殆ど単独でしか動かなかった奴もいるが、複数人数での攻撃を想定している以上、エイドクガーも事前に邂逅があったと見るべきだろう。


コンビネーション考察 両者の作戦取組は2回だが、共闘は1回だけになる。
 作戦取組は1回目が少年ライダー隊本部の襲撃・隊員拉致。2回目は人質交換を利用したテープ奪還・Wライダー抹殺である。そしてただ1回の共闘では(怪我していたとはいえ) 仮面ライダー1号を圧倒するという歴史的偉業を為し得た両名だが、ライダー1号との戦いは、組織コンピューターの計算上かなりの高確率で彼が生きていることを想定していたとはいえ、その場に現れることまでは想定していなかった。つまりはなし崩し的な共闘である。
 それでありながら戦いに勝利したのだから両者は素養的になかなかのコンビネーションを持っていたと云えるだろう。

 惜しむらくは組織プレイの重きが、ショッカーライダー6体に置かれており、エイドクガーナメクジキノコは任務においては共闘が重視されていなかったことが挙げられる。
 実際、エイドクガーが積極的に攻撃した対象は少年ライダー隊やアンチショッカー同盟と云った人間が多く、戦略的にも戦闘よりも拉致・テープ強奪・索敵に重きが置かれていたことが対ライダー1号戦勝利時にとどめを刺さずに撤収することを優先させ、千載一遇の好機を逃すこととなったと云える。もっとも、あんまりもたもたしていたらライダー2号と滝が駆け付けただろうから、撤収自体は決して間違えていなかったのだが。

 ショッカーライダーは1対1なら仮面ライダー1号と同等の能力を有していた。それは素体的に才能あふれる本郷猛が様々な改造人間との共闘にも優れているという長所を受け継いでいても不思議ではない。
 それゆえ、戦闘経験で本物に劣るショッカーライダーがその不利を他のゲルショッカー怪人に補わせ、本物が持たない特殊能力を駆使していれば一連の作戦はかなりいい線を行ったのでは?と思わせるのが、このシリーズが長く名作として語り継がれる所以であるのがこんな所にも見られたのは、考察における嬉しい発見でもあった。


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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新