5.テレビバエ&イカファイア…最後に共闘したばかりに…

登場番組『仮面ライダーV3』第3話・第4話
協力体制能力分担型
両者の友好度☆☆☆☆☆☆☆★★★
同時行動度☆☆☆☆☆☆☆★★★
共闘度☆☆☆☆☆★★★★★
改造人間紹介 テレビバエは機械と動物を合わせるデストロンの機械合成改造人間三番手である。名前からもモロ分かりの様に、テレビとハエの改造人間で、人間の素体は第一綜合病院の関院長。
 医師・看護師がデストロンに洗脳され、病院がデストロンの巣窟と化していることを知らずに世中の手術に駆りだされた関院長を手術代で待っていたのは一台のテレビで、「ここは工場じゃないぞ!?」と訝しがっていた所を、有無を云わさず改造手術を施されて誕生した。

 素体が初老の意志だったことからか、主要任務的テレビバエは戦闘用の改造人間とは云えず、両目を拡大させたような形のテレビこそ催眠光線や殺人光線と云った恐ろしい光線を発するが、この能力は仮面ライダーV3を直接倒す為ではなく、立花と兵衛・珠純子(小野ひずる)の洗脳・人質化の為に使用された。
 どうやら光線の対象は人間の様で、V3相手にはスペック不足だったらしく、胸元のチャンネルを回して威力を拡大していたが、充分ではなかったようである。そんな調子だからテレビの性能も、ハエとしての能力も戦闘頼は情報収集や、作戦補助に役立つことが多く、カメラでもある両眼のテレビから撮影されたV3の戦闘振りはアンテナからデストロンアジトに送信され、後の相棒・イカファイア製造に役立てんとした。
 そして背中から生やした翅は勿論飛行可能だが、逃走や空中からの偵察に利用され、直接攻撃に使用されることは無かった。

 前述の催眠光線によって洗脳した藤兵衛と純子を公園のボートに乗せ、V3が抵抗するようなら即座に合図を送る、と脅迫した。テレビバエの合図が送られると藤兵衛は手にしたナイフで純子を刺殺し、自らも自害するよう暗示を与えられていたのである。
 脅迫によりV3を無抵抗に陥れ、イカファイアと供になぶり殺しにしようとしたが、合図を与える暇を出さずに両名を倒すことを考えたV3V3・26の秘密の1つ、ライダー遠心キックを受けてイカファイア共々爆死した。

 相方を勤めたイカファイア仮面ライダーV3抹殺を目的として作られた、イカと火炎放射器の合成改造人間である。ちなみにイカは沖縄周辺のサンゴ礁出身らしい。
 悪の組織の改造人間は(敵対する者や目撃者は全員消さなければいけないのだから)多かれ少なかれライダー抹殺の任務を帯びているのだが、イカファイアのように頭からライダー抹殺の為だけに改造された例も珍しい。
 そんな経緯をもって生まれて来た改造人間だけに、戦い慣れていないV3を(地の利も活かして)瞬時に危機に陥らせた。鞭と火炎放射器を兼ねた左腕からは背中の圧縮燃料タンクに納められたオイルを燃料に火炎放射で風見志郎(宮内洋)を攻め、口から吐き出すファイア墨でもって、力と技の源・ダブルタイフーンの回転を停止させ、V3の戦闘能力を奪い、放映3話目にしてV3の生け捕りに成功した(放映3話目だからこそかもしれないが)。
 また全身を覆う吸盤は攻防一体で、通常は砂浜・水中での戦闘を得意としながら、室内での奇襲も得意。

 本来ならダブルタイフーンを停止させ、デストロン首領(声:納谷悟朗)も褒める能力で生け捕りにした風見志郎を火葬場で焼き殺してデストロンの勝利となる所だったが、焼き場の熱風がダブルタイフーンを蘇生させることになり、志郎はV3に変身して煙突の頂上から脱出した(ストーリーよりも、大野剣友会のスタントマン・中屋敷鉄也氏が煙突上でジャンプするアクションの方がよっぽど危険だったそうな……(←命綱無し!))。

 V3に逃げられたことで今度はテレビバエの助力を得て藤兵衛を(志郎の声で)騙して誘き出して、これを洗脳。前述したように、洗脳した藤兵衛と純子の命をたてにV3の抵抗力を奪い、2人してV3をいたぶったが、一瞬の隙を突くV3遠心キックの前にテレビバエともども絶命した。
 尚、原作では親子2体が登場し、我が子を利用する非道振りを憤るV3のきりもみキックに倒れ、利用した筈の息子が噴火口に転落する父を涙ながらに追って飛び込む、という印象的なシーンを持っていた。


