11.相原教授VSクロイゼル……情と使命の狭間で

番組名『仮面ライダーBLACKRX』第19話「恐怖の人工太陽!」
放映年月日1989年3月12日
勝利者相原教授とその娘・圭子
勝利手段磁力砲
勝利形態人工太陽粉砕による破壊作戦阻止
ストーリー概略 ある日突然、東京上空に2つ目の太陽(←想像してみると凄いことだなこれ…)。当然気温も上昇し、真夏の様な気候となった。申すまでもなく、クライシス帝国の策略で、東京壊滅をたてに日本政府を脅迫し、政府が秘かに所持しているエレニウム鉱石を奪い取るのが目的だった。

 だが、クライシス帝国にとって意外な敵が現れた。人工太陽を消滅させる磁力砲を開発した相原文吾教授 (石山律雄)である。
 東京を救う為、相原教授は政府に掛け合おうとして、日本政府が学者達を集めて緊急協議を行っている国立アカデミーへ足を運んだ。
 一方、南光太郎 (倉田てつを)は白鳥玲子 (高野槇じゅん)からの情報で、日本政府を脅迫している組織があることを知り、それがクライシスではないかと疑い、国立アカデミー向かったことで両者は出会うこととなった。

 アカデミーの警備員はチャップが変装したものだった。更に怪魔ロボットクロイゼルが出現して相原教授に襲い掛かったが、これは光太郎仮面ライダーBLACK RXに変身して阻止した。

 更に相原教授と、彼を助けんとした玲子には怪魔妖族スカル魔が襲い掛かり、RXはライドロンを召還してスカル魔を蹴散らした。

 何とかクロイゼルを追い払った光太郎玲子と共に相原教授を連れて教授の自宅にも取ったが、教授の娘・圭子と息子・真一諜報参謀マリバロン (高畑淳子)に誘拐されていた。

 マリバロン教授宅のテレビを通じて捕えた圭子真一を灼熱の部屋に監禁している姿を見せた。勿論子供達を返して欲しくば磁力砲を寄こせ、と云うものである。
 子供達を人質に取られ、苦悩する相原教授光太郎は、子供達を必ず救うことと、言いなりになってもクライシス帝国が子供達を返す確率が低いことを説いて、東京を救う為の磁力砲を完成させて欲しいと懇願した。

 クライシス帝国からの脅迫を届かない様にする為、光太郎は陽動作戦で張り込んでいたチャップを引きつけ、その隙に玲子がとある山荘に相原教授を匿った。その際の陽動作戦だが、ダミー人形を乗せた車で相原教授が自宅から逃げたように装い、チャップにそれを追わせたものだったが、どうやって人形(それも案山子の出来損いみたいな粗雑品)に車を運転させたのだろうか?

 まあ、それは置いておいて、一先ずクライシス帝国の追跡をかわした相原教授玲子だったが、マリバロンには居場所不明の相手にもテレパシーで思念を送る能力があり、潜伏先においても相原教授は脅迫を受け続けた。

 やがて磁力砲を完成させた相原教授玲子が眠っているのを確認して、姿の見えないマリバロンに「取引に応じる」との思念を送り、マリバロンも待ち合わせ場所を明神ヶ原とすることを返信した。
 教授は、クライシス帝国に約束を守る意志が無かったとしても父親として子供達を見捨てられないことと、勧めを反故にすることを詫びた置き手紙を残し、玲子の車で明神ヶ原に向かった。

 玲子から教授の手紙を見せられた光太郎もまた明神ヶ原へ向かった。果せるかな、クライシス帝国は物の見事に約束を反故にしてクロイゼルに磁力砲を奪い取らせんとした。
 だが相原教授はそのことを充分予測しており、磁力砲を手に生身の体でクロイゼルと人工太陽の破壊に挑んだのだった。


勝利 相原教授の発した磁力砲と、クロイゼルの放った光線は共に凄まじい破壊力を持ち、そのぶつかり合いは互角だった。
 クロイゼルは人工太陽を接近させる。

 だがクロイゼルは体内にある人工太陽のコントロール装置を作動させ、相原教授を殺さんとした。はクロイゼルの体内にある。
 だがそのピンチにRXが駆け付け、RXクロイゼルに飛び掛かりながら、教授に子供達を救い出し、磁力砲で人工太陽を撃つよう告げた。

 だが、人工太陽の重要性は、これをエネルギー源とするクロイゼルの方が充分に熟知しており、クロイゼルの攻撃を受けて足を負傷した教授はその場から動けなくなってしまった!

 事態を打開せんとしてRXロボライダーに変身し、クロイゼルを倒さんとしたが、クロイゼルは人工太陽から送られるエネルギーを更に自らの身に充填・増幅させ、パワーに優れたロボライダー以上のパワーを発揮し出した。

 その事態を打開したのは、教授の娘・圭子だった。
 圭子は弟の真一に物陰を動かないよう命じると、隠れ場所から飛び出して、砲撃で父の手を離れていた磁力砲を拾い上げ、父の下に運ぶと、二人は一緒に磁力砲を放って人工太陽を砲撃した。

 磁力砲は相原教授の計算を過たず、見事に人工太陽を粉砕!エネルギー源を失ったクロイゼルに対し、ロボライダーはボルティックシューター至近射撃。
 クライシス帝国は作戦と怪魔ロボットを瞬時に失ったのだった。


勝利の肝 一言で済ませれば、「相原教授の磁力砲のお陰」で終わる。
 教授の磁力砲が無ければ、人工太陽の破壊も、そこからエネルギーを得ていたクロイゼルの打倒も叶わない話だった。
 歴代ライダーと比しても仮面ライダーBLACK RXは強い方に入るが、彼個人の能力には人工太陽を如何ともする術は持たず、ただでさえ強敵の多かった怪魔ロボットの一人で、人工太陽をエネルギー源としていたクロイゼルに対しても劣勢に立たされていた。それゆえ、この第19話における相原教授の存在はとてつもなく大きい。

 人工太陽の重要性はクライシス帝国側にしても同様だった。否、作り手である分、RX以上に重視していてもおかしくはなかった。それゆえクライシス帝国サイドは形振り構っていられなかったことだろう。
 悪に同情してはいけないのだが、クライシス帝国の場合、「滅びの運命回避」が国是にして、地球攻略の第一前提なので、相原教授の子供達を人質に取ったことを、シルバータイタン個人的には歴代悪の組織程には強い非難を浴びせられない。
 同時に、そんなクライシス帝国が約束を反故にして相原教授と磁力砲を潰しに掛ることは容易に予想されながら、一人の父親として光太郎玲子の好意に反してまで取引に応じる姿勢を見せた教授の姿はより一層光っていた。

 そしてそんな苦難に対しても、苦悩しながらも歩みを止めない教授のDNAは圭子にも受け継がれていたのだろう。
 足を撃たれ、身動きがままならない父の元へ危険を顧みず駆け寄った彼女の助力が人工太陽の破壊とRXの勝利に貢献したことは今更繰り返すまでもない所である。

 親子が勝利の為に為した役割は非常に単純明快である。「良くある展開」と論じることも出来よう。だがその単純さゆえに垣間見える役割の大きさは計り知れないものがある。
 相原教授圭子の存在が無ければ、RXクロイゼルに敗れていただろうし、東京は熱波の前に壊滅し、クライシス帝国の地球攻略は成功していたのかもしれないのだから。


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平成二七(2015)年五月三日 最終更新