File3.ネオショッカー………3分の1に入れば幸福か?

侵略者名 ネオショッカー
登場作品 『仮面ライダー(スカイライダー)』
登場話 全話
侵略目的 地球滅亡を回避し、発展させる。
侵略手段 改造人間及び各種兵器を用いての人口減少
地球人への処置 2/3を抹殺し、残りは隷属


侵略者概要 『仮面ライダーストロンガー』最終回以来、3年半振りに始まった第2期仮面ライダーシリーズの始まりである『仮面ライダー(スカイライダー)』は原点回帰が意識された作品だった。
 タイトルは初代そのまんまだったし、敵組織は「新しいショッカー」を意味する「ネオショッカー」を名乗り、初代幹部ゼネラル・モンスター(堀田真三)の容姿に対して、「ゾル大佐(宮口二朗)を意識したものでは無い!」と云い張る人がいれば御目に掛かりたいものである(笑)。

 とは云え、ネオショッカーショッカーと関連する組織であったかどうかは不詳である。
 漫画『仮面ライダーSPIRITS』及び『新仮面ライダーSPIRITS』に在る様に、ショッカーからバダンに至るまでの総ての悪の組織がバダン総統の指揮下にあったのであれば、ネオショッカーもまた外宇宙から来た侵略者の尖兵と云うことになる。
 仮にデルザー軍団以前の大首領が率いていた組織とは異なる存在だとしても、後のドグマ王国ジンドグマ同様にB26暗黒星雲に出自を持つ組織であったことははっきりしているので、やはりネオショッカーも外部からの侵略者として良いだろう。

 組織としての在り様はショッカーに始まる歴代悪の組織と似通っていた。
 高名な科学者を拉致し、組織への協力を強要し、改造人間による破壊工作・無差別テロ・要人暗殺等の悪事を重ね、世界を支配せんとした。また世界各地に支部を持ち、改造人間の上には様々な階級を持つ幹部が存在し、その序列は基本的には厳格だったようだが、膂力に自信がある者の中には大幹部相手でもため口を叩いたり(例:グランバザーミー)、肩書不明のアブンガーに大幹部である魔神提督(中庸治)に出撃を強要出来なかったりもしていたので、なかなかに複雑であった。
 ただその中で、歴代組織とやや異なる面も見られた。


人類への接触 基本、ネオショッカーは一般ピープルにとっては恐るべきテロリストでしかなかった。詳細は後述するが、ネオショッカーは自分達に属する者を除いて人類を大量に抹殺することで地球の人口を1/3に減らそうと目論んでいた。
 勿論その人選はネオショッカーの任意で、手段として行われる大量殺戮は無差別テロに近く、犠牲者の中には本来ならネオショッカーのお眼鏡に適ったであろう者が大量に含まれていてもおかしくなかった(状況的に)。
 第7話では世界各地で人口を減らす計画が着々と進んでおり、日本支部の遅れが問題になっていた。つまりスカイライダーの妨害を受けている日本以外はネオショッカーによって多くの人々が殺されていたことを意味する(←このとき、海外各地にいた歴代仮面ライダーは何をしていたんだ?)
 第21話での仮面ライダーストロンガーの証言によると、インドではサイダンプによってガンジス川のダムが破壊され、100万人に上る犠牲者が出たとのことだった。6474人の犠牲者が出た阪神大震災や、2万人超の犠牲者が出た東日本大震災にて毎年その犠牲が悼まれ、被害の深刻さが語り継がれていることを想えば、ネオショッカーによる被害者洒落になっていない。

 そんなネオショッカーによる犠牲者の中には、歴代悪の組織によるそれと同様、「目撃者は消せ。」的に殺された者もいれば、大量殺戮の巻き添えを食った者もいれば、主人公・筑波洋(村上弘明)のハングライダー部仲間の様に、洋が志度博士(田畑孝)を救わんとした際に死なせたアリコマンドへの復讐で殺された、と云う理不尽極まりない犠牲もあった。
 勿論ハングライダー部の仲間は訳の分からないまま殺されており、ネオショッカーから何らかの接触なり、交渉なりがあって、それに応じられないことで殺されるならまだしも、自分達が何ら関知しない事柄で一方的に「関係者」に指定されて有無を云わさず殺されたとあっては、ネオショッカーはただただ恐ろしいテロリストでしかなかったことだろう。

