2.ジェネラル・シャドゥ…………大幹部だらけのデルザー軍団にて

キャラクター名ジェネラル・シャドゥ
登場作品『仮面ライダーストロンガー』
演者柴田秀勝(声)
所属組織ブラックサタン、デルザー軍団
怪人体人間体が無し
地位雇われ幹部、暫定リーダー
指揮能力☆☆☆★★★★★★★
武勇☆☆☆☆☆☆☆☆★★
部下の敬意☆☆☆★★★★★★★
備考 平成に入って、劇場版各作品にてもほぼ一貫して柴田秀勝氏が声を担当。
概要 設定によると元は人間らしい。世界中に散った放浪民族であるロマ族(通称は「ジプシー」だが、これはエジプト人(=Egyptian)を基にした蔑称で、現在は用いられない)の出身で、二度の世界大戦における負傷・改造を繰り返す中、遠い魔の国に身を落とし、デルザー軍団の幹部となった。
 デルザー軍団の面々は、古代から人間を恐れさせてきた魔物の子孫が改造された改造魔人で、それゆえ元が人間であるジェネラル・シャドゥを「成り上り者」として暗に蔑む者もいた(例・荒ワシ師団長、オオカミ長官等)。

 「シャドゥ剣」なるレイピア(細剣)、手裏剣にして占い道具でもあるトランプを得物に戦い、雇われ幹部として一つ目タイタン(浜田晃)亡き後のブラックサタン日本支部の幹部として着任した。
 前任者と異なり、純粋に仮面ライダーストロンガーを倒すことのみを目的とする為、ストロンガー打倒以外の命令には難色を示すことも多く、後にタイタンが百目タイタンとして復帰したことからも配下となっていた(筈の)奇っ械人の服従度も怪しかった。
 またストロンガー打倒の目的ゆえか、基本的に卑怯な手段を嫌ったが、全く用いない訳でもなかった。

 百目タイタン帰任後は、直属と雇われ者の対立を大首領(声・納谷悟朗)に良い様に利用され、百目タイタン戦死後に大首領が彼を無視する如き態度を取ったことに立腹して、ブラックサタンに対するクーデターを敢行した。
 結果、仮面ライダーストロンガーとの戦いもあって、最高幹部デッドライオン(声・辻村真人)は行方を絶ち、大首領も戦死し、ジェネラル・シャドゥはブラックサタンを乗っ取ると魔の国から改造魔人達を呼び寄せた。

 ブラックサタンを倒した手柄が認められる形で暫定リーダーの立場に立ったシャドゥは主催した会議にてストロンガーを倒した者をデルザー軍団のリーダーとするルールを参加者達に認めさせ、最初に名乗りを上げた鋼鉄参謀(声・市川治)を一番手に指名した。
 だが、全員が大幹部クラスの力と独立部隊を持ち、ヒエラルキーの存在しないデルザー軍団ではストロンガーの首を巡って足の引っ張り合いも頻発し、シャドゥはこれを調停する風を装いつつも、実際には対立を煽り、自らの邪魔者となりかねない改造魔人達を戦死に追いやっていた(←ストロンガー打倒を無視していた訳ではない)。

 だが、ストロンガーが超電子ダイナモを手に入れたこともあって、改造魔人達は次々に戦死。業を煮やしたシャドゥは自らの片腕と頼むヘビ女(声・瀬能礼子)を召喚するも、この頃には敵味方が裏方で次々に動き出した。
 敵側では仮面ライダーV3を皮切りに歴代ライダーが次々に日本に帰国してストロンガーに合流。これによってヘビ女も戦死した。味方側ではデルザー軍団で最高の実力を持つマシーン大元帥(声・市川治)と、これに追従する磁石団長(声・沢りつ夫)・ヨロイ騎士(声・池水洋通)も来日し、ここにジェネラル・シャドゥは暫定リーダーの地位と軍団指揮権を完全に奪われた。

 すべてを失った彼に残された最後の生き甲斐は当初の目的でもあった仮面ライダーストロンガーを倒すことで、この御膳立ての為にシャドゥはストロンガーに敗れた振りをしてマシーン大元帥の破壊作戦を漏らしまでした。
 当然これは軍団内に在って重大な裏切り行為と見られ、マシーン大元帥よりストロンガー抹殺を命じられ、最終決戦にてシャドゥパワーを発動してレイピアをストロンガーの胸部に刺して重傷を負わすも、自身も超電子稲妻キックを受け、軍団賛美の叫びを挙げた後に砕け散ったのだった。


組織における将軍位 彼の持つ「ジェネラル」=「将軍」の地位だが、まずブラックサタンに在っては何の意味も持たなかった。
 ブラックサタンには直属の幹部・タイタンとデッドライオンが登場したが、二人の名前に肩書きは無く、大幹部・最高幹部といった相違があるだけで、まして雇われ者であったシャドゥの「ジェネラル」は恐らくブラックサタンに在って自称程度にしか取られていなかったことだろう。
 そもそもジェネラル・シャドゥがブラックサタンに雇われた目的はストロンガー打倒で、大首領との関係も契約的なもので、それゆえシャドゥはストロンガー抹殺の直接関与しない命令には消極的で、大首領の方でも露骨に直属幹部を重視した。こうなると彼は「シャドゥ」でしかなく、「ジェネラル」はほとんど意識されなかっただろう。
 実際、ブラックサタンでの彼の行動において、彼と奇っ械人・戦闘員との関係は極めて希薄だった(それでも奇っ械人や戦闘員の独断専行は頑として許さなかったが)。

