対ガテゾーン……戒告と追放

ガテゾーンDataBase
肩書き怪魔ロボット大隊隊長にしてクライシス帝国地球攻略兵団機甲隊長
スーツアクター北村隆幸(ジャパンアクションクラブ所属)
キャラクターボイス高橋利道
主君クライシス皇帝
上司ジャーク将軍
配下怪魔ロボット
武器銃、怪光線(顔面中央より発射)、バイク(ストームダガー&ネオストームダガー)
クライシスチャージャー(ダスマダーより譲渡) 、ボディ爆弾
 ある意味、最も掴み所のない奴だからこそ、このガテゾーンを考察する事は、ジャーク将軍を考察する上においても考察し甲斐があり、それでいて考察しきれない奴でもある。

 そもそも、四大隊長の中でボスガンとマリバロンが純粋なクライシス人で、ゲドリアンが最も暗く寒いゲドラー域の出身であるのに対し、ガテゾーン「正体不明の怪魔ロボット」とされており、本来なら誰かの手によって製造される事によって生まれる筈のロボットが「正体不明」というのも解せない話である。

 そんなガテゾーンと、上司であるジャーク将軍の関係を見るとしたら注目すべき点が3つ挙げられる。
 ■ 製造者としてのガテゾーン
 ■ 企画者としてのガテゾーン
 ■ 一戦士としてのガテゾーン
である。
 上記3点からガテゾーンジャーク将軍の関係を見ていくが、結論から先に云えば、上記3点はジャーク将軍からガテゾーンに命ぜられた任務であり、ジャーク将軍ガテゾーンを信頼した能力であり、皮肉にもガテゾーンジャーク将軍と袂を別つ最大の原因・「独断専行」の元ともなった…。


 まずは製造者としてのガテゾーンだが、彼が率いる怪魔ロボット大隊所属の怪魔ロボット達は全員ガテゾーンの手によって制作されたものである。第2話にしてからキューブリカンを製造(改造?)しているシーンが観られる。
 ジャーク将軍はその時々の作戦に合わせてガテゾーン「最強怪魔ロボットを出撃させよ!」と度々命じるのだが、製造者としてのガテゾーンが優秀かどうかは視点によって両極端に分かれる。
 単純に怪魔ロボットの戦闘能力で見るならガテゾーンの製造能力は間違いなく優秀である。四大隊長によって率いられる怪魔獣人大隊・怪魔妖族大隊・怪魔ロボット大隊・怪魔異生獣大隊の中で比較的RXを苦しめたのが怪魔ロボット大隊であり、ロボライダー・バイオライダーへの二段変身能力を得る前のRXではデスガロンやメタヘビー・ヘルガデムには間違いなく勝てなかっただろう。
 一方で命令への忠実さを考えるとガテゾーンの製造能力は首を傾げざるを得ない。第11話に登場したスクライドの様に自惚れの感情を持ち、皇帝の怒りを買い、ガテゾーンの命にも服さなかったが為に一度スクラップにされた奴もいたし、前述のデスガロンは(意図したものではなかったが)RXを怪魔界に連行してしまった罪で破壊を命ぜられた時は誅殺に来た怪魔ロボット・トリプロンに抵抗し、独断でマリバロンと助命交渉を行い、そのマリバロンに嵌められるやかなりの重要情報をRXに喋りまくっていた(気持ちは分かるのだが…)。
 普通、プログラミングで動くロボットには考えられない事である
 勿論怪魔ロボットは我々人類が考えるロボットとは異なる存在だろうから、単純にプログラミングに従って動くだけの存在と断ずるのは早計で、「キン肉マン」で云う所のウォーズマンと現実のロボットとの中間的存在である可能性が高いのだが、怪魔ロボット達の性格までもがガテゾーンに作られた物だとしたら、「何て雑なプログラミングなんだ!!(笑)」と云いたくなる。
 殊にスクライドの叛逆振りは製造者として致命的とすら云えよう。

