4.ゼネラル・モンスター…………威厳、有るの?無いの?

キャラクター名ゼネラル・モンスター
登場作品『仮面ライダー(スカイライダー)』
演者堀田信三
所属組織ネオショッカー
怪人体ヤモリジン
地位日本支部大幹部
指揮能力☆☆☆☆☆☆☆★★★
武勇☆☆☆☆☆☆★★★★
部下の敬意☆☆☆☆☆★★★★★
備考 演者の堀田信三氏はトカゲロンと暗黒大将軍も演じた。
概要 『仮面ライダーストロンガー』終了から3年の月日を経て始まった第二期仮面ライダーシリーズの一番手『仮面ライダー(スカイライダー)』にて、第1話から登場したネオショッカー日本支部初代大幹部。

 軍服・隻眼・権威主義的スタイルは第一期シリーズ初代幹部ゾル大佐そのまんまで、第二期シリーズ初代幹部故の踏襲であることは誰の目にも明らかである。もし、「ゼネラル・モンスターとゾル大佐が似ているのは偶然です!」と制作陣が力説しても誰も信じないだろう(笑)。
 実際、設定ではナチスの流れを汲み、同じナチスの流れを汲むゾル大佐やドクトルGとも面識があったらしい。それ故か部下の礼儀には厳しい。
 ちなみに隻眼なのは、Wikipediaでは自衛隊員に撃たれたとされているが、過去に道場主が見た書籍ではFBIに撃たれたものと記載されていた(←射手が滝和也だったら面白いなあ………)。

 かなりの裁量権を保持し(詳細後述)、様々な能力を有した改造人間を次々と放って世界征服計画(厳密にはその前段階としての人口減少計画)を立案・実行。その過程にあって、残忍性や手段を択ばない悪辣振り、それでいて親友にして知恵袋であるプロフェッサー・ドク(高杉玄)とともに敵の能力を分析する緻密さ(つめは甘かったが(苦笑))といった個性を発揮してスカイライダー・筑波洋(村上弘明)の好敵手として活躍した。
 だが、悪の宿命で改造人間と計画は次々とスカイライダーに潰され、第16話にて満を持して投入したスカイキックに耐え得るマントを持っていただけのゴキブリジンも戦死し、第17話にて自らヤモリジンとしてスカイライダーに挑んだ。

 その第17話にて、谷源次郎(塚本信夫)達を人質に取り、彼等の解放を条件に洋を拘束してなぶり殺しにせんとした。同時に別動隊が解放された谷達を再度捕らえたため、洋にその卑劣振りを難詰されても、「これが作戦だ!」と宣っていたが、自らの武器が洋の戒めを破ることになったり、人質救出に向かったスカイライダーを爆撃するもそのスピードが計算から漏れていたり、と云った詰めの甘さが祟り、スカイキックの前に致命傷を負った。

 最期を悟り、体内に詰まっている爆薬でもってスカイライダーを道連れにせんとしたが、スカイライダーに肉薄する前に後任の大幹部魔神提督(中庸助)の放ったビームによって殺害された。
 恐らくはスカイライダー打倒に失敗した責任を取らされての処刑的なものだったのだろうけれど、どの道死なせるなら最後の道連れ自爆攻撃が成功するか否かを見極めてから行っても良かったように思われ、このシーンはゼネラル・モンスターに対する哀れさとともに、ネオショッカーの組織としての在り様を考察する好材料ともなっている。


組織における将軍位 ドイツ人の国民性を表す言葉に「権威主義」と云うものが有るらしい。人間は十人十色なので一つの単語や国民性で一緒くたにするのは疑問の残るところだが、ゼネラル・モンスターはこの典型として「将軍」ぶりを発揮した。

 最初の登場は第1話にて、自分を助けてくれた見ず知らずの青年・筑波洋が瀕死の重傷を負ったのを助けんとした志度敬太郎博士(田畑孝)が改造手術の許可を求めた直後だった。
 許可を求められたガメレオジンは、「俺の一存では答えられん。」としたが、それに許可を与えつつ登場したのがゼネラル・モンスターの初登場シーンだった。
 重大実行の決定許可を出したことや、その声に振り返りつつ、即座に膝を折るガメレオジンの立ち居振る舞いからも、彼の持つ権威・権利が組織にあってかなり大きなものであることが伺える登場シーンである。

