17.CREW GUYS VSグローザム……発動!「Pride of girls」

番組名『ウルトラマンメビウス』第46話「不死身のグローザム」
放映年月日2007年3月3日
勝利者カザマ・マリナ&アマガイ・コノミ&フジサワ・アサミ博士
勝利手段マクスウェル・トルネード
勝利形態外敵抹殺
ストーリー概略 前話である第45話にて月からの帰還中に“謀将”デスレム (声:郷里大輔)から基地兼空母であるフェニックスネストを攻撃されたことでサコミズ・シンゴ隊長 (田中実)・アイハラ・リュウ隊員イカルガ・ジョージ隊員 (渡辺大輔)が重傷を負い、入院することとなった(←はて?前話でジョージはたいした怪我をしてなかった筈だが……???)。
 メンバー半減の中、暗黒代皇帝エンペラ星人に仕える暗黒四天王の三番手・“豪将”冷凍星人グローザム (声:江川央生)が襲撃に出て来た。

 高倉市に等身大・フード姿で現れたグローザムは「その気になれば地球すべてを氷結させることも容易いこと。」と豪語する冷却能力でもって、ダムを瞬時に凍結させた。目的はウルトラマンメビウス誘き寄せである。
 程なく、異変を察知したクルーGUYSのメンバーが高倉市に急行するとグローザムはすぐに正体を現し、クゼ・テッペイ隊員 (内野謙太)を冷気でダウンさせると巨大化。ヒビノ・ミライ (五十嵐隼士)もメビウスに変身し、一騎打ちとなった。
 グローザムの強さは凍結能力にあるが、これは攻撃だけでなく、防御にも駆使されるものだった。肉弾戦では然程の強さを見せない様に見えたが、グローザムの凍結能力は体を切断されても、大穴を空けられても、即座に傷口を氷結・遮断するとともに瞬時に体を元通りに復元させ、如何なる攻撃も物ともしなかった。

 この凍結能力を利した復元能力によって、グローザムは彼自身が豪語する如く「不死身」を誇り、メビウスのメビュームシュートも、メビュームバーストも、負傷させるのは一瞬のことで、テッペイが加勢させたマケット怪獣ファイアウィンダムの火炎放射もグローザムには通じなかった。
 そしてグローザムが反撃に出ると冷気の前にメビウスは腹部を剣で刺された状態で氷漬けにされ、更にダムに磔状態にされた。

 地球人に勝利を宣言し、グローザムは氷漬け・仮死状態のメビウスを残して姿を消した。メビウスミライの生死が定かならず、カザマ・マリナ隊員 (斉川あい)によって病院に連れられたテッペイが戦線離脱し、残されたとアマガイ・コノミ隊員 (平田弥里)は滂沱に暮れるしかなかったが、それでも駆け付けたモロボシ・ダンから、強敵に敗れることもあったウルトラ兄弟を助け、勝利に導いたのが人間であることを教えられ、気力を取り戻すのだった。

 GUYS基地ではミサキ・ユキ総監代行 (石川紗彩)・マリナコノミが協議する中、ミサキ総監代行は、かつてウルトラ警備隊がガッツ星人に捉われたウルトラセブンを助けた例を挙げ、メテオール(地球外生物起源の超絶技術)・マグネリュウム・メディカライザーを使用すればメビウスを覚醒させることが可能であることを説明した。
 だが、グローザムの不死身振りにマリナの表情は晴れなかった。そんなマリナダンの言葉を借りて必勝を訴えるコノミフジサワ・アサミ博士 (石川けい)が拍手を送り、既に準備を整えていることを告げた。

 フジサワ博士はマグネリュウム・メディカライザーをカートリッジ化して、ガンウィンガーに搭載し、メビウスに照射することでこれを蘇生させる段取りだけでなく、メテオールを持ってグローザムと戦う手段までを整えていたが、誤算だったのは男性陣が全員入院中で、搭乗員がいないことだった。
 メビウスを救出し、且つグローザムと戦う為にはガンウィンガーとガンローダーの2機を駆使することが欠かせず、マリナは飛行戦闘経験も豊富だったが、コノミは殆ど操縦したことが無かった。
 そんな事態に男性陣が重傷の身を押して搭乗することを申し出たり、フジサワ博士が猛反対したりする中、コノミは自分が飛ぶことを申し出、その意気込みに全員が快諾し、男性陣はサコミズ隊長の命令で病室に引っ込んだ。