 さて、製造者としてのガテゾーンを見る時、前述したジャーク将軍の台詞、「最強の怪魔ロボット」とという言葉を見落としては語れない。
 怪魔ロボットと、怪魔獣人にはよく「最強の」という言葉が冠せられるのだが、この「最強」には二通りの取り方がある。
 1つは「最強」の筈の怪魔ロボット・怪魔獣人が次々とRXに倒されるから、それより格下でも生き残ればいずれ「最強」になるという物(笑)。もう1つは打倒RXの目的の為に特訓・改造・研究を重ねた怪魔ロボット・怪魔獣人達の中から新たな「最強」が生まれるという取り方である。

 怪魔獣人大隊では後者は考え難いのだが(笑)、バイオライダー同様の液化能力を持ったヘルガデムの性能とその時のガテゾーンがダスマダーに吐露した心血振りを考えれば、怪魔ロボットに関してはそれまでの経験則を活かした製造・改造が行われるが故に、次から次へと「最強」のものが生まれる事にも得心がいく。
 そこには日頃から、自らが生みの親となった怪魔ロボット達へのこだわりを持つガテゾーンならではの製造者振りがある事と無縁ではないだろう。だが、製造者としてのこだわりは製造を命じるジャーク将軍の意と次第に相違を生んでいき、ガテゾーンは第34話ではジャーク将軍に無断でダスマダーの四国空母化計画に便乗し、シュライジンをRXと戦わせた。また、第43話ではRXに破壊された愛車・ストームダガーをパワーアップさせるクライスチャージャーを得る為にダスマダーに最強最後の怪魔ロボットヘルガデムを提供して彼の作戦に便乗し、その直前、遂にジャーク将軍から隊長位の剥奪と指揮下からの追放を宣告された。
 この時のガテゾーンは幾ばくかの躊躇いを見せ、仲間との別れに未練も見せていたが、結局はガテゾーンは製造者としての自らの製造目的を、ジャーク将軍もまた部下のRX打倒の意への理解より、指揮官としての立場を取った。
 「彼等らしい。」と云えばそれまでだが、彼等の故郷・怪魔界が明日にも崩壊しかねない状況下でのこのこだわり振りは一言では語れない人間(?)ドラマを織り成している。


 続いて企画者としてのガテゾーンだが、基本的に作戦の企画立案はジャーク将軍が行う。が、ガテゾーンが何も考えないわけではなく、前者が戦略立案なら、後者は戦術立案を担当。別のいい方をすればハード製作をジャーク将軍が、ソフト制作をガテゾーンが担当したとも云える。

 そんな限られた状況下でありながら、ガテゾーンの発想は結構大胆だ。
 前述したスクライドの復元もそうだし、第14話に始まる怪魔界潜入編ではデスガロン・トリプロン(1号・2号・3号)・ネックスティッカーの5体のロボットを駆使した時もジャーク将軍の命に従いつつも、デスガロンに汚名返上の機会を与えようとしたり、ネックスティッカーに霞のジョー(小山力也)を操らせて南光太郎を倒そうとしたりして、かなり独自の判断で作戦遂行に務めている。まあ、卑しくも50億もの人口を擁する他の星を攻めるのだから、トップばかりが優れているようでは話にならないのだが。
 もう一点、企画者としてのガテゾーンに注目するなら、彼が配下の怪魔ロボットの援護射撃を結構行っている事が挙げられる。
 第4話では光の車・ライドロン破壊を命ぜられたガンガディンの為に、迎撃に出たアクロバッターの迎撃を自ら引き受け、第31話では怪魔界を地球に導くアイテムを巡る攻防ではエレギトロンを指揮しながら自ら謎の女性、ユーコ・ミドリカワ(西崎みどり)を追い詰めたりし、最後の出番となった第43話ではヘルガデムと供に自らのボディを犠牲にしてまでRXを爆殺せんとした。そう、ガテゾーンの作戦立案には自分も結構加入しているのである。
 この企画立案にジャーク将軍の参入は殆ど見られない。これをジャーク将軍ガテゾーンへの信頼振りと見るか、ガテゾーンの独断専行と見るかは意見の分かれるところだろう。
   だが、ボスガンやゲドリアンが作戦によって自らが陣頭指揮を執る時と部下の怪魔獣人や怪魔異生獣に丸投げする時が極端な事や、マリバロンが諜報参謀に徹している事を考えるとガテゾーンの企画に対するこだわりとそれに殆ど口を出さないジャーク将軍の関係を考察するのはなかなかに楽しかったりする。


