悪の組織の将軍達

 悪の組織には様々な肩書を持つ幹部が登場する。
 大佐、博士、大使、男爵、大僧正、元帥、室長、参謀、師団長、少佐、長官、隊長、団長、騎士、提督、司令、大神官、etc。中には王、大帝、帝王、皇帝といった大身もあるが、数ある階級の中でネームバリュー的に一際威名を醸し出しているのが「将軍(ジェネラル、ゼネラル)」ではあるまいか?

 勿論現実世界の軍制に詳しい人には将軍よりも大元帥や提督の方にネームバリューを感じる人も多いと思うが、日本人には将軍=征夷大将軍が700年に渡って軍事政権を担った歴史的にも「将軍」の肩書に大きな重みを感じる人が多いとシルバータイタンは考える。
 一方で、世界史に目を転ずれば「将軍」は物凄い高官と云う程ではないことも多い。中国史を例に挙げれば、「大将軍」まで行けば一国の総司令官クラスであることも多く、車騎将軍・驃騎将軍ならば要職とも云えるが、只の「将軍」だと掃いて捨てる程いるとさえ云われた。
 それゆえ、幕末に江戸幕府に対して開国を迫った欧米列強は交渉相手の立場に戸惑った。本来「将軍」=「General」は一国を代表する立場の者ではないからである。

 そもそも日本の征夷大将軍と幕府にしたところで、元来は大権力者を意味する言葉ではなかった。征夷大将軍は「征夷」つまり「夷狄(異民族)を征する」と云う司令官に過ぎず、その司令官が遠征地にて「幕」を張って、陣を構えて指揮を執った臨時の「府庁」が「幕府」と呼ばれ、将軍の在する場所を意味する言葉となった。
 つまり征夷大将軍とて遠征軍司令官で、その前衛基地が幕府だった訳で、「武家の棟梁」や「軍事政権者」を意味する言葉となったのは、偏にその軍事力で朝廷をも凌ぐ政治的権力を掌握したからで、そのことが「将軍」と云う単語が持つイメージを(日本において)増大させた。

 ともあれ、日本人にとって権威色の強い「将軍」が仮面ライダーシリーズにおいて如何に描かれてきたかを本作では考察したい。云うまでもないが、組織の在り様に応じて組織内における将軍の権力・権限・権威も千差万別である。
 だからこそ、面白い訳だが(笑)。
1.ブラック将軍…………指揮能力と配下の敬意
2.ジェネラル・シャドゥ…………大幹部だらけのデルザー軍団にて
3.暗黒大将軍…………物凄い発想の持ち主
4.ゼネラル・モンスター…………威厳、有るの?無いの?
5.黄金ジャガー…………将軍以上に名高い武人振り
6.トリカブトロン…………ほんの数分の将軍位
7.メガール将軍…………VS親衛隊
8.ジャーク将軍…………日本人イメージ的「将軍」
LAST.『将軍』は何故、輝く?


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令和三(2021)年五月一九日 最終更新