7.レンズアリ&カミソリヒトデ…世にも稀な顔立て振り

登場番組『仮面ライダーV3』第9話・第10話
協力体制典型的サポート型
両者の友好度☆☆☆☆☆☆☆☆☆★
同時行動度☆☆☆☆☆☆☆★★★
共闘度☆☆☆☆☆★★★★★
改造人間紹介 この第9・10話でのデストロンの悪だくみは「レーサー地獄部隊」なる物を組織して、人工衛星用の核物質を強奪するというものだった。アンデス山脈出身のレンズアリ(例によってもう素体は説明しません)は明らかに主体となって作戦に従事した。

 行川で開催されたモトクロスレース(かなりの迫力だった)のコース途上に潜入したレンズアリは秘かに設置したレンズの光で戦闘の風見志郎を除く優秀レーサーを拉致し、志郎の身を案じて探しに出た珠純子・茂姉弟と遭遇し、これを捕えた。
 注射液で洗脳したレーサー達をレーサー地獄部隊に仕立て上げた後、レーサー達の行方を追って来た志郎を迎え撃たんとする。デストロン首領の指示でレーサー地獄部隊に風見を襲わせるが、攻撃時には大口を叩いてそれなりに仮面ライダーV3もその能力を認めていたが、キック一発で逃走。アジトに逃げ帰った所をデストロン首領の叱責を受けた。

 程なくOシグナルを駆使して追跡して来たV3を決死の覚悟で迎え撃ち、今度は相方のカミソリヒトデが純子・茂を人質にしてV3の抵抗力を奪ってくれたおかげで勝利する。戦闘能力として、レンズが入った目は太陽光を反射増幅して5000℃の破壊光線を放ってV3を苦しめた。ちなみに左手は格闘用の万力。両足はドリルが組み込まれていて、本物の蟻宜しく地中を自由に移動出来る。

 この戦いに勝利し(たと思い込み)、次は志郎・純子・茂の行方を追う立花藤兵衛と少年ライダー隊員(3名)を捕えんとして、霧で山中の怪しい洋館に誘導。そしてその洋館より更に怪しい風貌の人間体で藤兵衛達を睡眠薬で眠らせようとするが、露骨に怪しまれたことで失敗(睡眠薬入りミルクも一口で味のおかしさからばれる代物)。結局は落とし穴で藤兵衛達を捕えたが、後ほど油断しまくりの戦闘員が鍵を奪われて簡単に脱出された。

 だが隠しカメラでこの行動は筒抜けになっていて、処刑台に架けられた純子・茂の元に辿り着いた藤兵衛達をまとめて地獄レーサー部隊に襲わせたが、彼等は生きていた志郎が戦闘員に化けて侵入し、秘かに正気に戻されていたため、全員に逃げられた。
 最後の戦闘においてもレンズによる熱戦攻撃はV3を苦戦させたが、ダブルタイフーンのレッドランプパワー(例によって26の秘密の一つ)でエネルギー倍増状態になると熱戦も通じないどころか、逆に反射光に苦悶する所をV3きりもみキックを受けて戦死した。

 一方のカミソリヒトデは九州・佐伯湾出身の合成改造人間。デストロン首領から命ぜられたレンズアリのサポートを的確にこなした。
 右手に埋め込まれたカミソリは鉄や岩を斬り裂く程鋭利で、叩き折られても瞬時に再生可能。左手の吸盤派人間の血を吸い取り、胸元の口からは可燃性の毒液を噴出する。海棲生物の改造人間だが、ジャンプ力もある。この優秀な性能を持って、レンズアリになり代わってV3と戦わんとするが、結局は共闘を謳いながらサポートに回り、珠姉弟を人質にしてV3の抵抗力を奪い、レンズアリの勝利に貢献。

 その後、前述したようにアジトを脱出したと思わせた藤兵衛一行を地獄レーサー部隊に襲わせようとしたが、これまた前述したように彼等は正気に戻っていたので、そのまま最終決戦に入った。レンズアリが戦死するとカミソリを振りかざし、叩き折られても再生を繰り返して執拗にV3を斬り裂かんとしたが、V3きりもみックを受けて戦死。後年バダン帝国の一員(再生怪人の中では最古参メンバー)として10人ライダーと戦う。

 レンズアリが我の強い性格なのに対して、カミソリヒトデは人を立てる性格で、悪の組織には珍しい仲間想いの面が窺えたが、この点についてはコンビネーションと供に後述したい。


両者の邂逅 仮面ライダーV3の前に逃げ帰り、デストロン首領の怒りを背景にレンズアリが再度の出撃に向かった際に加勢を命じられたのがカミソリヒトデの初登場シーンである。
 その後の両者の関係からも恐らく両者は作戦開始前から旧知だったと思われる。

 前述したが、我の強いレンズアリV3と初対面時に「デストロンにその名が轟く」と大上段に構える程プライドも高く、カミソリヒトデが交代を申し出た時もこれを拒絶していたが、それでも時折互いの得物を打ち合わせて共闘を誓っていた息の合い振りからも、数日、数週間の付き合いとは思えない。


コンビネーション考察 レンズアリカミソリヒトデのコンビネーションは決して悪くない。「レンズアリ=メイン、カミソリヒトデ=サブ」がいい意味で確立していて、同じメイン・サブ型でも前頁のナイフアルマジロノコギリトカゲとは比べるべくもない。
 そして前頁の例ではノコギリトカゲがコンビネーションをぶち壊しにしていたのに対して、このコンビではカミソリヒトデが非常に優秀だった。

 とにかくカミソリヒトデの立場堅持振りは半端ではなく、一度はレンズアリに戦闘権利委譲を命じたが、ゴネるレンズアリに対して「首領の命令だ!」の一言で黙らせ、従わせることも出来たのを、レンズアリが共同攻撃を要請するやあっさり、これを了承。
 しかも、そのまま攻撃に出ず、カミソリの切れ味を誇示した後は人質をしっかり押さえて仮面ライダーV3の抵抗力を奪い、レンズアリに対して「御前が止めを刺せ!」と云っていたように、どこまでもレンズアリを立てることを忘れなかった。

 レンズアリの我の強さは決して褒められたものではなかったが、悪の組織の一員としては度の過ぎた物ではなく、むしろ標準でさえある。そこにカミソリヒトデの稀有なまでの相棒を立てる姿勢はレンズアリを存分に戦わせた。勿論この体制の下、要らざる手柄争いを呼ぶことも無かった。
 が、惜しむらくはカミソリヒトデが立場に忠実過ぎたことだろう。
 最終決戦において、始めこそカミソリヒトデが放った可燃液にレンズアリが熱戦を放って豪炎で襲うという炎のツープラトンを披露したが、その後はレンズアリ戦死までカミソリヒトデが出しゃ張る事はなかった。
 つまりは優秀なタッグが見せる「1+1が5にも10にもなる」と云う図式は不明なままに終わったのである。勿論ロクでもないコンビネーションは1+1が2にもならず、「1人で戦った方がマシ」と云う足の引っ張り合いを露呈することも少なくないが、レンズアリカミソリヒトデのタッグなら、+はあっても0や−は無かったことが予測されるだけに些か残念ではある。


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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新