6.トリカブトロン…………ほんの数分の将軍位

キャラクター名黄金ジャガー
登場作品『仮面ライダー(スカイライダー)』
演者仁内達之(声)
所属組織ネオショッカー
人間体鬼島先生
地位モンゴル支部幹部
指揮能力☆☆☆☆★★★★★★
武勇☆☆☆☆★★★★★★
部下の敬意☆☆★★★★★★★★
備考 正式に将軍位就任したと云えるか否かはかなり疑問。
概要 魔神提督によってモンゴル平原から日本に召喚された怪人。
 名前の通り猛毒を持つ植物・トリカブトの改造人間で、その毒を塗った弓矢を得物としていた。
 スパルタ教育を施す学習塾の講師・鬼島(長谷川弘)として人間社会に潜入し、魔神提督が大首領の怒りを解く為に建立した大神殿の生贄を魔神峠に誘う役目を担っていた。

 実力・地位の割には無駄にプライドが高く、それ以上に姑息な性格で、仮面ライダー迎撃の為に黄金ジャガーが共に召喚されたことに露骨に不快の念とライバル意識を剥き出しにして勝負の許可を魔神提督に求めるも、のど元に槍を突き付けられただけで周章狼狽する体たらくだった。

 結局仮面ライダー迎撃は黄金ジャガーに一任されたが、一騎打ちの最中に吊り橋からぶら下がったスカイライダーを長弓で狙撃し、崖下に転落せしめ、(遺体を確認もせず)スカイライダーを倒したとどや顔で魔神提督に己が手柄を申し立てた。
 スカイライダーを倒したことに上機嫌となった魔神提督はトリカブトロンを五階級特進で「将軍」にするとしたが、一騎打ちを横から手出しして手柄をかっさらったやり方は神敬介・黄金ジャガーの両者から激しく詰られる程卑劣なもので、黄金ジャガートリカブトロンとの決闘の許可を求めたが、魔神提督はついさっき褒め称えて昇進させた筈のトリカブトロンを「お前(黄金ジャガー)が相手にする程の奴じゃない。」としてやんわり却下したのだから、トリカブトロンの人望推して知るべしである。

 その後も、大神殿落成まで残るXライダーに対する警護・迎撃役の名目で村内に留まったトリカブトロン黄金ジャガーだったが、礎石運びレース(前頁参照)でも、崖下に転落しかけた少年を見殺しにしたり、これを助けた黄金ジャガーに異を唱えたり、遅れがちな少年を崖下に突き落とすようアリコマンドに命じたり、少年を助ける動きを見せたアリコマンド(実は筑波洋の変装)に少年を打ち据えるよう命じたり(←道場主「『安宅』だな、丸で(笑)。」)、とその性悪振りを幾度も展開した。

 そして大首領に生贄を捧げる段になって、Xライダーと(当然の様に生きていた)スカイライダーが乱入。儀式を邪魔されたことに怒った大首領は魔神提督にWライダーの抹殺を命じ、恐懼した魔神提督はトリカブトロンを殴りつけて五階級格下げを言い渡した。
 つまるところ、スカイライダー抹殺が(結果として)虚偽だった故に、昇進を取り消した形でトリカブトロンの将軍位は雲散霧消した。

 直後、魔神提督は大首領からの命令をそのままトリカブトロン黄金ジャガーに命じ、自らは消え、流れからトリカブトロンは仮面ライダーXとの一騎打ちとなった。しかしながら戦闘能力的にこれといった優れた点持たないトリカブトロンは優勢を見せることなく、Xキックの前に討ち死にした。


組織における将軍位 論じ難いなぁ…………何せ数分間の就任、それも正式な事例の無い、口頭上の就任だったから(苦笑)。

 云わば、スカイライダーを討ち取った(と見做された)功績に対する褒美の様なもので、従事していた任務がまだ終わっていなかったこともあり、作中においては名誉職に近かった(実際、魔神提督は将軍に相応しい敬意を全く払っていなかった)。

 それゆえトリカブトロンが「将軍」振りを発揮することはなかった。前述のレースではアリコマンド相手にエラソーに踏ん反り返っていたが、作中におけるアリコマンドの劣悪待遇を考えれば(苦笑)、将軍位に無い平の怪人でも同じ態度を取っていそうである(翌週に登場したドブネズゴンなど、自分の能力を誇示する為だけに側に侍っていたアリコマンドを殺害していた)。


注目点 何と云ってもその性格である。前述した卑劣漢振りは今更云うに及ばずだが、5階級も格上の黄金ジャガーにタメ口を聞いていた傲岸不遜振りはある意味感心する。
 グランバザーミーも魔神提督にタメ口を聞いていたが、彼の階級ははっきりしない。「地球最高の改造人間」を自称してこれと云った咎めを受けていないのだから、もしかしたら魔神提督に匹敵する肩書を持っていたかも知れない。

 だが、トリカブトロンは5階級格上げで「将軍」になったことが明言されており、トリカブトロン自身、「同じ将軍」としてはしゃいでいた。仮にネオショッカーが日本の警察の様な縦社会で、横の繋がりが希薄だったとしても、トリカブトロンの無礼振りは巡査部長が警視長にタメ口を聞いていたに等しい。

 恐らく、魔神提督が、黄金ジャガーとは丸で正反対の性格で、人物的にも思い切り見下しているトリカブトロンを敢えて召喚したのも、その卑劣振りが功を奏することを見越してかも知れない。魔神提督自身、卑劣・卑怯を全く意に介さない人物である。
 実際、トリカブトロン黄金ジャガーとスカイライダーの一騎打ちに横から手出しした卑劣振りを全く咎めず、(事実ではなかったが)スカイライダーを討ち取った手柄を手放しで褒めていた。直後の黄金ジャガーへの宥めようからも、トリカブトロンが卑劣な手で仮面ライダーを討つことに期待していたのかも知れない。

 ともあれ、トリカブトロン黄金ジャガーの清々しいまでに正反対なキャラクターは両者の性格を際立たせていた。
 もとよりネオショッカーは悪の組織で、構成員の多くは目的達成の為には手段を選ばず、卑劣な保身に走る輩も少なくない。トリカブトロン程度の卑劣感は履いて捨てる程いる(大幹部2人も相当に卑劣である)。
 そんな中、ネオショッカーにおける卑怯者の中でも3本の指に確実に入ると見做されるのも、偏に黄金ジャガーとの対比であろう。人気はなくとも、描かれようには恵まれたネオショッカー怪人かも知れない(笑)。


今後への期待 どーでもいいな(笑)。
 卑怯卑劣振りは見事だったし、黄金ジャガーを引き立てた功績(笑)も大したものだったが、如何せん自身が小物過ぎた。それゆえ再登場するのは良いが、そこに何かを期待する要素が見られない。
 それこそ再生怪人が大挙して押し寄せる中、物陰や背後から姑息に毒矢を放つ姑息な動きが視聴者を「にやり」とさせるかもしれないが(苦笑)。


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令和三(2021)年四月二二日 最終更新