登場番組 | 『仮面ライダーV3』第7話・第8話 |
協力体制 | 作戦監視型 |
両者の友好度 | ☆★★★★★★★★★ |
同時行動度 | ☆☆☆★★★★★★★ |
共闘度 | ★★★★★★★★★★ |
改造人間紹介 デストロン怪人ナイフアルマジロはかなり不幸な経緯を経ている。名前から素体について改めて説明するまでも無いと思うが、元の人間に関してはしっかり目を向けないと可哀想だ。
元々は死体だったのだが、人工心臓学の権威・河合三郎博士の手術により蘇生したところで研究所がデストロンに襲われ、その最中に出火した為、顔面に大火傷を負った。
河合博士は息子・タダシと供に避難したまま行方を断ち、襲撃者であるデストロンに拉致・改造され、ナイフアルマジロとなり、あろうことかデストロンに恩義を感じ、自分を置き去りにした(と思い込んでいる)河合博士を拉致して、組織の為に働かせる為に博士を襲うこととなった当然の様に仮面ライダーV3の妨害を受けるが、身体能力を活かしてこれを圧倒した。
その能力はアルマジロ特有の体の硬さ、右手から伸ばした伸縮自在ナイフ、空高くジャンプしながら全身を球体にしての急降下体当たり=弾丸鋼鉄球を駆使するもので、8:2の割合でアルマジロとしての能力が功を奏していた。
だが、決死の特訓を積んだV3が26の秘密の一つである特殊スプリング筋肉を発動させると弾丸鋼鉄球は通じず、今度は敗北した。だが、死には至らず、三度目の、そして河合博士の手による物としては二度目の心臓手術を受け、再々度V3に挑むもまたも26の秘密の1つ(V3ドリルアタック)の前に戦死した。
複数回に渡って自らを助けてくれたデストロンに恩義を感じ、忠誠を誓っていたが、そもそもの研究所襲撃がデストロンの手によるものだから、端から利用されていたことに対しては一定の憐みを覚える存在でもある。
その相方・ノコギリトカゲはデストロン初の女性怪人である。名前で分かるので素体については触れないが、ブラジル・アマゾン川流域出身との設定である。当初はナイフアルマジロの動きを監視していたが、デストロンの要請を頑として断る河合博士に協力を強いる為、博士の妹の元に身を寄せていたタダシ少年を襲撃・拉致する為にその姿を現した。
彼女の役割は明らかに監視役で、ナイフアルマジロの行動を終始見張っていた(だけ)。
同時に河合博士に人工心臓でもってデストロン怪人を生き返らせるという作戦の為に博士の家族を拉致して人質にしたり、邪魔するであろう風見志郎を襲撃・拉致・処刑する役割も担ったが、用心の「よ」の字も無い管理体制で志郎の脱出を許し、河合博士救出を妨害しようとした際にV3ダブルアタックで返り討ちにあって戦死した。
両者の邂逅 デストロンの襲撃を受けた河合博士は靴磨きに身をやつしてその追撃をかわさんとしていたが、襲撃2ヶ月後に顔面に大火傷を負った人間体でナイフアルマジロは客を装って現れた。そしてそのやり取りを、距離を置いて見ていたのがノコギリトカゲである。つまり状況的にこの時点で既に両者は顔見知りであったことが窺える。
だが、時系列から見て、両者が知り合ってからの時間は然程長くない筈である。研究所襲撃の時点でナイフアルマジロは研究所の被験者で、まだデストロンの一員では無かった。襲撃時に拉致され、改造されたことによって生まれた訳だから、両者の交流は長くて2ヶ月である。
そこから考えると、研究所襲撃時点で大幹部不在の日本支部に改造人間による指揮が無かったとは考え難いから、この時点でノコギリトカゲは作戦に従事していたと思われる。それゆえに、二度目の対戦で瀕死の重傷を負ったナイフアルマジロを彼女は「敗者」・「後輩」という二つの理由で見下していたのだろう。
ま、この経緯から考えると後述する両者のコンビネーションが有効な物とならなかったのも無理ないか、という気はする。
コンビネーション考察 ナイフアルマジロとノコギリトカゲとで取り組んだ一連の河合博士を拉致してのデストロン怪人復活作戦が失敗に終わったのはノコギリトカゲの監督不行き届きにあり、とシルバータイタンは見ている。
そしてそれはストーリーからして、ノコギリトカゲに分析力・状況に対する対処力・用心深さといったものが全く無かった、の一言となる。これはもう、能力と云うより性格だろう。