 また、本来の所属であるデルザー軍団に在っても、「将軍」という地位がどれ程の権威を持っていたかは怪しい。
 何せ、全員が大幹部にしてリーダー候補だから、個々に参謀・師団長・ドクター・少佐・男爵・長官・隊長・団長・騎士等と名乗っており、各々は基本対等と思われるので、これも個々の戦い方や流儀に即した自称で、唯一の例外が「大元帥」だったのだろう。
 しかも暫定リーダーとなってからのシャドゥは大幹部や指揮官と云うよりは調停役や策士としてのカラーの方が強い。
 そして指揮権を失った後の彼は最終的には一戦士となったのだった………。


注目点 まずは性格に注目したい。
 様々な点において他の幹部達とは対照的だった。
 登場してすぐに退場したデッドライオンとは比べようがないが(苦笑)、前任者にして一時手柄を相争う関係にあったタイタンとは立場・性格・目的が時に正反対で、時に共通していた。

 何せ、タイタンが目的達成の為にどんな汚い手を使うことも辞さず、部下の犠牲も顧みず、それでいて大首領には忠実だったのに対し、ジェネラル・シャドゥは、(あくまで基本的にだが)卑怯な手を嫌い、目的の為に部下を犠牲にすることを良しとせず、大首領に対して契約外の事には極めて冷淡で、契約を軽んじる言動には報復もした。

 デルザー軍団の仲間に対しても、鋼鉄参謀やドクロ少佐の様に自己の戦闘能力を駆使するタイプには一応の敬意を払い、荒ワシ師団長やオオカミ長官の様に策を弄するタイプは密かに見下し、岩石男爵の様な脳筋タイプはあからさまに間抜け扱いしていた。まあ、岩石男爵はすべての者から間抜け扱いされていたが(苦笑)。
 とはいえ、卑怯な手段は嫌いなだけで、必要とあれば人質を取ることも辞さず、何より自分が嵌められない程度には策にも通じていた(これは戦いに身を置く者であれば、誰にとっても大切と云えよう)。
 そして見方を変えれば、デルザー軍団の暫定リーダーとなって後の彼は、改造魔人同士の手柄争いを巧みに煽って、潰し合いを画策する策謀家で、ブラックサタンに雇われていた時の硬骨漢振りが信じられない程である。

 詰まる所、ジェネラル・シャドゥには策謀に生きて組織内での地位・指揮にこだわる「ジェネラル」としての顔と、戦士として正々堂々たる戦いを好み、陰謀渦巻く組織内に在って心底信頼する同志(=ヘビ女)の死を心から悼む好漢・シャドゥとしての顔の両方が有るのだろう。

 なかなか単純に論じることは出来ないが、それが彼の魅力に間違いはなく、「ジェネラル」と見るか、「シャドゥ」と見るか、双方をひっくるめて「ジェネラル・シャドゥ」と見るかで、見る側の好き嫌いも変わる事だろう。


今後への期待 ジェネラル・シャドゥに人間体が無く、声優と云う職が年齢に左右されにくい職であることが幸いしている。
 平成の世に入ってから、『仮面ライダーディケイド』以降、劇場版にてショッカーが大ショッカー、スーパーショッカーとして本来の歴史において後継組織となっていた筈の歴代悪の組織と同盟関係に在り、そこにデルザー軍団の代表としてジェネラル・シャドゥが列席しているのが常である。勿論CVは柴田秀勝氏だ(嬉々)。

 数多くの組織が登場する故、他のデルザー軍団幹部達はマシーン大元帥が台詞無しで一度客演したのみで、常連化している幹部の中にも台詞や見せ所に恵まれない者が多い中、シャドゥはそれなりに喋り、それなりに戦い、劇場版『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』に至っては、電ライナー車掌(石丸謙二郎)の発した、「日本のヒーローは仮面ライダーだけじゃありませんよぉ〜。」の台詞を証明するかのように登場した、キカイダー、キカイダー01、イナズマン、快傑ズバットの必殺技を受けて壮絶な戦死を遂げると云う稀有なシーンを演じた(ちなみにその際にも本編同様「デルザー軍団、万歳!」を叫んだ)。

 残念ながら『平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊』では石川英郎氏に出番を譲り、『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』では台詞が無かったが、今年(2021年)84歳となって尚現役で頑張り続ける柴田氏がシャドゥの声を演じる機会は充分にあると思われ、盟友であり、ライダー作品で活躍した故納谷悟朗氏、故加藤精三氏の分まで、「元祖」として活躍を継続して欲しいものである。


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令和三(2021)年三月一五日 最終更新