 最後に一戦士としてのガテゾーンだが、彼はかなりRXと対峙している。
 他の三隊長も地上に降り立たないわけではないのだが、愛車・ストームダガーを駆ることから、ショットガンタイプの光線銃でもってRXに射撃する事の多く、前述した様に自らが立てた作戦に自らが乗り込む事も多いガテゾーンは、ロボット特有のメタリックな見てくれからもRXとの対峙が絵になると云うこともあるだろう。
 また、ガテゾーンのバイクアクションにはゲドリアンへの援護射撃的な出撃が多かったことも見逃せない。供に同じ四大隊長の一人であり、供に純粋なクライシス人とは異なる事が二人をして共闘せしめる事が多かった点も戦士=直接行動者としてのガテゾーンの出番を増やした。
 が、かように個としての行動が多いことはガテゾーンに製造・作戦立案といった任務の全てとジャーク将軍旗下での指揮系統を逸脱してまで自らの手で仮面ライダーBlackRXの首を取らんとの意を膨大させ、上司と部下としての二人の関係に亀裂を生じ、最後にはジャーク将軍ガテゾーンの隊長職解任と指揮下からの追放を決し、ガテゾーンは地位、最高最後のスーパーロボット・ヘルガデム、自らのボディを投げ打ってまでRXとの最終決戦に挑み、散ったわけだが、これこそが戦士としての、個人としてのガテゾーンを示す最たるもので、ジャーク将軍との上下関係も如実に語っていると云えよう。


 上記3項目から見てもガテゾーンは地位・権力・名誉に無頓着で、逆に自らの行動−製造・作戦立案・標的追討−にかなり執着する性格であることが改めて覗える。
 これは基本的に同じ地位で、同じ上司の指揮下で、同じ任務に邁進する他の三大隊長と比べてもかなり対照的である。
 純粋なクライシス人であることに誇りを持つボスガン・マリバロン、逆に怪魔界で最も暗く寒いゲドラー域出身である事に劣等感を感じるゲドリアンは背景こそ違えど、隊長としての地位や個人のプライドに執着した。
 また、マリバロンが徹底してジャーク将軍に忠実(少し抜け駆けがあったが)、ボスガンがただ一度の野心に燃えた事、ゲドリアンがただただ隊長であろうとした事と比べてもガテゾーンは上司命令よりも自らの喜びとしての作戦成否にこだわった。
 そしてそれがジャーク将軍以下四大隊長も嫌い抜いた筈の査察官ダスマダーとの癒着すら生み、それが全てを失う事となった。だが、ガテゾーンは後悔していないだろう(全くしていないと云い切れるほどではないが)。
 ガテゾーンだってダスマダーに対して「査察官の分際で!」、と戦士職にないダスマダーに罵声を浴びせたシーンはあるのだが、それでも自らの戦果への執着が犬猿の仲の相手と手を組む事も辞させなかった。

 ちなみに道場主が個人として見た時に四大隊長の中で一番好きなのはガテゾーンである。単純に四人の中で一番性格が自分に似ていると思うからである(ちなみにマリバロンは別の意味で一番好きである)。
 そしてその面こそが最大権力者クライシス皇帝−中間管理職ジャーク将軍−第一線指揮官ガテゾーン−尖兵怪魔ロボット大隊の縦糸、並びに海兵隊長ボスガン−諜報参謀マリバロン−牙隊長ゲドリアン−機甲隊長ガテゾーンの横糸で見るクライシス帝国軍属の興味の尽きない点でもある。


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令和三(2021)年五月一九日 最終更新