 つまり、ネオショッカーは「人類皆殺し」を考えおらず、人類の1/3は生かそうとしていたとはいえ、その人選はネオショッカーの価値観や都合による一方的なもので、地球人側で選ぶ術は殆んどなく、彼等の地球人への接触は理不尽極まりなく、到底受け入れ難いものだったことは想像に難くない。



垣間見せた善意? 悪の組織にて悪事に従事する者の在り様は様々である。
 脳改造を受け、自我を失っている者もいれば、自身や家族の命への脅迫から渋々従っている者もいれば、自らの意志で嬉々として従っている者もいた。
 完全な服従を求めるなら、脳改造を施せばいいと思われるが、恐らくそれを行えば自我と共に脳の働きも部分的に奪ってしまうのだろう。筑波洋の父・筑波洋太郎博士(加藤和夫)やその友人長沼博士(西本裕行)といった組織への服従を拒む者に対して脳改造を施さなかったのも、その頭脳を活かしたかったからだろう。

 つまり、ほんの少しだけネオショッカーの肩を持つなら、自分達の理想に共鳴し、有能で、組織に服従を誓うことが見込まれる者なら活かす、場合によっては仲間として受け入れようとの姿勢も見られた。
 となると、好餌でもって協力を要請することもある訳で、実際にゼネラル・モンスターは第2話で洋を懐柔する為の交渉を持ち掛けていた。
 ゼネラル・モンスターの語るところによると、ネオショッカーは地球滅亡を望んではおらず、むしろその逆に地球を滅亡から救う為にこそ自分達は活動していると述べた。

 つまり、現在(放映時点では1979(昭和54)年)、地球上には無駄に人口が増え過ぎ、環境破壊を重ね、食糧危機等を招くことで地球を滅亡に向かわしめているとのことで、これを防ぐ為には地球の人口を1/3に減らし、優秀な人間である自分達が改造人間を率いて新たな支配層になり、理想の世界を築かんとの、彼等なりの大義名分を掲げていた。
 勿論洋がこれに賛同してネオショッカーの仲間入りを承諾するなんてことはなかったが、当初は洋も、決して受け入れられないながらもネオショッカーネオショッカーなりの大義名分があることを少しは認めていたのか、第5話では子供を人質に取らんとするネオショッカーに対して、「ネオショッカーの名が泣くなぁ!」と呼び掛けたりもしていた。
 まあストーリーが進むにつれて卑劣なネオショッカーに対しては寸分も認めるところはなくなったようで、中期には変身前に「貴様等、人間の敵だ!」と云っていたので、この辺りのネオショッカーなりの大義名分は最終的には一顧だにされなくなったと思われる。
 ただ、第48話にて偽スカイライダーに化けてスカイライダーの世間における信用を失墜させることに尽力していたドロリンゴは、洋に喫茶ブランカの仲間達を殺害させることで、彼に一般社会での居場所をなくさせ、ネオショッカーの仲間に引き入れようと魔神提督に進言し、魔神提督もこれを受け入れていたから、自分達にとって役に立ち、且つ忠実になると見込まれる人材は活かして使おうとの姿勢は一貫して持っていたと思われる。

 まあ、第35話で人間を植物にする研究を強要した南博士(明石勤)が、研究を完成させた際には、第36話・第37話でその薬を使いつつも、「用済み」として娘(桜井浩子←フジ隊員ではない)ともども殺そうとしていたから、ネオショッカーのお眼鏡に適って1/3に残れた地球人が幸せになれたかどうかは極めて疑わしい。
 ただ、フィクションながら恐ろしいのは、もし、ネオショッカー同様に、「人類の中から自分達に都合の良い人材だけを残し、「役に立たない」、「敵対的」と思われる者はすべて抹殺する!」と云う組織が現実に出現した場合………………実在する一部の宗教過激派を思えば、決して一笑に付すことは出来ないとシルバータイタンは考えるのである。


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令和五(2023)年二月四日 最終更新