 そして翌朝、マリナがガンウィンガーに、コノミがガンローダーに搭乗し、ミサキ総監代行の号令が下された。奇しくも全員女性の手で行われることになったこの作戦の名前をフジサワ博士は「プライド・オブ・ガールズ」と名付けたのだった………。


勝利 昨夜のダンの励まし、以前のミライの励ましを思い出し、激励に現れたマケット怪獣リムエレキングを見て緊張を解いたコノミは出撃。氷漬けにされたメビウスの元に急行した。

 直前でグローザムに妨害されかけたが、そのグローザムの妨害はダンウルトラセブンに変身して阻止した。その間隙を縫ってマリナはマグネリュウム・メディカライザーでもってメビウスを蘇生させるのに成功した。
 即座にセブンに加勢したメビウスグローザムに猛攻を加えたが、グローザムは相変わらずアイ・スラッガーで斬られてもすぐに体を戻して不死身振りを固辞した。だがこの驕りが彼の命取りとなった。

 メビウスがメビュームシュートを、セブンがエメリウム光線を同時に放つとグローザムの体は粉々に粉砕された。だが余裕綽々でグローザムが体を復元させようとしたその刹那、コノミがガンローダーから放ったメテオール・マクスウェル・トルネードの熱波がこれを襲った!
 このマクスウェル・トルネードとは、ガンローダーに搭載されたブリンガーファンのパーティクル・コンプレッサーを用いて発生させる炎の竜巻で、「マクスウェルの悪魔」にちなむらしい。「マクスウェルの悪魔」をウィキペディアで見てもめちゃくちゃ難しくて殆ど理解出来なかったのだが(苦笑)、速い分子と遅い分子を振り分け対象物のエントロピーを低下させるものらしい。
 そしてこの、炎の竜巻を受けた結果と、余裕をかましていたグローザムの細胞には急激に熱が蓄積され、再生機能を働かなくさせるばかりか細胞そのものが破壊された。フジサワ博士の解説によると、通常状態のグローザムには大したことなくても、全身バラバラで、一つ一つの質量が小さい状態のグローザムにとっては「地獄の苦しみ」らしく、不死身を誇ったグローザムも断末魔の叫びを挙げて蒸発したのだった。


勝利の肝 勝利の要因は二つある。一つはフジサワ博士の徹底した分析である。メテオール・マクスウェル・トルネードといえども、その力だけではグローザムを倒せなかった。ましてメテオールはその起源の不確かさから1分しか使えないとの制限がある手段だった。
 それゆえフジサワ博士は「ウルトラマンメビウスの蘇生」と「メビウスの攻撃でグローザムの質量が小さくなった瞬間を撃つ」ことの両方を必要不可欠とした。この分析による作戦が図に当たったことは前述したとおりである。

 もう一つの要因はコノミの奮闘である。
 本職が保育士であるアマガイ・コノミは普段戦闘に加わることが少なく、涙もろい面も多々見せるが、弱い者を守るときにこそ勇気を発揮する真の強さを持っている。その勇気も単純な精神主義によるものではなく、仲間と過ごした日々や、本当に仲間を助けたい気持ち、真に互いが互いを信頼して供に戦っていると云う信念から発揮された勇気で、彼女のそうした本分はクルーGUYSジャパンのメンバー全員が認めるところだった。
 それゆえメビウス救出とグローザム討滅と云う二大困難が圧し掛かる中、コノミが初フライトで重責を担うことがあっさり決まったと云える。それは決して「男手が無かった故のやむを得ない人選」ではなかった。

 この信念と絆の強さこそ、正に「プライド・オブ・ガールズ」と云えよう。
 また、同時にこの話はモロボシ・ダンの論述から人間が如何に勝利に貢献して来たかに触れられた回であることも注目したい。


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平成二七(2015)年五月七日 最終更新