登場番組 | 『仮面ライダーV3』第17話・第18話 |
協力体制 | 実践・迎撃分業型 |
両者の友好度 | ☆☆★★★★★★★★ |
同時行動度 | ☆☆☆☆☆☆☆★★★ |
共闘度 | ☆☆☆☆☆☆☆★★★ |
改造人間紹介 北アルプス出身のデストロン合成改造人間スプレーネズミはアンバランスまでにでかい右腕に装備された「デビルスプレー」から黒死病ペストに似た新型病原菌を散布していたが、かなり醜悪なその顔相は、ペストが中世ヨーロッパで死神に擬えられた姿をイメージしているのかも知れない。
だが、実際のテロ行為においては一人一人にスプレーを浴びせて感染させており、新型病原菌に感染力は無いらしい。役に立つのか、それ?
長大な右腕は先端部となる右手も大きく、岩をも砕く爪も恐ろしい武器となっており、その腕を振りかざして「貴様を握りつぶしてやる、死ね!V3!」と叫んだCV・山下啓介の台詞は「デストロン賛歌」の冒頭に使われている。だが腕力による攻撃はV3・26の秘密の1つ特殊強化筋肉の前に弾き返された。
また、右腕は防御力も高く、一度はV3キックを跳ね返しているが、同時に弱点にもなっていた。
山の上教会の神父を殺害し、その姿に変身して暗躍。
貧しさゆえに結婚式を挙げられないカップル、市村明雄と高瀬ユリ子に、極秘開催を条件に無料での挙式を申し出る。これにより目撃者を出さずにデビルスプレーの被験者を確保せんとした。ただユリ子が一人だけはどうしても招待したい、と云って呼んだ親友が珠純子だったという偶然の為に事は漏れた。
単に被験者を拉致するだけならいくらでも方法が有るだろうに、わざわざ夫婦の誓いの際にデビルスプレーの実験台になることを誓わせるものだからパニックに陥った所に仮面ライダーV3の介入を招いた。凝った芝居をする必要あったのか?
いずれにせよ、その後も時にはV3との一騎打ちを、時にはクサリガマテントウと組んでのハンディキャップマッチを展開したが、最後はV3キックを右腕に受け、最大の武器を喪失したことが最大のダメージとなり、戦死した。
その相方を勤めたクサリガマテントウはスプレーネズミのサポートが役割である。スプレーネズミが凶悪な面相なのに対して、クサリガマテントウのそれはコミカルである。が、コミカルな風貌の割には考えていることは相方並みにえげつなかった。
名前の通り鎖鎌を武器としていたが、一般に想像される忍者の武器としての鎖鎌とは鎌も分銅も形状がかなり異なる。鎌の部分は左手に常備された状態で分銅はスパイク付きである。そして鎌と分銅を繋ぐ鎖はスネークチェーンと呼ばれ、3000Vの電流を流して相手を感電死させることが出来た。さすがにこの電力でV3を感電死させるのは無理だったが、かなりの苦痛を与えてはいた。
もっとも、常備と云っても体内にいくつも予備が有り、何度でも装着が可能だが、V3を嵌める目的から最初はそれを隠していた。
厚手の翅は羽ばたかせることで巨石を飛ばすことも出来るが、飛行はしなかった。そしてその翅を広げると腰に装備した小型テントウミサイルを発射できるが、方向は背後のみで、隠し技に近い(メインウェポンとして考えていたら絶対馬鹿である)。
実際、隠し事が好きなのか、陽動作戦に従事する性格ゆえか、クサリガマテントウはデストロン脱走者を装って志郎に接近したり、人質救出に来たV3を教会に閉じ込めて時限爆弾の爆発を喰らわせて捕えたりもしていた。詳細は後述するが、デストロンを裏切った振りまでするのだから、前述したようにコミカルな風貌に反してえげつない手段を好む奴だった。
最終決戦ではスプレーネズミ戦死直後に戦闘員を率いてV3に挑みかかったが、鎖鎌というスペースを必要とする武器を駆使しながら、室内や木立の中や採石場の事務所内やベルトコンベア上という狭い所ばかりで戦う間抜けさが祟ったか、V3キックを弱点である腕に受けて戦死した。
両者の邂逅 当初、スプレーネズミとクサリガマテントウの両者は完全に別行動を取っていた。役割が完全に分担されていたからである。それゆえか第17話には両者が供に出てくるシーンが無い。