 『仮面ライダー(スカイライダー)』が原点回帰色を強く持ち、ゼネラル・モンスターもゾル大佐のオマージュ的なスタイルを持つことからも「ゾル大佐2世」的に見られがちだが、ゼネラル・モンスターゼネラル・モンスターでかなり個性を発揮している。
 それは第2話に観られた筑波洋への懐柔である。
 多くの悪の組織の例に漏れず、ネオショッカーもまた世界征服を目指していたのだが、一応、ネオショッカーにはネオショッカーなりの「正義」が有り、それゆえ味方につけれるものなら、仮面ライダーを味方につけることを本気で考えていた節がある。
 ゼネラル・モンスターは現状の地球が公害問題や人口爆発により滅亡の危機に瀕しており、地球を救い、理想の世界を作るためネオショッカーが尽力していることを説き、洋にこれに共鳴し、仲間になってくれることを求めた。
 勿論この申し出は、理想達成の過程で罪無き人々を多く殺すことが洋に受け入れられる筈もなく、物の見事に拒絶されたのだが、拒絶しつつも洋はネオショッカーにネオショッカーなりの誇りや理想が有るのを認めていたのか、第3話で卑怯な手段を取るネオショッカーに対して、「ネオショッカーの名が泣くな。」と言い放っていたのが興味深かった。
 閲覧者の方々の中には、一つ目タイタン(浜田晃)が城茂(荒木しげる)と交渉していた例を最初とする人も多いかもしれないが、シルバータイタンは、この時のタイタンは騙すことに目的が有ったので、真の意味の交渉とは見ておらず、仮面ライダーに対して説得でもって仲間入りを説いたのはこのゼネラル・モンスターが最初と見ている。

 その後、第4話で過去の記憶を取り戻し、報復に来たサソランジンを処刑したり、第15話でカプセル越しに自分と謁見するアオカビジンを無礼だと咎めたりしていたところに配下が自分に逆らったり、無礼に振る舞ったりするのを絶対に許さない姿勢を見せていた(一応、アオカビジンがカプセルに入っていたのはゼネラル・モンスターの安全を守るためで、アリコマンドからそのことを釈明されたときはすぐに怒りを収めてはいた)。

 次いで「将軍」としての彼を考察するのに欠かせないのは上との関係である。ゼネラル・モンスターの上司と云えばネオショッカー大首領(声:納谷悟朗)しか見受けられないので、考察は難しいのだが、接触頻度に注目したい。
 詳細は不明だが、ゼネラル・モンスターは第9話にて昇進によって軍服の色が変わった。その一方でスカイライダー打倒・日本人口減少計画が進まないことから最後通告として赤い目玉を大首領から贈られた(←嫌な贈り物だ)。
 ネオショッカーの掟に幹部もアリコマンドもない、と云うのが鉄則なのだが、とにかく大首領は度々ゼネラル・モンスターに命令を発したり、叱咤したり、その提案を聞き入れたりしていたのだが、ゼネラル・モンスター戦死後に魔神提督が日本支部に着任した後は声を発することが激減した。

 これは大首領のゼネラル・モンスターに対する信頼度が、魔神提督に対するそれに比べて低いためか、それとも「ゼネラル」と「提督」では後者の方が地位が遥かに上からなのか、判断は難しいが興味深い。

 実際、ネオショッカーにおける「将軍位」がどれ程のものかはなかなかにつかみ難い。
 と云うのも、ネオショッカーには「将軍」の地位にあった者が分かっているだけでも3人存在する。ゼネラル・モンスター黄金ジャガートリカブトロンである。
 黄金ジャガートリカブトロンの詳細に関しては各々の頁で触れるが、会話から見ても、魔神提督は明らかにこの2人よりも格上の立場にあり、トリカブトロンに至っては魔神提督の即決で「5階級格上げ」で将軍の地位に就き、程なく「5階級格下げ」で将軍の地位を剥奪されている。
 魔神提督の「提督」という地位が「将軍」の地位をも簡単に上下し、5階級も即決で動かせることを見れば、独断で最後の特攻に出る前のゼネラル・モンスターを爆殺出来たことも頷けるのだが、ネオショッカーの組織図はなかなかに複雑である。

 充分な膂力を持つとはいえ、これといった肩書を持っていなかった(示さなかっただけかも知れないが)グランバザーミーは魔神提督にため口を聞いており、同じく「スエズ運河の使者」としか名乗っていなかったアブンガーに魔神提督はその腰の重さを罵りつつも、出陣を強要する権利は無かった様である。
 「将軍」である黄金ジャガートリカブトロンの悪辣振りにキレて、「サハラ支部に帰る!」と云った際に、これを留めはしたが、決して高圧的な命令口調ではなかった。
 作戦遂行上、魔神提督との接点のなかった改造人間も多いが、同時期に召喚されたタコギャングが魔神提督に阿っていたのに対し、マントコングはその逆鱗に触れた際にみっともないほどに狼狽していた。