両者の邂逅 両名が共に姿を現すのは第一綜合病院である。当初テレビバエが集めた仮面ライダーV3のデータを元にV3より強い改造人間を製造する予定だったが、デストロンのコンピューターはデータを解析し切れず、火を噴いて壊れる始末で(←どんなデータだ…)、テレビバエは風見志郎の声を元に立花藤兵衛の誘き出しにかかったが、この時既にイカファイアのシルエットは現れていた。

 第一綜合病院に誘き出した藤兵衛を催眠光線で眠らせようとした所に風見志郎が駆け付け、それをイカファイアが天井より奇襲したのが最初の戦いだが、ここでは両者は共闘していない。
 テレビバエは戦闘をイカファイアに任せ、V3と戦っている隙に藤兵衛の催眠に成功し、これを拉致。純子からの通報を受けてこれを追ったV3だったが、これはイカファイアが得意とする場である海岸にV3を誘き寄せるテレビバエの罠だった。
 そして前述したように緒戦ではイカファイアが勝利をおさめ、志郎を火葬場に連行した訳だが、テレビバエは同行していない。
 だが、V3を海岸に誘導する際、テレビバエは細かく指示を出していたので、通信に優れたテレビバエが場は同じくせずともイカファイアと連絡を取り合っていたことは想像に難くない。

 その後両者が場を共にしたのは温泉ホテルの一室で、テレビバエそこには洗脳して記憶喪失に仕立てた藤兵衛を居座らせて、風見志郎を誘き寄せ、イカファイアと供に待ち伏せした時だった。だが藤兵衛を人質に催眠光線の餌食にしたと思って拉致した風見志郎は自己催眠を遣って両者を欺いていた。そこから最終決戦に入ったのだが、結果から云えば、両者がタッグで攻撃に出たのは失敗だった(詳細後述)。


コンビネーション考察 テレビバエイカファイアのコンビネーションは完全分業制にその真価があった。テレビバエはその能力を情報収集・データ利用・通信に利用し、仮面ライダーV3との戦闘はもっぱらイカファイアの役割だったのは既に前述した通りで、正直、これは上手くいっていたと云っていい。
 実際、テレビバエの催眠光線・殺人光線と云った能力はV3には通用せず、V3の前では珠純子の拉致にも失敗しており、明らかに戦闘能力ではV3に抗し得なかったが、特殊能力を活かして藤兵衛を騙したり、拉致したり、V3を誘導したり、人質作戦で戦闘を優位に進めるのには成功している。

 一方でイカファイアの火炎放射器は可も不可も無くだったが、イカファイア墨でもってV3のダブルタイフーンを機能停止させて生け捕りにした手際はデストロン首領ならずとも褒めるところだろう。実際、生け捕りは殺害より難しいのだから。
 戦闘と云うものは身体能力や技能・特殊能力以外にも、地の利や運不運、そしてデータの有無も勝敗を左右することがあるので一時の勝敗だけではどちらが強いかは断言出来ないことも少なくない。この時点での仮面ライダーV3イカファイアではどちらが強いとも断言し難い。
 だが、テレビバエの作戦に便乗した上でのイカファイアV3相手に充分有利に戦いを進めていた。勿論その手法は卑怯千万なのだが、そこは悪の組織デストロンのやること、褒められこそすれ、責められる筋合いは無い(笑)。

 だが、最後の最後で共闘(というか二人が明りの嬲り行為)に出たことが最後にして最大の失敗だった。抵抗出来ずにグロッキーに陥ったV3を見て両者が顔を見合わせてほくそ笑んだ隙にV3遠心キックを放たせたことが両者の戦死に繋がった。
 人質を取られているV3は両者を瞬時に倒す必要があり、もし片方でも倒し損ねたり、ひと声でも発する余力を残したりすれば藤兵衛と純子の命が無かったのは想像に難くない。
 逆を云えば、テレビバエイカファイアがある程度の距離を置き、二人同時に倒されるのを避けられる状況にあればデストロンの勝利は不動だったのである。
 結論、テレビバエは能力を活かした裏工作、イカファイアは作戦に便乗したV3抹殺、と完全に分業に徹していれば失敗も敗北も無かったのである。コンビネーションとは近くでともに行動するのが必ずしもベストではないことを教えてくれる好例と云えよう。


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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新