両者が一緒に登場した最初はデストロンのアジト内で、クサリガマテントウが仮面ライダーV3を捕えた直後の事だった。V3を感電死させんとして失敗するのだが、拉致されていた高瀬ユリ子を伴って逃げんとしたV3を二人して追った所から本格的な共闘が始まったが、結論から云うと両者行動を共にするべきではなかった。
何故なら両者は似た者同士だったから。その詳細は下記の「コンビネーション考察」に譲るが、役割分担や数々の謀略やドクトルGのこだわりからも、両者はかなり以前からタッグを組んでいた、或いは組む予定にあったのではないかと思われる。
コンビネーション考察 作戦上、デビルスプレーによる細菌テロを実行するのはスプレーネズミで、それをサポートする為に陽動や迎撃に従事したのがクサリガマテントウである。
少し話が逸れるが、ナチス出身のドクトルGは細菌戦にかなりのこだわりを持っており、このデビルスプレー・テロにもかなり本腰を入れていた。デストロン首領に自身の程を問われた時、自信満々に「このドクトルGに不可能はありません。」とまで云っていた(その割には自らが人質にされて仮面ライダーV3に逃げられわ、投げた斧で解毒剤の隠し場所を壊して盗られるわ、とミスしまくっていたが)。
それゆえ、片方に作戦実行役、もう片方に陽動・迎撃・サポートを担わせたこのやり方はドクトルGの発案と思われる。そしてこの体制は決して悪いものではなかった。
だが両者がその分担をせずに変な謀略に走ったことでおかしな展開となった。
二人掛かりでV3を襲う最中、クサリガマテントウはV3を絡め取るのに成功し、拘束状態にあったV3を攻撃するようスプレーネズミを促したが、スプレーネズミはV3ではなくクサリガマテントウを攻撃し出した。曰く、戦えなくなった者はデストロンに不要ゆえに抹殺するとのことだが、勿論これは猿芝居である。
この直後、クサリガマテントウは斬り捨てられたことを理由にデストロンを裏切ることを宣言してV3に協力を申し出るという大嘘をぶっこいて、本物の解毒剤を餌にV3をアジトに案内して誘殺せんとする訳だが、頭から完全に疑われていた。
そもそもクサリガマテントウがV3を絡め取った時、クサリガマテントウが戦闘不能には見えなかった。常識で考えて状況的に絡め取られているV3を攻撃すべき所を、スプレーネズミはクサリガマテントウを攻撃し、この攻撃で武器が外れ、「戦闘不能」に陥ったのだから、どう見ても展開がおかしい。しかもこの時、スプレーネズミは「V3、よーく見ておけ!」等と云っているのである。「これは猿芝居です。」と自ら宣言しているようなものだ。
結局、志郎はクサリガマテントウに騙された振りをして、供にアジトに行き、再度捕われるも、レッドランプパワーで脱出し、解毒剤も奪取し、最終決戦にてスプレーネズミ・クサリガマテントウを連破した。
そしてこの時も両者はコンビネーションの崩壊を見せている。本来、スプレーネズミが作戦実行役で、クサリガマテントウがその妨害に来るV3を迎撃する役目を担っていたのだが、最終決戦においては何故かスプレーネズミが単独で戦い、戦死してからクサリガマテントウはV3に呼ばれて戦っているのである。当初の分業体制ぶち壊しである。
デビルスプレー・テロ失敗の原因として最後に触れておきたいのは、スプレーネズミとクサリガマテントウが悪い意味で似た者同士であったという事である。
- 両者とも変身能力・謀略に優れながらすぐに正体や手の内を明かしていた。
- 腕に優れた武器を装着しながら、その付け根が弱点になっていた。
- デストロン怪人の多くがV3きりもみキック・V3反転キック・V3フル回転キックといった強化された蹴り技で倒されたのに対し、この両名はただのV3キックで戦死する程打たれ弱かった。
- 芝居下手くそ過ぎ(詳細前述)。
これだけ同じ弱点を持つ者同士を組ませちゃイカンだろう?だがそれでも分業していた内は変な小細工に走ることもなく、スプレーネズミは多くの犠牲者を出し、クサリガマテントウは謀略でV3を捕えていたのである。とにかく当初の分業体制を重んじ、スプレーネズミは徹底してテロ行為のみに従事すべきだったのである。
コンビネーションとは必ずしも同時行動だけを重んじる者はないことがこのコンビを見るとよく分かる。
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令和三(2021)年六月一〇日 最終更新