 何か、ゼネラル・モンスターよりも魔神提督を論じた文章みたいになったが、ネオショッカーにおける「将軍」を考察するのに、魔神提督との対比が必要なのでこんな文章になってしまった(苦笑)。
 ただ、処刑されたり、「将軍」を顎で使っていたり、が見られるからと云って、ゼネラル・モンスターが魔神提督よりも格下か?と云われても一概には頷けない。悪意的な見方をすれば、第1話でゼネラル・モンスターは組織最大の敵となるスカイライダーを生み出すという大失態をしでかし、第7話の時点で日本支部の人口減少計画の進捗具合は他の支部に大幅に劣っていた(←世界各地に散っていた歴代ライダー達はこのとき何をしていた?)。
 だが、それでも第16話までは日本支部の指揮権を一手に任されていたのだから、単純な「将軍」の地位に留まらない、組織内における重要な立場をゼネラル・モンスターは占めていたのではなかろうか?


注目点 一言で云えば、「緻密であろうとしながら、詰めが甘かった。」と云ったところだろうか?詰めが甘かったという結果をもって、「緻密」に意味がないと揶揄するのは簡単だが、それはすべてが失敗に終わる悪の組織の宿命の様なもので、ゼネラル・モンスター自身が数多くの悪の大幹部に比べてもかなり考える方であったのは事実である。

 前述した様に、自分達の役に立つと見れば何者でも懐柔し、利用せんとする貪欲さを持つ故、第2話で交渉した筑波洋以外にも、有能な一般人を利用せんとする作戦展開が多かった。スポーツに優れた少年少女を鍛え、優勝した彼等を祝福せんとする世界の要人を暗殺させんとし(第11話)、格闘技界の優秀選手を洗脳してスカイライダーに対抗させんとしたこともあり(第9話)、この辺り「将軍」と云うより「参謀」に近い。
 一方で後任も魔神提督よりはアジトの外に出て、前線に立つことも多かった(魔神提督も最後は自ら出陣したが、かなり大首領の怒りを買った後の切羽詰まっての出陣だった)。

 またアオカビジンやゴキブリジンなどと出陣前に面会し、その能力を問うたり、試したりしていたのも印象的だった。魔神提督も似たことをしていたが、これは海外から強豪怪人を召喚することが多かったので、ステップ的に当然と云える。ゼネラル・モンスターの場合、作戦失敗を重ね、立場的に切羽詰まっていた故、出陣する改造人間の能力をしっかり見極めんとしていたことも見逃せないだろう。

 肩書は「ゼネラル」でも、後任の魔神提督以上に新規改造・作戦立案・渉外を担い、その役割は「ゼネラル」の域に留まるものでは無かった。また、魔神提督の様にワールドワイドな作戦展開や強豪怪人召還を行わなかったのでスケールが小さく見られがちだが、個々の作戦はかなり規模が大きい(展開対象が世界的なものだったり、長期展望に則っていたりで)。
 故に「ゼネラル」でも「提督」に引けを取ってはいない、とシルバータイタンは考える。

 最後に併せて注目したいのはプロフェッサー・ドクの存在である。
 シルバータイタンはプロフェッサー・ドクの存在を称賛している。実際、「ゼネラル」に限らず、組織の大幹部ともなれば、独自の側近がいてもおかしくない。否、いない方がおかしい。
 実際、ブラック将軍は(たった一回の出番だったが)D博士と云う知恵袋とも云える部下がいた。アポロガイストは直属の親衛隊がいたし、内外の敵の多いメガール将軍に至っては複数の影武者を率いていた。
 そこを行くと、プロフェッサー・ドクは大幹部が抱えているであろう当然の側近を具現化した最初の好例と云える。「惜しい」と云うのはもっと活躍して欲しかったからである。最後に合わせた登場となったので出番は少なかったが、それでも3話登場し、その最期までストーリー的に納得いく形で描かれていたのは良かったと思う。


今後への期待 令和3(2021)年3月27日現在、ゼネラル・モンスターを演じた堀田真三氏は御年75歳にして、ドラマ・映画・Vシネマに活躍されている。
 平成・令和ライダーシリーズにて浜田晃(『仮面ライダーOOO』『仮面ライダービルド』)、中田博久(『仮面ライダーゼロワン』)、加地健太郎(『仮面ライダーアギト』)諸氏が客演した例を思えば、堀田氏にも是非とも客演して欲しいところである。

 ドラマではここ数年活動が見られないが、映画やVシネマではかなり活躍されているので、待ちに待った末に中田氏が『仮面ライダーゼロワン』に客演した様に、満を持してのマスカーワールド再登場を期待したいところである。
 贅沢を云えば、(令和3(2021)年4月2日現在)一度も客演していない村上弘明氏と共に…………。


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令和三(2021)年四月二日 最終更新