ノコギリトカゲの不備はいくつも見られる。
1つ目はナイフアルマジロを監視するのは良いのだが、全然フォローしていない所である。ナイフアルマジロが河合博士に逃げられるのを見ながら、別ルートを追うこともせず、V3に敗れた際の加勢もしていない。何の為の監視役やら。二度目の対戦でナイフアルマジロが敗れた際は瀕死のナイフアルマジロをアジトに連れて帰ってはいたが、彼を思いっきり馬鹿にしていた態度やデストロン首領のフォローからも、助けたのは自らの意志ではなく、命令に従っただけ、と推測される。
2つ目は戦闘員指揮に見られる。河合博士の妹と息子を拉致して博士に協力を教養出来たのは良いとして、二人を拉致する際に戦闘員は一緒にいた珠純子に「御前に要は無い。」と云い放って当て身を喰らわせていた。だが、これは相当いい加減な処置である。
当然息を吹き返した純子がそれを藤兵衛に知らせたため、V3の妨害を生むことになるのだが、デストロンのモットーが世間一般から完全に存在を伏せることにあるのなら、デストロンには純子を殺害するなり、拉致するなりしなければならないのに、それもせず、証言者を残しているのだから、戦闘員も間抜けだし、それに注意を払わないノコギリトカゲは監視役失格どころではない。
3つ目は妨害電波を全然活かしていない所である。珠茂(川口英樹)を含む少年ライダー隊員3名がアジトらしき怪しい建物を目撃した際に、妨害電波を発してペンダントによる通報を防いだのは良いが、そのまま帰らせている。
せっかく通信手段を絶ったのだから、邪魔されない内に隊員達を始末すればアジトがばれることは無かったのである。しかも女性の人間体で茂達に接触し、様々な情報を聞き出すのだが、それは素人藤兵衛が仕掛けた罠で、それにころっと騙されるのも間抜けだ。
4つ目は自らの能力を遣わずにはいられない性格である。志郎が三日三晩動けないとの偽情報を信じて第二総合病院にいる志郎を襲撃した際に、わざわざ音の出る回転ノコギリで少なく見ても数十秒を掛けて病院の壁を破断して侵入したのだから、わざと攫われるのを目的としていたとはいえ、志郎の臨戦態勢は充分で、普通に扉から入って来た戦闘員は難なく入室していた。こいつ、全く隠密行動に向いていない。
5つ目は監視能力そのもので、硫酸のプールの上に宙吊りにした志郎を「あっさり殺しては面白くない。」と云う悪の組織の必敗パターンを辿り、志郎を吊るしているロープに蝋燭をくべたのはいいが、見張りも置かずに退室したのである。志郎が脱出に成功したのは云うまでも無いが、とにかく監視役としてのこいつの有能性は全くうかがえなかった。
そして最後は格闘能力である。いくら鋭利な刃物でも、破壊力を持つ鈍器でも、当たらなければ意味は無い。ノコギリトカゲの回転ノコギリは威力こそあれど、結局V3の体を掠ること無く、彼女はV3ダブルアタックの前にナイフアルマジロに先んじて戦死したのである。一戦闘要員としての能力はナイフアルマジロの方が遥かに勝っていた。
その直後にV3はそのナイフアルマジロの襲撃を受けていたが、加勢が真に淡くてそのタイミングになったのではないと思う。監視するだけで協力もせず、悪態を突くだけの上司ではさすがにナイフアルマジロも加勢する気は無かったのだろう。
最後に改造人間の性能として見た時に、ノコギリトカゲの無能さを抜きにしてもデストロンの人選は不可解である。両者とも右手に備え付けられた刃物を武器とするタイプの改造人間である。複数の改造人間を一つの作戦に従事させるなら同じタイプの改造人間を2体繰り出す意味は無く、1体が能力的に及ばない所をもう1体にフォローさせるのが基本である。
もっともナイフアルマジロとノコギリトカゲが人材として絶妙のコンビネーションを持っているのなら同じタイプの者同士のコンビニも価値は見出せるのだが、前述したようなコンビネーション振りでは話にならないのはこれ以上云うまでも無かろう。
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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新